
千葉県で基板実装やEMSの委託先を探しているなら、この記事が必要な情報をすべてカバーしています。
県内で外部受注を公式に行っている基板実装・EMS工場の全8社について、住所・電話番号・公式URL・得意分野・対応できる実装工程を詳しく解説します。
さらに「千葉県のどのエリアにどんな特徴の工場があるのか」という地理的な視点と、「試作段階と量産段階でどの工場を使い分けるべきか」という実践的な選択眼まで、現場目線でお伝えします。
千葉県は東京都に隣接する関東の主要工業地帯でありながら、基板実装・EMS工場の数は愛知県や大阪府と比べると決して多くはありません。
だからこそ「どこに頼めばいいかわからない」という声を非常によく耳にします。
この記事を読み終えるころには、千葉県内の実装工場の全体像と、自社の発注条件に最も合う工場の目星がついている状態になっているはずです。
千葉県の基板実装・EMS市場の特徴|なぜ工場数が限られるのか
千葉県の基板実装・EMS工場は、2026年時点で外部受注を公式に行っていると確認できる企業が8社です。
この数字は、同規模の工業県と比較すると決して多くはありません。
愛知県(9社)・埼玉県(28社)・神奈川県(35社超)と並べると、千葉県の8社という数字がいかに希少かがわかります。
この理由は千葉県の産業構造にあります。
千葉県の主要産業は石油化学コンビナート(市原市・袖ケ浦市)・鉄鋼業(千葉市)・農水産業・物流業であり、電子機器製造業の集積密度は首都圏の中でも特に低い水準にとどまっています。
電子機器製造企業が集積する条件として「大手電機メーカーの事業所が多いこと」「電子部品の商社・卸が密集していること」「実装技術者の労働市場があること」という3つがあります。
千葉県はこれらの条件が東京都や神奈川県に比べて弱く、その結果として実装工場の集積が進みにくかった歴史的背景があります。
しかし現在、千葉県の基板実装産業には注目すべき変化が起きています。
流山市・柏市エリアにはつくばエクスプレス開通以降に研究開発系の企業が集積しており、この企業群からの試作・少量多品種実装の需要が生まれています。
木更津市・袖ケ浦市エリアには製造業が増加しており、工場立地の条件が整っています。
また茂原市には双葉電子工業という東証プライム上場の大手電子機器メーカーが本社を構えており、県全体の電子機器製造業の水準を引き上げています。
この8社は少ない中にも確かな技術力を持つ工場ばかりです。
各社を丁寧に解説する前に、エリア別の全体像を押さえておきましょう。
千葉県の基板実装・EMS工場 全8社【エリア別・詳細解説】
千葉県北西部エリア(柏市・流山市・八千代市・白井市)
東京都心へのアクセスが良好で、試作・小ロット対応に強い企業が集まるエリアです。
研究開発段階の案件・多品種少量の発注に特に向いています。
株式会社アルファ電子|柏市
電子機器製造のワンストップ体制を千葉県柏市で展開する実装企業です。
基板CAD設計・プリント基板製造・電子部品購買・実装・組立まで一貫対応できるため、「最初から最後まで一社に任せたい」という発注者のニーズに応えています。
試作品1枚から量産まで対応可能で、協力工場との提携ネットワークも活用することで、自社設備だけでは対応が難しい案件にも柔軟に対応できます。
柏市という立地は首都圏の発注者にとってアクセスしやすく、図面を持って直接相談に行ける「近さ」が大きなメリットです。
特に「設計段階から相談しながら実装まで任せたい」という開発初期フェーズの案件に向いています。
- 住所:〒277-0861 千葉県柏市高田1061-11
- 電話:04-7186-6453
- 公式サイト:http://www.alphadenshi.com/
株式会社三美|流山市
1993年設立のEMS企業で、流山市おおたかの森エリアを拠点に産業用電子機器の受託開発設計・製造を行っています。
少ロット1枚〜1,000枚の実装対応を公式に明示しており、試作開発フェーズから初期量産まで一貫して依頼できる体制が整っています。
プリント基板のパターン設計から実装(部品調達含む)を中心に、ワイヤーハーネス・各種モジュールの製造、板金加工・樹脂成形にも対応するため、電子機器の完成品に近い形まで任せることができます。
特筆すべきは中国蘇州への100%出資関連会社(蘇州三美益電子貿易有限公司)の存在です。
国内での少量試作と、中国での量産対応を同じ窓口で切り替えられる体制は、「試作は国内、量産は海外でコスト削減」というニーズに直結します。
ISO9001取得済みで品質管理体制も整備されています。
- 住所:〒270-0128 千葉県流山市おおたかの森西4-98-10
- 電話:04-7155-3910
- 公式サイト:https://www.sanbi-corp.com/
株式会社スイコー|流山市
サンコーテクノグループのプリント基板製造・実装メーカーで、流山工業団地(西深井)に本社工場を構えます。
片面・両面・多層基板まで各種プリント基板の設計・製造を自社で行い、電子部品の自社調達を経て、実装・アッセンブリ・マウント・ハンダ付け・検査・ハーネス加工・組立・完成品まで一貫ラインを自社内に設備しています。
どの工程からでもフレキシブルに対応できる体制が最大の強みです。
2019年には面実装設備を持つ浦和電研株式会社がサンコーテクノグループに加わり、プリント基板の実装・組立業務がさらに拡充されました。
LED製品製造ラインも保有しており、LED応用製品の実装実績が豊富な点も特徴的です。
運河駅(東武野田線)から徒歩圏内・常磐道流山インターから5分という立地で、首都圏からのアクセスも良好です。
- 住所:〒270-0107 千葉県流山市西深井字大堺1028-7(本社・工場)
- 電話:04-7152-4111(営業部)
- 公式サイト:https://www.suikow.co.jp/
株式会社ミマス|白井市
白井市名内に工場を構える小規模EMSメーカーで、プリント配線基板の設計・製造・実装・組立および銘板製造を全工程内製できる体制を持っています。
この企業の最大の特徴は、LED照明や液晶バックライト向けの最大1,200mm長尺基板への両面実装対応設備を国内初導入している点です。
通常の実装工場では対応が難しい「大型・長尺基板」を扱える数少ない企業の一つです。
FPC(フレキシブル基板)・アルミ基板・多層基板まで幅広い基板種別に対応し、銘板部品・樹脂成形品・ゴム成型品・精密機械加工品の調達も可能なため、電子機器の完成品に必要な部品を一括で調達してもらえます。
白井工場は医療機器製造業許可認証を取得しており、医療クラスIIの生産実績があります。
医療機器向け基板を任せられる工場を千葉県内で探している場合、最有力候補の一社です。
ISO9001:2015・ISO14001:2015取得済み。A&Dプリントエンジニアリング株式会社と業務資本提携。
本社(Tokyo R&D・開発設計・営業)は東京都新宿区に構えており、設計から実装まで一体で相談できます。
- 住所:〒270-1407 千葉県白井市名内346-1(白井工場・千葉県製造拠点)
- 電話:047-498-2801
- 公式サイト:http://www.mimasu-inc.com/
株式会社アサヒ 八千代製造部|八千代市
1946年設立という長い歴史を持つ総合電子機器・制御システムメーカーの千葉県製造拠点です。
八千代市大和田新田に構える八千代製造部では、医療機器および各種制御装置の設計・製作と、プリント基板実装・各種制御装置の設計・製作を行っています。
主要顧客に株式会社日立製作所インダストリアルプロダクツ・富士フイルムヘルスケア株式会社・日立ジョンソンコントロールズ空調株式会社など大手企業の名前が並んでいます。
大手メーカーとの継続的な取引実績は、品質基準の高さと安定したQCDの証明です。
鉛フリーはんだ付け装置を保有しており、FA制御システム・マイコン応用電子制御システム・各種プリント基板の設計製作に対応しています。
板金・製缶設備(レーザー加工機・プロジェクション溶接機・NCターレットパンチ等)も保有しており、基板実装から筐体製作まで一貫して依頼できる体制が特徴です。
- 住所:〒276-0046 千葉県八千代市大和田新田737-16
- 電話:047-459-9111
- 公式サイト:https://www.asahi-j.com/
千葉県南部エリア(木更津市・長生郡長生村)
広大な工業用地と東京湾アクアラインへのアクセスを活かした製造拠点が集まるエリアです。
大型基板・量産対応・完成品組立まで含めた大ロット案件に向いています。
キクナ電子株式会社|木更津市
昭和20年設立という千葉県内でも特に古い歴史を持つ実装専門企業です。
プリント基板の実装から完成品組立まで一貫対応することを主要業務とし、「短納期にてクオリティの高い商品を提供します」を合言葉に生産業務を展開しています。
最大の技術的特徴は、鉛フリーはんだの信頼性向上のためにN2(窒素)設備を導入している点です。
N2環境での作業はリフロー炉内の酸素濃度を極限まで下げることではんだ付け品質を大幅に向上させる技術であり、産業機器・通信機器・電源機器など信頼性要求の高い製品に適しています。
マシン実装から基板組立までN2環境で作業できる工場は、千葉県内では非常に希少です。
電源機器・アミューズメント機器等のディスクリート部品に対応した最新鋭挿入機を保有しており、SMT実装後の手実装・半田付け・各種治具製作・表面実装まで幅広く対応しています。
ISO9001取得済みで品質マネジメント体制が整っています。
木更津市真里谷という立地は東京湾アクアラインからのアクセスも良く、東京・神奈川方面からの発注者とのやり取りにも対応しやすい環境にあります。
- 住所:〒292-0201 千葉県木更津市真里谷2078番地
- 電話:0438-53-5111
- 公式サイト:https://www.kikuna-denshi.jp/
株式会社紀元製作所 長生工場|長生郡長生村
本社は神奈川県横浜市に置きながら、千葉県長生郡長生村の長生工場に基板実装部門を構える1962年設立の老舗企業です。
精密金属プレス加工と基板実装を両輪で展開しており、プレス加工から表面処理・基板実装・完成品組立まで一貫した生産体制をクリーンルーム環境も含めて社内に持っています。
基板実装では回路設計・基板設計から部品調達・実装・完成品組立まで一括対応しており、チップサイズ0603・最大基板サイズ650mm×460mm(XLサイズ)・板厚4mmまでに対応しています。
特に注目すべきはFPC(フレキシブル基板)の個片実装対応で、顧客からの高い評価を得ている実績があります。
OMRON製の基板外観検査装置(VT-S1080)を導入しており、実装品質の担保に力を入れています。
ポイントディップ装置の併用により両面実装後の後付けにも対応しているため、複雑な実装仕様にも柔軟に対応可能です。
「パートナーシップ構築宣言」を公表しており、サプライチェーン全体での共存共栄を重視する姿勢も、長期的なパートナーを求める発注者にとって信頼できる指標です。
- 住所:〒299-4334 千葉県長生郡長生村薮塚字柳前1027-6
- 電話:0475-32-3881
- 公式サイト:http://www.norimoto.co.jp/
千葉県中部エリア(茂原市)
大手電子部品メーカーの本社が立地し、高度な実装技術と大規模EMS体制を持つエリアです。
双葉電子工業株式会社|茂原市
1948年設立の東証プライム上場企業で、千葉県茂原市に本社を置く大手電子部品・機器メーカーです。
蛍光表示管(VFD)・有機ELディスプレイ・タッチセンサー・産業用/ホビー用ラジコン機器・プレート製品・金型用器材など幅広い製品群を持ちながら、EMS(受託製造)と受託開発(ODM)事業も本格的に展開しています。
自動車業界の国際規格IATF16949を取得しており、自動車製品・液晶ディスプレイ向けの高品質なEMSが強みです。
台湾・中国・米国に海外製造拠点を持つグローバルな生産体制により、国内での高品質製造と海外での大量量産を柔軟に切り替えることができます。
国内主要製造拠点は千葉県長生郡長生村の長生工場であり、本社のある茂原市とともに千葉県南部の電子機器製造業の中核を担っています。
ISO9001・ISO14001取得済み。
大手メーカーとの直接取引や、精密さ・高い品質が求められる自動車・医療・産業機器向けの受託製造を考えている場合は最有力候補の一社です。
- 住所:〒297-8588 千葉県茂原市大芝629(本社)
- 電話:0475-24-1111
- 公式サイト(EMS/ODM):https://www.futaba.co.jp/product/odm_ems
千葉県の全8社 一覧表
| 企業名 | 所在市区 | 電話番号 | 主な強み |
|---|---|---|---|
| 株式会社アルファ電子 | 柏市 | 04-7186-6453 | 設計→製造→実装→組立の一貫ワンストップ |
| 株式会社三美 | 流山市 | 04-7155-3910 | 少ロット1枚〜・中国関連会社連携・ISO9001 |
| 株式会社スイコー | 流山市 | 04-7152-4111 | 片面〜多層基板設計+実装一貫・LED製造ライン |
| 株式会社ミマス | 白井市 | 047-498-2801 | 長尺1,200mm対応・医療機器認定工場・ISO9001/14001 |
| 株式会社アサヒ(八千代製造部) | 八千代市 | 047-459-9111 | 医療機器・制御装置・大手メーカー取引実績 |
| キクナ電子株式会社 | 木更津市 | 0438-53-5111 | N2環境実装・ディスクリート挿入機・ISO9001 |
| 株式会社紀元製作所(長生工場) | 長生郡長生村 | 0475-32-3881 | 大型XLサイズ・FPC個片・プレス×実装一貫 |
| 双葉電子工業株式会社 | 茂原市 | 0475-24-1111 | 東証プライム・IATF16949・台湾/中国/米国拠点 |
千葉県で基板実装工場を選ぶ際の5つの判断軸
千葉県の8社それぞれに得意な領域が異なります。
発注者の状況に応じて最適な工場が変わるため、以下の5つの判断軸で絞り込むことをお勧めします。
判断軸1: 試作・小ロットなのか、量産なのか
試作・小ロット(1〜数十枚)を優先するなら、株式会社三美(少ロット1枚〜1,000枚を明示)・株式会社スイコー・株式会社アルファ電子が最初の候補になります。
量産(月産数千枚以上)を優先するなら、双葉電子工業(海外拠点含む大規模生産)・キクナ電子(一貫生産ライン)・株式会社紀元製作所(大型基板XLサイズ対応)が向いています。
「試作から量産まで同じ工場で」という場合は、株式会社スイコー・株式会社ミマスが対応しています。
試作段階で蓄積した実装ノウハウが量産ラインにそのまま引き継がれるため、量産移行時のトラブル発生リスクを根本から下げることができます。
判断軸2: 基板の種類・サイズ・特殊性
長尺基板(最大1,200mm)が必要な場合:株式会社ミマス一択です。
大型基板(最大650mm×460mm・XLサイズ)が必要な場合:株式会社紀元製作所の長生工場が対応しています。
FPC(フレキシブル基板)の個片実装が必要な場合:株式会社紀元製作所が得意としています。
アルミ基板・多層基板・リジッドフレキが必要な場合:株式会社ミマスが幅広い基板種別に対応しています。
判断軸3: 医療機器・車載・産業機器など用途・認証要件
医療機器向け(薬事認証・医療機器製造業許可が必要):株式会社ミマス(白井工場が医療機器製造業許可認証取得・クラスII実績あり)・株式会社アサヒ(医療機器向け実績あり)。
自動車・車載機器向け(IATF16949):双葉電子工業(IATF16949取得)。
産業機器・制御装置向け:株式会社アサヒ(日立製作所・富士フイルムヘルスケアへの納入実績)・キクナ電子(電源機器・産業機器実績)。
なお、基板実装の認証要件や品質基準については、一般社団法人日本電子回路工業会(JPCA)の公式サイトでも業界の品質基準情報を確認することができます。
判断軸4: 完成品組立・保管・発送まで任せたいか
基板実装だけでなく、筐体組立・ハーネス配線・検査・保管・発送まで任せたい場合は、キクナ電子(完成品組立まで一貫)・株式会社スイコー(完成品まで一貫ライン)・株式会社アサヒ(板金・製缶設備も保有)が対応しています。
対照的に、基板実装のみを依頼したい場合はどの工場でも対応可能です。
判断軸5: N2環境・特殊設備の要否
N2(窒素雰囲気)環境での実装が品質要件に含まれる場合:キクナ電子株式会社が対応しています。
N2環境での実装は、一般的なリフロー炉に比べてはんだの酸化を抑制し、ぬれ性を大幅に向上させます。
特に鉛フリーはんだを使用する製品では、N2環境の有無が実装品質に大きな差をもたらします。
医療機器・航空宇宙・産業機器など高信頼性が求められる製品の実装では、N2対応の工場を選ぶことが品質保証の観点から重要です。
千葉県の基板実装・EMS工場に問い合わせる前に整理すべき6つの情報
どの工場に問い合わせる場合も、以下の6点を事前に整理することで初回のやり取りが格段にスムーズになります。
現場での実感では、この情報が揃っているかいないかで、見積もりの精度と返答速度に大きな差が生まれます。
1. 基板仕様(サイズ・層数・部品)
基板サイズ(縦×横mm)・層数・実装面(片面/両面)・最小部品サイズ・BGA有無・フレキかリジッドかの5点を一覧にして伝えることで、見積もりの精度が大幅に上がります。
特に最小部品サイズ(0603か0402か0201か)と、BGA・CSP・QFNなど下面電極部品の有無は、工場の設備能力に直接関わるため最初に伝えることが重要です。
2. ロット数と量産見通し
「今回は試作5枚、将来は月産200枚を見込んでいる」という将来計画も含めて伝えることが大切です。
試作段階から量産を見越した工程設計・治具設計をしてもらえるかどうかが、量産移行時のコストとリードタイムに大きく影響します。
試作工場と量産工場を別々にしてしまうと、工程設計のやり直しや品質基準の再すり合わせという二重コストが発生します。
3. 用途と認証要件
産業機器・医療機器・民生品・通信機器という用途区分と、ISOやJISの認証要件を最初に伝えることで、対応可否が即座に判明します。
医療機器製造業許可・IATF16949・ISO13485など特定の認証が要件となる場合は、必ず最初に確認してください。
4. はんだ種類(鉛フリー/共晶)
鉛フリーはんだか共晶(有鉛)はんだかを最初に明示してください。
RoHS指令対応の製品では鉛フリーはんだが必須であり、一部の製品では共晶はんだの使用が指定されている場合があります。
RoHS指令の詳細については、経済産業省の公式サイトの化学物質管理政策で確認できます。
5. 完成品組立・検査・発送の要否
基板実装のみを依頼するのか、完成品の組立・電気検査・保管・発送まで含めて任せるのかで、対応可能な工場が絞り込まれます。
特に千葉県内の工場は、完成品組立まで対応しているところとそうでないところが明確に分かれているため、最初に確認することで無駄な問い合わせを防げます。
6. 部品調達の方向性
部品をすべて支給するのか(部品支給)、工場側に調達してもらうのか(部品調達代行)、一部だけ支給するのかを明確にしてください。
部品調達代行は工場側に調達力が必要な反面、発注者の部品調達工数が大幅に削減されます。
部品支給の場合は部品の梱包方法・数量管理・保管方法についても事前に確認しておくと、入荷後のトラブルを防げます。
千葉県内で対応が難しい場合の現実的な選択肢
千葉県内の8社に相談しても、発注条件(ロット数・特殊部品・認証要件・コスト等)が合わない場合は道外の実装工場への発注も選択肢に入ります。
「千葉から道外工場に発注するのは難しい」というイメージを持っている方も多いですが、現実的には多くの実装工場がオンライン見積もり・宅配便での基板・部品授受・航空便での納品に対応しており、地理的な距離は以前ほどのハードルではありません。
特に件数の多い関東エリア(東京・神奈川・埼玉)
千葉県から発注しやすい道外エリアは関東圏の近隣都県です。
東京都・神奈川県・埼玉県には実装工場が多数集積しており、千葉県内で対応できない案件の受け皿として機能しています。
特に埼玉県は28社以上の実装工場が集積しており、試作・少量多品種から大ロット量産まで幅広いニーズに対応できる工場が揃っています。
神奈川県は35社超と関東最大の実装工場集積地であり、高密度実装・BGA対応・医療機器向けなど専門性の高い案件にも対応できる工場が多数存在します。
「2段階戦略」という現実的な選択肢
千葉県内での試作・開発フェーズは県内8社のいずれかに依頼し、量産フェーズに移行した段階でコスト・ロット・認証要件に最適な工場(関東圏含む)に移行するという「2段階戦略」も有効な選択肢の一つです。
ただし、試作工場から量産工場への移行には「実装条件の再設定」「品質基準のすり合わせ」「治具の再作成」というコストが伴います。
この移行コストを最小化するためには、試作段階から量産を見据えた工程設計・部品配置・実装条件の選択を意識しておく必要があります。
これは発注者側だけでは難しい判断であり、工場側に「将来の量産を前提とした試作」という意図を最初に伝えることが、移行コスト最小化の最も効果的な方法です。
千葉県の基板実装・EMS業界の今後の展望
千葉県の基板実装市場は現時点では8社体制という希少な状況ですが、県内の産業構造変化がこの状況を変える可能性を持っています。
成田国際空港周辺の産業集積と実装需要
成田国際空港周辺では物流・航空関連の産業集積が続いており、この産業集積が電子機器製造需要を生み出しています。
特に空港の航空機維持整備(MRO)分野では、航空機の電子機器(アビオニクス)の修理・改造に伴う基板実装需要が継続的に存在します。
この需要を取り込む実装工場の成田周辺への立地が、今後の市場拡大につながる可能性があります。
つくばエクスプレス沿線の研究開発企業と試作需要
流山市・柏市・守谷市をつなぐつくばエクスプレス沿線には、研究開発系の企業・研究機関が集積しています。
国立研究開発法人産業技術総合研究所(産総研)柏センターをはじめとした研究機関からの試作実装需要は、千葉県北西部エリアの実装工場にとって安定した需要源になっています。
研究開発フェーズの試作案件は少量・高精度・短納期という特性があり、この需要に対応できる工場の立地が今後も柏・流山エリアで進む可能性があります。
電子機器製造業の自動化投資と工場スペックの向上
2026年現在、国内の電子機器製造業全体で自動化・省人化への投資が加速しています。
実装工程の自動化(3D-AOI・自動検査・自動搬送)・DX化(生産管理システム・トレーサビリティの電子化)への投資により、千葉県の実装工場のスペックも継続的に向上しています。
株式会社紀元製作所が最新のOMRON製基板外観検査装置を導入した例のように、個別工場レベルでの設備投資が品質水準の引き上げにつながっています。
この傾向は今後も続くと見込まれており、現在のスペックだけでなく各工場の設備投資方針も発注先選定の参考になります。
まとめ|千葉県の基板実装・EMS工場は8社、発注条件に合わせた選択が成功の鍵
千葉県の基板実装・EMS市場は2026年時点で8社体制という限られた状況ですが、各社はそれぞれ明確な強みを持っており、発注条件に合わせて選ぶことで適切なパートナーに出会えます。
試作・少量多品種なら流山市の株式会社三美・スイコー、長尺大型基板なら白井市の株式会社ミマス、N2環境実装なら木更津市のキクナ電子、医療機器・車載向けの高品質実装なら茂原市の双葉電子工業と白井市の株式会社ミマスが候補として浮かびます。
どの工場も「まず問い合わせてみる」というアクションが最初の一歩です。
発注条件(基板仕様・ロット数・用途・認証要件・はんだ種類・完成品対応の要否・部品調達の方向性)を整理した上で、複数社に同時並行で問い合わせることが最も効率的な進め方です。
千葉県の実装工場は数が限られている分、発注者と工場の距離が近く、細かな仕様変更・急な納期短縮にも比較的柔軟に対応してもらいやすい環境にあります。
この「近距離での密な連携」は、開発初期フェーズにおいて特に大きな価値を発揮します。
まずは候補の2〜3社に問い合わせを入れ、対応スピードと担当者の技術的理解の深さを比較してみてください。
それだけで、長期的に信頼できるパートナーかどうかの手応えが十分に感じ取れるはずです。
参考・関連情報
- 一般社団法人日本電子回路工業会(JPCA):https://www.jpca.org/
- 経済産業省(RoHS指令・化学物質管理):https://www.meti.go.jp/
- 国立研究開発法人産業技術総合研究所 柏センター:https://unit.aist.go.jp/ici/
- 千葉県産業支援技術研究所:https://www.pref.chiba.lg.jp/sangi/
※本記事に掲載している住所・電話番号・URLは調査時点(2026年4月)の情報です。
移転・変更の可能性があるため、お問い合わせ前に各社の公式サイトまたは法人登記情報にてご確認ください。



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