
製品の不具合解析や品質保証の現場で、突然「断面を見て原因を特定してほしい」と依頼されることがあります。
しかし、樹脂埋め込みや断面研磨の設備を自社で持っている企業は決して多くありません。
はんだ接合部のクラック、基板のスルーホールのめっき状態、異物混入の断面構造。
こうした課題を解決するには、樹脂埋め込み(樹脂包埋)と断面研磨の技術を持つ外部の専門会社に依頼するのが最も確実な方法です。
この記事では、樹脂埋め込みと断面研磨の基礎知識から、失敗しない会社選びのポイント、そして実際に依頼できる会社8社を、各社公式サイトの情報をもとに紹介します。
初めて外注を検討する方でも、迷わず依頼先を選べるように整理しました。
最後まで読めば、自社に最適な依頼先の候補と、依頼時に伝えるべき情報が明確になります。
樹脂埋め込み(樹脂包埋)と断面研磨とは何か
樹脂埋め込みと断面研磨は、対象物の内部構造を破壊検査によって明らかにするための試料作製技術です。
非破壊検査だけでは見えない内部のクラックや空隙、接合部の状態を正確に把握するために欠かせない工程だからです。
たとえば自動車の電子制御ユニット(ECU)の内部構造を確認したい場合、外側から観察しても中の様子はわかりません。
対象物を切断し、樹脂で固めてから研磨することで、初めて内部の断面を鏡面に近い状態で観察できるようになります。
樹脂埋め込みと断面研磨は、いわば見えないものを見えるようにするための下ごしらえの技術だと言えます。
断面試料作製が必要になる場面
断面試料の作製が必要になる場面は、思いのほか幅広くあります。
不良解析や信頼性試験の前後比較、構造解析など、目的によって求められる精度が異なるためです。
代表的な例としては、はんだ接合部のクラックや空隙の観察、プリント基板のスルーホールにおけるめっきの膜厚確認、ICのボンディング部分の状態確認、リチウムイオン電池のセパレータの積層状態の観察などが挙げられます。
歯科インプラントの断面観察のように、医療分野の技術検証に使われるケースもあります。
対象となる材質や部品の種類は幅広く、金属、樹脂、セラミックス、複合材料まで多岐にわたります。
樹脂埋め込みの役割と樹脂の種類
樹脂埋め込みの役割は、試料の縁の欠け(ダレ)を防ぎ、研磨作業をしやすくすることにあります。
小さく脆い試料や粉末状の試料は、そのままでは切断や研磨の際に崩れたり変形したりしてしまうためです。
樹脂には主に、常温で数時間かけて硬化させる常温硬化タイプと、熱と圧力を加えて短時間で硬化させる熱硬化タイプがあります。
電子顕微鏡で観察する試料については、観察時に電子が試料表面に帯電してしまう現象(チャージアップ)を防ぐため、導電性を持たせた樹脂で包埋することもあります。
試料の材質や観察目的に応じて樹脂を使い分ける判断力こそが、樹脂埋め込みという工程の技術力を左右します。
詳しい包埋樹脂の分類については、電子顕微鏡メーカーであるJEOL日本電子株式会社の用語集「樹脂包埋」でも解説されています。
断面研磨の工程と仕上がりの差
断面研磨は、粗い研磨から仕上げ研磨へと段階的に砥粒を細かくしていく工程です。
一気に鏡面を目指すと、キズや歪みが残ったまま仕上がってしまうことがあるためです。
一般的には、耐水研磨紙を使った粗研磨で断面をおおまかに平滑にしたあと、ダイヤモンド砥粒を使った仕上げ研磨で微細な傷を取り除き、最終的にコロイダルシリカなどでほぼ鏡面の状態に仕上げていきます。
熟練した技術者ほど、この工程で生じやすいダレ(軟らかい部分が余計に削れてしまう現象)を最小限に抑えることができます。
金属材料の結晶粒度を観察する場合にはJIS G 0551「鋼-結晶粒度の顕微鏡試験方法」のような工業規格が判定基準として用いられることもあり、同じ断面研磨という言葉でも、会社によって仕上がりの精度には明確な差が出る工程だと理解しておく必要があります。
樹脂埋め込み+断面研磨を外注する前に知っておきたい重要ポイント
外注を検討する前に押さえておきたいのは、断面試料の作製がやり直しのきかない破壊検査であるという事実です。
一度切断し研磨してしまった試料は元に戻せず、狙った箇所を外してしまえば観察自体が成立しなくなるためです。
たとえば異物混入の原因調査で、異物が存在する箇所を見誤って研磨してしまうと、証拠となる断面そのものが失われてしまいます。
だからこそ、依頼する前の準備と会社選びが、結果の質を大きく左右します。
試料は一発勝負であることを理解する
断面試料の作製では、狙った場所を正確に狙う技術と経験が何より重要です。
機械研磨は物理的に試料を削っていく作業であり、削りすぎれば観察したい箇所を通り過ぎてしまうからです。
経験豊富な会社ほど、事前のヒアリングで観察目的や狙いたい箇所を丁寧に確認し、削り込みの深さを慎重にコントロールします。
依頼する側も、何を、どの倍率で、何のために見たいのかを明確に伝える準備をしておくことが、失敗を防ぐ第一歩になります。
機械研磨とイオンミリング(CP加工)の使い分け
観察したい倍率や試料の特性によっては、機械研磨だけでは不十分な場合があります。
機械研磨は水や研磨圧力を使うため、水分を嫌う試料や、硬さの異なる材料が混在する試料では、研磨面にダレや汚染が生じやすいという弱点があるためです。
こうした場合には、アルゴンイオンビームを照射して試料を加工する断面ミリング(クロスセクションポリッシャ、CP加工)という手法が使われます。
CP加工は水を使わず、応力をかけずに断面を作製できるため、高倍率観察や、多孔質フィルム、樹脂系エラストマーといったデリケートな材料の観察に適しています。
一般的な機械研磨で足りるのか、CP加工まで必要になるのかを事前に相談できる会社を選ぶことが、無駄なコストと時間を防ぐことにつながります。
依頼前に整理しておきたい情報
依頼をスムーズに進めるためには、事前に情報を整理しておくことが欠かせません。
情報が曖昧なまま依頼すると、会社側での打ち合わせに時間がかかり、結果的に納期が延びてしまうことがあるためです。
具体的には、観察したい箇所と目的、必要な観察倍率、試料の材質と硬さ、試料の点数、機密保持契約(NDA)の要否、希望納期といった項目を整理しておくとよいでしょう。
特に他社との取引に関わる部品や、開発中の新製品を扱う場合は、機密保持契約への対応可否を早い段階で確認しておくことをおすすめします。
失敗しない会社選び5つのチェックポイント
数ある会社の中から自社に合った依頼先を選ぶには、いくつかの共通したチェックポイントがあります。
会社によって得意な材質や設備、価格帯、対応スピードが異なり、これらを比較せずに選んでしまうと、期待した仕上がりや納期が得られないことがあるためです。
以下の5つの観点で、候補となる会社を比較検討することをおすすめします。
保有設備と対応材質の幅
まず確認したいのは、対象の材質に対応できる設備を保有しているかどうかです。
金属、樹脂、セラミックス、超硬合金など、材質によって最適な切断・研磨方法は異なるためです。
複数の切断機や研磨機、必要に応じてイオンミリング装置まで保有している会社であれば、材質が混在する複雑な試料にも対応しやすくなります。
会社の公式サイトに掲載されている設備一覧を確認し、自社が依頼したい試料に近い加工事例があるかを見ておくと安心です。
納期とスピード対応力
次に重要なのが、標準の納期と急ぎの依頼への対応力です。
不良解析は生産ラインが止まっている状況で発生することも多く、対応の速さがそのままビジネス上の損失に直結するためです。
会社によっては、標準納期を1週間程度としながら、特急料金を払えば3〜4営業日程度まで短縮できるといった柔軟な対応をとっています。
繁忙期や急ぎの案件が多い場合は、あらかじめ特急対応の可否と追加費用を確認しておくと、いざというときに慌てずに済みます。
価格体系の透明性
価格体系がどこまで明確に示されているかも、比較すべき重要なポイントです。
断面研磨は試料の材質や難易度によって工数が変わるため、見積もりを取ってみないと正確な金額がわからないことが多い領域だからです。
公式サイト上で「1断面あたり◯円から」といった目安を公開している会社であれば、依頼前におおよその予算感をつかむことができます。
複数社から見積もりを取り、価格だけでなく仕上がりの品質や対応の丁寧さも含めて比較する姿勢が大切です。
機密保持体制(NDA対応)
機密保持契約への対応体制も、忘れずに確認しておきたい項目です。
断面試料の作製では、まだ市場に出ていない新製品や、他社の製品を分解して比較する競合分析など、機密性の高い試料を扱うケースが少なくないためです。
依頼者からの要望に応じて秘密保持契約を締結する体制を整えている会社も多く、契約前にどこまで柔軟に対応してもらえるかを確認しておくと安心です。
情報管理の体制が整っている会社ほど、長期的に安心して付き合えるパートナーになりやすいと言えます。
観察・分析までワンストップ対応できるか
最後に確認したいのが、断面作製だけでなく、その後の観察や分析まで一貫して依頼できるかどうかです。
断面研磨と観察・分析を別々の会社に依頼すると、試料の受け渡しに時間がかかり、また意図が正確に伝わらないリスクも生じるためです。
電子顕微鏡による観察画像の撮影や、EDXによる元素分析、マイクロスコープによる寸法測定まで対応できる会社であれば、断面作製から結果の解釈まで一つの窓口で完結できます。
初めて外注する場合は特に、こうしたワンストップ対応が可能な会社を選ぶことで、コミュニケーションの手間を大きく減らせます。
樹脂埋め込み・断面研磨に対応する会社8選

ここからは、樹脂埋め込みと断面研磨に対応している会社を8社紹介します。
各社の公式サイトで公開されている情報をもとに、所在地と特徴をまとめました。
依頼先を検討する際の一次候補として、ぜひ参考にしてください。
なお、依頼を確定する前には、必ず各社の公式サイトや問い合わせ窓口で最新の対応内容や価格を確認することをおすすめします。
| 会社名 | 所在地 | 特徴 | 公式サイト |
|---|---|---|---|
| 株式会社クオルテック(断面研磨.com) | 大阪府堺市/東京都大田区 | 断面研磨専門センターを持ち20年以上の実績。1断面3,000円(税抜)からの明朗な価格と最短4営業日対応 | qualtec.co.jp |
| JTL(ジャパンテストラボ) | 岐阜県大垣市(本社)/愛知県豊田市/神奈川県/兵庫県神戸市 | 切断・樹脂包埋・研磨をワンストップで受託。スポット委託からパートナーシップ委託まで柔軟なプランを用意 | jtla.co.jp |
| 株式会社池上精機 | 神奈川県横浜市港北区 | 自社開発の低荷重研磨機IS-POLISHERを使用。最小25gの極低荷重研磨で平坦度10nm以下の高精度仕上げ | ikegamiseiki.com |
| 東芝ナノアナリシス株式会社 | 神奈川県横浜市(本社)/川崎・大船・四日市・能美・兵庫 | 東芝グループの受託分析会社。ISO9001・ISO/IEC17025認定を取得し複数拠点で対応 | nanoanalysis.co.jp |
| JFEテクノリサーチ株式会社 | 東京都千代田区大手町 | JFEグループの受託分析会社。鉄鋼由来の分析技術を活かし金属から樹脂・複合材料まで幅広く対応 | jfe-tec.co.jp |
| 株式会社東レリサーチセンター | 東京都中央区日本橋 | 東レの研究開発部門から1978年に独立。半導体から医薬・バイオまで扱う国内有数の受託分析会社 | toray-research.co.jp |
| 春川鉄工株式会社 | 千葉県木更津市 | 大正12年創業の老舗。金属材料・電子材料の埋込精密研磨と機械試験・組織観察を一貫対応 | harukawa.co.jp |
| 沖エンジニアリング株式会社(OEG) | 東京都練馬区 | 電子部品の信頼性評価試験が専門。標準1週間、最短3日で断面観察結果を連絡 | oeg.co.jp |
以下、各社についてもう少し詳しく紹介します。
株式会社クオルテック(断面研磨.com)
大阪府堺市に断面研磨専門の研磨センターを構え、20年以上にわたって断面研磨の技術を磨いてきた会社です。
タングステンなどの超硬合金の高精度研磨や、自動車のECUのような大型部品の断面研磨、インプラントの断面観察まで、幅広い実績を公開しています。
1断面あたり3,000円(税抜)からという価格の目安を公式サイトで明示しており、通常7営業日、特急対応で4営業日という納期の目安も示されているため、初めて依頼する会社としても検討しやすい存在です。
東京都大田区にもテクニカルラボを構えており、関東エリアからのアクセスもしやすくなっています。
JTL(ジャパンテストラボ)
岐阜県大垣市に本社を置き、愛知県豊田市、神奈川県、兵庫県神戸市に事業所を展開している総合受託会社です。
切断から樹脂包埋、研磨までを一括で請け負うだけでなく、その後の評価試験や分析までカバーしているのが特徴です。
スポットでの単発依頼から、継続的な委託を前提としたパートナーシップ委託まで、依頼者の状況に応じたプランを選べる点も強みです。
複数拠点に設備を分散保有しているため、繁忙期でも対応の柔軟性が期待できます。
株式会社池上精機
神奈川県横浜市港北区に本社を置き、自社開発の研磨機IS-POLISHERの製造販売で培った技術をもとに試料研磨サービスを提供しています。
最小25gという極めて軽い荷重で研磨できる点が大きな特徴で、従来の自動研磨機や手作業で生じがちな試料への負荷やばらつきを抑え、平坦度10nm以下という高精度な仕上がりを実現しています。
独自の治具による0.01度刻みの傾斜研磨にも対応しており、微細なクラックや界面を全幅で観察したい場合にも適しています。
半導体のバンプ配列出しや、EBSD観察用の試料作製など、より精密さが求められる依頼に強みを持つ会社です。
東芝ナノアナリシス株式会社
神奈川県横浜市に本社を置く、東芝グループの受託分析会社です。
半導体製品や電子部品の故障解析、構造解析、材料分析を主軸としており、神奈川県内の複数拠点に加え、三重県四日市市、石川県能美市、兵庫県といった各地に解析技術センターや分析評価ラボを展開しています。
ISO9001およびISO/IEC17025の認定を取得しており、品質マネジメント体制が整っている点も安心材料です。
半導体分野の断面試料作製から高度な故障解析まで、大規模な体制でワンストップに対応できる会社です。
JFEテクノリサーチ株式会社
東京都千代田区大手町に本社を置く、JFEグループの受託分析会社です。
鉄鋼・エンジニアリング事業の生産技術や品質管理、研究開発を通じて培ってきた分析技術を強みとしており、自動車、航空機、産業機器、エネルギー、電子部品といった幅広い産業分野に対応しています。
樹脂・複合材料の評価や、破損・損傷解析における断面の形態分析にも実績があり、化学分析と物理分析を組み合わせた総合的な評価を得意としています。
大手企業グループならではの設備の充実度と、幅広い業界知見が魅力です。
株式会社東レリサーチセンター
東京都中央区日本橋に本社を置く、東レ株式会社の研究開発部門から1978年に独立して発足した受託分析会社です。
半導体・実装、ディスプレイ、電池・エネルギー、自動車、医薬・バイオまで、非常に幅広い分野の受託分析に対応している点が特徴です。
長年にわたる分析・物性評価の実績に基づいた高度な解析力を持ち、断面観察と組み合わせた物性評価まで一貫して依頼できる体制を整えています。
分析講座などの教育事業も展開しており、業界内での知見の蓄積という点でも信頼度の高い会社です。
春川鉄工株式会社
千葉県木更津市に拠点を置く、大正12年創業という長い歴史を持つ会社です。
もともとは船のエンジン修理を手がける鍛冶屋として創業し、現在は精密金属加工と並行して、金属材料・電子材料の埋込精密研磨や、電子顕微鏡・X線アナライザーを使った検査測定業務にも力を入れています。
試験片の製作から機械試験、組織観察までを一貫して対応できるため、金属材料の品質評価を総合的に依頼したい場合に適しています。
房総地域だけでなく、首都圏や筑波地区の企業からの依頼にも対応してきた実績があります。
沖エンジニアリング株式会社(OEG)
東京都練馬区に本社を置く、沖電気工業株式会社とそのグループ会社の出資によって1973年に設立された会社です。
IC、チップコンデンサ、リレー、基板といった電子部品やユニットの信頼性評価試験を専門としており、はんだ接合部の断面や基板のスルーホール、ICのボンディング部分など、電子部品まわりの断面加工と観察に強みを持っています。
構造解析や故障解析、材料分析といった評価まで一貫して対応できる体制が整っており、試料受領後は標準で1週間、最短3日で観察結果の連絡を受けられるとされています。
スピード対応を重視する現場にも適した会社です。
依頼から納品までの流れ
樹脂埋め込みと断面研磨を外注する際の流れは、多くの会社でおおむね共通しています。
流れを事前に把握しておくことで、依頼から結果を受け取るまでのスケジュールを組み立てやすくなります。
見積もり依頼と試料の準備
まずは公式サイトの問い合わせフォームや電話で、依頼したい内容を伝えて見積もりを依頼します。
このとき、試料の材質や観察目的、希望納期をできるだけ具体的に伝えることで、精度の高い見積もりを受け取りやすくなります。
機密性の高い試料の場合は、この段階で秘密保持契約についても相談しておくとスムーズです。
打ち合わせと仕様の確定
見積もり内容に納得したら、加工方法や観察箇所について打ち合わせを行い、仕様を確定します。
前述の通り、断面試料の作製はやり直しのきかない作業であるため、この打ち合わせの段階でどこまで意図を共有できるかが、仕上がりの満足度を大きく左右します。
必要に応じて、機械研磨とCP加工のどちらを採用するかも、この段階で決定されます。
試料作製と観察
仕様が確定したら、試料を発送し、実際の切断、樹脂埋め込み、研磨の工程に進みます。
会社によっては、この後に電子顕微鏡観察や元素分析までを続けてオプションで依頼することができます。
標準的な納期は会社によって異なりますが、試料受領から3営業日〜1週間程度で結果が届くケースが多く見られます。
報告書の受領
最後に、断面研磨後の観察画像や分析結果をまとめた報告書を受け取ります。
報告書の内容や形式は会社によって異なるため、事前に報告書のサンプルを見せてもらえるかを確認しておくと、依頼後のミスマッチを防げます。
費用相場とコストを抑えるコツ
断面研磨の費用は、試料の材質や難易度、依頼する断面の数によって大きく変動します。
公式サイトで具体的な金額を公開しているクオルテックの例では、1断面あたり3,000円(税抜)からという価格帯が示されています。
ただし、この金額はあくまで比較的シンプルな断面に対する目安であり、硬さの異なる材料が混在する試料や、大型部品、CP加工が必要な試料になると、追加の費用が発生するのが一般的です。
コストを抑えたい場合は、観察したい箇所を事前に絞り込み、必要最小限の断面数で依頼することが有効です。
また、急ぎでなければ標準納期での依頼を選ぶことで、特急料金の発生を避けられます。
複数の試料をまとめて依頼することで、1件あたりの単価が下がるケースもあるため、依頼のタイミングをまとめられないか検討してみるのも一つの方法です。
現場のプロが語る、断面試料作製で失敗しないための実践的な注意点
ここまで会社選びのポイントを紹介してきましたが、現場で実際によく起きるつまずきについても触れておきます。
最も多いのは、依頼者側が、とりあえず送ってしまえば、あとはプロがうまくやってくれるだろうと考えてしまうケースです。
断面研磨の会社は加工と観察のプロですが、その試料がどのような経緯で発生した不具合品なのか、どこにどのような欠陥が疑われるのかまでは、依頼者から伝えられなければ知りようがありません。
不良の発生箇所についての推測や、これまでの調査でわかっている情報を、たとえ断片的でも共有しておくことで、狙うべき断面の精度は大きく変わります。
もう一つ見落とされがちなのが、全国対応という言葉の意味です。
多くの断面研磨会社は、日本全国どこからでも宅配便で試料を送ってもらう形で依頼を受け付けており、必ずしも依頼者の近くに拠点があるとは限りません。
紹介した8社も、拠点は関東や関西、中部エリアに集中していますが、これは断面研磨や受託分析という業種そのものが、こうした工業集積地に多く根を張ってきた歴史的な経緯によるものです。
拠点が近くにないからといって依頼を諦める必要はなく、むしろ設備や実績、対応スピードを軸に選んだうえで、試料を安全に梱包して発送するという意識を持つことのほうが、結果の質につながります。
輸送時の振動や衝撃で試料が破損しないよう、緩衝材でしっかり固定して発送することも、地味ながら大切なポイントです。
よくある質問(FAQ)
Q. 樹脂埋め込みと樹脂包埋は同じ意味ですか
はい、同じ工程を指す言葉です。
業界や会社によって樹脂埋め込みと表記する場合と樹脂包埋と表記する場合がありますが、試料を樹脂で固めて研磨をしやすくするという工程自体に違いはありません。
Q. 断面研磨だけを単発で依頼することはできますか
多くの会社で、断面研磨単体の依頼にも対応しています。
観察や分析まで自社で行いたい場合は、断面作製のみを依頼し、社内の電子顕微鏡などで観察するという使い方も可能です。
依頼する際に、断面作製のみか、観察・分析までを含めるかを明確に伝えるようにしましょう。
Q. 依頼から納品までどのくらいの日数がかかりますか
会社や試料の難易度によって差がありますが、標準的な依頼であれば3営業日から1週間程度が一つの目安です。
特急対応を用意している会社も多く、追加費用を払うことで納期を短縮できる場合があります。
急ぎの依頼を検討している場合は、見積もり依頼時に希望納期を明確に伝えることをおすすめします。
Q. 会社によって仕上がりの品質に差はありますか
はい、明確に差が出る工程です。
保有している研磨機の精度や、担当する技術者の経験、狙った箇所を正確に捉える技術力によって、同じ断面研磨という言葉でも仕上がりのきれいさや精度は大きく変わります。
可能であれば、公式サイトに掲載されている加工事例の写真を確認し、自社が依頼したい試料に近い実績があるかを見ておくと安心です。
Q. 機密性の高い試料でも安心して依頼できますか
多くの会社が、依頼者からの要望に応じて秘密保持契約(NDA)を締結する体制を整えています。
新製品の試作品や、他社製品との比較分析といった機密性の高い試料を扱う場合は、見積もり依頼の段階で秘密保持契約への対応可否を確認しておくと安心です。
Q. 全国どこからでも依頼できますか
はい、多くの会社が宅配便での試料の送付に対応しており、全国どこからでも依頼が可能です。
ただし、実際の拠点は関東や関西、中部エリアに集中している傾向があるため、対面での打ち合わせを希望する場合は、拠点の場所もあわせて確認しておくとよいでしょう。
まとめ
樹脂埋め込み(樹脂包埋)と断面研磨は、製品の不具合解析や品質保証に欠かせない、しかしやり直しのきかない繊細な工程です。
だからこそ、設備の充実度、納期対応力、価格の透明性、機密保持体制、そして観察・分析までのワンストップ対応力という5つの視点で、依頼先を丁寧に見極めることが大切です。
今回紹介した8社は、いずれも公式サイトで具体的な実績や設備情報を公開しており、初めて外注を検討する方にとっても比較しやすい候補だと言えます。
まずは気になる会社に問い合わせて見積もりを取り、自社の試料に合った依頼先を見つけてみてください。














