
プリント基板の材料である銅張積層板、CCLの価格が、2026年に入ってから立て続けに引き上げられています。
レゾナックは2026年3月出荷分から、CCLとプリプレグの価格を全製品で30%以上引き上げると発表しました。
住友ベークライトやパナソニック インダストリーも、同じ時期に相次いで価格改定に踏み切っています。
基板実装の現場に関わる方であれば、この動きを他人事として見過ごすことはできないはずです。
材料費が上がれば、当然ながら基板そのものの調達コストが上がります。
さらに厄介なのは、価格だけでなく納期まで長期化している点です。
この記事では、なぜ今CCLやPCBの価格が上がっているのか、その構造的な背景を整理したうえで、基板実装や電子機器の製造に関わる日本企業に具体的にどんな影響が出るのかを解説します。
現場で実際に起きている変化と、今から取れる現実的な対策についても、専門家の視点から踏み込んでお伝えします。
なぜ今、PCB・CCLの価格が上がっているのか
今回の値上げは、一時的な需給の乱れではなく、構造的な要因が重なった結果です。
主な要因は大きく三つあります。
銅相場の高騰、ガラスクロスやエポキシ樹脂といった副資材の逼迫、そして円安によるコスト増幅です。
一つずつ見ていきます。
銅相場の高騰がすべての起点になっている
CCLの主原料である銅箔の価格は、銅相場そのものの上昇に直結しています。
ロンドン金属取引所、LMEの銅先物価格は2026年に入ってから1トンあたり13,000ドルから14,000ドル台という、過去最高値圏での推移が続いています。
2000年前後の水準と比較すると、実に7倍近い水準まで上昇しているという指摘もあります。
この背景にあるのが、生成AIの普及に伴うデータセンター投資の急拡大です。
AIサーバーやデータセンターは、GPUクラスタの冷却設備や電力インフラに大量の銅を必要とします。
1ギガワット級のAIデータセンター一か所で、最大5万トンの銅を消費するという業界試算もあるほどです。
半導体の逼迫が話題になりがちな一方で、その裏側では銅という古典的な資源が新たな戦略物資になりつつあるということです。
これは基板業界の専門家の間でも、ここ数年で急速に共有されるようになった見方です。
数年前までは、銅価格の変動は為替や景気循環の範囲で語られることがほとんどでした。
しかし今は、AI投資という全く別の需要ドライバーが銅相場を動かしているという前提で、調達計画を立て直す必要があります。
ガラスクロスやエポキシ樹脂という「見えない資材」の逼迫
CCLは銅箔だけでできているわけではありません。
ガラスクロスとエポキシ樹脂を組み合わせたプリプレグが、銅箔と貼り合わされて初めてCCLになります。
このガラスクロス、特に高性能基板向けの低熱膨張タイプの供給が、AI関連需要の急増によってひっ迫しています。
業界の報道では、一部の高性能CCLでリードタイムが最大6か月まで延びているケースや、エポキシ系材料の納期が15週を超えて延伸している事例も報告されています。
ここで見落としてはいけないのは、価格だけを見ていると本質を見誤るという点です。
2026年の基板材料市場は、価格上昇よりもむしろ「欲しい材料が計画通りの納期で手に入るかどうか」という供給リスクの局面に移行しつつあります。
これは調達担当者にとって、値上げ交渉以上に厄介な問題です。
価格は交渉の余地がありますが、生産能力が物理的に足りていない状況では、いくらお金を積んでも欲しいタイミングで手に入らないことがあるからです。
円安がコスト上昇に追い打ちをかけている
銅もガラスクロスも、国際的にはドル建てで取引されます。
2026年8月時点の為替相場は1ドル155円から160円前後というレンジで推移しており、歴史的な円安水準が続いています。
つまり、ドル建ての原材料価格が上昇しているタイミングで、円自体の価値も下がっているため、日本企業から見たコストは二重に押し上げられている状態です。
仮に銅価格が横ばいであっても、円安が進めば円換算の調達コストは上がります。
今回はその両方が同時に進行しているため、体感的なコスト上昇のインパクトは、単純な価格改定率以上に大きく感じられている企業が多いはずです。
主要メーカーの値上げの動きを数字で押さえておく

背景を理解したところで、実際にどのメーカーが、いつ、どれくらい値上げをしたのかを具体的に見ていきます。
数字を押さえておくことは、自社の値上げ交渉やコスト試算の根拠として、そのまま使える情報になります。
レゾナックが打ち出した30%超という異例の値上げ幅
レゾナックは2026年1月16日、電子回路基板向けのCCLとプリプレグについて、全製品の価格を30%以上引き上げると発表しました。
実施時期は2026年3月1日出荷分からです。
同社は価格改定の背景として、銅や銅箔加工費の上昇、電子材料用ガラスクロスの供給不足を挙げています。
詳細はレゾナックの公式発表で確認できます。
参考:銅張積層板及びプリプレグの価格改定について(Resonac)
化学素材業界において、一度に30%という値上げ幅はかなり異例です。
通常、数パーセントの値上げでも顧客との交渉には数か月を要するのが一般的だからです。
それだけ切迫した需給環境にあるということの裏返しだと捉えるべきでしょう。
住友ベークライトとパナソニック インダストリーも追随
レゾナックの発表からほどなく、他の主要メーカーも追随しました。
住友ベークライトは2026年2月2日付で積層板の価格改定を発表し、エポキシ樹脂銅張積層板「スミライトELC」で15%から25%、プリプレグ「スミライトEI」で10%の値上げに踏み切っています。
同社は値上げの理由として、銅箔やガラスクロスに加え、エネルギー費、物流費、労務費が全方位で上昇していることを挙げています。
パナソニック インダストリーも2026年4月9日に価格改定を発表し、5月1日出荷分から銅張積層板やプリプレグ、ガラスコンポジット基板材料を対象に値上げを実施しました。
複数の主要サプライヤーが数か月のうちに相次いで値上げを行ったことで、国内のCCL市場全体の価格水準は、2024年と比較して15%から20%程度上昇した状態に移行しつつあるとみられます。
台湾・中国メーカーの値上げも国内調達に波及する
値上げの波は国内メーカーだけにとどまりません。
台湾の台塑集団傘下、南亜塑膠工業も2025年11月20日出荷分からCCLとプリプレグの価格をそれぞれ8%引き上げました。
高速・高多層向けの高グレード品については、2025年9月の時点ですでに先行値上げが実施されており、今回はいわば第2波の値上げという位置づけです。
日本企業の多くは、国内メーカーだけでなく台湾や中国のCCLメーカーからも材料を調達しています。
そのため、海外メーカーの値上げも、間接的に国内の基板実装コストへ波及してくることになります。
一社だけの値上げなら価格交渉の余地もありますが、業界全体が同じ方向に動いている今の局面では、調達先を切り替えるだけでコスト上昇を回避することは難しくなっています。
PCB・CCL価格の上昇は日本企業にどんな影響を与えるのか
ここまでの背景を踏まえると、日本企業への影響は価格面だけにとどまらないことが見えてきます。
主な影響は四つの切り口で整理できます。
基板実装コスト、つまりBOMコストが直接押し上げられる
もっとも直接的な影響は、基板そのものの調達価格上昇です。
CCLは基板コストの中でも大きな比率を占める材料であるため、CCL価格が15%から30%上がれば、基板単価もそれに近い比率で上昇します。
これは基板単体の話にとどまりません。
基板は電子機器のBOM、部品表全体の中でも重要な位置を占めるコンポーネントです。
基板コストが上がれば、最終製品の原価そのものが押し上げられ、それが利益率の圧迫や、最終製品価格への転嫁圧力として跳ね返ってきます。
納期の長期化が生産計画そのものを崩し始めている
価格以上に見落とされがちなのが、納期の問題です。
一部の報道では、通常であれば6週間程度で納品されていたPCBが、材料の逼迫によって最大6か月規模まで延びたケースも紹介されています。
これは基板実装会社にとって、生産計画そのものを組み直さなければならないレベルの変化です。
年間契約や固定納期を前提にした従来型の運用は、成立しにくくなっているという見方も業界内では示されています。
現場で見てきた限りでも、材料調達のリードタイムが読めなくなると、量産立ち上げのスケジュールから逆算した設計変更の判断が非常に難しくなります。
「材料が入ってから考える」という進め方では、確実に対応が後手に回ります。
価格転嫁できるかどうかで企業の明暗が分かれる
コストが上がったとしても、それを販売価格に転嫁できれば、企業としての体力は保たれます。
問題は、すべての企業が同じように価格転嫁できるわけではないという点です。
中小企業庁が公表している資料でも、原材料費やエネルギー費、労務費が上昇する中で、サプライチェーン全体で構造的な価格転嫁を実現する必要性が指摘されています。
これを受けて2026年1月には、改正下請法、正式名称では取適法が施行され、下請け中小事業者への代金支払いに関するルールが強化されました。
法律が整備されたこと自体は歓迎すべき動きですが、法律があるからといって、交渉の現場で自動的に価格転嫁が実現するわけではありません。
最終的には、自社がどれだけ具体的な根拠、つまりメーカーの値上げ発表や相場データを示しながら交渉できるかにかかっています。
中小の基板実装会社ほど影響を強く受ける構造的な理由
日本の電子回路基板産業は、大手メーカーを頂点として、多くの中小企業が多層的なサプライチェーンを支える構造になっています。
大手企業であれば、複数のサプライヤーと同時に交渉したり、ある程度の在庫を積み増したりする体力があります。
一方で中小の基板実装会社は、そうした交渉力や資金的な余力を持ちにくいのが実情です。
材料メーカーからの値上げ要請はそのまま受けざるを得ないのに、発注元である大手企業への価格転嫁は思うように進まないという、いわば挟み撃ちの状態に置かれやすい構造があります。
この非対称性を理解しておくことは、経営判断としても、業界全体を見る視点としても重要です。
自動車・データセンター・民生機器で影響の濃淡が変わる
CCLの需要は、高密度配線基板や多層プリント基板、電気自動車向けパワーエレクトロニクス、5Gインフラ、データセンター、産業用オートメーション、医療用電子機器など、幅広い分野に広がっています。
このうち、影響がとりわけ大きいのは、高多層かつ高速伝送が求められる分野です。
AIサーバー向けの基板は供給の多くが優先的に振り向けられているとされ、高グレードCCLの入手が特にタイトになっています。
一方で、民生向けの汎用的な基板であっても、樹脂やガラスクロスといった共通の副資材が逼迫している以上、無縁ではいられません。
車載向けの基板は、長期信頼性が最優先される分野です。
値上げや納期遅延の影響を受けやすい一方で、安易な材料変更には踏み切りにくいという、独特の難しさを抱えています。
自社の製品がどの用途カテゴリーに属するかによって、優先的に確保すべき情報や交渉の進め方も変わってくるという点は、押さえておく価値があります。
基板実装の現場では、すでに具体的な変化が起きている
ここからは、より実務に近い視点で、基板実装の現場に起きている変化を見ていきます。
価格や納期の話は経営レベルの話ですが、現場では技術的な判断の質そのものが問われる場面が増えています。
材料代替に伴うリフロープロファイルの再検証という落とし穴
コストや納期の問題を解決しようとして、CCLのグレードやメーカーを変更する企業が増えています。
ここで注意が必要なのは、CCLを変更すると、単純な材料の置き換えでは済まないという点です。
CCLの種類が変われば、熱膨張係数や吸湿特性、ガラス転移温度、いわゆるTgが変わります。
これによって、リフロー工程の温度プロファイルを再検証しないと、はんだ付け不良や基板の反りといった品質トラブルにつながるリスクがあります。
コスト削減を急ぐあまり、この再検証のプロセスを省略してしまう現場は、決して珍しくありません。
短期的にはコストが下がったように見えても、量産段階で不良率が上がれば、結果的にトータルコストはむしろ悪化します。
材料変更は、購買部門だけで完結させる判断ではなく、必ず設計や製造技術部門を巻き込んで進めるべき領域です。
あわせて、認定材料リスト、いわゆるAMLの見直しと再承認のプロセスをどれだけ迅速に回せるかが、供給リスクへの実務的な耐性を左右します。
高Tg材への切り替えが招く設計変更の連鎖
高発熱部品や高密度実装、車載向けの用途では、標準的なFR-4材料に代えて、高Tg材の採用が増えています。
高Tg材は熱安定性や多層基板としての信頼性に優れる一方で、標準材料とは加工条件や積層構成が異なる場合があります。
材料の切り替えが、基板設計そのものの見直しにつながるケースも珍しくありません。
材料の供給制約は、購買部門だけの問題ではなく、設計部門の作業量にも直接影響してくるということです。
この連鎖を事前に見越して、設計と購買が早い段階から情報を共有できているかどうかで、対応スピードに大きな差が出ます。
見積もりの有効期限が短くなっている
もう一つ、現場レベルで実感しやすい変化が、見積もりの有効期限です。
材料価格の変動が激しくなっているため、基板メーカーやCCLメーカーが提示する見積もりの有効期限は、以前よりも短く設定される傾向にあります。
長期の固定価格契約が結びにくくなっているとも言えます。
これは調達実務としては地味な変化に見えるかもしれませんが、量産計画やコスト見積もりの前提そのものを揺るがす、実は影響の大きい変化です。
見積もりを取得したらすぐに社内稟議を通す、価格変動を前提にした契約条項をあらかじめ用意しておくといった、実務レベルの工夫が求められる局面に入っています。
日本企業が今すぐ取り組むべき現実的な対策
背景と影響を理解したうえで、最後に今から取り組める対策を整理します。
派手な対策ではなく、地に足のついた実務レベルの工夫を中心にまとめます。
調達先を分散し、サプライヤーとの関係を「点」から「線」にする
一社依存の調達体制は、今回のような業界一斉値上げの局面では特にリスクが高まります。
国内メーカーと台湾メーカー、あるいは複数の国内メーカーを組み合わせるなど、調達先を分散しておくことが基本的な備えになります。
その際は、価格だけでなく、代替材料としての承認、いわゆるセカンドソース化にどれくらい時間がかかるかも同時に確認しておくべきです。
平時から複数社を認定材料リストに載せておけば、いざという時の切り替えスピードがまったく違ってきます。
同時に大切なのは、価格が上がったタイミングだけ相見積もりを取るという「点」の付き合いではなく、平時から情報交換を続ける「線」の関係を作っておくことです。
値上げの兆候や納期の逼迫状況は、こうした継続的な関係の中でこそ早い段階で拾えるものです。
設計段階でコストを作り込む、いわゆるDFCの発想
材料価格が上がっている局面では、購買交渉だけでコストを吸収しようとするのには限界があります。
層数の見直し、パネル取りの最適化、銅厚の見直しなど、設計段階でコストを作り込む、いわゆるDFC、Design for Costの発想が今まで以上に重要になっています。
もちろん、設計変更は品質や信頼性とのトレードオフを伴うため、安易に層数を減らせばよいという単純な話ではありません。
だからこそ、設計部門と購買部門、そして品質保証部門が同じテーブルで議論できる体制を整えておくことが、遠回りに見えて実は一番の近道です。
価格転嫁交渉は感情ではなくデータで進める
価格転嫁の交渉は、感情論や「大変なんです」という訴えだけでは前に進みません。
レゾナックや住友ベークライトといった主要メーカーの値上げ発表、LME銅価格の推移、為替レートの動きといった客観的なデータを揃えて、値上げの根拠を数字で示すことが交渉の説得力を大きく左右します。
自社が仕入れているCCLの値上げ率、それが基板コストに占める比率、円安によるコスト増分を切り分けて説明できる企業ほど、価格転嫁の交渉は進みやすい傾向にあります。
これは調達や購買の現場を見てきた中で、繰り返し確認できる実感です。
中長期では内製化や国内投資という選択肢も視野に入れる
短期的な対策と並行して、中長期の視点も持っておく必要があります。
すべての企業に当てはまる話ではありませんが、特定用途向けに内製化や垂直統合を検討する動き、あるいは国内サプライヤーへの投資や協業を強化する動きも出てきています。
日本電子回路工業会、JPCAが公開している統計は、業界全体の生産動向を継続的に把握するうえで参考になります。
こうした一次情報に定期的に目を通す習慣自体が、変化の兆しを早期につかむための、地味ですが確実な対策になります。
PCB・CCL価格の上昇はいつまで続くのか、今後の見通し
正直なところ、明確な終着点を断言できる材料はまだありません。
これは誇張ではなく、現時点で入手できる情報から誠実に導ける結論です。
ただし、いくつかの見通しの手がかりはあります。
一つは、AIデータセンター向けの投資が今後も継続する見通しが強いことです。
主要ハイパースケーラーの設備投資は高水準が続くとみられており、これが銅需要を下支えする構造は、少なくとも当面は変わりにくいと考えられます。
もう一つは、供給側の制約です。
銅箔やガラスクロスの増産投資には一定の時間がかかるため、供給能力が需要の伸びに追いつくまでには、数年単位の時間を要する可能性があります。
業界の一部報道では、供給制約が2027年から2028年ごろまで続くとの見方も示されています。
一方で、銅相場は地政学リスクや景気循環の影響も受けやすい市場です。
短期的な価格の上下は今後も起こり得るため、長期の構造的な上昇トレンドと、短期的な価格変動は分けて捉えることをおすすめします。
いずれにしても、価格が落ち着くまで様子見を続けるという判断は、今の局面ではリスクの方が大きいというのが率直な見立てです。
情報のアップデート頻度を上げ、半年前の相場観のまま調達計画を進めないことが、今の時期における最低限の自衛策になります。
よくある質問(FAQ)
CCLとPCBは何が違うのですか
CCLは銅箔とガラスクロス、樹脂を貼り合わせた板状の材料そのものを指します。
これに対してPCBは、CCLにエッチング加工を施して回路パターンを形成し、部品を実装できる状態まで仕上げた製品を指します。
CCLはいわば基板の「素材」、PCBはその素材から作られた「製品」という関係です。
今、基板を発注すると納期はどれくらいかかりますか
材料のグレードや発注先によって大きく異なるため、一概には言えません。
高性能なCCLを使う基板では、通常より長いリードタイムを見込んでおく必要があるとされています。
発注前に、必ず基板メーカーへ現時点での納期を確認することを強くおすすめします。
中小企業でもできる値上げ対策はありますか
はい、あります。
自社だけで交渉力を高めるのが難しい場合でも、業界団体の統計情報を活用して客観的な根拠を揃えたり、複数の基板実装会社で情報交換をしたりすることは、規模に関わらず取り組める対策です。
また、2026年1月に施行された改正下請法によって、下請け企業の立場を保護する制度的な枠組みも強化されています。
制度の中身を知っておくこと自体が、交渉の土台になります。
材料を変更すればコストは下がりますか
短期的には下がる可能性があります。
ただし、材料変更には設計や製造条件の再検証が必要であり、この工程を省略すると、品質トラブルという形でコストが跳ね返ってくるリスクがあります。
コストだけでなく、品質と納期のバランスで判断することが欠かせません。
値上げの情報はどこで確認すればよいですか
各CCLメーカーの公式サイトにある news や IR のページで、価格改定のお知らせが公表されるのが基本です。
あわせて、日本電子回路工業会(JPCA)が公開している生産動向の統計を定期的にチェックしておくと、業界全体の傾向を客観的に把握しやすくなります。
自社の営業担当者やサプライヤーから聞いた話だけに頼らず、一次情報を自分の目で確認する習慣をつけておくことをおすすめします。
まとめ
PCB・CCLの価格上昇は、銅相場の高騰、副資材の逼迫、円安という複数の要因が重なった、構造的な変化です。
レゾナックの30%超の値上げをはじめ、主要メーカーが相次いで価格改定に踏み切っており、この流れは今後も一定期間続くと見ておく必要があります。
日本企業への影響は、単なるコスト増にとどまりません。
納期の長期化、価格転嫁の難しさ、そして基板実装の現場における技術的な判断の複雑化まで、影響は多方面に及んでいます。
だからこそ、購買、設計、製造技術それぞれの部門が情報を共有しながら、データに基づいて動くことが、この局面を乗り切るための現実的な一歩になります。
まずは自社が使っているCCLの値上げ状況と納期の実態を、正確に把握するところから始めてみてください。












