
序論:高信頼性エレクトロニクスにおける「洗浄回帰」の歴史的背景とパラダイムシフト
プリント基板実装(PCBA)の製造分野において、長らく業界の標準的アプローチとして定着してきた「無洗浄(No-Clean)」プロセスが、現在、根本的な見直しを迫られている。
歴史的に見れば、無洗浄はんだペーストおよびフラックスは、モントリオール議定書に基づくオゾン層破壊物質(CFCやHCFCなど)の使用全廃という環境規制への対応と、はんだ付け後の洗浄工程を省略することによる莫大な製造コストの削減を主たる目的として導入された 。
このプロセスは、はんだ付け後に基板上に残留するフラックス残渣が極めて少なく、かつ非導電性および非腐食性(不活性)であるため、そのまま放置しても電気的性能や製品寿命に悪影響を及ぼさないという技術的前提に基づいて広く普及した 。
今日においても、日本国内の一般的な民生用エレクトロニクス製造現場では、この無洗浄プロセスが依然として主流を占めている 。
しかしながら、エレクトロニクス産業が極限の小型化、高密度化、そして未曾有の高電圧化・高周波化へとシフトするにつれ、無洗浄フラックスの安全性を支えていた前提条件は完全に崩壊しつつある。
とりわけ、電気自動車(EV)の基幹システム、航空宇宙・防衛機器、人命に関わる医療機器、そして高度な演算能力とシグナルインテグリティを要求されるAIサーバーや5G通信基地局などのミッションクリティカルな分野においては、微小な無洗浄フラックス残渣が引き起こす電気化学的マイグレーション(ECM)が、致命的なシステム障害の主要因として顕在化している 。
現代の実装工学における最大のアイロニーは、かつて「洗浄という困難な課題を排除するため」に開発された無洗浄フラックスが、現在では「最も除去が困難な汚染物質」として立ちはだかっているという事実である 。
欧米の先進的な車載・航空宇宙デバイスの製造現場では、もはや無洗浄残渣の放置は許容しがたいリスクと見なされており、かつての「洗浄不要」というアプローチから脱却し、流体力学と最先端の界面化学を駆使した「超精密洗浄プロセス」への回帰と高度化が急速に進行している 。
本稿では、無洗浄プロセスが抱える物理化学的な限界を解き明かし、従来のアルコール系・フッ素系溶剤の決定的な技術的・環境的課題を指摘するとともに、Kyzen(米国)やZestron(ドイツ)をはじめとする海外トップケミカルメーカーが強力に推し進める非イオン系水系洗浄剤および相分離型洗浄技術のメカニズムについて、包括的かつ専門的な視点から論述する。
BTC(底面電極部品)と無洗浄フラックスが織りなす物理化学的限界
低スタンドオフ構造によるガス抜け経路の物理的遮断
電子部品の小型化と高機能化のトレンドは、QFN(Quad Flat No-leads)、LGA(Land Grid Array)、DFN(Dual Flat No-leads)、さらにはマイクロBGAやフリップチップといった底面電極部品(BTC:Bottom-Terminated Components)の広範な採用を促進している 。
これらのパッケージは、電気的特性や熱放散性に優れ、実装面積を劇的に削減できる一方で、パッケージ底面とプリント基板表面とのクリアランス(スタンドオフハイト)が極めて狭いという物理的特徴を持つ。
一般的なQFNやLGAでは基板との隙間が50μmから75μm程度であり、最先端のフリップチップや3D ICなどのアドバンストパッケージング技術に至っては10μmから40μmという極薄の隙間しか存在しない 。
この極端に狭小な物理的空間は、リフローはんだ付け工程におけるフラックスの熱力学的な挙動に重大な障害をもたらす 。
正常な無洗浄プロセスにおいては、リフロー炉内の熱によってフラックス中の溶剤成分が揮発し、ロジンや樹脂、そして金属表面の酸化膜を除去するための活性剤(Activator)が反応を終えたのち、残渣は完全に乾燥してカプセル化され、環境に対して不活性(ベナイン)な状態となることが想定されている 。
しかし、BTCの直下やRFシールドのような閉鎖空間では、基板との隙間が極端に狭いため、フラックスが揮発するための排気経路(Venting Channel)が物理的に遮断される 。
その結果、溶剤成分が外部へ逃げきれずに液状またはゲル状のまま残留し、本来であれば熱によって完全に分解・無害化されるべき弱有機酸(WOA)やハロゲン化合物などの活性成分が、未反応のまま残渣内に留まることになる 。
この「不完全な熱活性化」を経た生焼け状態(Partially activated)のフラックス残渣は、高い吸湿性とイオン移動性を保持しており、後工程や市場投入後の運用環境において極めて高い信頼性リスクとなる 。
ポリマー化による強固なカモフラージュ効果と洗浄阻害
現代の無洗浄フラックスの化学組成は、鉛フリーはんだの高いリフロー温度に耐えうるよう高度に複雑化している 。
J-STD-004規格においてRO(ロジン)、RE(樹脂)、OR(有機)、IN(無機)などに分類されるフラックス成分のうち、特に最新の無洗浄ペーストには、リフロー中の合金の酸化を防ぐために高分子量の合成樹脂(ポリマー)が多用されている 。
これらの樹脂成分は、リフロー時の熱エネルギーによって重合反応(Polymerization)を起こし、プラスチックやゴムのような強固な架橋構造を形成する 。
このポリマー化された残渣は、外観上は無色透明に近いことが多く、はんだ接合部から均一に流出するため、目視検査(Visual Inspection)では汚れが存在しないかのように見える「カモフラージュ効果」を生み出す 。
しかし、この透明な樹脂の内部や、BTCのサーマルパッド周辺には、未反応のイオン性活性剤が確実に封じ込められている 。
この強固な疎水性ポリマー構造は、外部からの水分の侵入を完全には防げない一方で、後述する従来型のアルコール系溶剤などの洗浄液の浸透を強力に跳ね返すため、洗浄プロセスを極めて困難なものにしている 。
電気化学的マイグレーション(ECM)とデンドライト形成の熱力学
BTC下部に閉じ込められた未反応のフラックス残渣は、大気中の湿気と結びつくことで、電子基板の寿命を決定づける致命的な現象である電気化学的マイグレーション(ECM)を引き起こす 。
ECMは、絶縁材料の表面または内部において、電場(電圧バイアス)の影響下で金属イオンが陽極(アノード)から陰極(カソード)へ移動し、樹枝状の金属結晶であるデンドライト(Dendrite)を形成する物理化学的プロセスである 。
このプロセスは、以下の熱力学的および電気化学的ステップを経て進行する。
第一段階として、吸湿性の高い未反応フラックス残渣が環境中の水分を吸収し、基板表面にミクロな水分子の連続的な層を形成する 。
近年の研究によれば、複数の弱有機酸(WOA)をブレンドした最新のフラックス処方は、単一の活性剤を使用した場合と比較して極めて高い吸湿性(Hygroscopicity)と潮解性を示し、より低い相対湿度環境下でも分厚い液膜を形成しやすいことが判明している 。
環境温度が上昇すると、このフラックス残渣と水分の相互作用はさらに加速される 。
第二段階として、形成された水膜の中で、電圧が印加された陽極側の電極金属(銅、銀、錫など)が酸化されて金属イオンとなり、水溶液中に溶出する 。
この際、フラックス残渣中に含まれる未反応のハロゲン化物(塩化物や臭化物)や有機酸は、金属の溶解を劇的に促進する触媒として機能する 。
第三段階として、溶出した金属イオンは電場に従って水膜中を移動し、陰極側に到達して還元され、金属として析出する 。この金属の析出が繰り返されることで、カソードからアノードへ向かってデンドライトが成長し、最終的には隣接する電極間やトレース間を物理的にブリッジしてショート(短絡)を引き起こす 。
デンドライトによる短絡は、恒久的な故障を引き起こすだけでなく、微小な電流が流れた瞬間にデンドライト自体がジュール熱で焼き切れ、再び絶縁状態に戻るという一過性の障害(間欠不良:Intermittent Faults)を引き起こすことも多い 。
この間欠不良は、市場でのトラブル発生後に回収して解析を行っても原因箇所を特定することが極めて困難であり、製造者にとって最大の脅威となる 。
高湿度条件下では、適切な洗浄を行わずに残渣を放置することで、プリント基板の寿命が最大30%低下するという定量的なデータも報告されており、高信頼性が求められる用途において残渣の放置はいかなる理由があっても許容されない 。
EV 800VアーキテクチャおよびAIサーバーにおけるリスクの指数関数的増大
フラックス残渣に起因するECMのリスクは、単に汚染物質の量に依存するのではなく、基板に印加される電圧勾配(電界強度 $E = V/d$、ここで $V$ は電圧、$d$ は電極間距離)に比例して指数関数的に増大する 。
この物理法則は、最新のメガトレンドであるEVとAI分野において、無洗浄プロセスが破綻する決定的な理由を説明している。
800V EVプラットフォームにおける絶縁距離の制約と電界強度の増大
電気自動車(EV)業界では現在、航続距離の延長、超急速充電(Ultra-fast charging)の実現、および車両内のケーブル重量の大幅な削減を目的として、従来の400Vシステムから800Vアーキテクチャへの移行が急速に進行している 。
このシステム電圧の倍増は、単にバッテリーパックの設計変更にとどまらず、トラクションインバータ、駆動モーター、オンボードチャージャー(OBC)、電力分配ユニット(PDU)、およびバッテリー管理システム(BMS)内のすべてのPCBAに対して、かつてないレベルの電気的ストレスと熱的ストレスを印加することになる 。
高電圧回路の設計においては、IPC-2221(プリント基板設計の一般基準)やIEC 60664-1などの国際規格が、安全性と絶縁性を担保するための沿面距離(Creepage Distance)および空間距離(Clearance)の最小要件を厳格に定めている 。
沿面距離とは絶縁物の表面に沿った2つの導電部間の最短距離であり、空間距離は空気中を通る最短距離である 。
システム電圧が800Vに上昇した場合、本来であればアーク放電や表面トラッキング現象を防ぐために、基板上の電極間距離(d)を比例して拡大しなければならない 。
しかし、車載プラットフォームにおける深刻なパッケージングスペースの制約や、高密度HDI(High Density Interconnect)基板の採用により、物理的な距離を十分に確保することは極めて困難である 。
電圧(V)が倍増し、距離(d)が据え置かれる、あるいは縮小される環境下では、局所的な電界強度(E)が劇的に高まる。
このような極限の電圧勾配下では、基板表面にわずかなイオン性フラックス残渣が存在するだけで、深刻な絶縁破壊、フラッシュオーバー、そして急速なデンドライト成長が誘発される 。
したがって、800Vアーキテクチャの熱的・電気的挙動を制御し、機能安全(Functional Safety)を長期間にわたって担保するためには、ミクロレベルでの完全な残渣除去プロセスが不可欠となる 。
AIサーバーと5G通信におけるシグナルインテグリティの劣化
高電圧化に直面するEVとは対照的に、AIサーバーや5G/6G通信インフラストラクチャにおいては、超高速データ伝送に伴う高周波帯域でのシグナルインテグリティ(Signal Integrity:信号品質)の確保が最大の技術的課題となっている 。
これらの機器にも無洗浄プロセスが広く用いられているが、残渣の存在はデジタル回路やRF(高周波)回路に対して別の形態の深刻な障害をもたらす 。
高周波信号を伝送するマイクロストリップラインやインターコネクトの近傍、あるいはRFシールドの内部にフラックス残渣が存在すると、残渣自体が持つ誘電特性が寄生容量として働き、基板の局所的な実効誘電率を変動させる 。
これにより、伝送線路の特性インピーダンスが設計値から逸脱(低下)し、信号の反射、挿入損失の増大、クロストークの悪化が生じる 。
高周波数帯域になるほど、わずかな誘電率の変動が信号波形に与える影響は大きくなるため、ギガヘルツ帯で動作する最新のAIプロセッサ周辺回路においては、無洗浄フラックス残渣の存在そのものが許容されない設計要件となりつつある 。
従来型溶剤(IPA・フッ素系)の物理化学的限界と環境規制の壁
高信頼性基板における「洗浄の必要性」が欧米を中心に再認識される中で、日本国内の製造現場では依然としてイソプロピルアルコール(IPA)や、従来のフッ素系溶剤(HFE、HFCなど)を用いた洗浄手法に固執するケースが散見される。
しかし、最新のポリマー化された実装材料とこれらの従来型溶剤との間には、越えられない物理化学的なミスマッチが生じており、ミッションクリティカルな要件を満たすことは実質的に不可能になっている。
IPA(イソプロピルアルコール)の溶解力不足と致命的な白化現象
IPAは長年にわたり、安価で入手しやすい汎用溶剤として、基板のフラックス洗浄やメタルマスクの清掃に広く用いられてきた 。
しかし、先述の通り、現代の無洗浄フラックスや鉛フリーはんだペーストは、高温酸化を防ぐために高分子量の合成樹脂を多用し、リフロー後に強固に重合(ポリマー化)するよう設計されている 。
IPAが持つ化学的な溶解力(Solvency)では、このゴムやプラスチックのように強固に架橋した重合樹脂の構造を破壊し、溶解することは到底不可能である 。
結果として、IPAを用いて最新の基板を洗浄しようとすると、フラックス残渣を取り除くどころか、溶解しきれない残渣成分を基板表面全体に塗り広げる(Smearing)だけになり、外観上は不透明な「白化現象(White Residue)」として現れる 。
この白化した残渣は、元のフラックスよりもさらに強固で除去が困難な汚染物質に変化しており、コンフォーマルコーティングの密着性を著しく阻害するだけでなく、かえって水分の吸収を助長し、デンドライトの成長や漏れ電流を加速させる原因となる 。
さらに運用上の問題として、IPAは引火点が低く極めて可燃性が高いため、精密な洗浄装置内での加熱(Temperature)や、強力なスプレー加圧(Energy)を伴う自動インライン洗浄プロセスには全く不向きである 。
安全に使用するためには防爆仕様の高額な設備投資が必須となり、経済的合理性も失われている 。
フッ素系溶剤の特性と高分子残渣に対する不適合性
フッ素系溶剤(Fluorosolvents)は、オゾン破壊係数(ODP)がゼロで引火点を持たず、極めて低い表面張力(通常 15〜22 mN/m 以下)を持つことから、BTC下の極小ギャップへの浸透性に優れ、ベーパーディグリーザー(蒸気洗浄機)などの用途で航空宇宙・医療分野で重用されてきた 。
低表面張力と高い揮発性により、洗浄後の乾燥が早く、部品下に溶剤が残留しにくいという優れた利点がある 。
しかし、IPAと同様の理由により、フッ素系溶剤単体では最新のポリマー化された無洗浄フラックス残渣に対する化学的溶解力(カウリ・ブタノール値などで表される指標)が絶対的に不足している 。
フッ素系溶剤は、非極性または低極性の軽微な油汚れ(加工油や指紋など)の脱脂には極めて有効であるが、フラックス残渣に含まれる極性の高い有機酸塩や、水素結合によって強固に結びついた高分子樹脂成分を単独で分解・溶解する力に乏しい 。
そのため、微小な隙間に溶剤が物理的に浸透したとしても、残渣を溶かし切ることができず、結果としてBTC下部に最も危険な活性成分を取り残してしまう事態が生じる 。
これを補うためにアルコール類を添加した共沸混合物(共溶媒)も存在するが、ポリマー系残渣に対する根本的な解決には至っていない。
PFAS規制とTSCAによる産業的制約の決定打
これらの技術的限界に加えて、従来型溶剤の使用を決定的に制限しているのが、世界的に急速に強化されている環境・安全規制である。
米国環境保護庁(EPA)の有害物質規制法(TSCA)の改正に伴い、トリクロロエチレン(TCE)やn-プロピルブロマイド(nPB)などのハロゲン系溶剤が優先規制物質として厳格な制限を受けている 。
さらに欧州のREACH規則を中心とした、PFAS(ペルフルオロアルキル化合物およびポリフルオロアルキル化合物:永遠の化学物質)に対する包括的な規制案が進行中であり、フッ素系溶剤の多くがこのPFASの定義に該当する 。
また、揮発性有機化合物(VOC)の排出規制も年々厳しさを増しており、大気中へ容易に揮発する溶剤の使用には高額な回収設備の導入が義務付けられつつある 。
このように、「最新の高分子残渣を溶かせない」という物理化学的限界と、「法的に使用が制限される」という環境規制の二重の圧力により、エレクトロニクス製造業はフッ素系・アルコール系溶剤への依存から脱却し、より安全で高性能な水系精密洗浄技術(Aqueous Cleaning Technologies)への完全な移行を強いられている 。
欧米ケミカルメーカーの台頭:非イオン系水系洗浄剤の流体力学と界面化学
高密度実装基板の洗浄におけるパラダイムシフトを技術的に牽引しているのが、Kyzen(米国)やZestron(ドイツ)といった欧米の先端ケミカルメーカーである 。
これらの企業は、従来の「溶剤で溶かす」という単純なアプローチから脱却し、流体力学と界面化学を高度に融合させた「非イオン系水系洗浄剤」や「相分離型洗浄剤」を開発し、EVおよびAI向けの高付加価値市場を席巻している 。
非イオン系水系洗浄剤による極限の表面張力制御
純水(DI Water)を用いた水系洗浄は、不燃性でVOC排出が少なく環境負荷が低いという大きな利点がある反面、水分子間の強力な水素結合に起因する極めて高い表面張力(20℃で約 72.8 mN/m)を持つ 。
この高い表面張力により、純水単体では50μm以下のスタンドオフを持つQFNなどの下部に対して毛細管現象による強い反発(Capillary Repulsion)が生じ、物理的に浸透することができない 。
この物理的障壁を突破するため、最新のエンジニアード水系洗浄剤には、特定の親水基と疎水基のバランス(HLB値)を精密に調整した「非イオン系界面活性剤(Non-ionic Surfactants)」や特殊な湿潤剤が配合されている 。
アニオン系やカチオン系とは異なり、非イオン系界面活性剤は分子内に電気的な電荷を持たないため、洗浄対象となる多様な金属(銅、アルミニウム、錫など)やプラスチック部品と意図しない電気化学的反応(腐食や酸化)を起こすリスクが極めて低く、デリケートな電子基板の洗浄に最適である 。
これらの特殊な添加剤の働きにより、水と空気の界面に非イオン系分子が配向し、水系洗浄剤の表面張力はフッ素系溶剤に匹敵するレベル(30 mN/m 以下)まで劇的に引き下げられる 。
これにより、流体が狭小なギャップの最深部へと迅速に浸透し、残渣に接触することが可能となる 。
極性と非極性の相乗効果による高分子ポリマーの破壊
米国Kyzen社の「AQUANOX」シリーズ(A4625、A4626など)に代表される最先端の非イオン系水系洗浄剤は、極性溶媒と非極性溶媒を絶妙にブレンドし、ポリマー化された樹脂性汚れを標的として設計されている 。
この洗浄メカニズムは、ファンデルワールス力(Van der Waals forces)やロンドン分散力(London Dispersive Forces)といった分子間力を巧みに利用している 。
まず、洗浄剤中の非極性成分が、ポリマー化した強固な樹脂やロジンの分子鎖の間に浸透し、その構造を軟化・膨潤させて溶解を促進する 。
同時に、極性を持つ活性成分が、フラックス中に閉じ込められていたイオン性物質(WOAやハロゲン化物)を捕捉・包み込み、水系ベース液の中に安定したミセル構造として分散(乳化)させる 。
さらに、Kyzen社は「Wash Tank Conditioning(ウォッシュタンク・コンディショニング)」という流体力学的哲学を提唱している 。
これは、インライン型水系スプレー洗浄機が持つ高い吐出圧力、大流量、衝突エネルギー(Impact Energy)、そして流体偏向力(Deflective Forces)を最大限に活かしつつ、高圧下でも洗浄液が発泡(Foaming)しないよう、消泡剤や緩衝剤を精密に処方するアプローチである 。
機械的エネルギーと化学的エネルギーを最適に同期させることで、QFN直下の頑固な残渣を短時間で完全に掻き出すことに成功している 。
相分離技術とマイクロフェーズ(MPC)テクノロジーによるプロセスの革新
非イオン系水系洗浄剤の進化と並行して、ドイツのZestron社は流体の相構造そのものを根底から見直した「マイクロフェーズ(MPC:Micro Phase Cleaning)」テクノロジーおよび「相分離(Phase Separation)」技術を開発し、洗浄プロセスの安定性と経済性に革命をもたらしている 。
界面活性剤フリーを実現するMPC技術の優位性
従来の一般的な水系洗浄剤は、溶媒ベースの系に界面活性剤を大量に添加することで油性の汚れ(ロジン等)を乳化させていた。
しかし、この手法には致命的な欠点が存在する。すすぎ(Rinsing)工程において、純水で基板を洗い流す際、高濃度の界面活性剤が基板表面や極小ギャップ内に薄い膜として残留しやすいのである 。
この界面活性剤の残留は、その後のコンフォーマルコーティングやアンダーフィルの密着不良(デラミネーション)を引き起こす主要因となる 。
Zestron社のVIGONシリーズなどに採用されているMPC技術は、この相反する課題を解決した国際特許技術である 。
MPC技術は、伝統的な溶剤の高い溶解力と、水系クリーナーの高い安全性という「両方の利点」を兼ね備えつつ、欠点を排除している 。
その最大の特長は、極性成分と非極性成分をミクロレベルで安定的に結合させた独自の相構造を持ちながら、「完全な界面活性剤フリー(Surfactant-free)」で処方されている点にある 。
界面活性剤を使用せずに有機物(ロジン、ポリマー樹脂)と無機物(金属塩、イオン性活性剤)の両方を広帯域で溶解・除去できるため、すすぎ工程での残留リスクが皆無となる 。
これにより、DIウォーターによる極めて容易かつ完全なリンスが可能となり、洗浄後の基板表面はコーティングに最適な完全にクリーンな状態に保たれる 。
相分離メカニズムを応用した洗浄液の超寿命化とリアルタイム監視
量産プロセスにおいて、洗浄液の濃度を一定に保つことは、安定した洗浄歩留まりを維持するための絶対条件である 。
インライン洗浄機では、高温(50〜70℃)での運用による水分の蒸発や、基板の持ち出し(Drag-out)によって洗浄液の濃度が常に変動する 。
さらに、洗浄液中にフラックス残渣(汚れ)が蓄積していくと、従来の屈折率計(Refractive Index)や酸塩基滴定(Titration)による濃度測定手法は、汚れ成分の光学的・化学的な干渉を受けて正確な数値を弾き出せなくなるという重大な欠陥があった 。
Zestron社はこの課題に対し、「相分離(Phase Separation)」メカニズムを応用した画期的な濃度測定および液管理ソリューションを提供している。
同社の「Bath Analyzer(バスアナライザー)」に代表されるテストキットでは、汚染された洗浄液のサンプルに特定の反応液を添加することで、洗浄媒体の有効成分と汚染物質(フラックス残渣など)を含む水相とを強制的に相分離させる 。
目盛り付きのシリンダー内で物理的に分離した有効成分の体積を直接読み取ることで、汚れの蓄積量に関わらず、±2%という極めて高い精度で洗浄剤の真の現在濃度を測定できる 。
さらに、単相(Single-phase)水系洗浄技術であるHYDRONシリーズなどは、洗浄槽内では安定した単一相のエマルジョンを形成して強力な洗浄力を発揮するが、取り込んだ汚染物質を「一時的に(temporarily)」結合させるという特異な性質を持つ 。
この性質により、洗浄液がフィルター装置を通過する際に、汚れ成分だけを効率的に物理分離(濾過)することができ、洗浄液のバスライフ(Bath Life:液寿命)を飛躍的に延ばし、運用コストを劇的に低減することが可能となっている 。
最新のIoT化された製造ラインに向けては、超音波センサー(ZESTRON EYE)を用いて、液中を伝播する音響信号の伝播時間、振幅、減衰パラメータをリアルタイムに解析し、高度に汚染された洗浄浴であっても自動的に濃度を監視・フィードバック制御(自動再補給)するシステムも実用化されている 。
以下の表は、従来型溶剤と次世代水系洗浄技術の主要な物理化学的および運用上の比較をまとめたものである。
| 評価項目 | IPA・従来型フッ素系溶剤 | 次世代水系洗浄技術 (Kyzen / Zestron) |
| 主成分・ベース技術 | イソプロピルアルコール、HFE、HFCなど | DIウォーター、非イオン系添加剤、MPC技術(相分離) |
| 極小ギャップ浸透性 | 優れる(表面張力 15〜22 mN/m) | 優れる(特殊湿潤剤により表面張力を極限まで制御) |
| ポリマー樹脂溶解力 | 極めて低い(白化現象、塗り広げのリスク) | 極めて高い(極性・非極性の相乗効果で樹脂を破壊) |
| すすぎ性・残留リスク | 溶剤自体は揮発するが、溶け残った残渣が残留 | 界面活性剤フリー技術(MPC等)により完全にリンス可能 |
| 安全性・防爆要件 | IPAは引火性あり(防爆設備必須) | 水系ベースのため非引火性、標準設備で対応可能 |
| 液寿命と濃度管理 | 蒸発によるロス大、汚染液の濃度測定が困難 | 相分離・濾過技術により長寿命、音響測定で自動管理可能 |
| 環境規制適合性 | VOC規制、PFAS規制の対象となるリスク大 | VOCフリー/低VOC、ハロゲンフリー、オゾン破壊係数ゼロ |
インライン洗浄とバッチ式洗浄における流体力学の最適化
超精密なケミカルの化学的ポテンシャルを最大限に引き出すためには、それを適用する物理的メカニズム(洗浄機)の選定と最適化が不可欠である。PCBAの洗浄手法は、大別して「インライン型」と「バッチ型」に分類される 。
EVのインバータ基板やAIサーバーのバックプレーンなど、高いスループットと均一な品質が求められる量産ラインでは、コンベア式の「インライン型水系スプレー洗浄機(Inline Aqueous Spray-in-Air Washer)」が主に採用される 。
インライン洗浄機は、上下に配置された多数のスプレーノズルから、50〜70℃に加熱された洗浄液を高圧で噴射する 。
この高圧流体のもたらす衝撃エネルギー(Impact Energy)と流体偏向力(Deflective Forces)が、低スタンドオフ部品の下部に流体を押し込み、滞留する残渣を物理的に掻き出す駆動力となる 。
洗浄プロセスの最適化は、Kyzenが提唱する「T.E.S.T.」の4つの変数、すなわち Time(洗浄時間)、Energy(機械的エネルギー/スプレー圧)、Solvency(洗浄剤の化学的溶解力・濃度)、Temperature(温度)の完璧なバランスをとることで達成される 。
特に水系洗浄においては、化学反応(溶解・ケン化)の速度が温度に強く依存するため、プロファイルの厳密な管理が求められる 。
一方、多品種少量生産や極端に複雑な形状の部品に対しては、超音波洗浄(Ultrasonic Cleaning)を組み込んだ「バッチ式洗浄機」が有効な場合がある 。
40-80kHzの周波数で発生するキャビテーション(微小気泡の発生と崩壊)の物理的衝撃波を利用することで、スプレーの直進的な水流では届かない微小な止まり穴や、1mil(約25μm)以下の極小ギャップ深部の残渣を剥離させることができる 。
ただし、超音波の強力なエネルギーは、繊細なワイヤーボンディングやMEMSセンサーに対して物理的ダメージ(マイクロクラック等)を与えるリスクがあるため、対象部品の耐性評価が必要となる 。
いずれの方式においても、最終的な「すすぎ(Rinse)」工程においてDIウォーターの導電率を常時監視し、イオン性物質が完全に除去されたことをインラインで確認するシステムが、品質保証の要となる 。
国際標準規格(IPC)に基づく清浄度評価と信頼性保証
超精密洗浄プロセスを構築したのち、「基板が真に洗浄されたか(How clean is clean enough?)」を科学的かつ定量的に証明することが、高信頼性市場へ参入するための最終関門となる 。
前述の通り、無洗浄フラックスの残渣は透明であることが多く、外観上は綺麗に見えても部品下部に活性成分が潜んでいる「カモフラージュ効果」が働くため、目視検査(Visual Inspection)や光学検査(AOI)だけでは不十分である 。
ミッションクリティカルなエレクトロニクスの要件を規定する国際標準規格群(IPC規格)は、客観的な清浄度評価手法を厳格に定めている 。
特にIPC-9202(材料およびプロセスの特性評価/適合性確認)や、試験方法を定めたIPC-TM-650においては、以下の高度な科学的アプローチが要求される。
- イオンクロマトグラフィー(Ion Chromatography: IC): 基板表面やBTC部品の直下から抽出液を用いて残留イオンを抽出し、液体クロマトグラフィーを用いて塩化物、臭化物、硫酸塩、および弱有機酸(WOA)などの特定のアニオン・カチオンの濃度をパーツ・パー・ミリオン(ppm)またはマイクログラム単位で精密に定量化する手法である 。これにより、ECMやデンドライト成長の直接的な原因物質となる腐食性イオンの残存量を特定し、洗浄プロセスの化学的有効性を証明する 。
- 表面絶縁抵抗試験(Surface Insulation Resistance: SIR): テスト基板(くし型電極パターンなど)に実際にペーストを塗布し、リフローおよび洗浄工程を経たのち、高温多湿環境下(例: 85℃/85%RH)で長期間(通常168時間以上)にわたり一定の電圧バイアスを印加し続ける試験である 。電極間の絶縁抵抗値の推移をリアルタイムで監視することで、洗浄後の基板上で実際にECMやデンドライト形成が起こるかどうかを評価する、最も実戦的かつ信頼性の高いマクロ指標である 。IPC規格では通常、試験終了時まで100 MΩ(10^8 Ω)以上のSIR値を維持することが合格要件として規定されている 。
以下の表は、ミッションクリティカルな電子基板製造において参照される主要なIPC規格とその役割を示している。
| IPC規格番号 | 規格名称および主な規定内容 | 洗浄および信頼性要件における重要性 |
| IPC-A-610 | 電子組立品の許容基準(Acceptability of Electronic Assemblies) | はんだ付け品質や外観上の清浄度、フラックス残渣の許容レベル、コンフォーマルコーティングの適用基準など、最終製品の視覚的な受入基準を定義 。 |
| J-STD-001 | はんだ付けされた電気および電子組立品の要件 | 実装プロセス全体の要求事項。使用するはんだ材料と洗浄プロセスの適合性、洗浄後の汚染物質の許容限度を規定 。 |
| IPC-2221 | プリント基板設計の一般基準(高電圧設計要件を含む) | 800V EVなどで極めて重要な、動作電圧に基づく導体間の沿面距離(Creepage)と空間距離(Clearance)の最小値を算出・規定 。 |
| IPC-9202 | 材料およびプロセスの特性評価/適合性確認 | ペースト、フラックス、洗浄剤の組み合わせが、SIR試験などを通じて電気的信頼性を満たすかを実証するためのガイドライン 。 |
結論:次世代エレクトロニクス製造における精密洗浄の戦略的意義
過去数十年にわたり、コスト削減と環境対応の切り札としてエレクトロニクス製造の主流を担ってきた「無洗浄(No-Clean)プロセス」は、今日の極限環境下における高信頼性要求の前では、その物理的および化学的限界を完全に露呈している。
航続距離と充電速度の向上を目指して800Vシステムへと進化する電気自動車(EV)アーキテクチャや、高周波信号の完全性を極限まで追求するAIサーバー、そして絶対的な耐久性が求められる航空宇宙機器において、BTC(QFNやLGAなど)の下部に閉じ込められた不完全な活性状態のフラックス残渣は、電気化学的マイグレーション(ECM)とデンドライト形成を誘発する時限爆弾に他ならない。
これらのミッションクリティカル分野におけるフラックス残渣の完全な除去は、もはや歩留まり向上のための「オプション」ではなく、致命的なシステム障害を防ぐための「絶対条件(Must-Clean)」へとパラダイムシフトを遂げている。
この洗浄回帰のグローバルトレンドに対し、日本の製造現場で散見される従来のIPAやフッ素系・アルコール系溶剤を用いたアプローチは、最新の高分子化・ポリマー化された無洗浄フラックスの架橋構造を溶解できないという、越えられない物理化学的な欠陥を抱えている。
さらに、世界的なPFAS規制やVOC排出規制の厳格化は、これら従来型溶剤の存続そのものを近い将来に不可能にするという法的リスクを突きつけている。
これに代わり、世界のハイエンド実装業界の新たなデファクトスタンダードとして台頭しているのが、KyzenやZestronなどの欧米トップケミカルメーカーが主導する最先端のエンジニアード水系洗浄テクノロジーである。
特殊な非イオン系界面活性剤によって表面張力を極限まで低下させ、分子間力を利用して強固なポリマー樹脂を破壊する「非イオン系水系洗浄剤」や、界面活性剤の残留リスクを完全に排除しつつ広帯域の汚染物質を溶解する「マイクロフェーズ(MPC)技術」、そして洗浄浴の寿命を劇的に延長し、音響センサーなどを用いてリアルタイムでの厳密な濃度管理を可能にする「相分離(Phase Separation)技術」は、これまでの洗浄工学の常識を覆す技術的ブレイクスルーである。
今後のエレクトロニクス製造、とりわけ高付加価値かつミッションクリティカルな分野においては、最適化されたハードウェア(インラインスプレー洗浄機などの流体力学的アプローチ)、厳格なソフトウェア(IPC-9202等に準拠したSIRやイオンクロマトグラフィーによるプロセス監視)、そして革新的なケミカル(最先端の非イオン系・相分離型水系洗浄剤)の3要素を高度に統合した「トータル・クローズドループ・クリーニングソリューション」の構築が、製造企業のグローバルな競争力を左右する最重要課題となる。
無洗浄の神話を乗り越え、科学的根拠に基づいた超精密洗浄プロセスを確立することこそが、次世代のEVプラットフォームおよびAIインフラストラクチャにおける絶対的な信頼性(Zero-Defect Reliability)を保証する唯一の道である。
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