
「滋賀県内で基板実装を依頼できる工場を探しているが、どこに頼めばいいかわからない。」
そう悩んでいる調達担当者や設計エンジニア、スタートアップの創業者の方は、実は非常に多いです。
プリント基板の実装(SMT・DIP・混載)は、電子機器の品質を左右する最重要工程のひとつです。
発注先を間違えると、納期遅延・はんだ不良・部品誤実装といったトラブルが連鎖し、最終製品のリコールや顧客クレームにまで発展するリスクがあります。
このページでは、滋賀県内で基板実装・EMS(Electronics Manufacturing Services)事業を行っている工場を11社、エリア別に完全網羅して解説しています。
各社の所在地・電話番号・公式URL・事業の特徴・得意分野を一覧化しただけでなく、「どんな案件に向いているか」という発注判断の軸まで掘り下げています。
滋賀県は、琵琶湖を中心に湖南・湖東・湖北・湖西の4エリアに分かれており、エリアごとに集積する企業の性格も異なります。
大手メーカーグループのEMS子会社が集まる湖南エリア、試作・小ロット対応に強い湖東エリア、創業40年以上の老舗実装専業企業が多い湖北・湖西エリアという特徴があります。
このページを読み終えるころには、自社の発注条件に合った滋賀県内のパートナー企業へ、自信を持って問い合わせができる状態になっているはずです。
滋賀県が「基板実装の隠れた集積地」である理由
滋賀県は、電子機器製造の拠点として非常に恵まれた立地条件を持っています。
まず、京都・大阪・名古屋という三大都市圏に囲まれており、物流コストが低い点が挙げられます。
名神高速道路・新名神高速道路・国道8号線が縦断しており、陸路での部品調達や完成品納品がスムーズに行える環境です。
また、パナソニック・村田機械・東レといった大手メーカーがかつて(または現在も)滋賀県内に工場を構えていたことで、地域全体の電子製造スキルが底上げされてきた歴史があります。
大手の協力工場として長年の実績を積んできたEMS企業が多く、品質管理・工程管理のレベルが高いのも滋賀県の特徴です。
日本電子回路工業会(JPCA)の統計によれば、近畿地方は国内プリント基板実装の主要供給地のひとつとして位置づけられており、滋賀県はその中でも中核的な役割を担っています。
さらに、2000年代以降の製造業の海外移転によって、国内の実装工場の数は全国的に減少傾向にあります。
そのなかで滋賀県の実装企業は、「試作から量産まで国内完結」「品質トレーサビリティの担保」「短納期対応」という付加価値を磨き、生き残りをかけて技術を高度化させてきました。
発注側にとって、信頼できる国内実装パートナーを滋賀県で探すことは、非常に合理的な選択です。
基板実装・EMSの発注先選びで失敗しないための3つの判断軸
滋賀県内の会社を個別に紹介する前に、まず「どんな基準で選べばいいか」を整理しておきます。
発注先選びで失敗する最大の原因は、「価格だけで選んでしまうこと」です。
基板実装は、同じ仕様でも工場の設備・技術者のスキル・品質管理体制によって仕上がりが大きく変わります。
以下の3つの軸で候補を絞ることで、発注ミスのリスクを大幅に下げることができます。
軸①:ロット数(試作・小ロット vs 中量産・大量産)
試作1枚から対応してくれる企業と、最低ロット100枚から受け付ける企業では、得意とする生産体制がまったく異なります。
開発初期の動作確認や試作品であれば、小ロット対応に特化した工場を選ぶほうがコストと納期の両面で有利です。
一方、月産1,000台以上の量産フェーズに入ると、ラインの稼働効率や部品の一括調達力がある中大規模工場のほうが圧倒的に有利になります。
自社の現在のフェーズと、将来の量産計画を見据えた上で候補先を絞ることが重要です。
軸②:調達範囲(支給 vs 一括調達)
基板と電子部品を自社で用意して「実装だけ」を依頼するケースと、部品調達から組立・検査・梱包まで「すべてを丸投げ」するEMS形態では、パートナーに求める能力がまったく異なります。
部品支給型であればコスト管理がしやすい反面、部品調達の手間とリードタイムは自社負担になります。
一方、EMS形態は管理工数を大幅に削減できますが、パートナーの調達力・交渉力・在庫管理能力が品質に直結します。
特に半導体の供給不足が常態化している現在、部品調達力のあるEMS企業を選ぶことは、リスクヘッジの観点からも非常に重要です。
軸③:技術要件(実装難易度)
0402チップ(1.0mm×0.5mm)以下の微小部品、BGAやCSPといった高密度パッケージ、アルミベース基板への実装、防湿コーティング・ポッティングなどの後工程まで、基板実装の技術要件は案件ごとに大きく異なります。
工場が保有するマウンター・リフロー炉の世代と精度、X線検査機・AOI(自動光学検査)の有無、はんだ付け品質の管理手法(IPC-A-610準拠かどうか)などを事前に確認することが、技術的な発注ミスを防ぐ最短ルートです。
IPC(Association Connecting Electronics Industries)の品質基準については下記で確認できます。
【湖南エリア】大津・草津・竜王の基板実装・EMS工場
湖南エリアは、JR琵琶湖線沿線に大手メーカーの工場群が集積しており、高い技術水準のEMS企業が揃っています。
京都・大阪からのアクセスも良く、大企業との取引実績が豊富な企業が多いのが特徴です。
堅田電機株式会社(大津市)
開発・設計から部材調達、実装、完成品組立までを一貫して受託できるグローバルEMS企業です。
海外工場も保有しており、国内での試作・少量対応から海外での大量産まで、ワンストップで依頼できる点が大きな強みです。
国内でコスト競争力のある量産体制が必要な場合にも、海外拠点との連携で柔軟に対応できます。
グローバルサプライチェーンを活用した調達力と、品質管理の一元化を求める企業に特に向いています。
住所:〒520-0232 大津市真野6-2-6
電話:077-573-1168
公式サイト:https://www.katata.co.jp/
アガタ電子株式会社(大津市・草津市)
草津工場にて基板実装を行っており、試作1枚からの小ロット実装に強みを持つ企業です。
特に注目すべきは、メタルマスクが不要なディスペンサー塗布技術を保有している点です。
通常、基板実装ではクリームはんだ印刷のためにメタルマスク(数万円〜)の製作が必要ですが、この技術によってイニシャルコストを大幅に抑えることができます。
試作開発フェーズで何度も設計変更が発生する案件や、少品種・超小ロットの依頼に非常に向いています。
住所:〒520-2152 大津市月輪1-13-4(本社)/草津市青地町627(草津工場)
電話:077-547-3518
公式サイト:https://www.agata-g.co.jp/
株式会社SANO(草津市)
LED照明・電子機器の組立・実装を得意とし、独自の生産管理システムによって多品種少量生産に柔軟に対応している企業です。
草津市という滋賀県内でも特に物流利便性が高い立地に本社工場を構えており、関西圏からの短納期依頼にも対応しやすい環境にあります。
LED関連製品や照明制御基板など、民生・産業用途を問わず幅広い実績を持っています。
住所:〒525-0042 草津市山寺町269-6
電話:077-569-4130
公式サイト:http://sanoss.co.jp/
ムラテックメカトロニクス株式会社(蒲生郡竜王町)
村田機械グループのEMS専門会社であり、デジタル複合機などのOA機器製造で培った高精度な実装技術と、大規模生産に対応した組立ノウハウを持つ企業です。
グループ会社の製造ラインで磨かれた品質管理体制は、民生機器よりも高い信頼性が求められる産業用・業務用機器の基板実装に向いています。
大手企業向けの厳格な品質基準への対応実績があり、ISO認証を含む品質マネジメントへの対応力も高い水準にあります。
住所:〒520-2501 蒲生郡竜王町弓削37
電話:0748-57-2000
公式サイト:https://www.muratec.jp/mmc/
【湖東エリア】彦根・近江八幡の基板実装・EMS工場
湖東エリアは、彦根城で有名な歴史ある地域でありながら、電子産業の集積も厚いエリアです。
試作・開発段階の支援に強い企業と、大手グループの信頼性を持つ企業が並立しています。
パナソニックアソシエイツ滋賀株式会社(彦根市)
パナソニックグループの第三セクター方式による電子回路実装基板製造企業です。
重度障害者多数雇用事業所として社会的責任を果たしながら、電子回路実装基板の製造を行っており、グループの品質基準に準拠した高水準の製造管理体制を持っています。
パナソニックグループとの長年の取引を通じて積み上げられた品質管理ノウハウは、民間の実装専業企業では容易に実現できない水準にあります。
発注先の社会的責任(CSR・SDGs)を重視する企業からの引き合いも多い企業です。
住所:〒522-0055 滋賀県彦根市野瀬町マ子キ269番地
電話:0749-27-4000
公式サイト:https://panasonic.com/jp/company/living-appliances/company/pash/about_us.html
株式会社ユニクラフト(近江八幡市)
プリント基板の設計から製造・実装までをワンストップで提供する企業であり、イニシャル費用無料で1枚から製作可能なサービスを展開しています。
基板の設計・製造・実装を一括で依頼できる点は、開発リソースが限られているスタートアップや大学発ベンチャーにとって特に大きなメリットとなります。
試作開発の初期段階で「基板の設計は終わっているが、どこで作ればいいかわからない」という状況にある企業にとって、最初の問い合わせ先として非常に向いています。
住所:〒523-0893 近江八幡市桜宮町206-20 ヤマセビル2F
電話:0748-43-1760
公式サイト:https://unicraft-jp.com/
【湖北・湖西エリア】長浜・高島の基板実装・EMS工場
湖北・湖西エリアは、長浜市を中心に実装専業企業が多数集積しているエリアです。
創業30〜40年を超える老舗企業が多く、特定の技術分野に特化した深い実績を持つ企業が揃っています。
「技術力で選ぶ」ならば、このエリアの企業をしっかり比較検討することを強くおすすめします。
アドガワエレクトロニクス株式会社(高島市)
年間数千種類という圧倒的な実装実績を誇る、実装のプロフェッショナル集団です。
試作から中量産まで幅広く対応しており、手付け実装・リワーク(修正・手直し)への対応も可能な熟練技術者が揃っています。
特に「難しい実装」「特殊な基板形状」「試作時の設計変更対応」といった、標準的な量産ラインでは対応困難な案件を得意としています。
年間数千種類の多品種実績は、部品の特性・実装順序・熱管理など、経験の積み重ねでしか獲得できないノウハウの蓄積を意味します。
住所:〒520-1217 高島市安曇川町田中2668
電話:0740-32-3333
公式サイト:https://www.adogawa.co.jp/
ワボウ電子株式会社(長浜市)
大手企業のEMSを主力とし、基板実装から組立・検査・パッケージングまでを一貫した生産体制で担う企業です。
常時10ラインが稼働しており、多品種・小中大ロットと幅広い生産ニーズに対応しています。
産業機器向けをはじめ、高い信頼性が要求される電子機器の基板実装に豊富な実績を持ちます。
省力化・自動化を積極的に推進しており、品質の均一性と工程効率の両立を実現しています。
住所:〒526-0002 長浜市平方町730
電話:0749-63-5100
公式サイト:https://wabo.co.jp/
セキシン電子株式会社(セキシングループ)(長浜市)
「量産品から多品種少量品・特注品まで、真心と誠意あるものづくり」を掲げるセキシングループの中核企業です。
基板実装だけでなく、ハーネス加工や完成品組立にも対応しており、電子機器の製造工程を幅広くカバーしています。
長浜市の木之本町という地域に根ざした企業として、長年にわたって地元・関西圏の製造業を支えてきた実績があります。
特注品や少量品への対応に「真心と誠意」を持って応じる姿勢は、量産ラインでは対応困難な特殊仕様の案件を抱える発注元にとって、大きな安心感となります。
住所:〒529-0422 長浜市木之本町田部225(本社)/〒526-0015 長浜市神照町678-1(グループ拠点)
電話:0749-82-3233
公式サイト:https://www.sekishin-group.co.jp/
共和電子株式会社(長浜市)
基板実装の受託製造に加えて、PC機器やオゾン発生装置といった自社製品の開発・製造も手がける技術力のある企業です。
自社製品を持つEMS企業は、設計上の課題や製造上の問題を自社内でフィードバックするサイクルを持っているため、単なる受託加工企業よりも回路設計・部品選定への理解が深い傾向があります。
「実装だけでなく、製品設計の観点からもアドバイスが欲しい」という発注元にとっては、そうした技術的な踏み込みができる点が特に魅力です。
住所:〒526-0015 長浜市神照町888-5
電話:0749-63-8848
公式サイト:http://www.kyouwadenshi.co.jp/
荒木電子工業株式会社(長浜市)
大型基板(Lサイズ以上)の実装や、1日1,000台以上の量産対応を強みとする企業です。
自動はんだ付け装置をはじめとした充実した生産設備を保有しており、大ロット・量産フェーズに入った案件での安定供給力は特筆に値します。
試作から量産への移行フェーズで「今の実装先では量に追いつかない」という状況になったとき、最初に検討すべき候補として挙がる企業のひとつです。
住所:〒526-0804 長浜市加田町2580
電話:0749-65-8250
公式サイト:http://www.arakidenshi.co.jp/
滋賀県内の基板実装・EMS工場を比較するときの実践的チェックリスト
ここまで11社を紹介してきましたが、問い合わせ前にあらかじめ自社の発注条件を整理しておくことで、比較・検討の精度が格段に上がります。
以下のチェックリストを活用してください。
発注前に確認すべき5項目
まず、基板サイズと実装面の確認です。
片面・両面・多層、また基板の寸法(最小・最大)が工場の対応範囲内かを確認します。
次に、部品の最小サイズの確認です。
0603(1.6mm×0.8mm)か0402(1.0mm×0.5mm)か、BGAやQFNなどのパッケージ形態が工場のマウンター精度に合っているかを事前に問い合わせます。
三番目は、はんだの種類の確認です。
鉛フリーはんだ(RoHS対応)が必要か、有鉛(共晶)はんだで良いか、銀レスはんだへの対応が必要かを明確にします。
四番目は、検査工程の確認です。
AOI(自動光学検査)・X線検査・ICT(回路テスト)・機能試験まで、どの工程まで依頼するかを決めておきます。
五番目は、品質認証の確認です。
ISO 9001・ISO 14001・IPC-A-610(はんだ付け検査基準)への対応状況を確認することで、品質管理水準の目安を把握できます。
基板実装の発注でよくある失敗とその回避策
基板実装の発注でもっとも多いトラブルは、「図面・ガーバーデータの不備」と「部品の手配ミス」です。
ガーバーデータ(基板製造用のCAMデータ)に部品のフットプリントと実際の部品サイズの不一致があると、実装後に部品がはみ出す・浮くといった問題が発生します。
また、ピン間距離(ピッチ)の表記ミスや部品番号の誤記載は、誤実装の直接的な原因になります。
こうした問題を防ぐために、信頼できる実装会社は事前に「DFM(Design For Manufacturability)チェック」を実施してくれます。
DFMチェックとは、実装性の観点から基板設計データを事前に検証し、製造上の問題を洗い出すプロセスのことです。
発注先を選ぶ際には、このDFMチェックを無料あるいは低コストで提供しているかどうかも、重要な評価基準のひとつとして加えてください。
製造受託の品質基準については、IPC(Association Connecting Electronics Industries)の各種規格が国際的な基準として広く使われています。
また、国内のプリント基板技術動向については、日本電子回路工業会(JPCA)の情報も参考になります。
滋賀県でEMSパートナーを選ぶ際の「現場視点」のアドバイス
最後に、現場の実態から見た発注先選びのアドバイスをお伝えします。
工場見学を積極的に行うことを強くおすすめします。
カタログやWebサイトに書かれていることと、実際の工場の現場環境には、思いの外大きなギャップがあることがあります。
ラインの整理整頓の状態、作業者のユニフォームやキャップの着用状況、温湿度管理の徹底具合、電子部品の防湿保管の状態など、工場見学の30分で見えてくる情報量は、資料を読み込む時間の何倍もの価値があります。
良い実装工場には、共通して「整然とした部品管理棚」「清潔で静電気対策が徹底されたESD管理区域」「工程ごとの品質チェックシートの記録」という3つの特徴が見られます。
また、担当営業・技術者の「レスポンスの速さ」も重要なシグナルです。
問い合わせから見積もり提示までのスピード、技術的な質問に対する回答の具体性は、実際の生産管理能力を反映していることが多いです。
「対応が遅い工場は、製造も遅い」というのは、業界では広く知られた経験則です。
発注前には必ず複数社に問い合わせ、見積もりと技術的な質疑応答の両方を比較することで、自社に最適なパートナーを見極めてください。
まとめ:滋賀県の基板実装・EMSは「エリア」と「目的」で選ぶ
滋賀県には、個性と実力を兼ね備えた基板実装・EMS企業が11社以上集積しています。
湖南エリアはグローバルEMSや大手グループ企業が強みを持ち、量産対応力とグループ品質基準への対応が求められる案件に向いています。
湖東エリアは試作・小ロット・設計支援まで一括対応できる企業が揃っており、開発初期フェーズの案件に強いです。
湖北・湖西エリアは創業数十年の老舗実装専業企業が多く、多品種少量・特注品・難易度の高い実装案件に向いています。
「どこに頼めばいいかわからない」という状態から、「自社の案件に合う滋賀県のパートナーがわかった」という状態に変わっていれば、このページの目的は達成されています。
ぜひ、本ページで紹介した各社の公式サイトを確認し、まずは問い合わせから始めてみてください。
基板実装は、電子機器の品質を決める根幹の工程です。
信頼できる国内パートナーとの長期的な関係構築が、製品の競争力と事業の安定につながります。







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