基板実装の見積回答が遅い会社で起きている5つのこと|3日かかる見積を早くする方法

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「この基板、見積をお願いします」

そう言われてから回答まで3日。

場合によっては1週間。

基板実装やEMSの営業をしていると、決して珍しい話ではありません。

営業担当者としては、

「もう少し早く返せないだろうか」

と思います。

一方で見積担当者からすれば、

「BOMも確認しなければならない」

「部品価格も分からない」

「実装工程も確認しなければならない」

「上司の承認も必要」

という事情があります。

ここでよく起きるのが、

「営業がもっと急げばいい」

「見積担当者がもっと早く処理すればいい」

という話です。

しかし、僕はこの考え方だけでは解決しにくいと思っています。

基板実装の見積が遅い原因は、人の作業スピードよりも、見積工程そのものにあるケースが多いからです。

BOMを確認する。

部品点数を集計する。

原価を確認する。

上司に承認をもらう。

見積書へ転記する。

一つひとつを見ると、それほど長い作業には見えません。

それでも全部つなげると3日になります。

なぜでしょうか。

この記事では、PCBAの見積回答が遅くなる原因を5つに分解しながら、

「どこを変えれば早くなるのか」

を考えていきます。

目次
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基板実装の見積に3日かかるのは「計算が3日かかる」からではない

基板実装の見積を早くしたいなら、最初に確認したいことがあります。

それは、

「実際に作業している時間」と「案件が止まっている時間」を分けることです。

例えば月曜日の午前9時に見積依頼が届き、水曜日の午後に見積書を提出したとします。

表面上は、

「見積作成に3日かかった」

ことになります。

しかし実際の作業を分解してみると、

BOM確認が20分。

部品点数の集計が15分。

実装費の計算が20分。

見積書作成が10分。

というケースもあります。

実作業だけなら1時間程度です。

それなのになぜ3日になるのか。

途中に待ち時間があるからです。

作業時間より「待ち時間」を見る

例えば、こんな流れです。

月曜日午前。

営業担当者が見積依頼を受けます。

午後になって見積担当者へ回します。

見積担当者がBOMを確認したところ、部品価格を購買担当者へ確認する必要がありました。

購買担当者は別案件を処理していたため、回答は火曜日になります。

火曜日午後。

原価がそろったので見積担当者が計算します。

しかし社内ルール上、値引き案件は上司の承認が必要です。

上司は外出していて、承認されたのは水曜日午前。

そこから営業担当者が会社指定の見積フォーマットへ転記します。

水曜日午後にようやく顧客へ提出します。

この例は説明のための仮定ですが、重要なのはここです。

誰かが3日間計算していたわけではありません。

案件が、

営業

見積担当

購買

上司

営業

と移動するたびに止まっています。

つまり、見積回答を早くするためには、

計算時間だけを見るのでは足りません。

「どこで待っているのか」

まで見なければなりません。

まず見積のリードタイムを分解する

最初に難しいシステムを導入する必要はありません。

直近10件程度の見積について、

受付時刻

見積開始時刻

原価確認開始時刻

原価確定時刻

承認依頼時刻

承認時刻

顧客提出時刻

を記録してみます。

すると、

「BOM確認が遅い」

と思っていた会社でも、実際には承認待ちが一番長かった、

ということがあります。

反対に、

「購買から価格が出ないから遅い」

と思っていたら、営業から見積担当へ回すまでに半日かかっていた、

ということもあります。

改善は、原因を測ってから始めた方が効果的です。

基板実装の見積回答が遅い会社で起きている5つのこと




ここからは、基板実装の見積で時間がかかりやすい工程を5つに分けます。

ポイントは、

一つの大きな原因があるとは限らない

ということです。

10分、20分、半日の遅れが積み重なって、最終的に3日になります。

1.BOM確認を毎回ゼロから行っている

最初のボトルネックになりやすいのがBOMです。

PCBA見積では、単純に部品の行数を見るだけでは済みません。

メーカー型番。

数量。

実装位置。

支給品か購入品か。

実装対象か非実装か。

代替品の可否。

特殊部品の有無。

こうした項目を確認する必要があります。

問題は、確認項目が担当者の頭の中にしかない場合です。

ベテラン担当者なら、

「ここを見ればいい」

と経験で分かります。

しかし新人はBOMを上から下まで確認するため時間がかかります。

担当者によって確認内容が変わることもあります。

ここは、

「BOMを見る能力を上げる」

より、

「見る項目を固定する」

方が改善しやすい部分です。

例えば受付時のチェック項目を、

  • メーカー型番
  • 1台あたり使用数
  • Reference Designator
  • 支給・調達区分
  • DNPの有無
  • 特殊実装部品
  • 代替可否
  • 数量条件

のように固定します。

これだけでも、

「毎回どこを見るか考える時間」

を減らせます。

IPCでは、IPC-2588として部品表・Parts Listの製品データ記述が定義され、見積依頼にも利用できる情報として扱われています。

つまりBOMを構造化されたデータとして扱う考え方自体は、電子機器製造において特別なものではありません。

ここで重要なのは、高度な規格対応を始めることではありません。

自社の見積に必要なBOM項目を決めることです。

2.部品点数を人が数えている

次に時間がかかるのが、部品点数の集計です。

基板実装の概算では、

チップ部品はいくつか。

ICはいくつか。

コネクタはいくつか。

DIP部品はいくつか。

BGAやQFNなど難易度の高い部品があるか。

といった情報を使うことがあります。

ここで毎回、

BOMを開く。

行を確認する。

数量を足す。

電卓で合計する。

別のExcelへ入力する。

という作業をしていると、案件数が増えるほど時間が取られます。

さらに注意したいのが、

「BOMの行数」と「実装点数」は違う

ということです。

例えば抵抗が1行だけ記載されていても、

R1、R2、R3、R4、R5

と5個搭載するなら、実装する部品は5点です。

逆にBOMに記載されていてもDNPなら搭載しません。

つまり、

単純にExcelの行数を数えるだけでは足りません。

だからこそ、

「自社では何を1点とするのか」

を決めておく必要があります。

SMT点数。

DIP点数。

手付け点数。

特殊部品。

検査対象。

こうした分類を社内で統一しておくと、

担当者ごとの見積差も小さくできます。

3.原価を案件ごとに調べ直している

3つ目は原価確認です。

ここは見積工程の中でも時間が伸びやすい部分です。

PCBAの価格には、

部品費。

実装費。

基板費。

メタルマスク。

検査費。

治具費。

手付け工程。

その他の付帯作業。

など複数の要素があります。

特に部品調達込みの場合、BOMの各部品について最新価格を確認する必要があります。

問題は、

標準的な費用まで毎回ゼロから確認している場合です。

例えば自社の標準的な、

マウント単価。

DIP工程。

検査工数。

段取り時間。

管理費。

NRE。

まで毎案件担当者が考えていると、見積は属人化します。

標準条件については、

「自社ではこの条件ならこの係数」

という基準を持っていた方が速くなります。

一方で、

長納期部品。

BGA。

特殊コネクタ。

極小部品。

支給形態が特殊な案件。

厳しい検査条件。

などは別です。

ここは標準値で無理に処理せず、個別確認に回します。

つまり、

全部を自動計算する

のではなく、

標準案件と例外案件を分ける

という考え方です。

EMS向けRFQシステムを提供するLuminovoも、手作業によるBOM整理、サプライヤーへのRFQ、回答の集約などを電子機器見積の負荷になる工程として扱っています。

同社はソフトウェア提供企業なので製品紹介の側面はありますが、少なくとも電子機器見積において「BOM処理から調達価格の集約まで」が一連の見積工程になっていることは確認できます。

4.上司承認で案件が止まっている

見積金額まで完成しているのに顧客へ送れない。

この場合、計算ではなく承認工程がボトルネックです。

例えば、

すべての見積を部長承認にする。

値引きの有無にかかわらず承認する。

少額案件でも同じ承認ルートを通す。

という運用になっていると、上司が会議や出張に入っただけで案件が止まります。

もちろん、見積承認そのものをなくせばよいわけではありません。

利益率。

取引条件。

支払条件。

品質リスク。

設備投資が必要な案件。

高額案件。

こうした内容は管理職が確認する意味があります。

一方で、

標準単価。

標準利益率。

標準的な数量。

標準工程。

に収まっている案件まで毎回同じ承認を行う必要があるのかは、一度確認する価値があります。

例えば、

標準条件内なら担当者決裁。

一定金額以上なら課長承認。

利益率が基準を下回る案件は部長承認。

特殊工程が含まれる案件は製造責任者確認。

というように、

金額や条件で承認ルートを分ける方法があります。

承認そのものを減らすのではなく、

「人が本当に判断すべき案件だけ承認する」

という考え方です。

5.最後に別フォーマットへ転記している

意外と見落とされやすいのが最後の転記です。

見積担当者が原価計算用Excelを作ります。

その数字を営業担当者が確認します。

さらに会社指定の見積書へ入力します。

PDFにします。

メールを書きます。

顧客へ送ります。

この流れでは、

同じ数字を何度も入力しています。

例えば、

数量。

単価。

NRE。

納期。

合計金額。

を原価計算表と見積書の両方へ入力しているのであれば、二重作業です。

時間だけではありません。

転記ミスの原因にもなります。

7,850円を7,580円と入力する。

数量100枚を1,000枚と入力する。

NREを転記し忘れる。

こうしたミスは、計算ロジックではなく転記工程で発生します。

理想は、

一度入力した数字をそのまま見積書に反映することです。

Excelでも、

入力シート。

計算シート。

見積表示シート。

を分けるだけで、二重入力をかなり減らせます。

「営業が頑張れば早くなる」が解決策にならない理由

見積が遅れると、

「営業がもっと早く確認すればいい」

という話になりがちです。

もちろん、営業担当者が依頼を放置しているなら改善は必要です。

しかし、

BOM確認。

原価。

承認。

転記。

という工程が残ったままでは、営業だけを急がせても限界があります。

営業が握っている時間は意外と短い

見積依頼を受けた営業が5分で社内へ回しても、

購買回答に1日。

承認に半日。

見積担当者の着手待ちに半日。

かかれば、顧客への回答は遅くなります。

この場合、

営業担当者の5分を3分に縮めてもほとんど効果がありません。

改善すべきなのは、

最も時間を使っている工程です。

ボトルネックを残したまま急がせるとミスが増える

見積担当者へ、

「とにかく今日中に出してください」

と毎回依頼すると、一時的には早くなるかもしれません。

しかし、

BOMの確認漏れ。

数量間違い。

検査費の入れ忘れ。

NREの抜け。

利益率の設定ミス。

などが起こる可能性があります。

見積スピードを上げる目的は、

雑に計算することではありません。

同じ確認を繰り返している工程や、

待たなくてもいい工程を減らすことです。

ベテラン依存では処理件数を増やせない

もう一つ問題になるのが、

「この見積は○○さんしかできない」

という状態です。

難しい案件なら、それでも構いません。

しかし標準的なPCBAまでベテランしか見積できないのであれば、

見積件数が増えた瞬間にボトルネックになります。

さらに、

休暇。

出張。

退職。

異動。

があると業務が止まります。

標準案件は仕組みで計算する。

例外案件だけ経験者が見る。

この分け方ができると、ベテランの時間を本当に難しい案件へ使えます。

3日かかる基板実装見積を早くする7つの方法

では、実際にどこから変えればいいのでしょうか。

大がかりなシステムを導入する前にできることがあります。

1.工程ごとの時間を測る

最初に行うのは見積時間の計測です。

受付から回答まで3日だった、

だけでは改善点が分かりません。

少なくとも、

受付。

BOM確認。

原価確認。

計算。

承認。

見積書作成。

提出。

に分けます。

そして、

作業時間

と

待ち時間

を分けます。

これだけで、

どこから改善すべきかがかなり見えます。

2.BOM確認項目を固定する

次に、

BOMを見たときの確認項目をチェックリスト化します。

担当者が毎回、

「何を確認するんだっけ」

と考えなくて済む状態にします。

特に新人ほど効果があります。

さらに、

見積できるBOM。

確認が必要なBOM。

見積を止めるBOM。

の基準を作ると、判断が速くなります。

3.部品点数の数え方を統一する

SMT。

DIP。

手付け。

特殊部品。

BGA。

QFN。

コネクタ。

など、自社の原価計算に必要な区分を決めます。

ポイントは、

細かく分類しすぎないことです。

分類を増やしすぎると、今度は分類作業そのものが負担になります。

価格に影響する分類だけ残します。

4.標準原価と例外案件を分ける

すべてを最新価格で再計算すれば、理論上は精度が上がります。

しかし概算段階でそこまで必要かは別問題です。

例えば、

標準的なSMT実装。

一般的な検査。

通常の段取り。

一般的な管理費。

については自社標準値を持つ方法があります。

一方で、

特殊部品。

高密度実装。

特殊検査。

特殊治具。

長納期部品。

などは個別確認します。

ここを混ぜないことが重要です。

5.承認が必要な案件を限定する

承認フローも一度棚卸しします。

どの金額でも同じ承認。

どの利益率でも同じ承認。

ではなく、

どんな案件なら担当者判断で出せるのか。

どこから上司確認が必要なのか。

を明確にします。

これだけでも、

「上司が戻るまで出せない」

という案件を減らせます。

6.転記をなくす

入力する場所は、できるだけ一つにします。

例えば、

部品点数。

数量。

基板サイズ。

マウント条件。

検査条件。

支給区分。

などを入力すると、

単価。

NRE。

合計。

リードタイム。

が自動計算される形です。

その数値を見積書側にも連動させます。

一度入力した数字をもう一度入力している箇所があれば、

そこは改善候補です。

7.正式見積と概算見積を分ける

個人的に、ここは重要だと考えています。

すべての問い合わせに対して、

最初から100%の正式見積を返そうとすると時間がかかります。

顧客が最初に知りたいのは、

「だいたいいくらなのか」

というケースもあります。

そこで、

概算回答

と

正式見積

を分けます。

例えば、

「現時点の条件では1枚あたり約○○円です」

「NREは約○○円です」

「正式金額はBOMと調達価格確認後に回答します」

という形です。

これなら営業は顧客との商談を止めずに済みます。

最初に返すのは「正式見積」でなくてもいい

基板実装の見積では、

正確な数字を出そうとすると時間がかかります。

特に全部品調達案件では、部品価格や納期を調べる必要があります。

だからといって、

全部そろうまで何も回答しない

という方法しかないわけではありません。

顧客が最初に知りたいのは予算感の場合も多い

例えば開発初期なら、

1枚5,000円なのか。

1万円なのか。

3万円なのか。

という予算感が分かるだけでも次の判断ができます。

顧客側では、

開発予算。

試作枚数。

他社比較。

量産計画。

を検討できるからです。

この段階では、

1円単位まで確定していなくても役に立つ場合があります。

概算と正式見積の役割を分ける

そこで、

第一回答。

「概算」

第二回答。

「正式見積」

と分けます。

概算はスピード重視。

正式見積は精度重視。

と役割を分けます。

もちろん、

概算金額を正式価格と誤認されないようにする必要があります。

概算回答で明記しておきたい項目

少なくとも、

  • 概算価格であること
  • 前提数量
  • 部品支給条件
  • 検査条件
  • NREの扱い
  • 部品費を含むか
  • 正式見積で変動する可能性があること

は分かるようにしておいた方が安全です。

例えば、

「本金額は現時点の仕様に基づく概算です。正式見積はBOM、実装データ、部品調達条件確認後に提示します」

と一文入れるだけでも意味が変わります。

PCBA見積を仕組み化すると何が変わるのか




見積の仕組み化というと、

高価なERPや専用システムを想像するかもしれません。

しかし最初からそこまで行う必要はありません。

Excelでも、

入力条件。

計算ロジック。

標準係数。

結果表示。

を整理できます。

新人でも同じ条件で計算できる

見積式を仕組みにしておけば、

新人でも同じ入力条件なら同じ結果になります。

ここが重要です。

新人に、

「このくらいなら1万円くらいかな」

という感覚をいきなり求めるのは難しいものです。

先に計算基準を使ってもらい、

その後で実案件と比較する。

この順番なら見積感覚を身につけやすくなります。

過去案件との比較がしやすくなる

案件履歴を残しておけば、

今回の見積。

前回の見積。

実際の受注価格。

実際の原価。

を比較できます。

すると、

自社の係数が高すぎるのか。

低すぎるのか。

どの工程で誤差が出やすいのか。

が分かります。

見積ツールは、

最初に作って終わりではありません。

実績との比較で調整していくことで、自社の見積基準に近づいていきます。

ベテランは例外案件の判断に集中できる

仕組み化の目的は、ベテランを不要にすることではありません。

むしろ逆です。

一般的な案件を計算作業から外すことで、

BGA。

特殊工程。

厳しい品質要求。

特殊検査。

難しい調達。

など、

経験が必要な案件へ時間を使えるようになります。

これは見積のスピードだけではなく、仕事の分担という意味でも大きなメリットです。

見積を早くするときに注意したいこと

見積を早くすることだけを目的にすると危険です。

速さと精度は両方必要です。

精度を犠牲にしない

最も避けたいのは、

「早く返したけれど赤字だった」

という状態です。

標準化できる工程と、

個別確認すべき工程を分けます。

何でも自動計算で確定させないことが重要です。

部品調達費を固定値として扱わない

電子部品の価格や調達条件は変化します。

数量。

MOQ。

梱包単位。

在庫。

納期。

調達先。

によって価格は変わります。

そのため、

実装費の概算

と

部品調達を含む正式見積

は同じ精度で考えない方が安全です。

概算条件を必ず明示する

概算を速く出す場合は、

どこまで含んでいるのか

を明確にします。

例えば、

「部品費を除く」

「標準検査を前提」

「特殊治具費は別途」

などです。

条件が曖昧な概算は、後で価格トラブルの原因になります。

高難度案件を自動計算だけで確定しない

例えば、

高密度実装。

大型BGA。

極小部品。

特殊基板。

高信頼性要求。

特殊検査。

手作業が多い基板。

などは、標準係数だけでは判断しにくい案件です。

こうした案件には、

「要個別確認」

の判定を入れておく方が安全です。

よくある質問 FAQ

Q1.基板実装の見積は通常何日くらいで出せますか?

案件によって大きく変わります。

部品支給で標準的な実装内容なら比較的短時間で計算できますが、全部品調達、特殊部品、特殊検査、治具製作などが含まれる場合は確認項目が増えます。

そのため「基板実装なら○日」と一律には決められません。

重要なのは、自社の見積を工程別に分け、どの工程に時間がかかっているか把握することです。

Q2.BOMがあればすぐに見積できますか?

必ずしもそうではありません。

部品型番、数量、実装位置、支給条件、非実装部品など、見積に必要な情報が確認できる必要があります。

さらに部品調達込みなら、価格や在庫、納期確認も必要になります。

Q3.概算見積と正式見積の違いは何ですか?

概算見積は、限られた条件から予算感を早く提示するためのものです。

正式見積は、BOM、実装条件、部品価格、検査条件、NREなどを確認したうえで提示します。

概算を利用する場合は、前提条件と変動可能性を明記することが重要です。

Q4.ExcelだけでもPCBA見積を早くできますか?

できます。

特に、

入力項目。

自社の標準係数。

計算式。

NRE。

リードタイム。

などを整理すれば、毎回同じ計算を手作業で行う必要がなくなります。

ただし特殊案件は別途確認する仕組みにした方が安全です。

Q5.見積を早くするには、まず何から始めるべきですか?

直近の見積案件を5件から10件ほど確認し、

受付。

BOM確認。

原価確認。

計算。

承認。

提出。

の各工程に何時間かかっているか調べてください。

最も長い工程から改善した方が効果が出やすくなります。

Q6.営業担当者だけで概算を出しても大丈夫ですか?

社内で計算基準と権限が決まっていれば運用できます。

ただし担当者の経験だけで価格を決める方法は避けた方が安全です。

標準係数や計算式を用意し、特殊条件がある場合は見積担当者へ確認する運用にすると使いやすくなります。

Q7.部品価格が分からない場合でも概算できますか?

実装加工費だけを概算する方法はあります。

部品費については、

「別途」

「参考値」

「正式見積時に確定」

など、扱いを明確にします。

部品価格まで曖昧なまま固定金額として提示することは避けた方が安全です。

Q8.見積を自動化すると営業担当者は不要になりますか?

そうではありません。

計算作業を減らすことで、営業担当者は顧客の用途、数量、希望納期、今後の量産計画などを確認する時間を増やせます。

自動化するのは営業そのものではなく、繰り返し行っている計算や転記です。

まとめ




基板実装の見積回答が3日かかっている場合、

3日間ずっと計算しているとは限りません。

BOM確認。

部品点数の集計。

原価確認。

上司承認。

見積書への転記。

この5つの工程の間に、

確認待ち。

回答待ち。

承認待ち。

担当者待ち。

が入っています。

だから、

「営業担当者がもっと頑張る」

「見積担当者を急がせる」

だけでは大きく変わらないことがあります。

まず、

見積工程を分解する。

作業時間と待ち時間を測る。

標準案件と例外案件を分ける。

入力項目を統一する。

承認条件を整理する。

二重入力をなくす。

そして、

概算回答と正式見積を分ける。

ここまで整理すると、

「全部の情報がそろうまで顧客へ何も返せない」

という状態から抜け出しやすくなります。

僕が特に重要だと思うのは、

最初から完璧な正式見積を出そうとしないことです。

顧客がまず知りたいのが予算感なら、

条件を明示したうえで概算を早く返す。

その後で正式見積を出す。

この2段階にするだけでも、見積回答の考え方はかなり変わります。

見積を速くするとは、

計算を雑にすることではありません。

人が判断しなくてもいい工程を減らし、

人が判断すべき案件に時間を使えるようにすることです。

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