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日本のEMS業界を網羅したリファレンスはなぜ存在しないのか|業界白書2026年版を編纂した理由

EMS業界の調達担当、経営層、投資家、コンサルタントの方であれば、一度は同じ問題に直面したことがあるはずである。

「日本のEMS業界の全体像を、信頼できるデータで把握したい」という単純なニーズに対して、参照できる文献が驚くほど少ないのである。

矢野経済研究所、富士キメラ総研、IDC Japan、ガートナー。日本国内の主要調査会社のレポートを探しても、Electronics Manufacturing Servicesとしての日本市場を正面から扱った網羅的な業界白書は、これまで存在しなかった。

「EMS」という言葉が「エネルギーマネジメントシステム(Energy Management System)」と検索結果で混在することも、この情報空白を生む一因となっている。

実際、矢野経済研究所が公開している関連レポートの多くは電力管理分野のEMSであり、電子機器受託製造としてのEMS市場の体系的な分析は、業界紙の連載記事を継ぎ接ぎする以外、入手手段がない状況が長く続いてきた。

基板実装.comでは、この業界の構造的な情報空白を埋めるために、過去12年間にわたり47都道府県のEMS会社データベースを構築し、上場EMS関連企業のIR分析を継続的に発信してきた。

今回、これらの蓄積を1冊の網羅的なリファレンスとしてまとめた「日本のEMS業界年次白書 2026」(PDF・97ページ・全25章+付録ABCDE)を完成させた。

本記事では、なぜ業界白書が必要だったのか、何を収録したのか、想定読者は誰か、を整理して紹介する。

本文末尾に、note上での販売ページへのリンクを掲載している。

目次

なぜ日本のEMS業界には網羅的なリファレンスがなかったのか

理由は3つある。

第一に、日本のEMS業界は構造的に把握しにくい。

上場EMS関連企業は16社程度だが、実際にEMS事業を行っている事業者は612社確認できる(基板実装.com調べ・2026年4月時点)。

この数字には、大手電機メーカーの製造子会社(PFU、宮崎キヤノン、島根富士通、白河オリンパス等)、中堅独立系(応用電機、ソアー、コネクテックジャパン等)、地域密着型の中小事業者が含まれる。

これらを統合的に把握するには、上場企業のIRだけでなく、各社の公式情報、地域の産業統計、業界紙報道を横断する必要がある。

第二に、世界市場と日本市場の構造が大きく異なる。

世界EMS市場では、フォックスコン1社で世界シェアの約46%(2023年度)を占める寡占構造であり、上位は台湾系・米国系・中国系が支配している。

一方、日本国内市場は、規模では世界市場の約3%程度ながら、車載・産業機器・医療機器など「高品質・長期供給」が要求される業種で独自のポジションを持つ。

世界EMSのレポートをそのまま日本に当てはめても、現実を正確には反映しない。

第三に、日本の主要調査会社が日本国内EMS市場の独自分析を発表していない。

矢野経済研究所、富士キメラ総研、IDC Japanのいずれも、世界EMS市場の数値は提示するが、日本国内の市場規模、地域分布、業種別動向、後継者問題の実態などを統合的に扱った文献は、本書執筆時点で確認できない。

これは、日本市場の規模が世界全体の中で相対的に小さく、調査会社にとっての投資対効果が成立しにくいためと推測される。

結果として、日本のEMS業界に関する情報は、業界紙の連載記事、各社のIR資料、自治体の産業統計、研究者の論文などに分散しており、これらを統合して全体像を把握するには、相当な時間と労力が必要となる。

業界白書2026の収録内容

本書は7部構成・全25章+付録ABCDEから成る。

総ページ数97、本文約65,000字、収録図表・カオスマップ多数。

第1部「業界俯瞰」では、EMSの定義、世界市場規模、日本国内市場規模の独自試算、競争環境のカオスマップを扱う。

世界EMS市場は2024年6,098億ドルから2032年に1兆332億ドルへ、CAGR 6.9%で成長する見通しである(Fortune Business Insights調査)。

一方、日本国内のEMS市場規模については、上場16社の連結売上、大手系列子会社の推定売上、中堅・中小の業界統計を統合し、約3兆円と試算した。

これは世界市場の約3%にあたる。

第2部「主要企業分析」では、上場EMS関連16社(シークス、メイコー、加賀電子、UMCエレクトロニクス、新光電気工業、タムラ製作所、JOHNAN等)の詳細プロファイルを収録した。

各社の最新IR数値、海外展開、強みと弱み、2025〜2026年の重要トピック(新光電気工業の上場廃止、加賀電子による協栄産業買収など)を網羅している。

第5章では大手電機メーカーの製造子会社の役割、第6章では中堅独立系・地域チャンピオンと商社系のEMS参入動向を扱う。

第3部「地域別分析」では、47都道府県別のEMS集積を分析した。

中部地方179社(長野47、静岡40、新潟24、石川21など)、関東地方152社、東北地方95社、九州地方61社、関西地方57社、中国地方43社、四国地方23社、北海道2社の合計612社の分布を、地域特性とともに解説している。

長野県諏訪・上伊那の精密工業集積、静岡県浜松の自動車・楽器・光学融合、福島県の医療・車載・計測通信の3クラスター並立など、産業集積の歴史的背景と立地戦略を扱う。

第4部「業種別ディープダイブ」では、自動車エレクトロニクス、産業機器・FA、医療機器、通信機器・半導体、民生機器・新興分野(フィジカルAI含む)の業種別動向を分析する。

それぞれの業種で要求される認証規格(IATF 16949、ISO 13485、AS9100、AEC-Q100、ISO 26262)と、対応する主要EMSプレイヤーを整理した。

第5部「構造的課題」では、サプライチェーン・リスク(ホルムズ海峡危機、米セクション232関税、半導体不足)、人材・労働力課題、利益構造とマージン圧迫、デジタル化・AI活用を扱う。第15章のサプライチェーン・リスクは、基板実装.comが過去に発信してきたホルムズ海峡危機関連レポートと整合させた内容である。

第6部「戦略動向」では、M&A・事業承継動向、海外展開戦略、高付加価値化戦略、業界再編シナリオを扱う。

新光電気工業のJICC MBO(2025年6月6日上場廃止)、加賀電子による協栄産業買収(2025年7月18日連結子会社化)、サンミナのAMD ZTシステムズ買収など、2024〜2026年の主要M&A案件を時系列で整理した。

第7部「将来予測と戦略提言」では、2030年までの市場予測、経営者・投資家への戦略提言、政策提言を扱う。

経営者の戦略選択肢を「規模追求型」「専門特化型」「地域密着型」の3つに整理し、それぞれに必要な能力と実行施策を提示している。

付録Aは上場EMS企業16社の財務データ一覧、付録Bは47都道府県別EMS分布データの完全版、付録Cは主要M&A案件一覧(2020〜2026年)、付録Dは業界用語集、付録Eは参考文献・関連記事URL集である。

編纂方針:エビデンス・ベースの徹底

本書はすべての記述に出典を明示する方針で編纂した。

各上場企業の業績数値は、各社の最新IR資料、決算短信、有価証券報告書から直接引用している。

各社の本社所在地、創業年、子会社数、海外売上比率、主要顧客などは、公式企業情報、法人番号公表サイト(gBizINFO)、各社公式サイトでクロスチェックした。

地政学リスクの記述(ホルムズ海峡危機、米セクション232関税)は、経済産業省、JETRO、日本経済新聞、ロイター、ブルームバーグ等の一次情報源を参照し、関連する基板実装.comの過去レポート(ホルムズ海峡危機影響レポート2026)と整合させている。

47都道府県の612社分布データは、基板実装.comが独自に構築・継続更新しているデータベースから集計したものである。

業種別市場規模の独自試算は、上場16社のEMS事業セグメント売上、推定された大手系列製造子会社の規模、業界紙報道による中堅・中小事業者の集計を統合した、本書独自の試算方法による。

「業界の方向感」を伝える記述ではなく、「数値の出所が辿れる」記述に徹した。

これが49,800円という価格設定の信頼性の根拠である。

想定読者と活用シーン

本書は5つの読者層を想定している。

EMS事業者の経営層・経営企画担当にとっては、自社のポジショニング把握、競合分析、中期経営計画立案、M&A候補スクリーニングのリファレンスとなる。

各章には出典が明記されているため、取締役会用の業界レポート作成、新規事業検討の基礎資料、社内研修資料への引用が可能である。

電子機器メーカーの調達・購買担当にとっては、47都道府県別の分布データ、業種別の主要EMSプレイヤー、認証取得状況の整理が、新規調達先の検討と既存サプライヤーの代替候補リスト作成に直接使える情報である。

投資家・PEファンド・M&A担当者にとっては、第19章のM&A動向、第22章の業界再編シナリオ、付録Cの案件一覧、付録Aの上場16社財務データが、投資判断・買収候補検討の前段階資料として有用である。

経営コンサルタント・業界アナリストにとっては、すべての記述に出典が示されているため、クライアント提案書への引用が容易である。

コンサルティング・ファームのレポート作成基礎資料として活用できる。

自治体・産業振興団体・大学研究者にとっては、地域の電子製造業集積の現状把握、産業振興施策の立案、研究論文の資料、学生のキャリア教育資料としての価値がある。

価格と販売形態について

本書の販売価格は49,800円(税込)である。

販売形態は、note上のテキスト記事+有料コンテンツ機能を利用したPDF配信を採用した。

矢野経済研究所、富士キメラ総研、IDC Japanの業界レポートは1冊20〜50万円が一般的な価格帯であり、ガートナー、フォレスター、IDCのカスタムレポートは1案件100〜300万円の価格設定が標準である。

本書は日本国内のEMS業界に特化した網羅的リファレンスとして、これらの10分の1〜20分の1の価格で提供する。

調達担当者・経営層・コンサルタントが、業務時間1〜3時間で本書から得られる情報を、他のソースから集めようとすれば、業務時間にして20〜40時間相当の調査工数が必要となる。

時給5,000円換算でも10〜20万円の人件費に相当する。

49,800円という価格は、業務効率化と意思決定の質向上を考えれば、即日回収できる投資である。

2027年春には次年度版(2027年版)を発行予定である。

業界の構造変化は今後も続くため、本書を年次リファレンスとして、毎年の戦略立案・調達計画・投資判断に役立てていただきたい。

よくある質問

本書はどのような形式で提供されますか

PDF形式(A4・97ページ・約1.2MB)で提供する。

note上での購入完了と同時に、PDFをダウンロードして利用できる。印刷物の郵送は行っていない。

矢野経済やIDCのレポートと何が違いますか

大手調査会社のレポートは世界市場全体の概観を扱うことが多く、日本国内のEMS業界に特化した分析は含まれていても断片的である。

本書は日本国内市場に特化し、上場16社の詳細プロファイル、47都道府県の分布、業種別分析、地政学リスク、M&A動向、将来予測までをワンストップで提供する。

価格も10分の1〜20分の1である。

社内利用や引用は可能ですか

社内の調達検討、投資判断、戦略策定の参考資料としての利用は自由である。

引用する場合は出典を明記してほしい。再販、再配布、社外への提供は禁止としている。

次年度版の予定はありますか

2027年春に次年度版(2027年版)を発行予定である。

業界の構造変化は継続的に発生するため、本書を年次リファレンスとして毎年更新していく方針である。

内容についての質問や誤植の報告はどうすればよいですか

基板実装.comのお問い合わせフォームから連絡してほしい。

指摘いただいた内容は、次年度版の改訂に反映する。

本書の購入について

本書「日本のEMS業界年次白書 2026」は、note上で販売中である。

下記のリンクから、PDFファイル(97ページ・1.2MB)を購入・即時ダウンロードできる。

【note販売ページ】 日本のEMS業界年次白書 2026 

購入後の質問、内容に関する指摘、誤植の報告などは、基板実装.comのお問い合わせフォームから受け付けている。

次年度版(2027年版)の改訂に反映する。

関連する基板実装.comのコンテンツ

本書を補完する基板実装.comの過去コンテンツを紹介する。

第15章のサプライチェーン・リスク分析をさらに詳しく扱った「2026年ホルムズ海峡危機が電子部品・半導体サプライチェーンに及ぼす納期遅延リスクと構造的影響の包括的分析」は、業界白書と併読することで、現在進行形の地政学リスクの実態を立体的に把握できる。

付録Bの47都道府県分布の完全データベース版「全国EMS会社プロフェッショナルデータベース2026」(Excel・612社×25項目)は、業界白書で全体像を把握した後、個別営業先の選定・サプライヤー候補のロングリスト作成に活用できる。

業界白書の理論を実務で活用する5つのツール(PCBA Cost Estimator、IPC Class Advisor、Yield Calculator、EOL Risk Checker、BOM Checker)も、基板実装.comで提供している。

おわりに

日本のEMS業界に関する情報の空白を埋めるために、本書を編纂した。完璧な内容ではないかもしれないが、調達担当・経営層・投資家・コンサルタント・研究者の方々が、業界の全体像を効率的に把握するための出発点として、十分な実用性を持つと考えている。

本書を年次リファレンスとして、皆様の業務に役立てていただければ幸いである。

【note販売ページ】 日本のEMS業界年次白書 2026 

【発行情報】 書名:日本のEMS業界年次白書 2026 発行:基板実装.com / SMTインサイダー 発行日:2026年4月27日 版:Vol.001 / 2026年版(第1版) 価格:49,800円(税込) 形式:PDF(A4・97ページ) 次回発行予定:2027年版(2027年春発行予定)

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