ハンダ付けなしで、自宅にあるプリンターやお道具箱の中身を使って、簡単に電子回路を作ることができる電子工作キットが登場する。
子どもや電子工作初心者でも、タッチセンサーやモーター付き紙飛行機などが簡単に作れるようになる。
このキットを使えば、研究者や開発者が簡単にプロトタイプをしたり、小さな子どもが電子工作を楽しんだりできる。通常の電子工作では、プラスチックの基板にハンダ付けなどをして電子回路を作るが、このキットではまず、市販のプリンターを使って紙に電子回路を印刷する。
また導電性の接着剤などを使い、あたかも紙工作をするようにして、スイッチやバッテリー等の部品を貼り付ける。
東京大学の川原圭博准教授らが昨年論文を発表した、ナノサイズの銀粒子を含むインクを使うのが特徴だ。銀ナノインクは、プリンターのインクとして使うほ か、ペンのカートリッジに入れて、ペンのインクとして使うこともできる。プリンターに入れて使うときは、市販のプリンターのインク容器に銀ナノインクを入 れる。次に、パソコンの画面上で電子回路を描き、データをプリンターに出力して写真用紙などに印刷する。
銀ナノ粒子の部分が導電性を持ち、電気が流れる。印刷をした用紙の上に、導電性のテープや接着剤を使って、LED(発光ダイオード)やスイッチ、バッテリーなどを貼って、好きなものを作る。
川原准教授の教え子の清水信哉氏らが、ヴェンチャー企業「AgIC」を1月に起業して、開発した電子工作キットの販売を手がける。今後は、電子回路の画像 データをウェブサイト上にアップロードして共有し、誰でも利用できるようにする仕組みもつくる。3月9日?12日に米テキサス州で開催されるSXSW(サ ウス・バイ・サウスウェスト)で発表し、夏頃に販売を開始する予定だ。
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