【2026年6月30日】基板実装市場レポート

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エグゼクティブサマリー

過去1日分の公開一次情報を確認した範囲では、アナログICについて、主要メーカーから新たな大規模EOL・PCNが6月29日に公式発表された事実は確認できませんでした。

したがって本日は、直近で有効な公式PCN/EOL、決算資料、市場在庫・価格動向をもとに、基板実装に影響するアナログICのリスクを整理します。

最大の注意点は、アナログIC市場が「全体として回復局面」にある一方で、産業機器、車載、データセンター、AI関連設備向けの需要が強く、電源管理IC、センサーIC、アナログスイッチ、オペアンプ、絶縁・インターフェース系ICなどで価格・納期リスクが残っている点です。

TIは2026年第1四半期にAnalog売上が前年同期比22%増、ADIは2026年度第2四半期に売上36.2億ドル、全エンド市場で前年比成長と発表しています。


1. カテゴリ別動向:アナログIC全体

1-1. 汎用アナログIC

オペアンプ、コンパレータ、リファレンス、アナログスイッチ、マルチプレクサ、電源監視ICなどの汎用アナログICは、基板実装部品の中でも代替が簡単に見えて実際には難しい領域です。

ピン互換品があっても、入力オフセット、ノイズ、帯域、消費電流、ESD、ラッチアップ耐性、温度範囲、パッケージ熱特性が異なるため、医療機器、計測器、FA装置、通信機器では再評価が必要になります。

ADIの直近PCNでは、AD75019のデータシート改訂が通知されています。

これはシリコン、電気特性、フォーム・フィット・ファンクション、品質、信頼性には影響しない「文書変更」とされていますが、Pin 39/40が「NC」から「DNC」、説明も「Do Not Connect」へ明確化されています。既存基板で該当ピンをGNDやテストポイントに接続している場合は、実害がなくても設計ルール上の再確認が必要です。

1-2. 磁気センサー・車載系アナログIC

重要なEOLとして、ADIのADA4571W系の製品中止通知があります。PDN 26_0031では、ADA4571WHRZ-R7が中止対象で、代替品はADA4571WHRZ-1-R7、ピン互換は「Yes」とされています。

発行日は2026年6月8日、最終発注日は2027年6月8日、最終出荷日は2028年4月30日です。

ADA4571系は磁気角度・位置検出用途で使われる可能性があるため、モーター制御、ロボット、車載・産業機器の位置検出基板では注意が必要です。

ピン互換と記載されていても、量産品ではセンサー出力、温度補正、キャリブレーション、ソフトウェア側の閾値、診断ロジックを確認する必要があります。

1-3. 電源管理IC・LDO・ロードスイッチ

DiodesのPCN一覧では、2026年1月〜4月にかけて、アナログカテゴリで複数のFab移管、追加ウェハソース、BOM標準化、EOLが掲載されています。

例えばPCN-2783は「Internal Wafer Fabrication Source SPFAB」の認定とBOM標準化、PCN-2782はSK Key Foundry FAB3からFAB4へのFab移管、PCN-2774は複数Fab・複数組立/テストサイト追加を含む変更です。

対象にはAP2141/AP2151系、AZ1117、AZ431、AP2205、AP22652、AP7375、AS331、PI5A3157、ZXRE系など、ロードスイッチ、LDO、シャントレギュレータ、アナログスイッチ、リファレンス系と見られる型番が含まれます。

これらは基板上では小型・低単価部品ですが、電源投入シーケンス、USB給電、センサー電源、マイコン周辺電源に関わるため、代替時の影響は大きくなります。


2. 重要EOL/PCN情報

ADI:ADA4571Wの製品中止

ADIのPDN 26_0031は、ADA4571WHRZ-R7の製品中止を通知しています。代替はADA4571WHRZ-1-R7で、ピン互換ありとされています。

最終発注日は2027年6月8日、最終出荷日は2028年4月30日です。

実務上は、以下を確認してください。

  • ADA4571WHRZ-R7を含むBOMの抽出
  • ADA4571WHRZ-1-R7への置換可否
  • 磁気センサー出力特性の再評価
  • ECU、モーター制御、エンコーダ、角度検出用途でのソフトウェア閾値確認
  • 2027年6月8日までのLTB要否判断

ADI:AD75019のデータシート改訂

ADIのPCN 26_0084は、AD75019のデータシート改訂です。

Pin 5/6/39/40の記載変更が主な内容で、ADIはこの変更について、デバイスシリコン、電気性能、フォーム、フィット、ファンクション、品質、信頼性に影響しないと説明しています。

ただし、DNC表記になったピンがあるため、過去設計で未使用ピンをベタGND、評価用ランド、ICTパッドなどに接続している場合は、設計レビューが必要です。

Diodes:アナログICのFab移管・追加ソース・EOL

Diodesの公式PCN一覧では、2026年に複数のアナログカテゴリPCNが確認できます。

PCN-2782はSK Key Foundry FAB3からFAB4へのFab移管、PCN-2783は内部ウェハFab追加、PCN-2774は複数Fab・組立・テストサイト追加、PCN-2772はAnalog Product End of Lifeです。

Fab移管やBOM標準化は供給継続のための前向きな変更でもありますが、車載・産業用途ではPPAP、AEC-Q、顧客承認、信頼性レポート、サンプル評価が必要になる場合があります。


3. 市場在庫・リードタイム・価格トレンド

アナログICの市場は、メモリのような一律の急騰ではなく、用途別に濃淡があります。

AIデータセンター、産業AI、車載、ロボット、電源制御、センサー信号処理に近い部品は強く、民生汎用品は比較的落ち着いている可能性があります。

TIは2026年第1四半期に、Analog売上が前年同期比22%増と説明しています。

また同社は、産業およびデータセンターで需要加速が続いたとしています。

ADIは2026年度第2四半期に、売上36.2億ドル、全エンド市場で前年比成長、特にIndustrialとCommunicationsが牽引したと発表しています。

さらに決算説明では、Industrial AI関連アプリケーションとAutomotiveで建設的な需要シグナルがあるとしています。

STMicroelectronicsも2026年第1四半期に、Analog products, MEMS and Sensorsを含むAM&Sセグメントの売上が13.2億ドル、前年同期比23.2%増だったと発表しています。

また、流通在庫は正常化し、受注は強いと説明しています。

一方で、リードタイムや価格については、メーカー公式資料だけでは型番別の正確な週数を一律に確認できません。

したがって、特定型番について「何週」と断定することは避けます。

二次・準一次情報では、PMICや車載グレード品で20〜52週超、広範なアナログ品で20〜26週、ハイエンドアナログ・パワー品で35週超といった報告がありますが、これはメーカー公式の型番別保証値ではありません。

価格面では、ADIやNXP、TIなどの価格改定に関する市場報道がありますが、公開一次情報で全製品一律の改定率を確認できないケースが多いため、個別見積もりでの確認が必要です。


4. 基板実装への影響

アナログICは、単価だけで見ると軽視されがちですが、基板機能の根幹に関わる部品です。

電源管理ICが変われば、起動シーケンス、突入電流、低電圧検出、リセットタイミングが変わる可能性があります。

オペアンプやコンパレータが変われば、ノイズ余裕、発振リスク、センサー読み取り値、保護回路の閾値が変わります。

アナログスイッチやマルチプレクサが変われば、オン抵抗、リーク、容量、クロストーク、チャージインジェクションが変わります。

特にDNCピン、NCピン、露出パッド、サーマルパッド、未使用入力の扱いは、PCN・データシート改訂で見落とされやすい部分です。

ADIのAD75019 PCNのように「文書変更のみ」と明記されていても、設計図面・CADライブラリ・検査治具・ICT条件が古いデータシートに基づいている場合、量産現場では混乱が起きます。


5. 調達部門向けアクション

まず、アナログICについては「価格が上がってから買う」のではなく、BOM上の置換困難品を先に特定してください。

特に確認すべき部品は以下です。

  • ADI、TI、ST、onsemi、Diodes、Microchip、NXPなどのアナログIC
  • 車載・産業グレードのPMIC、LDO、DC/DC、ロードスイッチ
  • オペアンプ、コンパレータ、アナログスイッチ、マルチプレクサ
  • 磁気センサー、電流センサー、温度センサー、絶縁アンプ
  • 代替候補が1社しかない部品
  • 顧客承認・安全規格・医療認証に紐づく部品

ADA4571WHRZ-R7を使っている場合は、2027年6月8日の最終発注期限を基準に、年間使用量、保守在庫、顧客認証期間を逆算してください。


6. 設計部門向けアクション

設計部門は、EOL品だけでなくPCN品も確認対象にしてください。

Fab移管、テストサイト追加、BOM標準化、データシート改訂は、すべて設計・品質レビュー対象です。

特に、以下を推奨します。

  • NC/DNCピン接続の再確認
  • 代替ICの絶対最大定格と推奨動作条件の比較
  • 入力保護、ESD、ラッチアップ耐性の比較
  • ノイズ、オフセット、温度ドリフトの再評価
  • 電源投入・遮断時の波形確認
  • ICT・FCT治具の検査閾値見直し
  • CADライブラリ、部品表、購買型番の同期

ADIのAD75019 PCNは文書変更のみですが、DNC表記が出ているため、旧図面で接続していないかを確認する価値があります。


7. 経営部門向けアクション

経営部門は、アナログICを「安い汎用品」と見ないことが重要です。

アナログICは認証済み基板、長寿命製品、産業機器、車載、医療機器では、置換に数か月〜1年以上かかる場合があります。

TI、ADI、STの決算情報を見る限り、アナログ・センサー・産業向け半導体需要は回復しており、AI・産業・車載が需要を押し上げています。

そのため、2026年下期〜2027年に向けて、以下を経営判断として進めるべきです。

  • 重要アナログICの12〜18か月先需要の見える化
  • EOL/PCN監視体制の標準化
  • セカンドソース承認の予算化
  • LTB資金の確保
  • 代理店・メーカーとのLTA交渉
  • 顧客承認が必要な代替設計の前倒し

8. 本日の結論

2026年6月30日時点のアナログIC市場では、過去1日で新たな大規模公式EOLは確認できませんでした。

しかし、直近の公式PCN/EOLを見ると、ADIのADA4571W中止、AD75019のデータシート改訂、DiodesのアナログIC向けFab移管・追加ソース・EOLなど、基板実装に影響する変更は継続しています。

アナログICは、価格・納期だけでなく、品質承認、設計検証、量産検査、顧客認証に直結します。

今週の実務では、まずADA4571WHRZ-R7、AD75019、Diodesのアナログ系PCN対象品をBOMと照合し、EOL・PCN・代替・再評価の要否を確認してください。

一次情報・参考ソース一覧

  1. Texas Instruments Q1 2026決算・Analog売上動向。
  2. Analog Devices FY2026 Q2決算発表。
  3. Analog Devices FY2026 Q2決算説明資料。
  4. STMicroelectronics Q1 2026決算発表。
  5. ADI PDN 26_0031:ADA4571W製品中止通知。
  6. ADI PCN 26_0084:AD75019データシート改訂。
  7. Diodes公式PCN一覧:AnalogカテゴリPCN/EOL。
  8. TI公式PCN説明ページ。
  9. 市場リードタイム参考情報。

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