
「三重県内で基板実装を依頼できる工場を探しているが、そもそも何社あるのかすらわからない。」
そんな状況で検索を続けている調達担当者や設計エンジニアの方が、実は少なくありません。
三重県は半導体・電子部品の製造出荷額が全国トップクラスという事実がある一方で、基板実装やEMS(電子機器受託製造サービス)に特化した工場の情報が、あまり表に出てきません。
このページでは、三重県内に所在地(本社または工場)を持つ基板実装会社・EMS工場を5社、エリア別に徹底解説しています。
各社の住所・電話番号・公式URL・事業の強み・得意な発注条件を整理し、「どの案件にどの企業が向いているか」という発注判断の軸まで掘り下げてお伝えします。
三重県は伊賀・名張・菰野・松阪と、各エリアに特色ある企業が点在しています。
名古屋・大阪・京都という三大都市圏に囲まれた立地の良さと、ものづくり文化が根付いた地域性が、技術力の高い実装工場を育ててきました。
このページを読み終えるころには、自社の発注条件に合った三重県のパートナー企業へ、自信を持って問い合わせできる状態になっているはずです。
三重県が「電子機器製造の一大拠点」である背景
三重県は、電子・電気機械器具製造の集積地として国内有数の地位を占めています。
キオクシア(旧東芝メモリ)の四日市工場をはじめ、ユナイテッド・セミコンダクター・ジャパン(USJC)など世界的な半導体メーカーが三重県内に大規模工場を構えており、電子産業のエコシステムが形成されています。
三重県経済産業部の資料「わかる!三重の半導体産業」によると、電子部品・デバイス・電子回路製造業の製品出荷額において三重県が全国トップ水準であることが示されています。
こうした大手メーカーのサプライチェーンに組み込まれた中小企業が、長年にわたって高い品質管理技術と実装ノウハウを蓄積してきたことが、三重県の電子製造業の底力を支えています。
また、三重県は名阪国道・東名阪自動車道・近畿自動車道が交差する物流の要衝であり、名古屋・大阪双方のマーケットへのアクセスが極めて良好です。
部品調達・完成品納入のリードタイムを短縮できる立地条件は、発注側にとって大きなメリットになります。
日本電子回路工業会(JPCA)の情報によると、近畿・中部エリアは国内プリント基板実装の主要供給地帯として位置づけられており、三重県もその重要な担い手のひとつです。
基板実装・EMS発注先を選ぶ3つの判断軸
三重県内の会社を個別に紹介する前に、発注先選びで失敗しないための判断軸を整理しておきます。
多くの発注失敗の共通点は、「価格だけで工場を選んでしまうこと」にあります。
基板実装は、同じ仕様でも工場の設備水準・技術者のスキル・品質管理体制によって仕上がりが大きく変わります。
以下の3つの軸で候補先を絞ることで、発注ミスのリスクを大幅に下げることができます。
判断軸①:ロット数と生産フェーズ
試作1台から対応できる企業と、量産ロットからしか受けない企業では、得意とする生産体制がまったく異なります。
開発初期の動作確認や試作検証であれば、小ロット対応に強い工場を選ぶほうがコストと納期の両面で有利です。
月産数百台以上の安定量産フェーズに入ったら、ラインの稼働効率と部品一括調達力がある工場に切り替えることで、製造コストと品質の安定を同時に確保できます。
「今の自社は試作フェーズか量産フェーズか」を明確にしてから候補先を絞ることが重要です。
判断軸②:調達範囲(支給型 vs 一括調達型)
基板と部品を自社で用意して「実装だけ」を依頼するケースと、部品調達から組立・検査・梱包まで「丸ごとEMS」として依頼するケースでは、パートナーに求める能力がまったく異なります。
部品支給型はコスト管理がしやすい反面、部品調達のリードタイムと手間は自社負担になります。
一括調達型のEMSは管理工数を大幅に削減できますが、パートナーの調達力と在庫管理能力が品質と納期を左右します。
昨今の半導体・電子部品の供給不安が継続するなか、調達ネットワークが充実したEMS企業を選ぶことは、サプライチェーンリスクの観点からも非常に重要な判断になっています。
判断軸③:技術要件(実装難易度)
0402チップ(1.0mm×0.5mm)以下の微小部品、BGA・CSP・QFNなどの高密度パッケージ、半導体ベアチップのワイヤーボンディング、防湿コーティング・ポッティングなど、基板実装の技術要件は案件ごとに大きく異なります。
工場が保有するマウンターの最小対応チップサイズ、X線検査機・AOI(自動光学検査)の有無、IPC-A-610(はんだ付け品質基準)への対応状況を事前に確認することが、技術的な発注ミスを防ぐ最短ルートです。
IPC(Association Connecting Electronics Industries)の品質基準については下記で確認できます。
三重県の基板実装・EMS工場5社【エリア別完全ガイド】
以下では、三重県内に所在地(本社または工場)を持つ基板実装・EMS企業を5社、エリア別に詳しく解説します。
各社の住所・電話・URL・強みを網羅しています。
伊賀エリア
株式会社VEMS(ヴェムス)
三重県伊賀市を拠点とし、産業用電子機器のEMS(電子機器受託製造サービス)に特化した企業です。
株式会社エム・システム技研の子会社として2015年に設立され、急速に成長を遂げており、2021年7月には第2工場を竣工して生産能力を大幅に拡張しています。
最大の特徴は「バリアブル生産」と呼ぶ独自の生産方式で、1台の小ロットから大量生産まで同一の品質管理体制で対応できる点です。
50社を超える強力な調達ネットワークを構築しており、入手困難な部品の調達対応力が高く評価されています。
対応チップサイズは0.6mm×0.3mmのミニマムチップやBGAにも対応しており、高密度実装が必要な産業用機器・FA機器・計装機器向けの基板実装に適しています。
ISO9001・ISO14001の両規格を取得しており、品質と環境への取り組みが第三者認証によって担保されています。
住所:〒518-0818 三重県伊賀市荒木815-1(本社・第1工場)
治田事業所(第2工場):〒518-1155 三重県伊賀市治田宇山梨3197-48
電話:0595-41-0601
公式サイト:https://www.vems.co.jp/
名張エリア
株式会社オンテック(名張工場)
1975年創業、プリント基板の設計・製造・実装・組立・調整をワンストップで提供する研究開発型企業です。
本社は大阪府吹田市ですが、実装専用工場として名張第一工場・名張第二工場の2拠点を三重県名張市に構えており、三重県内のEMS実装拠点として機能しています。
50年にわたって培ってきたプリント基板設計技術と実装技術の組み合わせが最大の強みであり、特にAI技術を活用した基板設計部品配置の自動化(特許取得済み)という独自技術を持っています。
名張工場ではISO9001・ISO14001認証を取得し、鉛フリー実装ライン導入済みです。
2017年に名張第一工場へ実装ライン・自動検査装置を増設して2ライン体制に強化しており、多品種小ロットの量産ニーズに対応できる生産体制が整っています。
プリント基板設計・基板製造・実装・組立・調整まで一社完結で依頼できることが、開発スピードを求める企業にとって大きなメリットになります。
名張第一工場住所:〒518-0603 三重県名張市西原町2986-3
名張第二工場住所:〒518-0602 三重県名張市東田原2445-10
公式サイト:https://www.ontec.co.jp/
菰野エリア
菰野町は三重郡に位置し、四日市市に隣接する工業集積地です。
2社が千草工業団地周辺に拠点を構えており、特色の異なる専門性を持っています。
株式会社新イデア電子
2007年1月設立、三重県三重郡菰野町に拠点を持つ電子基板の組立・加工専業企業です。
工作機械向けの電子基板ASSY(アッセンブリ)を得意とする専門企業であり、工作機械や産業用精密機器に使われる基板の手半田付け・組立ASSYを主力業務としています。
大企業では手が届きにくい「手がかかる仕事」「難しい実装」「特殊な形状」の案件に、柔軟に対応できる機動力が強みです。
社員数22名という規模感は、顧客と密に連携した対応力の高さを意味しており、設計変更への素早い対応や細かい仕様調整が求められる案件に向いています。
住所:〒510-1226 三重県三重郡菰野町大字吉澤723
電話:059-391-0886
公式サイト:https://sinidea0901.jimdofree.com/
株式会社ピーダブルビー(三重工場)
1978年創業。プリント配線板の設計・製造・実装の三位一体体制(ADAMS)を自社内で一貫して構築した、国内でも有数の実力を持つプリント基板専業メーカーです。
本社は滋賀県守山市ですが、三重工場は千草工業団地に構えており、三重県内の実装拠点として機能しています。
最大の特徴は、大手半導体メーカー・電機メーカーの新規開発製品の試作品を直接請け負う高い技術力にあります。
半導体テスト基板のような「国内でも数社しか製作できない特殊高多層基板」を得意としており、最先端技術が要求される基板案件にも対応できる稀有な存在です。
ISO14001取得済み。米国にも事業所を持つグローバル企業であり、国際水準の品質管理体制を持っています。
設計・製造・実装をひとつの会社に任せることで、設計意図が実装工程に正確に反映されるという品質上のメリットが得られます。
住所(三重工場):〒510-1251 三重県三重郡菰野町千草中原野4594-7 千草工業団地
電話:059-394-5908
FAX:059-391-2021
公式サイト:https://pwb.co.jp/
松阪エリア
株式会社松和産業
1977年創業、従業員70名。三重県松阪市を拠点とし、プリント基板の製造・実装・設計を社内一貫で対応するメーカーです。
「業界最速」を掲げる圧倒的な短納期対応が最大の強みであり、通常製造3日というスピード納品体制を構築しています。
リジッド基板・貫通樹脂埋め基板・ビルドアップ基板・フレキシブル基板・リジッドフレキシブル基板・PTFE基板(高周波用)と多種多様な基板を1枚から製造・実装できます。
車載・5G・高速通信機器・航空宇宙・携帯機器・FA設備・遊技機(アミューズ)・産学官の研究開発機関まで、幅広い分野への供給実績があります。
ISO9001・UL認証取得済みで、北米向け製品に必要なUL基準への対応も自社でカバーできます。
「開発スケジュールが押していて今すぐ試作基板が必要」「設計変更が頻繁に発生して何度も試作したい」という状況に、最も適したパートナーのひとつです。
住所:〒515-0001 三重県松阪市大口町1624-1
電話:0598-52-1855
公式サイト:https://www.showanet.jp/
三重県の基板実装・EMS工場を比較するときのチェックリスト
ここまで5社を紹介してきましたが、問い合わせ前にあらかじめ自社の発注条件を整理しておくことで、比較・検討の精度が格段に上がります。
以下の5項目を確認してから問い合わせると、最初のやり取りがスムーズになります。
チェック①:基板サイズと実装面
片面・両面・多層の別、および基板の最小・最大寸法が工場の対応範囲内かを確認します。
特殊なサイズ(極小・極大)や変形基板の場合は、事前に対応可否を確認することが必須です。
チェック②:最小部品サイズ
0603(1.6mm×0.8mm)、0402(1.0mm×0.5mm)、0201(0.6mm×0.3mm)と、部品の最小サイズに対応できるマウンターの精度は工場によって異なります。
BGAやCSP、QFNなどのパッケージ形態が工場のマウンター能力に合っているかを事前に問い合わせます。
チェック③:はんだの種類
鉛フリーはんだ(RoHS対応)が必要か、共晶はんだ(有鉛)で良いか、銀レスはんだへの対応が必要かを発注前に明確にします。
RoHS指令(特定有害物質使用制限指令)への対応状況については下記で確認できます。
チェック④:検査・試験の範囲
AOI(自動光学検査)・X線検査・ICT(回路テスト)・機能試験のうち、どの工程まで依頼するかを決めておきます。
検査工程の範囲によってリードタイムとコストが大きく変わるため、事前に要件を整理することが重要です。
チェック⑤:品質認証の確認
ISO9001・ISO14001・IPC-A-610(はんだ付け検査基準)・IATF16949(車載品質管理)など、案件に必要な品質認証を取得しているかを確認します。
特に車載用・医療機器用・航空宇宙用の基板は、品質認証の有無が発注の前提条件になることがあります。
三重県で基板実装を発注する際の実践的アドバイス
最後に、三重県の実装工場への発注で実際に役立つアドバイスをお伝えします。
三重県の実装企業は絶対数が多くない分、各社が特定の技術領域・業種に特化した専門性を持っていることが特徴です。
「何でも対応します」という汎用型の工場より、「この分野なら任せてください」と言える専門性の高い工場を選ぶほうが、結果として品質・納期・コストのすべてで満足できる結果につながりやすいです。
三重県内では、伊賀市のVEMSが産業用機器・FA機器向けの高密度実装に特化しており、菰野町のピーダブルビー三重工場が特殊高多層基板・半導体テスト基板という他社がなかなか対応できない領域に強みを持っています。
松阪市の松和産業は短納期対応という点で抜きん出た実力を持っており、開発スケジュールが切迫している案件に向いています。
発注先の選定には、Webサイトや電話での問い合わせに加えて、工場見学を積極的に活用することをおすすめします。
工場内の整理整頓の状態、部品の防湿保管の徹底度、ESD(静電気)管理区域の整備状況など、工場見学の30分で確認できる情報の密度は、資料を読む時間の何倍もの価値があります。
また、問い合わせから見積もり回答までのレスポンスの速さは、実際の製造スピードと品質管理能力を反映していることが多いです。
「対応が速い工場は、製造も速い」という現場の経験則は、実装業界では広く通じる話です。
複数社に問い合わせ、見積もりの内容と技術的な質疑への回答の質を比較することで、自社に最適なパートナーを見極めてください。
まとめ:三重県の基板実装・EMSは「専門性」で選ぶ
三重県には、それぞれ特色ある専門性を持った基板実装・EMS企業が5社集積しています。
伊賀市のVEMSは産業用EMS全般・高密度実装・50社超の調達力が強みで、小ロットから大量生産まで対応します。
名張市のオンテック名張工場は設計から実装・調整まで一貫対応できるワンストップ体制が特徴です。
菰野町の新イデア電子は工作機械向けの手実装・特殊組立に特化した機動力ある専門企業です。
同じく菰野町のピーダブルビー三重工場は特殊高多層基板・半導体テスト基板という高難度領域に対応できる国内有数の技術力を持ちます。
松阪市の松和産業は「業界最速」の短納期対応と多種基板への対応力が最大の武器です。
「どの会社に頼めばいいかわからない」という状態から「自社の要件に合う三重県のパートナーが見えてきた」という状態に変わっていれば、このページはその役割を果たしています。
ぜひ本ページで紹介した各社の公式サイトを確認し、まずは問い合わせから始めてみてください。
基板実装は、製品品質を左右する核心的な工程です。
信頼できる国内パートナーとの長期的な関係構築が、製品の競争力と事業の安定を支える土台になります。








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