中国PCBメーカー一覧|主要企業9社の得意分野・生産拠点を徹底解説




中国のPCB(プリント基板)メーカーを調べ始めると、似たような紹介記事が並び、どの情報が実態に近いのか判断しづらいと感じたことはないでしょうか。

中国は世界のPCB生産量の過半を占める最大の生産国です。

業界専門誌の集計によると、2024年の中国国内のPCB生産額は約564億ドルにのぼるとされています。

出典:Printed Circuit Design & Fab「Tracking Giants」

そのうち中国資本企業による生産額はおよそ347億ドルで全体の6割強を占め、残りは台湾系や日系、米系などの外資系工場が中国国内で生産している分です。

この記事では、各社の公式サイトや証券取引所への開示情報など一次情報をもとに、中国を代表するPCBメーカー9社を取り上げ、それぞれの得意分野と生産拠点を整理しました。

あわせて、用途別の選び方や、発注時に押さえておきたい実務上の注意点も解説します。

読み終える頃には、自社の製品(試作か量産か、民生用か車載用か、多層基板かフレキシブル基板か)に合わせて、どのメーカー群を検討すべきかの土台ができているはずです。

なお、本記事で紹介する売上高や生産拠点などの情報は、2026年8月時点で確認できた公開情報を整理したものです。

PCB業界は再編や増産のスピードが速いため、実際の発注前には各社の最新情報もあわせてご確認ください。

目次
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なぜ中国がPCB生産の世界的拠点になったのか

中国のPCB産業が世界最大規模に育った背景には、人件費の安さだけでなく、深センを起点に形成された部材から加工、検査までのサプライチェーン集積があります。

1980年代の経済特区政策をきっかけに、香港や台湾の資本と技術が深センに流入し、基板メーカーだけでなく銅箔張積層板(CCL)やドリル刃、薬液といった周辺産業までが同じエリアに集まりました。

この産業集積こそが、短納期かつ多品種の基板を安定供給できる中国の強みの源泉になっています。

深センを中心とした華南エリアの産業集積

華南エリア、なかでも深セン・恵州・珠海・東莞にまたがるベルト地帯には、PCB専業メーカーの本社や工場が密集しています。

深南電路や景旺電子、勝宏科技といった大手の多くがこのエリアに本社を構えているのは偶然ではなく、部材調達から金型製作、検査機関までが車で数十分圏内に揃っているためです。

一方で、深センは地価と人件費の上昇により、かつて400社以上あったとされるPCB工場が現在は半数以下まで減少したとも報じられています。

出典:Printed Circuit Design & Fab「Tracking Giants」

体力のある企業ほど、深セン本社は研究開発や営業の拠点として残しつつ、量産工場は周辺都市や内陸部へ移す動きを強めています。

長江デルタと内陸・江西省へのシフト

上海に近い昆山や無錫、南通といった長江デルタのエリアにも、滬士電子や深南電路の生産拠点があります。

このエリアは日系や欧米系の電子機器メーカーが集積しており、通信機器や自動車向けの中高多層基板を主力とする企業が多いのが特徴です。

さらに近年目立つのが、江西省吉安市など内陸部への工場移転です。

景旺電子が江西省吉水県や信丰県に大規模拠点を構えているように、かつては深センからのアクセスが不便だった内陸都市も、高速鉄道の整備によって物流面のハードルが下がり、広い用地と比較的低いコストを求める企業の受け皿になっています。

こうした生産動向は、業界団体である中国電子電路行業協会(CPCA、旧称・中国印制電路行業協会)が集計するデータとも整合的です。

参考:中国電子電路行業協会公式サイト

発注先を選ぶ際は、本社所在地だけでなく、実際に自社の製品を生産する工場がどこにあるのかを必ず確認することをおすすめします。

同じ会社でも工場によって得意な基板の種類や量産規模が異なるためです。

東南アジアへの生産移管という新潮流

米中間の関税や輸出管理を巡る緊張が続くなかで、中国のPCBメーカー自身が生産拠点を東南アジアへ分散させる動きも加速しています。

景旺電子はタイのプラチンブリ県に工場を建設中で、第一期だけで20億元規模の投資を計画しています。

勝宏科技も2023年に約4.6億米ドルでPole Star Limitedを、2024年にはタイのAPCB社を買収し、2025年末までに中国・タイ・ベトナム・マレーシアにまたがるグローバル供給網を構築しました。

業界専門誌の分析では、タイだけで今後5〜7年のうちに年間100億ドル規模のPCB生産が生まれる可能性があるとされ、その大半は中国や台湾からの移転企業によるものと見込まれています。

出典:Printed Circuit Design & Fab「Tracking Giants」

調達戦略を長期的に考えるなら、中国国内の工場だけでなく、同じメーカーが東南アジアに構える新工場の稼働状況もあわせてチェックしておくと、将来的なリスク分散の選択肢が広がります。

中国主要PCBメーカー9社の特徴と得意分野

ここからは、生産規模や得意分野の異なる9社を取り上げます。

世界最大級の量産メーカーから、試作・小ロットに特化したプラットフォームまで幅を持たせているのは、発注する基板の種類やロット数によって最適な相手が大きく変わるためです。

鵬鼎控股(Avary Holding)|世界最大級のPCBメーカーでApple向けFPCの中核

鵬鼎控股(Avary Holding)は、台湾の電子機器受託製造大手・鴻海(ホンハイ、Foxconn)グループの臻鼎科技を親会社に持つ企業です。

1999年に設立され、2018年に深圳証券取引所に上場しました。

生産拠点は深セン、河北省秦皇島、江蘇省淮安、そしてインドに広がっており、売上の多くをフレキシブル基板(FPC)が占めています。

同社が公式サイトで公表している情報によれば、調査会社Prismarkの世界PCBメーカーランキングで2017年から2024年まで8年連続で売上高世界一とされています。

出典:Avary Holding公式サイト

スマートフォンやタブレット、ノートパソコン、サーバー・ストレージ、車載電子機器向けにFPCとリジッド基板の両方を供給しており、Appleのサプライチェーンにおいて長年にわたり中核的なFPC供給元として位置づけられてきました。

スマートフォンやウェアラブル機器のように、薄く曲げられる基板が必要な製品を検討している場合、まず候補に挙がる規模とノウハウを持つメーカーだと言えます。

深南電路(Shennan Circuits)|航空宇宙・産業用途に強い高多層基板とICサブストレートの雄

深南電路は1984年に設立された、中国航空工業集団(AVIC)系列の企業です。

本社は深セン市龍岗区にあり、江蘇省無錫と南通に生産拠点を持ちます。

事業はPCB、パッケージ基板(ICサブストレート)、電子装連(PCBA)の3セグメントで構成され、2025年時点の従業員数は約21,000人です。

出典:EMIS企業情報

1995年に中国大陸で初めて12層基板の量産を実現し、2001年には大陸初の通信用バックプレーンメーカーになるなど、技術面での先駆的な実績を積み重ねてきた会社です。

近年はAI関連のデータセンター向けサーバー需要の伸びを背景に、稼働率が高水準で推移していると自社の投資家向け説明でも述べられています。

もともと航空機器向けの基板製造から出発した経緯もあり、品質管理体系の厳格さには定評があります。

高多層基板やICサブストレートなど技術難度の高い基板を、通信・産業用制御・医療機器・航空宇宙といった信頼性が問われる分野で使いたい場合に検討したいメーカーです。

景旺電子(Kinwong Electronic)|7大拠点・13工場を展開するリジッド基板の総合大手

景旺電子は1993年設立、上海証券取引所に上場しているメーカーです。

深セン、広東省龍川、江西省吉水・信丰、珠海(金湾・富山)、そしてタイという7つの生産拠点に13の工場を持ち、グローバルで23,000人を超える従業員を抱えています。

同社公式サイトによれば、2025年の売上高は153.08億元、PCB業界の世界ランキングで11位、中国内資PCB百強ランキングでは3位に位置づけられています。

出典:景旺電子公式サイト

主力製品は両面・多層のリジッドPCB、フレキシブルPCB、メタルコアPCBと幅広く、珠海の工場ではAnylayerやIC封装基板(SLP)も生産しており、最大18層まで対応しています。

一つの発注先で複数の基板種別をまとめて調達したい場合や、拠点分散によるBCP(事業継続計画)を重視する場合に、選択肢として検討しやすい会社です。

滬士電子(WUS Printed Circuit)|通信・車載向け多層基板を手がける老舗

滬士電子は1992年、創業者の呉礼淦氏と台湾の楠梓電子の出資によって、上海から約50キロメートルの江蘇省昆山市に設立されました。

深圳証券取引所に上場しており、2025年時点の従業員数は約15,000人です。

同社の目論見書によれば、Nokia-Siemens、Cisco、大陸汽車電子(コンチネンタル・オートモーティブ)、Huawei、中興通訊、Siemens、Motorola、Lucent、Ericsson、Alcatel、Sony、Sharpといった名だたる企業から認証を取得してきた実績があります。

出典:目論見書PDF

製品用途は通信用バックプレーン、パソコンのマザーボードや周辺機器、車載機器と幅広く、業界専門誌の集計でも2024年に大きく成長した企業の一つとして名前が挙がっています。

老舗ならではの長期取引実績を重視するなら、通信・車載分野で押さえておきたいメーカーです。

勝宏科技(Victory Giant Technology)|NvidiaやTeslaのサプライチェーンを牽引する急成長企業

勝宏科技は2006年に広東省恵州市で設立された企業です。

2015年に深圳証券取引所の創業板に上場し、2026年4月21日には香港証券取引所メインボードにも上場して、A株とH株の両方を持つ企業になりました。

出典:財聯社の速報記事

2019年にHDI事業部を立ち上げたことが転機となり、現在はAIアクセラレータカードやサーバー、データセンタースイッチ向けPCBを手がける主要サプライヤーへと成長しています。

香港上場時の目論見書に引用されたフロスト・アンド・サリバンの調査によると、人工知能・高性能コンピューティング向けPCBの売上高ベースで、2025年上半期には13.8%のシェアで世界首位、2024年には1.7%のシェアで世界7位だったとされています。

出典:証券之星のIPO解説記事

同社は100層を超える高多層基板の量産能力を持ち、6段24層HDIの量産化に世界で初めて成功したほか、10段30層HDIや16層Any-layer HDIの技術力も備えています。

2025年12月期の売上高は192.92億元(前年比79.8%増)、純利益は43.12億元(同273.5%増)にのぼり、AI・高性能コンピューティング向けPCBの売上が全体の43.2%を占めるまでになりました。

出典:網易の報道記事

Tesla、Nvidiaのサプライチェーンにも正式に組み込まれており、AIサーバーや高性能コンピューティング向けに高多層・高階層HDI基板を短期間で立ち上げたいプロジェクトでは、まず名前が挙がる存在だと言えるでしょう。

東山精密グループ(MFLEX+Multek)|Apple向けFPC世界2位、剛性基板世界3位の実力

蘇州東山精密制造は、1980年創業の精密板金加工会社を前身とし、2010年に深圳証券取引所へ上場した企業です。

2016年にフレキシブル基板大手のMFLEXを、2018年には旧フレックス(Flextronics)傘下でリジッド基板を手がけていたMultekを買収したことで、FPCとリジッド基板の両方を持つグループへと姿を変えました。

この2度の買収を経て、FPC事業ではグローバル市場シェア15〜18%程度で世界2位、Multekが手がけるリジッド基板事業でも世界3位相当の規模になったと報じられています。

出典:財経メディアの解説記事

Appleのサプライチェーンでは第2位のFPC供給元とされ、iPhoneやApple Watch向けに薄型FPCを供給しているほか、テスラの4680電池向けBMS用フレキシブル基板や、NvidiaやMetaのAIコンピューティング向け基板、Huaweiの通信機器向け基板も手がけています。

AppleやTeslaのようなグローバル大手と同水準の品質・量産体制を求める場合、比較検討先として外せないグループです。

崇達技術(Suntak Technology)|中小ロット・カスタム基板に強い高付加価値志向のメーカー

崇達技術は深圳証券取引所に上場する企業で、深南電路や滬士電子のような大量生産型とは異なる路線を取っています。

大ロットの標準品ではなく、中小ロットのカスタム基板を短納期で仕上げる一站式(ワンストップ)サービスに軸足を置いているのが特徴です。

2025年時点の従業員数は約7,174人、総資産は126.44億元、年間総生産能力は1,062万平方メートルで、中国内資PCBの総合ランキングでは6位に位置づけられています。

出典:東方財富網の業界解説記事

主力は高多層基板、高周波・高速基板、ICサブストレート、高階層HDIといった高付加価値製品で、売上に占める比率は6割を超えます。

珠海の第二工場ではAI算力向けの高多層基板やサーバーのバックプレーンを手がけ、800Gの光モジュールをすでに量産し、1.6Tモジュールの開発も前倒しで進めているとされています。

医療機器向けの品質マネジメントシステムであるISO13485を2013年に取得しているなど、医療分野への対応力も持ち合わせています。

大手メーカーでは対応しづらい小ロット・多品種・短納期の高機能基板を求める企業に向いています。

興森科技(Xingsen Technology/FASTPRINT)|中国最大級のプロトタイプPCBとICサブストレートの両輪

興森科技は1999年設立、深セン本社の企業で、FASTPRINTのブランド名で知られています。

広州、江蘇省宜興、そしてイギリスに生産拠点を構え、北京・上海・武漢・成都・西安に営業拠点、香港と米国に現地法人を持つなど、国際的な販売網を築いています。

出典:FASTPRINT公式サイト

中国国内最大のPCBプロトタイプサプライヤーとされ、4層から40層までのリジッド基板や、1層から8層のフレキシブル基板、2層から14層のリジッドフレックス基板まで、小ロットの試作から中規模量産まで幅広く対応しています。

もう一つの柱がICサブストレート事業で、中国大陸で唯一のSamsung向けICサブストレートサプライヤーとされている点は、同社の技術力を示す実績の一つです。

通信、産業用制御、医療電子、鉄道車両、コンピューター周辺機器、半導体、車載電子など、試作段階での検証を重視する業界からの受注が中心です。

新製品の試作から量産立ち上げまでを一社で任せたい場合に検討したいメーカーです。

嘉立創(JLCPCB)|世界中のメイカー・スタートアップを支えるプロトタイプ基板プラットフォーム

嘉立創(JLCPCB)は2006年に深センで設立された企業で、電子機器開発の裾野を支えるプラットフォームとして世界的に知られています。

同社のエコシステムは、EDAソフトウェアのEasyEDA、PCB製造・実装のJLCPCB、3DプリントのJLC3DP、CNC加工・板金加工のJLCCNC、機械部品のJLCMCまで一気通貫でそろっているのが特徴です。

出典:JLCPCB公式サイト

ガーバーファイルをオンラインでアップロードするだけで見積もりから発注までが完結し、小ロットの試作であれば数日で基板が手元に届く手軽さから、個人の電子工作愛好家からスタートアップ、大学の研究室まで幅広い層に利用されています。

コストの低さとオンライン発注の使いやすさは大きな強みですが、大量生産や特殊な認証が必要な車載・医療用途の量産までを任せたい場合は、崇達技術や勝宏科技のような量産特化型メーカーと役割分担して検討するのが現実的です。

試作フェーズのスピードとコストを最優先したいプロジェクトの入り口として、押さえておきたい存在です。

用途・目的別に見るメーカー選定のポイント

9社を並べて眺めるだけでは、実際にどこへ発注すべきかの判断は難しいものです。

ここでは代表的な4つの目的別に、検討候補を整理します。

AIサーバー・高多層/HDI基板を求める場合

AIアクセラレータやサーバー向けの高多層基板、高階層HDI基板が必要な場合は、勝宏科技や深南電路、崇達技術が有力な候補になります。

いずれも24層以上のHDIや、800Gから1.6T級の光モジュール向け高速伝送基板に対応した実績を持ち、AI算力需要の拡大に合わせて設備投資を積極化させている点も共通しています。

信号品質が要求される案件では、低損失材料の取り扱い実績やmSAP(修正セミアディティブ)工程への対応可否を、見積もり段階で確認しておくと安心です。

フレキシブル基板(FPC)が必要な場合

スマートフォンやウェアラブル端末のように薄型・軽量が求められる製品には、鵬鼎控股(Avary Holding)や東山精密グループ(MFLEX)、景旺電子のFPC事業が候補になります。

とくに鵬鼎控股と東山精密グループはAppleのサプライチェーンで長年の実績を積んでおり、量産段階での歩留まりや折り曲げ耐久性のノウハウが蓄積されている点が強みです。

車載向けにFPCを検討している場合は、東山精密グループがテスラ向けにBMS用フレキシブル基板を供給している実績も参考になります。

試作・小ロット生産を優先したい場合

新製品開発の初期段階で、まず数枚から数十枚の試作基板を素早く確認したい場合は、嘉立創(JLCPCB)や興森科技(FASTPRINT)が現実的な選択肢です。

JLCPCBはオンライン発注の手軽さとコストの低さで個人開発者にも人気があり、興森科技は試作からICサブストレートまで幅広い技術メニューを持っています。

量産移行を見据えているなら、試作段階から量産対応可能なメーカーに相談しておくと、設計変更のたびに発注先を切り替える手間を減らせます。

車載・産業/医療機器など認証要件が厳しい場合

自動車や医療機器向けの基板は、品質保証体系そのものが発注先選定の重要な判断材料になります。

自動車業界ではIATF16949、医療機器ではISO13485といった業界特有のマネジメントシステム認証の有無をまず確認しましょう。

滬士電子は大陸汽車電子(コンチネンタル)をはじめとする車載大手からの認証実績が長く、崇達技術は2013年からISO13485を取得済みです。

こうした認証は取得のタイミングや適用範囲が工場ごとに異なることも多いため、対象となる生産拠点が実際に認証範囲に含まれているかどうかを、契約前に一次資料で確認することを強くおすすめします。

中国PCBメーカーとの取引で押さえておきたい実務上の注意点

メーカー選びと同じくらい重要なのが、発注後のトラブルを防ぐための実務対応です。

ここでは価格やスペック表だけでは見えてこない、現場レベルで意識しておきたいポイントを整理します。

サンプル評価と工場監査を省略しない

カタログスペックや過去の納入実績だけを見て大ロットを発注し、初回ロットで不良率の問題に直面するケースは決して珍しくありません。

量産移行の前には、必ず小ロットのサンプルを取り寄せ、寸法・穴位置・はんだ付け性・信頼性試験の結果を自社基準または業界標準規格と照らし合わせて確認する工程を挟むことが重要です。

基板の受入検査基準としては、IPC(Association Connecting Electronics Industries)が策定するIPC-A-600やIPC-A-610といった規格が世界的に広く参照されています。

参考:IPC公式サイト

車載・医療・航空宇宙のように失敗が許されない用途では、書類上の認証確認だけでなく、可能であれば第三者機関による工場監査を組み合わせることで、量産開始後のリスクを大きく下げられます。

契約・知財保護の視点

ガーバーデータや回路設計情報を送付する前に秘密保持契約(NDA)を締結しておくことは、基本でありながら見落とされがちなポイントです。

あわせて、金型や治具の所有権の帰属、不良発生時の責任範囲、支払い条件(前金と残金の比率、検収のタイミング)を契約書に明文化しておくと、後々のトラブルを未然に防げます。

とくに中小ロットの試作段階では口頭やメールベースでのやり取りだけで発注が進みがちですが、量産移行を見据えている案件ほど、早い段階から書面での取り決めを整えておく価値があります。

為替・関税・地政学リスクへの目配り

人民元相場の変動や、米中間の関税措置は、PCBの調達コストに直接影響します。

さきほど触れたとおり、多くの大手メーカーがタイやベトナムへ生産を分散させている背景にも、こうした通商環境の変化があります。

発注先を1社に絞り込むのではなく、同じメーカーグループが持つ複数拠点(中国国内と東南アジア)から供給を受けられる体制を確認しておくことは、調達リスクを分散するうえで現実的な選択肢です。

関税や輸出管理のルールは変更される頻度が高いため、発注のタイミングごとに最新の制度を確認する習慣も欠かせません。

よくある質問(FAQ)

Q. 中国のPCBメーカーで、売上高が最大の会社はどこですか

調査会社Prismarkの世界ランキングでは、鵬鼎控股(Avary Holding)が2017年から2024年まで8年連続で売上高世界一のPCBメーカーとされています。

同社はApple向けFPCを中心に、スマートフォンから車載電子機器まで幅広い製品を手がけています。

Q. 試作や小ロット生産に強いメーカーはどこですか

嘉立創(JLCPCB)と興森科技(FASTPRINT)が代表的です。

JLCPCBはオンライン発注の手軽さと低コストで個人開発者からも支持されており、興森科技は試作からICサブストレートまで幅広い技術に対応しています。

Q. 車載向けPCBの実績が長いメーカーはどこですか

滬士電子は大陸汽車電子(コンチネンタル・オートモーティブ)をはじめとする車載大手からの認証実績を長年積み重ねてきました。

勝宏科技も新エネルギー車の三電システムや自動運転向け基板、Tesla向けの供給で存在感を強めています。

Q. フレキシブル基板(FPC)に強いメーカーはどこですか

鵬鼎控股(Avary Holding)と東山精密グループ(MFLEX)がApple向けFPCの二大供給元として知られています。

薄型・軽量な基板が必要なウェアラブル機器や折りたたみ式デバイスの開発でも、これらのメーカーのノウハウが参考になります。

Q. 発注前に最低限確認すべき認証は何ですか

業種によって異なりますが、一般的な品質マネジメントシステムのISO9001に加え、自動車向けであればIATF16949、医療機器向けであればISO13485の取得状況を確認しましょう。

受入検査基準としては、IPCが策定するIPC-A-600やIPC-A-610も広く参照されています。

参考:IPC公式サイト

Q. 今後、中国PCB業界の生産拠点はどう変化していきますか

深センの工場数は地価と人件費の上昇によりピーク時から半減したとされ、大手メーカーは江西省など内陸部や、タイ・ベトナムといった東南アジアへ生産を分散させる動きを強めています。

調達先を検討する際は、本社の所在地だけでなく、実際に自社製品を生産する工場がどこにあるのかを継続的に確認しておくことをおすすめします。

まとめ

中国のPCBメーカーは、Appleのサプライチェーンを支える世界最大級の企業から、個人の電子工作を支えるオンラインプラットフォームまで、規模も得意分野もきわめて幅広く存在しています。

自社の製品が試作段階なのか量産段階なのか、多層基板が必要なのかフレキシブル基板が必要なのか、車載や医療のように厳格な認証が求められるのかによって、最適な発注先は変わります。

今回紹介した9社の特徴と生産拠点を出発点に、まずは小ロットのサンプル発注や工場情報の確認から始めてみてください。

 

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