
北海道で基板実装やEMSの委託先を探しているなら、この記事が必要な情報をすべてカバーしています。
道内で外部受注を公式に行っている基板実装・EMS工場の全2社について、住所・電話番号・公式URL・得意分野・対応できる実装工程を詳しく解説します。
さらに「なぜ北海道の実装工場は2社しかないのか」という業界の構造的な理由と、道外工場への発注を検討する際の現実的な選択肢まで、現場目線で丁寧にお伝えします。
北海道は2026年現在、Rapidus(千歳市)を中心とする次世代半導体の一大産地として急速に変貌しつつある特別な地域です。
今後2〜3年以内に基板実装企業の新規立地が進む可能性を踏まえながら、現時点での最新情報をお届けします。
北海道の基板実装・EMS工場が少ない理由|産業構造から読み解く現実
北海道には基板実装・EMS工場が全国的に見ても極端に少なく、2026年4月時点で外部受注を公式に行っている工場は2社のみです。
この事実を理解するためには、北海道の産業構造という背景を知っておく必要があります。
北海道の主要産業は農業・水産業・観光業であり、電子機器製造業の集積密度は本州の主要工業地帯と比べると圧倒的に低い状態が続いてきました。
基板実装企業が集積するためには「近くに電子機器メーカーが多数存在すること」「継続的な実装需要があること」「技術者を確保できる人材市場があること」という3つの条件がそろう必要があります。
愛知県(トヨタ産業集積)・神奈川県(重工業・通信産業)・大阪府(電機産業)・東京都(IT・通信産業)がEMS工場の多い県上位に並ぶのは、この3条件をすべて満たしているからです。
北海道は1次産業を中心とした産業構造ゆえに、電子機器製造業の集積が進みにくかった。
しかしその状況は今、急速に変わりつつあります。
2024年にRapidus株式会社が千歳市に次世代半導体(2nm)の製造ラインを建設中であり、これに連動してパナソニックインダストリー・デンソー北海道・函館電子といった半導体関連企業の道内立地が加速しています。
北海道経済産業局の「北海道半導体・電子デバイス企業サプライチェーンマップ2026年3月版」には53社の新規立地動向が掲載されており、今後数年以内に基板実装企業の立地が増える可能性は十分にあります。
現時点で北海道内の実装工場は2社だけですが、その2社はどちらも道内の電子機器メーカーや研究機関のニーズを長年にわたって吸収してきた実力派の企業です。
北海道の基板実装・EMS工場 全2社
道内で外部から基板実装・EMS受託を公式に行っている企業を、所在地エリア別に詳しく解説します。
経産省の公式資料・各社ウェブサイト・北海道受注企業ガイドを横断的に調査し、住所・電話番号・URLを確認済みの情報のみ掲載しています。
株式会社カムイ電子|登別市
道内で「プリント基板実装の専門企業」として経産省の公式マップに掲載されている、北海道唯一の実装専門EMSカンパニーです。
試作品1台から対応できる多品種少量生産体制と、手実装を含む高度なはんだ付け技術が、道内の電子機器開発企業から高い評価を受けています。
試作1台から量産まで同じ工場が担える体制は、開発フェーズの変化に対して追加の工場選定コストなく対応できるという大きなメリットがあります。
別の工場に移行するたびに「実装条件のすり合わせ」「品質基準の再設定」「試作の再実施」というコストが発生することを考えると、試作から量産まで一貫して任せられる工場の価値は非常に大きいものです。
- 住所:〒059-0003 北海道登別市千歳町2丁目10番地3
- 電話:0143-84-8152
- 公式サイト:https://www.kamui-denshi.com/
カムイ電子の対応サービス
カムイ電子が対応している業務領域は、基板実装専門企業の中でも特に幅広い点が特徴です。
プリント基板の実装(SMT実装・手実装)から始まり、電子部品・筐体関連の部品調達、電子機器の組立・配線・ハーネス加工、プログラム書込・各種性能試験・環境試験(温度試験・振動試験)まで、電子機器完成品の出荷前検査工程まで一貫対応できます。
さらにパターンカット・ジャンパー処理・部品交換など設計変更に伴う基板改造・リワークにも対応しており、開発段階でよく発生する「仕様変更後の修正実装」という需要にも対応できます。
ソフトウェア開発(自社製品の受付システムなど)も手がけており、電子機器の制御ソフトウェアも含めた総合的なモノづくり支援が可能です。
ISO9001を取得しており、品質管理体制が整備されている点も発注者にとって安心できる要素です。
2013年設立と比較的若い会社ですが、「品質がメーカーの基本です」というモットーのもと、多品種少量生産に特化した技術力を着実に積み重ねてきた実績があります。
登別市千歳町の本社工場と、登別市中央町7丁目7-1の第2工場の2工場体制で生産能力を確保しています。
カムイ電子が向いている発注ケース
カムイ電子が最も力を発揮するのは、以下のような発注状況です。
多品種少量の試作から量産移行を一貫して任せたい場合、道内(特に道央・道南・胆振エリア)の電子機器企業が近距離でのやり取りを重視する場合、基板実装だけでなく機器組立・検査・プログラム書込まで含めたワンストップ対応を求める場合に特に適しています。
北海道内でこれほど幅広い電子機器製造サービスを提供している企業は他にないため、道内の電子機器スタートアップや研究機関にとって唯一に近い「地元の頼れる実装パートナー」という存在です。
北海道日興電気通信株式会社|千歳市
1983年創業、資本金3,000万円。
映像監視システムの設計・開発・製造と、電子機器の受託生産サービス(EMS)を2本の軸として展開する千歳市の老舗電子機器企業です。
創業から40年以上にわたって積み重ねた技術力をベースに、基板実装から電子機器完成品の組立・保管・発送まで一貫した生産体制を構築しています。
- 住所:〒066-0051 北海道千歳市泉沢1007番地132(本社・千歳工場)
- 電話:0123-28-1201
- 公式サイト:https://www.hndtc.co.jp/
北海道日興電気通信のEMS事業
基板実装事業において最も特徴的なのは、SMT実装設備(2ライン)による鉛フリー・有鉛はんだ両対応と防湿コーティング対応です。
2026年初頭にはSMT-1ラインを全面リニューアルし、Lサイズ基板の実装にも対応可能になりました。
基板1枚からの試作品対応と大量生産の両方に対応できる幅広い生産能力が、この企業の最大の特徴です。
試作段階で蓄積した実装ノウハウがそのまま量産ラインに引き継がれるため、量産移行時のトラブルを未然に防ぎ、市場投入までのリードタイムを大幅に短縮できます。
プリント基板実装〜はんだ付加工〜電子機器完成品組立〜保管・発送まで、製造工程の上流から物流の下流まで一貫した対応が可能です。
手作業によるパターン変更・ジャンパー線・IC交換などのリワーク対応も基板1枚から受け付けており、開発・保守段階での細かなニーズにも柔軟に対応しています。
北海道日興電気通信の自社製品・ソリューション事業
EMS事業と並行して、映像・情報通信分野での自社ソリューション事業を展開しています。
高速道路・空港・河川監視などの大規模システムから、不法投棄監視などの小規模システムまで対応する監視カメラシステムを自社開発・製造しており、設計・ソフト開発〜製造〜検査〜現地調整・保守までワンストップで提供しています。
この自社製品開発の経験が、EMS事業における「基板が実際にどのようなシステムの中で使われ、どのような環境ストレスにさらされるか」を深く理解した製造品質に直結しています。
製品を知っている工場が基板を実装するという体制は、量産後の品質問題発生リスクを根本から下げる要因です。
千歳市立地の物流優位性
北海道日興電気通信が千歳市工業団地に立地していることは、単なる地理的な話ではなく、製造業としての大きな競争力になっています。
新千歳空港から車で数分という距離にあるため、航空便による全国発送が実質的に「空港立地の工場」と同等の物流速度を実現しています。
「北海道は遠い」というイメージは、この立地においてはほぼ解消されます。
緊急の追加実装が必要になった場合でも、翌日には首都圏・関西圏へ製品を届けられる物流体制が、発注者にとって大きな安心感をもたらします。
横浜事業所・仙台営業所を含む全国3事業所・保守サポート拠点8か所体制により、道内の製造拠点でありながら全国規模でのサポート対応が可能です。
北海道日興電気通信が向いている発注ケース
北海道日興電気通信が最も力を発揮するのは、以下のような発注状況です。
試作から量産まで一貫対応かつ完成品の保管・発送まで任せたいワンストップ型の発注、鉛フリー・有鉛はんだの選択が必要な発注、Lサイズ基板を含む大型基板の実装案件、監視・映像システムの基板を製造背景知識のある工場に任せたい場合に特に適しています。
また、道外の発注者にとっても新千歳空港至近の立地が物流のネックを解消するため、「北海道の工場に発注する」というハードルが実際よりも低い点は注目に値します。
北海道の全2社 一覧表
| 企業名 | 所在市 | 電話番号 | 主な強み |
|---|---|---|---|
| 株式会社カムイ電子 | 登別市 | 0143-84-8152 | 実装専門・試作1台から・SMT+手実装・基板改造・ソフト開発・ISO9001 |
| 北海道日興電気通信株式会社 | 千歳市 | 0123-28-1201 | 鉛フリー/有鉛両対応・Lサイズ対応・完成品保管発送・航空便物流 |
道内2社で対応できない場合の現実的な選択肢
北海道内の2社に相談しても、発注条件(ロット数・特殊部品・認証要件・コスト等)が合わない場合は道外の実装工場への発注を検討する必要があります。
「北海道から道外工場に発注するのは難しい」というイメージを持っている方が多いですが、現実的には多くの実装工場がオンライン見積もり・宅配便での基板・部品授受・航空便での納品に対応しており、地理的な距離は以前ほどのハードルではありません。
道外発注を検討する際に選択肢として挙がりやすいエリアは3つです。
北海道から発注しやすい道外エリア
宮城県(仙台市)エリアは、東北新幹線・航空便でのアクセスが良好で、道内企業との取引実績を持つ実装工場が複数存在します。
関東エリア(東京・神奈川・埼玉・千葉)は、実装工場の数が最も多く、極小部品対応・医療機器向け・車載対応など多様な専門性を持つ工場が集積しています。
特に即日出荷対応の試作工場は関東に多く、「急いで試作を作りたい」という場合は関東エリアの工場が有力な選択肢です。
東海エリア(愛知・静岡)は、自動車産業で鍛えられた品質水準と、大ロット量産能力を持つ工場が多数存在します。
車載品質相当の実装管理を求める場合や、月産数千枚以上の量産案件では東海エリアの工場が選択肢に上がります。
道外発注時に押さえておくべき3つのポイント
発注者と工場の距離が離れた場合に最もリスクになるのは「急な仕様変更への対応スピード」です。
設計変更が多い開発初期の段階では、なるべく近距離・短納期で対応できる工場を選ぶことが工期短縮に直結します。
道内での開発試作は2社のいずれかに依頼し、量産フェーズに移行した段階でコスト・ロット・認証要件に最適な道外工場に移行するという「2段階戦略」も有効な選択肢の一つです。
試作段階から量産工場を意識しておくことで、量産移行時の実装条件の再設定コストを最小化できます。
北海道の基板実装・EMS市場の現状と今後の展望
2026年現在、北海道の電子製造業は歴史的な転換点を迎えています。
Rapidus千歳工場が生み出す基板実装需要
Rapidus株式会社が千歳市に建設中の次世代半導体(2nm)製造ラインは、2025年の試作ライン稼働に向けて動いており、これに連動した半導体関連サプライチェーンの道内集積が急速に進んでいます。
半導体製造装置・各種センサー・監視制御システム・検査装置という半導体産業に必要な電子機器の需要は、そのまま基板実装の需要に直結します。
Rapidusの生産ラインが稼働し、道内の半導体関連企業が増えれば、基板実装・EMS工場の立地ニーズが急速に高まる可能性があります。
Rapidusの公式情報についてはRapidus株式会社公式サイト、および経済産業省の半導体関連政策情報でも詳細を確認できます。
北海道の電子デバイス企業サプライチェーンの現状
経済産業省 北海道経済産業局が2026年3月に公開した「北海道半導体・電子デバイス企業サプライチェーンマップ」には、道内の電子デバイス関連企業が網羅的に掲載されています。
このマップには、パナソニックインダストリー千歳事業所(積層デバイス)・株式会社デンソー北海道(車載用センサ)・函館電子株式会社(各種半導体製品の加工組立)など、基板実装の需要を生み出す電子デバイス企業が続々と記載されています。
これらの企業が必要とする基板実装ニーズを道内で完結させるためには、現在の2社体制では供給能力が明らかに不足しています。
この需給ギャップが、道内への新たな基板実装工場の立地を促す構造的な力として機能していくと考えられます。
北海道内での基板実装委託を検討している方へ
現時点(2026年4月)で道内に実装工場を探している場合は、まず2社に同時並行で相談することをお勧めします。
カムイ電子(登別市)は試作1台からの少量多品種対応と基板改造・リワーク対応が強みで、開発初期〜中期フェーズの案件に向いています。
北海道日興電気通信(千歳市)は試作から完成品組立・保管・発送まで一貫対応でき、鉛フリー/有鉛両対応・Lサイズ基板対応という設備面の幅広さが強みです。
どちらも「基板1枚から」対応しているという共通点を持ちながら、得意とする工程の幅と立地エリアが異なります。
発注条件(ロット数・基板サイズ・はんだ種類・完成品対応の要否・所在地からの距離)を整理した上で、両社に同じ仕様書を送り、対応可否と見積もりを比較することが最も効率的な進め方です。
北海道内の基板実装工場に問い合わせる前に整理すべき5つのポイント
どちらの会社に問い合わせる場合も、以下の5点を事前に整理することで、初回のやり取りが格段にスムーズになります。
1. 対象となる用途区分とはんだ種類を明確にする
産業機器・医療機器・民生品・通信機器という用途区分と、鉛フリーはんだか共晶(有鉛)はんだかを最初に明示することで、対応可否が即座に判明します。
北海道日興電気通信は鉛フリー・有鉛両対応を公式に明示しているため、共晶はんだ指定の案件でも安心して問い合わせができます。
2. 基板仕様を数字で提示する
基板サイズ(縦×横mm)・層数・実装面・最小部品サイズ・BGA有無の5点を一覧にして伝えることで、見積もりの精度が大幅に向上します。
特にLサイズ基板(大型基板)が含まれる場合は、その旨を最初に伝えることが重要です。
北海道日興電気通信は2026年のライン更新でLサイズ基板に対応しましたが、カムイ電子でも対応可能か否かを事前確認することで、候補の絞り込みが可能です。
3. 今回のロットと将来の量産見通しを両方伝える
「今回は試作5枚、将来は月産200枚を見込んでいる」という将来計画は、工場側の設備振り分けと治具設計に直接影響します。
試作段階から量産を見越した工程設計をしてもらえるかどうかが、量産移行時のコストとリードタイムに大きく影響します。
4. 完成品組立・検査・保管・発送が必要かを伝える
基板実装だけを依頼するのか、完成品の組立まで任せるのかで、対応可能な工場が絞り込まれます。
北海道日興電気通信は「プリント基板実装〜はんだ付加工〜電子機器完成品組立〜保管発送まで」の一貫対応を明示しており、この全工程をワンストップで任せたい場合の最有力候補です。
5. ソフトウェア開発・プログラム書込が必要かを伝える
マイコンへのプログラム書込や組み込みソフトウェアの開発が必要な場合は、その旨を最初に伝えることで、対応工場への絞り込みが可能です。
カムイ電子はソフトウェア開発(受付システム等の実績)とプログラム書込・性能試験・環境試験まで対応しており、ハードとソフトの両面をまとめて任せたいニーズに対応できます。
まとめ|北海道の基板実装・EMS工場は2社、どちらも道内唯一に近い存在
北海道の基板実装・EMS市場は現時点で2社体制という非常に希少な状況にありますが、どちらの企業も道内の限られた電子機器製造需要の中で技術力と対応能力を着実に磨いてきた実力派です。
試作から量産まで・基板改造から完成品組立まで・ソフトウェア開発を含めたワンストップ支援まで、道内発注で対応できる領域を最大限に広げてくれる2社として、まずは両社への問い合わせを検討してみてください。
2026年以降、Rapidusを中心とする半導体産業の集積に伴って北海道内の基板実装需要は急速に拡大する見通しです。
今の段階から道内工場との関係構築を始めておくことが、将来的な安定供給体制の確保という観点でも意味のある行動です。
参考・関連情報
- 北海道経済産業局(北海道半導体・電子デバイス企業サプライチェーンマップ):https://www.hkd.meti.go.jp/hokcm/semiconductor/
- Rapidus株式会社(次世代半導体製造)公式サイト:https://www.rapidus.inc/
- 経済産業省 半導体・デジタル産業政策:https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/joho/semiconductor/index.html
- 千歳市工業団地(北海道日興電気通信の立地情報):https://www.chitose-yuuchi.jp/
- 株式会社カムイ電子公式サイト:https://www.kamui-denshi.com/
- 北海道日興電気通信株式会社公式サイト:https://www.hndtc.co.jp/
※本記事に掲載している住所・電話番号・URLは調査時点(2026年4月)の情報です。
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