大型基板(Lサイズ)を実装できる工場の探し方|国内候補リスト&失敗しない発注チェック

大型基板(Lサイズ)を実装できる工場の探し方|国内候補リスト&失敗しない発注チェック

「Lサイズの大型基板を実装できる工場を探したいけど、どこに頼めばいいの?」

「見積もりを取ったら“そのサイズは不可”と言われて時間をムダにした…」そんな悩みはとても多いです。

大型基板は、基板が大きいだけで工程の難しさが一気に上がり、設備・治具・反り対策・検査体制まで、工場の力がはっきり出ます。

この記事では、Lサイズ/長尺まで視野に入れて工場を探すための“仕様の決め方”と“チェックリスト”、問い合わせテンプレをわかりやすくまとめました。

さらに、公式サイトで「大型基板」「最大基板サイズ」等の記載が確認できた国内工場も紹介します。

目次

大型基板(Lサイズ)実装とは?サイズの目安と“難しさ”が増える理由

大型基板の実装とは、一般的な量産ラインで扱うサイズよりも大きなプリント基板に、チップ部品やIC、コネクタなどをはんだ付けして組み上げることです。

多くの現場では「M」「L」「LL」のように区分して呼ぶことがあり、Lサイズは“だいたい 510×460mm級”を指す場面がよくあります(会社によって定義は違います)。

さらに、560×610mm級のLL、560×1200mm級の長尺になると、対応できる工場が一気に減ります。

理由は単純で、基板が大きくなるほど、搬送・印刷・リフロー・検査のすべてで“設備の対応範囲”と“安定運用のノウハウ”が必要になるからです。

大型基板を成功させるコツは、最初に「サイズだけでなく、反り、重量、部品密度、熱の入り方」まで含めて条件を出し、工場側が安全に量産できる道筋を作ることです。

Lサイズ・LLサイズ・長尺基板の違い(“数字”でイメージする)

「Lサイズ」と言っても、実は工場ごとに境界が違います。

だからこそ、会話の最初に“数字”で揃えるのが安全です。

たとえば、ある工場では「Mサイズ=250×330mmまで」「Lサイズ=510×460mmまで」「LLサイズ=660×610mmまで」のように説明しています。

実際に、ある国内EMSのページでは「Mは250×330まで、Lは510×460まで、さらにLL(660×610)まで対応」といった記載があります。

大型基板になるほど、印刷機(スクリーン印刷)やリフロー炉、AOI(自動外観検査)、搬送コンベアなど、ラインの“入口から出口”までの許容範囲が一致していないと詰まります。

逆に言えば、サイズ上限を数字で確認できれば「その工場で“ライン実装”として流せるのか」「手作業が増えるのか」も見えてきます。

長尺(例:1200mm級)になると、ライン投入回数が減ってコストが下がるメリットがある一方、基板のたわみ・熱ムラ・搬送の安定性が難所になります。

だから最初の問い合わせでは「最大基板寸法(W×L)」「厚み」「基板の反り許容」「重量」「片面/両面」「面付け条件」までセットで聞くと、判断が速くなります。

大型基板で不良が増えやすいポイント(反り・熱ムラ・搬送)

大型基板でトラブルになりやすいのは、ざっくり言うと「形(反り)」「熱(温度)」「運び(搬送)」です。

まず反りは、基板が大きいほど“てこの原理”で大きく見えます。

反りが出ると、BGAやコネクタのはんだ付けが不安定になり、オープンやクラックの原因になります。

次に熱ムラです。大型基板は熱容量が大きく、部品が密集している場所と空いている場所で温度の上がり方が違います。

リフローの温度プロファイルが合っていないと、片側は未溶融、反対側は過熱のような極端な状態になりがちです。

最後に搬送。基板が大きいと、コンベアでの支持点が足りず、たわみや振動で印刷ズレ・部品ズレが起きます。

ここを支えるのが“治具(キャリア)設計”や“サポートピンの配置”、ライン側の経験です。

つまり大型基板は「サイズ対応」と同時に「量産で安定させる仕組み」を見ないと危険です。

だから工場選びでは、単に“最大サイズ”だけでなく、反り対策・治具・検査の話がスムーズに出てくるかが重要になります。

大型基板の実装工場を探す前に決めるべき仕様(発注条件の作り方)

工場探しが難航する一番の原因は「条件がふわっとしている」ことです。大型基板は、工場側が確認すべき項目が多いので、条件が足りないと見積もりも判断も止まります。

逆に、最初に“決めるべき仕様”を押さえておくと、問い合わせの往復が減ってスピードが上がります。

ここでは、発注側が最低限そろえるべき情報を、小学生でも理解できる言い方にして整理します。

ポイントは「基板」「部品」「はんだ」「検査」「数量・納期」「支給品」の6つです。これをテンプレ化しておけば、別の案件でも使い回せます。

基板条件(サイズ・厚み・層数・材質・面付け)

まずは基板そのものの条件です。

大型基板では、W×L(幅×長さ)を必ずmmで書きます。

さらに重要なのが厚み。厚みが増えると熱の入り方が変わり、リフロー条件が変わります。

層数(多層)や銅厚、材質(FR-4、アルミ基板、厚銅、リジッドフレキなど)も、工法や検査に影響します。

面付け(パネル化)をする場合は、パネルサイズと個片取り数、Vカットやルータ加工などの分割方法も書きます。

ここでありがちな落とし穴は「基板サイズはOKでも、面付けしたパネルが上限を超えていた」ケースです。

だから“実装時にラインに流すサイズ”がどれかを明確にします。

さらに、大型基板は搬送サポートのために基板外周の余白や、治具に乗せるためのタブ形状が必要なことがあります。

工場に相談すると「この外形だと支持点が足りないので、外周を少し足すと安定します」などの提案が出ます。

ここで提案が具体的な工場は、経験値が高い可能性が高いです。

部品条件(0402/微小、BGA、コネクタ、背の高い部品)

次に部品条件です。

大型基板は“部品点数が多い”ことが多く、部品の難易度が混ざります。

微小部品(0402など)があるか、BGA/CSPがあるか、プレスフィットや大型コネクタがあるか、背の高い部品(放熱器付き、トランス、シールドケースなど)があるかで、実装・検査・リワークの難しさが変わります。

BGAがあるなら、X線検査の有無や、リワーク設備の有無も関係します。

コネクタが多いなら、挿入実装(DIP)工程の品質と、はんだ付け(フロー/ポイント/手はんだ)の方針が重要です。大型基板は“場所によって熱が違う”ので、同じBGAでも中心部と端で条件が変わり得ます。

だから問い合わせでは、部品表(BOM)と実装図、重要部品(Critical)の指定、代替部品可否、部品支給方法(テープ/トレイ/バラ)をまとめて出すと、工場が判断しやすくなります。

部品がバラ支給の場合、テーピングや手載せが増えるため、その工数を見込んだ見積もりになります。

工場選定で失敗しないチェックリスト(設備・品質・コスト・納期)

大型基板の工場選びは「安い・早い」だけで決めると失敗しやすいです。

なぜなら、大型基板は“安定して流せるライン”がないと、途中で手作業が増えて納期が延びたり、不良が増えて手直しが増えたりするからです。

工場が本当に得意かどうかは、設備の名前よりも「どうやって不良を減らすか」「何をリスクとして見ているか」の説明に出ます。

ここでは、初回打ち合わせで見ておくべきチェック項目を、短く質問できる形にしました。

全部を完璧にやる必要はありませんが、上から順に確認すると“危ない工場”を早めに避けられます。

設備チェック(最大基板サイズだけでなく“ライン全体で流せるか”)

最初に見るのは「最大基板サイズ」ですが、ここで終わらないのが大型基板です。

印刷機だけが対応していても、リフロー炉が対応していなければ詰まります。

AOIが対応していなければ、検査が部分的になり、見逃しが増えます。

だから確認すべきは「印刷→実装→リフロー→検査→搬送」の一連が、同じサイズで“ラインとして”回るかです。

具体的な聞き方は「そのサイズは、ラインでインライン検査まで流れますか?途中で手搬送になりますか?」です。

工場側がすぐに「このサイズならこのライン、ここまでインライン、検査はこの機種」と説明できるなら安心材料になります。

さらに、長尺や超大型になるほど、治具(キャリア)対応が重要になります。

「治具は工場側で設計できますか?費用と納期は?反り対策は?」まで聞くと、現実的な運用が見えてきます。

品質チェック(検査、トレーサビリティ、リワーク、基準)

品質面で見るべきは「検査があるか」よりも「どこまで保証するか」です。

AOI(外観検査)、SPI(はんだ印刷検査)、X線、ICT、FCTなど、検査の種類は工場で違います。

ただし検査が多いほど良いとは限らず、製品に合っていない検査はコストだけ増えます。

重要なのは「この基板の不良モードは何か」「それをどの検査で潰すか」の考え方です。

大型基板では、反りや熱ムラが絡むので、BGAの接合品質やコネクタ周り、電源系のはんだ量などが要注意になることが多いです。

工場がIPC基準(例:IPC-A-610など)を意識しているか、社内基準の説明ができるかも確認します。

また、部品ロット管理、実装条件(プロファイル)管理、製造履歴の提出可否など、トレーサビリティも大切です。

量産なら「不具合が出たときに、どこまで遡れるか」が後で効きます。

リワーク対応(BGA交換など)の可否や方針も、試作段階で聞いておくと安心です。

問い合わせで聞くべき質問テンプレ(見積もりが速くなる)

大型基板の見積もりが遅くなる理由は、工場が“確認すべき項目”を埋められないからです。

つまり、最初のメールで情報を揃えれば、見積もりも可否判断も速くなります。

この章では、そのままコピペして使える「質問テンプレ」と、添付すると強い資料をまとめました。

ポイントは、相手に“YES/NOで答えられる質問”と“数字で答えられる質問”を混ぜることです。

ふわっとした聞き方(例:大型基板いけますか?)だと、相手もふわっと返すしかなく、往復が増えます。

逆に、サイズ・数量・納期・検査方針が明確なら、最初から現実的な提案が返ってきます。

初回メールのコピペテンプレ(件名・本文)

件名例:大型基板(W×L=●●×●●mm)SMT実装の可否確認と概算見積のお願い

本文テンプレ(コピペして編集):

ご担当者様

大型基板のSMT実装についてご相談です。下記条件で対応可否と概算見積、リードタイム目安をご教示ください。

  • 基板サイズ(実装投入サイズ):W×L=●●×●●mm、厚み●●mm、材質●●、層数●●層
  • 実装:片面/両面(●●面)、部品点数●●点、主要部品(BGA/CSP/コネクタ等):●●
  • 数量:試作●●枚(●●回)、量産●●枚/月(予定)
  • はんだ:鉛フリー/共晶(希望:●●)
  • 検査希望:AOI/X線/ICT/FCT(希望:●●、未定の項目はご提案希望)
  • 部品支給:支給/調達希望(●●)
  • 希望納期:●●年●●月●●日まで(目安)

添付:ガーバー(またはPDF図面)、BOM、実装図(座標データがあれば同梱)

お忙しいところ恐れ入りますが、対応可否と追加で必要な情報をご連絡いただけますと幸いです。

何卒よろしくお願いいたします。

見積もり精度を上げる“添付物”チェック

大型基板の見積もりで精度を上げる添付物は、結局「作るために必要な情報」を先に渡すことです。

最低限はBOM(部品表)と実装図(部品配置がわかるもの)です。

可能なら、P&P(マウンター座標データ)も渡すと工場が楽になります。

ガーバーは守秘の関係で出せない場合もありますが、少なくとも外形寸法・基準穴・外周の余白・治具が乗りそうかがわかる資料(外形図やDXF、PDFでも)を出します。

BGAやQFNがあるなら、フットプリント情報や推奨リフロー条件もあると良いです。

コネクタが多いなら、挿入方向や治具干渉が起きないかもポイントになります。

大型基板は“物理的に流せるか”が最初の壁なので、サイズと外形の情報は最優先です。

ここを省くと、どんなに良い工場でも判断が止まってしまいます。

大型基板対応の国内工場リスト(公式サイトの記載が確認できたもの)

ここでは「大型基板」「L/LL」「長尺」「最大基板サイズ」などの記載が、各社の公式サイト上で確認できた国内工場(またはEMS)を掲載します。

公式ページのリンクを中心にまとめます(必要なら会社概要ページから確認してください)。

会社名大型基板の記載があるページ(例)公式サイト補足
ビルコート(Billcourt)長尺基板・大型基板実装公式長手方向1230mmまで等の記載あり
テックフォース大型基板 長尺基板公式1230×400mmまで等の記載あり
加美電機技術力と設備力(最大1200×400等)公式会社概要/設備紹介にも大型・長尺の記載あり
さくら電子量産実装・部品実装(L/LL/長尺のサイズ表記)公式LL(560×610)/長尺(560×1200)等の記載あり
マランツエレクトロニクス(Marantz)EMS – 基板実装(L/LL等の説明)公式L/LLのサイズ説明が明記されているページあり
シキノハイテックDMS・EMS(508×620mm標準対応の記載)公式それ以上のサイズも相談可、の記載あり
アローテックス試作基板実装(610×500mm等の記載)公式量産/手作業対応の範囲説明ページもあり
宮古マランツEMS受託(超大型基板対応の記載)公式超大型・小ロットなどの説明あり
双和電機FAQ(条件により460×510対応の記載)公式Lサイズ相当の記載あり
ケイ・オール特殊基板実装(特大基板の対応例)公式拠点別の電話番号掲載ページもあり
トモエレクトロプリント基板実装(440×580の記載)公式設備ページ/FAQにも最大寸法の記載あり
Mioテクノロジートップページ(大型基板サイズの記載)公式会社概要ページに住所・TELの記載あり
竜樹(TATSUKI)設備紹介(大型基板対応ラインのサイズ表記)公式基板サイズ最大の表が掲載されている
東信エレクトロテック(東信システムサーキット等)SMT基板実装(小型~超大型の記載)公式関連ページでも「超大型」の説明あり

注意:掲載リンクは、工場の対応範囲を判断するための“入口”です。実際の可否は「基板外形・厚み・反り・部品構成・面付け・検査要求・数量」で変わります。必ず案件条件を添えて問い合わせてください。

よくある質問(FAQ)

最後に、大型基板(Lサイズ)実装でよくある質問をまとめます。

FAQは読者の不安を減らし、問い合わせの質も上がるのでおすすめです。

Q1. 「Lサイズ対応」と言われたのに断られるのはなぜ?

理由は「Lサイズの定義が会社によって違う」「ラインの一部だけが対応している」「面付けパネルが上限を超えている」「厚み・重量・反り・部品構成が難しい」などです。

対策は、最初からW×Lをmmで提示し、厚み・面付けサイズ・主要部品(BGA/コネクタ等)を添えて可否を確認することです。

Q2. 長尺(1200mm級)はコストが下がるって本当?

条件次第で本当です。長尺にすると、分割していた基板を一枚化でき、ライン投入回数やコネクタ接続が減って、コストと故障リスクが下がることがあります。

一方で、反りや熱ムラ、搬送が難しく、治具費や立上げ工数が増える場合もあります。量産数量と不良リスクをセットで比較しましょう。

Q3. 大型基板の見積もりが遅い。どうすれば速くなる?

サイズ(W×L)、厚み、面付け、BOM、実装図、数量、希望納期、検査要求を最初から揃えるのが一番早いです。本文のテンプレをそのまま使うと、やり取りが減ります。

まとめ

大型基板(Lサイズ)実装の工場探しは、「最大基板サイズがOK」だけでは足りず、反り・熱ムラ・搬送・治具・検査の運用まで見て選ぶのが成功の近道です。

この記事では、発注前に決めるべき仕様、工場選定チェックリスト、問い合わせテンプレ、そして公式サイトで大型基板の記載が確認できた国内候補をまとめました。

まずはテンプレで2〜5社に同じ条件を投げ、返答の内容(質問の鋭さ、リスク説明、提案の具体性)で“相性の良い工場”を絞り込みましょう。

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