
在宅検査機器を試作から量産に移すとき、多くの医療機器メーカーが最初につまずくのが測定精度のばらつきです。
試作段階では一台ずつ手作業で追い込んでいた精度が、数百台、数千台という量産ロットになった途端にそろわなくなる。
原因はセンサーの個体差だけではありません。
基準器の選び方、校正値の書き込み方式、検査記録の残し方、そのすべてが精度のばらつきに直結します。
この記事では、在宅検査機器の基板を量産する際に、測定精度をそろえるための校正工程をどう設計すればよいかを、品質部門とEMS双方の視点から整理します。
社内の品質保証部門に説明する資料としても、EMSに提示する仕様書のたたき台としても使える内容を目指しました。
センサーの個体差はどこから生まれるのか 量産化で最初にぶつかる壁
量産で測定精度がそろわなくなる最大の原因は、センサー素子そのものが持つ製造ばらつきです。
同じ型番のセンサーでも、出力特性には必ず個体差があります。
これはセンサーメーカーが公表しているデータシート上の許容誤差(公差)を見れば明らかで、量産する以上、この個体差はゼロにはできません。
だからこそ、個体差を前提にした校正工程が必要になります。
素子そのものが持つ製造ばらつき
圧力センサーや光学式センサー、電気化学式センサーなど、在宅検査機器に使われるセンサーの多くは、製造ロットごとに感度や基準点(オフセット)が微妙に異なります。
この差はセンサー単体のデータシートに精度の許容範囲として明記されているのが一般的です。
量産設計の段階で、この公差をそのまま製品の測定精度に反映させてよいのか、それとも校正によって吸収するのかを最初に決めておく必要があります。
多くの在宅検査機器では、要求される測定精度がセンサー単体の公差よりも厳しいため、結局は校正によって補正することになります。
実装工程で新たに生まれるばらつき
センサー単体の個体差だけでなく、基板に実装した後の回路全体としてもばらつきが生まれます。
信号を増幅・整形する周辺回路には抵抗やコンデンサが使われますが、これらの部品にも公差があります。
はんだ付けの状態やパターン設計による寄生容量、コネクタの接触抵抗なども、測定値にわずかな影響を与えます。
つまり校正は、センサー単体の個体差を補正する工程ではなく、基板として完成した状態の個体差を補正する工程だと捉える必要があります。
この視点の違いは、校正をどの工程で行うかを決めるときに重要な判断基準になります。
センサーのロット管理も校正設計に影響する
センサーメーカー側でも製造ロットが変わるタイミングで、特性がわずかに変化することがあります。
これは不良ではなく、部品としての公差の範囲内で起きる正常な変動ですが、校正工程の視点からは無視できない要因です。
センサーの購買ロットと基板の生産ロットを紐づけて記録しておくと、ある時期から測定値の傾向が変わった場合に、原因がセンサーのロット切り替えにあるのか、それとも実装工程側にあるのかを切り分けやすくなります。
余裕があれば、新しいセンサーロットを本格的に投入する前に、少数サンプルで校正結果を確認する受入検査的な工程を挟んでおくと、量産ラインへの影響を最小限に抑えられます。
温度と湿度がもたらす測定誤差
在宅で使われる検査機器は、病院とは違い、温度や湿度が管理されていない環境で使われます。
夏場のリビングと冬場の寝室では、室温が10度以上違うことも珍しくありません。
センサーや周辺回路には温度特性があるため、校正時の環境と実際の使用環境に差があると、校正で追い込んだはずの精度が現場でずれてしまいます。
校正工程を設計する際は、校正を行う環境条件(温度・湿度の範囲)を明確に定め、その条件下での精度保証と、想定使用環境における温度補償の設計を分けて考えることが欠かせません。
校正工程の心臓部は基準器 精度と管理体制の両方が問われる
校正工程の信頼性は、校正に使う基準器の信頼性を超えることはありません。
どれほど丁寧な校正手順を組んでも、基準器自体の精度や管理体制に問題があれば、量産された基板の精度もその分だけ不確かなものになります。
基準器の選定と管理は、校正工程の中で最も地味に見えて、実は最も重要な部分です。
基準器に求められるトレーサビリティ
基準器は、国家計量標準につながるトレーサビリティが確保されたものを使う必要があります。
日本国内であれば、計量法に基づく校正事業者登録制度(JCSS)に登録された事業者から、校正証明書付きで基準器を校正してもらうのが一般的な方法です。
JCSSの校正証明書があれば、その基準器の測定結果が国家計量標準にたどれることを、第三者機関の裏付けとともに示すことができます。
制度の詳細は独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)のJCSSページで確認できます。
NITE 計量法校正事業者登録制度(JCSS): https://www.nite.go.jp/iajapan/jcss/
EMSに校正工程を委託する場合も、EMSが使用する基準器がトレーサビリティを確保したものであることを、校正証明書の写しなどで確認できる体制にしておくべきです。
校正はしているという口頭確認だけでは、監査の場面で証拠として不十分になります。
基準器と測定対象の精度差(TUR)をどう考えるか
校正の考え方として押さえておきたいのが、基準器の精度と製品に求める精度の比率です。
一般的には、基準器の精度は製品に求める精度の4倍以上、可能であれば10倍程度の余裕を持たせることが望ましいとされています。
この比率が小さいと、校正した結果が本当に製品側のばらつきなのか、基準器側の測定誤差なのかを切り分けられなくなります。
量産の初期段階でこの比率を確認せずに校正工程を組んでしまうと、後になって校正しても精度が安定しないという原因不明のトラブルに悩まされることになります。
基準器自体の校正サイクルを誰が管理するか
基準器も時間の経過とともに精度が変化します。
そのため、基準器自体を定期的に再校正するサイクルを決め、誰がそのスケジュールを管理するのかを明確にしておく必要があります。
EMSに設備を置いている場合、基準器の再校正期限が切れたまま生産が続いてしまうケースは実際に起こり得ます。
基準器の校正期限が近づいたらEMSから医療機器メーカー側に通知する、あるいは校正期限管理システムで一元管理するなど、運用ルールをあらかじめ仕様書に明記しておくことをおすすめします。
基準器の劣化を早期に見つける仕組み
基準器は次の定期校正日までは正しいという前提で運用されますが、実際には校正周期の途中で緩やかに特性が変化していくこともあります。
これに早く気づくための実務的な方法が、値の分かっている標準サンプル(チェック用の標準器や標準物質)を使って、日次や週次で基準器の状態を簡易的に確認することです。
チェック用サンプルの測定値がある日を境に急に変化した場合、基準器そのものに異常が起きているサインである可能性があります。
高価な基準器を複数台用意するのが難しい場合でも、簡易的なチェック用サンプルを一つ用意しておくだけで、定期校正の周期に頼り切らない異常検知の仕組みを作ることができます。
校正値をどう書き込むか 量産ラインに組み込む実装方法

校正の考え方が固まったら、次に検討するのは校正値をどうやって基板に書き込むかという実装方法です。
量産ラインでは、校正は検査工程の一部として自動化されているのが一般的です。
EEPROM・フラッシュへの校正係数書き込み
多くの在宅検査機器では、校正によって得られたオフセット値やゲイン(傾き)といった係数を、基板上の不揮発性メモリ(EEPROMやフラッシュメモリ)に書き込みます。
測定回路がこの係数を読み出して補正計算を行うことで、センサーの個体差を吸収した測定値を出力する仕組みです。
一部の製品では、センサーIC内部のデジタルトリミングレジスタに直接係数を書き込む方式を採用している場合もあります。
どちらの方式を選ぶかは、使用するセンサーICの仕様と、量産時の書き込み時間(タクトタイム)への影響を踏まえて決める必要があります。
一点校正・二点校正・多点校正、どれを選ぶか
校正には、基準点だけを合わせる一点校正、傾きとオフセットの両方を合わせる二点校正、測定範囲全体の非線形性まで補正する多点校正があります。
測定範囲が狭く、センサーの直線性が高い製品であれば二点校正で十分なことが多いですが、測定範囲が広い、あるいはセンサーの非線形性が大きい製品では多点校正が必要になります。
校正点を増やすほど精度は上がりますが、その分だけ量産ラインでの検査時間とコストが増えます。
どこまでの精度が製品として本当に必要なのか、測定精度の要求仕様に立ち返って校正点数を決めることが、量産コストと精度のバランスを取るうえで重要な判断になります。
書き込みミスと書き込み漏れを防ぐ仕組み
現場でよく起きる失敗が、校正値の書き込み自体は行われたものの、書き込みが正しく反映されたかどうかの確認(ベリファイ)が省略されているケースです。
書き込み直後にメモリを読み出し、書き込んだ値と一致しているかを自動で確認する工程を必ず組み込む必要があります。
また、リワーク(手直し)や再検査によって基板が校正工程を再び通過した際に、古い校正値が残ったまま次工程に流れてしまうことも起こり得ます。
校正済みかどうかを示すフラグや、校正日時・実施者・使用した基準器のIDを基板ごとに記録として残す仕組みを作っておくと、こうした見落としを防ぎやすくなります。
量産移行でつまずきやすいポイントと先回りの対策
試作から量産に移る過程では、校正の考え方そのものは正しくても、運用の細部でつまずくケースが少なくありません。
ここでは実務でよく見かける典型的なつまずきと、その対策を整理します。
試作用の治具と量産用の治具を同じだと思い込む
試作段階では、エンジニアが手元の測定器を使って一台ずつ校正することが多く、この治具構成のまま量産に持ち込めると考えがちです。
しかし量産用の校正治具は、タクトタイムを確保するために接触方式や測定手順が試作用治具と異なることがほとんどです。
治具が変われば、接触抵抗やノイズの入り方も変わるため、試作段階で追い込んだ校正条件がそのまま量産治具でも通用するとは限りません。
量産治具を新たに製作した段階で、試作治具との測定値の差を確認し、必要であれば校正パラメータを見直す工程を計画に組み込んでおくべきです。
ソフトウェアの更新が校正値の読み方を変えてしまう
量産開始後もファームウェアは改修されることがあります。
このとき、校正係数を保存しているメモリ領域のアドレスやデータ形式を変更してしまうと、すでに校正済みで出荷されている基板や、これから校正する基板との間で整合性が取れなくなる恐れがあります。
ファームウェアのバージョンと校正データのフォーマットは、常にセットで管理し、変更履歴を残しておくことが欠かせません。
校正データのフォーマットを変更する場合は、量産中の全ロットに影響が及ぶことを踏まえ、変更前に品質部門とEMSの双方で影響範囲を確認する手順を設けておくと安心です。
出荷検査と校正検査を同じものだと考えてしまう
校正が済んでいることと、製品として出荷基準を満たしていることは、本来別の確認です。
校正はあくまで測定値を補正するための工程であり、補正後の値が製品として求められる精度仕様を満たしているかどうかは、別途の出荷検査(ファイナルテスト)で確認する必要があります。
この二つの工程を一つの検査結果で済ませてしまうと、校正の合否基準と製品の合否基準が知らないうちに混ざり、どちらの基準で不良と判定したのかが後から分からなくなることがあります。
校正工程と出荷検査工程は、記録上も明確に分けて残しておくことをおすすめします。
EMSとどう連携するか 校正仕様書と検査記録の設計
校正工程をEMSに委託する場合、医療機器メーカー側が何を、どこまで、どうやって管理してほしいかを明文化した校正仕様書を用意することが欠かせません。
口頭やメールでのやり取りだけに頼ると、担当者が変わった途端に運用が崩れることがあります。
EMSに渡す校正仕様書に入れるべき項目
校正仕様書には、少なくとも次の項目を盛り込むことをおすすめします。
- 測定項目ごとの要求精度と、その精度を保証する測定範囲
- 使用する基準器の精度クラスとトレーサビリティ要件(JCSS校正証明書の要否)
- 校正を実施する環境条件(温度・湿度の許容範囲)
- 校正点数と校正手順(一点・二点・多点のいずれか)
- 書き込み後のベリファイ方法と合格基準
- 校正NG品の扱い(リワークか廃棄か、再校正の可否)
- 記録として残すべき項目(シリアル番号、校正日時、実施者、使用基準器のID、校正前後の測定値)
- 記録の保管期間と保管方法
これらを仕様書として文書化しておくことで、EMS側の担当者が変わっても運用が維持されますし、後述するQMS適合性調査の場面でも提示できる資料になります。
初回ロットでの検証(ファーストアーティクル)を必ず行う
校正仕様書を渡して終わりにするのではなく、量産の最初のロットについては、医療機器メーカー側で実際の測定値を抜き取り検証することを強くおすすめします。
これはいわゆるファーストアーティクル検証にあたる工程で、EMS側の治具や作業手順が仕様書どおりに機能しているかを、量産が本格化する前に確認する最後の機会です。
ここで問題が見つかれば、影響はまだ小さなロットにとどまりますが、確認を省略して量産を進めてしまうと、問題が見つかったときにはすでに大量のロットが出荷準備を終えている、という状況になりかねません。
初回ロットの検証結果は、その後の量産ロットの品質を評価する際の基準値としても活用できます。
検査記録はロットとシリアルで追えるようにする
校正の合否だけを記録するのではなく、校正前の生の測定値も残しておくことを強くおすすめします。
合否判定だけの記録では、ロットを重ねるうちにセンサーの特性が徐々にずれてきているといった傾向の変化に気づけません。
生の測定値を時系列で追えるようにしておけば、不良として現れる前の段階で傾向の変化を検知し、先手を打つことができます。
これは工程の統計的管理(SPC)の考え方に近く、量産が長く続く製品ほど効果を発揮する仕組みです。
記録は基板単位のシリアル番号とロット番号の両方から検索できるようにしておくと、万一市場で不具合が発生した際の原因調査もスムーズになります。
品質部門がEMSの校正工程を見るときの視点
EMSへの監査や定期的な工程確認では、書類上の手順書だけでなく、実際に基準器の校正証明書が有効期限内であるか、作業手順書の改訂履歴が最新の仕様書と一致しているか、作業者が校正手順についてどの程度理解しているかを現場で確認することが大切です。
手順書は最新なのに、現場の作業者が古いやり方を体で覚えたまま作業を続けているという食い違いは、実際の現場でしばしば見られます。
定期的に現場を確認し、仕様書と実態のズレを早期に発見する姿勢が、量産開始後のトラブルを未然に防ぐことにつながります。
加えて、EMSの校正治具とは別に、医療機器メーカー側で管理する基準器を使って、生産中のロットから抜き取った基板を定期的に並行検証する運用も有効です。
EMS側の治具だけに依存していると、その治具に緩やかな不具合が生じても社内では気づきにくくなります。
月次や四半期といった頻度で構わないので、独立した基準で数台を検証する仕組みを持っておくと、EMS任せにしない品質保証の姿勢を具体的な形で示すことができます。
QMS省令とISO13485の視点から見た校正工程の位置づけ
在宅検査機器は医療機器として製造販売されるため、校正工程も品質マネジメントシステムの一部として位置づけられます。
校正を単なる製造上の作業と捉えるのではなく、規制上どのような要求事項に紐づいているのかを理解しておくと、社内外への説明がしやすくなります。
測定機器の管理は品質マネジメントシステムの要求事項
医療機器の品質マネジメントシステムの国際規格であるISO13485は、測定及び監視機器の管理について要求事項を定めています。
規格の詳細はISO(国際標準化機構)の公式ページで公開されています。
ISO 13485:2016(医療機器の品質マネジメントシステム規格): https://www.iso.org/standard/59752.html
日本国内では、ISO13485と整合する形で、医療機器及び体外診断用医薬品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令(通称QMS省令)が定められており、製造販売業者はこの省令に基づいて製造管理・品質管理を行うことが求められます。
校正工程で使用する基準器や測定機器の管理も、この枠組みの中に含まれます。
PMDAのQMS適合性調査で問われること
医療機器の承認・認証や、その後5年ごとの定期審査では、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)によるQMS適合性調査が行われます。
この調査では、製造所(EMSを含む)における測定機器の管理体制が、手順書どおりに実際に運用されているかが確認の対象になります。
調査業務の概要はPMDAの公式ページで公開されています。
PMDA QMS適合性調査業務について: https://www.pmda.go.jp/review-services/gmp-qms-gctp/qms/0003.html
校正仕様書や検査記録をあらかじめ整理しておくことは、こうした調査に対応するための準備であると同時に、量産現場での精度トラブルを未然に防ぐための実務そのものでもあります。
規制対応と現場の品質管理は、切り離して考えるものではなく、同じ仕組みの両面だと捉えるのが実務的な姿勢です。
よくある質問
センサー単体で校正すれば、基板実装後の校正は不要になりますか
いいえ、基板実装後の校正は基本的に省略できません。
実装工程で生まれる周辺部品の公差やはんだ付けの影響は、センサー単体の校正だけでは補正できないためです。
最終的な製品としての測定精度を保証するには、基板として完成した状態での校正が欠かせません。
校正点数はどのように決めればよいですか
製品に求められる測定範囲全体での精度要求から逆算して決めます。
測定範囲が狭く直線性の高いセンサーであれば二点校正で足りることが多いですが、非線形性が大きい、あるいは測定範囲が広い製品では、範囲内に複数の校正点を設ける多点校正が必要になります。
校正点を増やすほど精度は上がりますが、量産時の検査時間とコストも増えるため、要求仕様とのバランスで決める判断になります。
EMSに校正工程を任せる場合、何を確認すればよいですか
まず基準器のトレーサビリティ(JCSS校正証明書など)と、その校正期限が管理されているかを確認します。
次に、校正手順書の内容が最新の仕様書と一致しているか、書き込み後のベリファイが行われているか、校正前後の測定値が記録として残る仕組みになっているかを確認します。
書類上の確認だけでなく、実際の作業現場を見て手順書どおりに運用されているかを定期的に確認することも重要です。
校正NG品が出た場合、どう扱えばよいですか
リワークして再校正するか、廃棄するかを、あらかじめ仕様書の中で基準を決めておく必要があります。
再校正を認める場合は、何回まで再校正を許容するか、再校正時にも同じベリファイ工程を通すかを明確にしておくことが大切です。
基準を決めずに現場判断に任せてしまうと、ロットによって扱いが変わり、記録の一貫性が失われる原因になります。
量産治具と試作治具で測定値が違う場合、どちらを信じればよいですか
まずはどちらの治具も基準器に対して正しくトレーサブルであるかを確認します。
その上で、量産治具の測定値を主として扱うのが基本です。
量産治具は今後の生産で継続的に使われるものであるため、量産治具を基準にそろえ、試作治具側の測定値との差を記録として残しておくと、後の原因調査で役立ちます。
ファームウェアを更新したら、校正済みの在庫はどう扱えばよいですか
校正データのフォーマットに変更がなければ、通常は影響ありません。
フォーマットや読み出しアドレスに変更がある場合は、更新前のファームウェアで校正された在庫が新しいファームウェアでも正しく動作するかを、出荷前に必ず検証する必要があります。
検証が完了するまでは、更新前後のファームウェアと校正データの組み合わせを明確に区別して管理することが欠かせません。
まとめ
在宅検査機器の基板を量産する際に測定精度をそろえるためには、センサーの個体差を前提にした校正の考え方、トレーサビリティが確保された基準器の管理、校正値を確実に書き込み検証する仕組み、そしてEMSとの間で共有する校正仕様書と検査記録の設計、この四つを一つの流れとしてつなげておくことが欠かせません。
どれか一つが欠けても、量産が進むにつれて精度のばらつきや記録の不備という形で必ず表面化します。
特に、試作用治具と量産用治具の違い、ファームウェア更新時の校正データ整合性、校正検査と出荷検査の混同は、実務で見落とされやすいポイントです。
早い段階で仕様書として文書化し、品質部門とEMSの双方が同じ基準を見ながら運用できる状態を作ることが、量産開始後のトラブルを防ぐ一番の近道です。










