CCLメーカー一覧|銅張積層板の日本・中国・台湾主要企業を徹底比較【2026年最新版】




プリント基板の設計や調達に携わっていると、必ず一度は「CCL」という言葉にぶつかります。

CCLとは銅張積層板(Copper Clad Laminate)の略称で、プリント基板(PCB)の土台となる基幹材料です。

しかし、いざ調達先を検討しようとすると、日本、中国、台湾に数多くのメーカーが存在し、どこに強みがあるのか整理された情報が意外と見つかりません。

本記事では、CCLの基礎知識を押さえたうえで、日本・中国・台湾それぞれの主要メーカーの特徴、そして地域ごとの強みの違いと選定時の実務的な注意点までを、専門的な視点で整理します。

読み終える頃には、自社の製品に合ったCCLメーカーをどのような軸で比較検討すればよいか、具体的なイメージが持てるはずです。

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CCL(銅張積層板)とは?PCBを支える基幹材料の基礎知識

CCLの基本構造と製造プロセス

CCLは、ガラス繊維を織り込んだガラスクロスに熱硬化性樹脂を含浸させたプリプレグを基材とし、その上下に銅箔を重ねて熱と圧力を加えて一体化させた板材です。

この工程はプレス成形と呼ばれ、樹脂を硬化させながら銅箔とガラスクロスを強固に接着させます。

完成したCCLは、その後エッチング加工によって回路パターンが形成され、プリント配線板(PCB)として電子機器に組み込まれていきます。

つまりCCLは、PCBが生まれる前の素材の段階に位置する製品であり、基板メーカー自身がCCLを製造することは基本的にありません。

多くの場合、基板メーカーは化学メーカー系のCCLメーカーからコア材として購入し、そこに回路加工を施すという分業構造になっています。

この構造を理解しておくと、なぜCCLメーカーの技術力や供給体制がPCB業界全体のボトルネックになり得るのかが見えてきます。

CCLの主な種類と品質を見る指標

CCLにはいくつものグレードがあり、用途によって選ぶべき種類が大きく変わります。

最も汎用的なのはガラスエポキシ材のFR-4で、民生機器から産業機器まで幅広く使われています。

コストを優先する用途では、紙基材を使ったCEM-1やCEM-3が選ばれることもあります。

一方、AIサーバーや5G基地局のような高周波・高速伝送用途では、PTFE系やLCP系といった特殊な低誘電率材料が必要になります。

半導体パッケージ基板向けには、低熱膨張率が特長のBT(ビスマレイミドトリアジン)材料がよく採用されます。

品質を比較する際には、誘電率を表すDk値、誘電正接を表すDf値、樹脂が軟化し始める温度であるガラス転移温度Tg、熱膨張係数CTEといった数値がカタログ上のチェックポイントになります。

これらの数値はメーカーごと、グレードごとに異なるため、単純に価格だけで比較すると、実際の基板設計で想定外の不具合を招くことがあります。

なぜ今、CCLメーカーの動向を押さえておくべきなのか

近年、CCL業界は大きな転換点を迎えています。

背景にあるのは、AIサーバーや高性能コンピューティング向け需要の急拡大です。

台湾の調査会社プリズマークの集計によれば、汎用の大量生産品を除きプリプレグを含めた集計で、2025年の世界CCL市場規模は186億7600万ドルに達し、2024年の150億1300万ドルから24.4パーセント拡大しました。

AIサーバーの基板は伝送速度や信号損失の要求が厳しく、従来グレードの材料では対応しきれず、より高性能なグレードへの材料切り替えが業界全体で進んでいます。

こうした技術トレンドの変化によって、材料メーカーごとの技術力の差が、これまで以上にはっきりと業績や市場シェアに表れるようになりました。

実際、後述するように2025年には台湾メーカーが世界シェア首位に浮上するという、業界構造そのものを揺るがす変化も起きています。

CCLメーカーの動向を押さえることは、単なる部材選定にとどまらず、自社製品の性能や調達コストの競争力そのものに直結する経営判断だといえます。

なお、日本国内のプリント配線板業界全体の動向については、業界団体であるJPCA(日本電子回路工業会)が統計データを公開しており、一次情報として参考になります。

日本・中国・台湾の主要CCLメーカー一覧表

国・地域企業名証券コード/市場主な強み
日本レゾナック・ホールディングス4004(東証)半導体パッケージ基板向け高機能CCL
日本パナソニック インダストリー6752(東証、パナソニックHD)車載・半導体パッケージ向け幅広いラインナップ
日本三菱ガス化学4182(東証)BT材料、スマホ向け極薄材
日本住友ベークライト4203(東証)CEM-3などコストパフォーマンス
日本利昌工業非上場国内汎用材、小ロット対応、100年超の歴史
中国生益科技600183(上海)総合力、AIサーバー向け高周波材
中国建滔積層板1888(香港)垂直統合、コスト競争力
中国金安国紀002636(深セン)中厚型FR-4
中国華正新材603186(上海)IC実装基板向けCCL
中国南亜新材料科技688519(上海科創板)PTFE・LCP高周波材
台湾台光電子材料(TUC)2383(台湾)2025年世界シェア首位、ハロゲンフリー
台湾南亜塑膠1303(台湾)台塑グループの総合力
台湾聯茂電子(ITEQ)6213(台湾)高周波・車載・HDI
台湾台燿科技(EMC)6274(台湾)ハロゲンフリー世界最大手
台湾騰輝電子(Ventec)6672(台湾)軍需・航空宇宙向けニッチ戦略

【日本】CCLメーカー一覧|高付加価値・高信頼性に強みを持つ企業群

日本のCCLメーカーは、価格競争よりも高機能材料や高信頼性の分野で存在感を発揮してきました。

自動車の電子制御ユニットや通信インフラ、半導体パッケージ基板など、故障が許されない用途での採用実績が多いのが特徴です。

レゾナック・ホールディングス|半導体パッケージ基板向けCCLの世界的リーダー

レゾナック・ホールディングス(東証4004)は、旧昭和電工の時代である1955年からCCLの製造を続けてきた老舗メーカーです。

その後、旧日立化成との経営統合を経て、現在のレゾナックとして再編されました。

同社の強みは、半導体を搭載するパッケージ基板向けの高機能CCLにあります。

特にAI半導体やHPC向けの高性能パッケージング分野では世界トップクラスのシェアを持つとされ、AIサーバー需要の拡大を最も追い風にしているメーカーの一社です。

2026年1月には、CCLおよびプリプレグの全製品について、2026年3月出荷分から30パーセント以上という大幅な価格改定を発表しました。

背景には、原材料である銅箔やガラスクロスの需給逼迫があり、AI半導体需要の急拡大という構造的な変化が影響しています。

調達担当者としては、レゾナック製品を採用する際、性能面のメリットだけでなく、こうした値上げサイクルの早さも踏まえてコスト計画を立てる必要があります。

パナソニック インダストリー|電子材料事業として多様な用途に対応

パナソニック インダストリーは、パナソニックグループの電子材料事業部門として、MCLシリーズと呼ばれる銅張積層板を製造しています。

半導体パッケージ用材料から車載用多層材料、微細配線形成用材料まで、用途別に幅広いラインナップを揃えているのが特徴です。

同社も2025年1月に価格改定を発表しており、原油高や円安、中国の税制変更による原材料調達コストの上昇を理由に挙げています。

グローバルに部材を調達する日本メーカーならではの、為替や海外の制度変更の影響を受けやすい構造がうかがえます。

三菱ガス化学(MGCエレクトロテクノ)|BT材料とスマホ向け極薄材に強み

三菱ガス化学は、生産子会社であるMGCエレクトロテクノを通じて、福島、米沢、タイの3拠点でCCLとプリプレグを生産しています。

同社が特に強みを持つのが、半導体パッケージ基板に使われるBT材料です。

低熱膨張率や低吸水率といった特性により、CSPやBGA、フリップチップパッケージなど、反りが許されない精密な半導体パッケージ向けに採用されています。

スマートフォン向けの極薄材料においては世界シェアNo.1を獲得しているとされ、薄型化と高信頼性を両立させる技術力が評価されています。

住友ベークライト|スミライトブランドでコストパフォーマンスをリード

住友ベークライトは、スミライトELCというブランドでエポキシ樹脂銅張積層板を展開しています。

同社の樹脂配合技術を生かした製品群は、両面プリント配線板向けのFR-4標準品から、高熱伝導率を実現した多層基板用材料まで幅広く対応しています。

なかでもCEM-3グレードの製品は、加工特性とコストパフォーマンスの両立で世界をリードしていると住友ベークライト公式サイトでも紹介されており、量産型の民生機器向けに根強い需要があります。

利昌工業ほか|国内汎用材メーカーの存在感

大手化学メーカー以外にも、利昌工業のようにリショーライトというブランドで汎用プリント配線板材料を国内生産する専業メーカーが存在します。

1921年創業、100年を超える歴史を持つ非上場企業で、電子材料以外にも変圧器などの電気機器を手がける独立系の技術会社です。

国内で汎用CCLを生産するメーカー自体が少なくなっているなか、国内調達によるリードタイムの短さや、細やかな仕様対応力を武器にしています。

大量生産のボリュームゾーンでは中国や台湾メーカーに価格面で及ばない場面もありますが、試作対応や小ロット対応、緊急発注への柔軟さという点では、依然として国内メーカーを選ぶ合理性があります。

【中国】CCLメーカー一覧|量産力とコスト競争力で世界市場をけん引

中国のCCLメーカーは、垂直統合による原材料コストの抑制と、圧倒的な生産規模を武器に、世界のCCL市場で大きな存在感を持ち続けています。

生益科技(Shengyi Technology)|中国トップ、世界シェア上位の総合力

生益科技(上海証券取引所600183)は1985年創業、中国国内で最大規模を誇るCCLメーカーです。

2013年から2023年にかけて、剛性CCLの世界販売額ランキングで長らく世界2位の座を維持し、市場占有率はおおむね12パーセントから14パーセント前後で推移してきました。

ファーウェイやZTEといった中国通信機器大手のみならず、AIサーバー向けの高周波高速CCL分野でも実績を伸ばしています。

業界筋の分析によれば、2024年時点でエヌビディア向けAIサーバー用CCLのサプライヤーとして選定され、それまで韓国の斗山電子と台湾の台光電子材料の2社が独占していた供給網に、中国企業として初めて食い込んだとされています。

もっとも、プリズマークが公表した2025年の集計では、生益科技の世界シェアは13.2パーセントとなり、後述する台湾の台光電子材料に首位の座を譲る結果となりました。

それでも中国国内における技術力と生産量の両面で、依然として中国メーカーの中では圧倒的な存在感を持っています。

建滔積層板(Kingboard Laminates)|垂直統合による圧倒的コスト競争力

建滔積層板(香港証券取引所1888)は、1988年に中国深センで創業し、翌1989年から紙基材CCLの生産を開始した老舗メーカーです。

親会社である建滔化工グループのもとで、CCLの主要原材料である銅箔、ガラス糸、樹脂を自社生産する垂直統合体制を構築しているのが最大の特徴です。

これらの原材料は8割から9割が自社製品の製造に充てられ、残りが外部販売に回されるという徹底ぶりで、原材料市況の変動に左右されにくいコスト構造を実現しています。

かつては世界最大のCCLメーカーとして11年連続で首位を維持した実績もあり、標準品から中低価格帯のFR-4材料まで、幅広い顧客のボリュームゾーン需要を支えてきました。

2025年のプリズマーク集計では世界シェア12.4パーセントで3位となりましたが、今なお下流の印刷回路板メーカー1200社以上に製品を供給する、中国CCL業界の中核的存在です。

金安国紀・華正新材・南亜新材・中英科技|専門特化型企業の台頭

中国には、生益科技や建滔積層板以外にも、特定分野に強みを持つ専門メーカーが数多く存在します。

金安国紀は、中厚型のFR-4材料に特化し、家電やLED分野を中心に国内上位のシェアを持ちます。

華正新材は、IC実装基板向けCCLを量産できる数少ない中国企業の一社として、高速高周波材料の分野に投資を進めています。

中英科技は、5G基地局やレーダーに使われる高周波マイクロ波材料に特化し、これまで海外メーカーが握っていたこの分野で国産化を進めている企業です。

なお、上海科創板に上場する南亜新材料科技(688519)は、PTFEやLCPといった高周波材料を専門に扱う中国企業ですが、これは台湾の南亜塑膠(Nan Ya Plastics)とは資本関係のない全く別の会社です。

社名の一部が似ているため調達現場でも混同されることがありますが、見積もりや与信管理の場面で取り違えると思わぬトラブルにつながりかねないため、注意が必要なポイントだといえます。

【台湾】CCLメーカー一覧|AIサーバー特需で2025年世界シェア首位に浮上

台湾のCCLメーカーは、AIサーバーや高速通信機器向けの高性能材料に強みを持ち、2025年には業界地図を塗り替える出来事が起きました。

台光電子材料(TUC)|2025年、世界シェア16.2パーセントで首位を獲得

台光電子材料(Taiwan Union Technology、TUC)(台湾証券取引所2383)は1974年創業、もともとは光学ガラスを製造する会社でした。

1997年にCCLとプリプレグの製造へ事業転換し、2001年からはマスラミネーションサービスも開始、2003年に台湾の店頭市場に上場しています。

同社は世界最大のハロゲンフリー積層板メーカーとしても知られ、iPhone向けの高密度配線基板や、半導体パッケージに近い高多層基板の主要サプライヤーを長年務めてきました。

そして2025年、プリズマークの集計により、台光電子材料の世界シェアが前年から3ポイント上昇して16.2パーセントに達し、それまで首位だった中国の生益科技(13.2パーセント)や建滔積層板(12.4パーセント)を上回って、初めて世界首位に立ったことが明らかになりました。

AIサーバーやASIC、800Gスイッチ向けの高性能材料の受注が急拡大したことが主な要因で、2025年第2四半期には1株当たり利益が10.02台湾ドルに達し、2四半期連続で資本金を上回る利益を計上する好調ぶりです。

台湾、中国大陸、マレーシアで生産拠点の拡張も進めており、今後さらに世界シェアを伸ばす可能性がある企業です。

南亜塑膠(Nan Ya Plastics)|台塑グループの総合力を背景にした最大手級

南亜塑膠(Nan Ya Plastics)(台湾証券取引所1303)は、台湾を代表する総合化学グループである台塑グループの一員です。

プラスチック加工品や石油化学製品と並んで、電子材料事業の一部門としてCCLやガラスクロス、銅箔、PCBインクなど幅広い関連製品を手がけています。

グループ全体の資材調達力や生産インフラを背景に、世界的な主要CCLサプライヤーの一角として長年その地位を維持しています。

2026年には電子材料部門から銅張積層板などの値上げ通知が出されるなど、需要逼迫の局面では市場価格への影響力も大きいメーカーです。

聯茂電子(ITEQ)・台燿科技(EMC)|高周波・ハロゲンフリー材で存在感

聯茂電子(ITEQ Corporation、台湾証券取引所6213)は1997年創業、新竹県に本社を置くCCL専業メーカーです。

サーバーやストレージ、スイッチなどの通信・演算分野に加え、5Gやミリ波などの高周波・マイクロ波分野、自動車の先進運転支援システム向けなど、幅広い用途に対応しています。

台燿科技(Elite Material Co.、EMC、台湾証券取引所6274)は1992年創業で、2013年以降はハロゲンフリーCCLの世界最大手として知られています。

自動車・産業機器から半導体パッケージ基板、モバイル機器、通信インフラ、航空宇宙・防衛分野まで、幅広い産業に材料を供給しています。

台光電子材料、聯茂電子、台燿科技の3社は、台湾市場では「CCL三雄」と呼ばれるほど存在感が大きく、南亜塑膠を加えた台湾4社の2025年の合計世界シェアは34.4パーセントに達し、世界市場のおよそ3分の1を占めるまでになりました。

騰輝電子(Ventec)|ニッチ・高付加価値戦略で軍需・航空宇宙分野へ

騰輝電子国際集団(Ventec International Group)(台湾証券取引所6672)は、台湾資本ながら中国江蘇省蘇州に事業運営の中心を置くという、やや変わった立ち位置のメーカーです。

大量生産による標準品競争ではなく、少量多品種による高付加価値戦略を選んでいるのが特徴で、軍需、航空宇宙、医療、自動車といった特殊用途向けの高信頼性CCLに特化しています。

2019年に台湾証券取引所へ上場して以降、欧米の高水準な軍需サプライチェーンに食い込むアジア企業として、独自の存在感を築いてきました。

2025年7月には地政学リスクへの対応とサプライチェーン強化を目的に、タイ工場の建設計画を発表するなど、台湾勢の中でも独自路線を歩んでいます。

日本・中国・台湾のCCLメーカーを比較する視点|地域ごとの強みの違い

価格競争力とボリュームゾーン対応力

大量生産される民生機器向けの標準的なFR-4材料であれば、垂直統合体制を持つ中国メーカーのコスト競争力に軍配が上がる場面が多くなります。

原材料の内製比率が高く、生産規模も大きいため、量産価格の面では他地域が追随しにくい水準を実現しています。

高周波・高速伝送特性への対応力

一方、AIサーバーや高速通信機器のように、信号損失や伝送速度がシビアに問われる用途では、台湾メーカーの技術対応力が際立ちます。

2025年に台光電子材料が世界首位に立った背景にも、この高性能材料分野でのシェア拡大があり、台湾勢の技術投資の速さと供給スピードの両立が評価された結果だといえます。

信頼性・半導体パッケージ基板対応力

半導体パッケージ基板や車載電子制御ユニットのように、絶対的な信頼性が求められる用途では、レゾナックや三菱ガス化学といった日本メーカーの実績と品質管理体制が根強く支持されています。

価格だけで比較すると割高に見える場面もありますが、不良率や長期信頼性のデータを含めたトータルコストで見ると、日本メーカーを選ぶ合理性が残る領域は依然として大きいというのが実情です。

このように、CCLメーカーの選定は単純な価格比較では決められず、自社製品がどの特性を最優先するのかによって最適な調達先が変わってきます。

CCLメーカー選定で失敗しないための実務的な注意点

サンプル評価だけで判断しない

データシート上のDk値やDf値、Tgが優れていても、実際の量産ロットで同じ品質が再現されるとは限りません。

サンプル評価の段階だけで発注を決めるのではなく、可能であれば複数ロットのデータを取り寄せ、ロット間のばらつきを確認しておくことが望ましい進め方です。

供給網リスクとBCPの視点を持つ

CCLの原材料である銅箔やガラスクロスは、地政学的な要因や特定国の税制変更によって、調達コストや供給量が大きく変動することがあります。

パナソニックが中国の税制変更を値上げ理由の一つに挙げていたように、一国の政策変更が調達コストに直結するケースは珍しくありません。

単一メーカー、単一拠点への依存度が高いと、有事の際に生産計画そのものが止まりかねないため、複数拠点で生産している企業を優先する、あるいは代替候補を事前に確保しておくといったBCPの視点が欠かせません。

値上げ・納期動向を定点観測する

2026年前後は、AI半導体需要の拡大を背景に、日本、中国、台湾いずれのメーカーも値上げや供給逼迫のニュースが相次いでいる局面です。

一度契約したメーカーであっても、半年から1年単位で価格改定や納期の変動が起こり得ることを前提に、定期的に業界動向をキャッチアップしておく姿勢が、長期的な調達の安定につながります。

よくある質問

Q. CCLとPCB(プリント基板)は何が違うのですか?

CCLは銅箔とガラス基材を貼り合わせただけの板材で、いわば回路が形成される前の素材です。

これに対してPCBは、CCLにエッチング加工を施して回路パターンを形成し、部品を実装できる状態に仕上げた製品を指します。

Q. 日本、中国、台湾のCCLメーカーは、それぞれどのような基準で使い分ければよいですか?

コスト重視で大量生産する民生機器向けなら中国メーカー、AIサーバーや高速通信機器のように高周波特性が重要な用途なら台湾メーカー、車載や半導体パッケージ基板のように長期信頼性が最優先される用途なら日本メーカーというのが、大まかな傾向です。

ただし個別製品ごとに得意分野は異なるため、最終的にはデータシートと実績、そしてサンプル評価の結果をもとに判断することをおすすめします。

Q. なぜ近年、CCLの価格上昇が続いているのですか?

主な要因は、AIサーバーやHPC向け需要の急拡大による原材料(銅箔、ガラスクロス、樹脂)の需給逼迫です。

これに加えて、為替変動や特定国の税制変更、人件費やエネルギーコストの上昇も重なり、レゾナックやパナソニックをはじめ多くのメーカーが2025年から2026年にかけて相次いで価格改定を発表しています。

Q. 中国の南亜新材と台湾の南亜塑膠は同じグループの会社ですか?

いいえ、両社に資本関係はありません。

南亜新材料科技は中国の上海証券取引所科創板に上場する企業で、南亜塑膠は台湾の台塑グループに属する企業です。

社名が似ているため、取引先を調べる際は上場市場や証券コードまで確認し、混同しないよう注意してください。

Q. FR-4以外に、どのようなCCLの種類がありますか?

一般的なガラスエポキシ材のFR-4のほか、より安価な紙基材のCEM-1やCEM-3、高周波高速伝送に対応するPTFE系やLCP系の高周波材料、半導体パッケージ基板向けのBT材料など、用途に応じて多様な種類が存在します。

用途に求められる誘電特性や耐熱性、コストのバランスを踏まえて、最適なグレードを選ぶ必要があります。

まとめ

CCLメーカーの世界地図は、AIサーバー需要を背景に、これまでにない速さで塗り替えられています。

日本メーカーは高信頼性、中国メーカーはコスト競争力、そして台湾メーカーは高性能材料での技術力と、それぞれが異なる強みを持つ構図は今も基本的には変わりません。

一方で、2025年に台湾の台光電子材料が世界シェア首位に立ったように、技術トレンドの変化がシェア構図そのものを動かす局面に入っていることも事実です。

自社製品に本当に必要な特性を見極めたうえで、価格だけでなく供給体制や値上げ動向まで含めてメーカーを比較検討することが、これからのCCL調達には欠かせません。

 

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