積層セラミックコンデンサ(MLCC)材料産業の包括的分析:サプライチェーンの深層、技術的フロンティア、および市場軌道に関する専門調査報告書

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目次

1. エグゼクティブサマリー

本報告書は、現代エレクトロニクス産業の基盤を支える「産業のコメ」である積層セラミックコンデンサ(MLCC)の材料エコシステムについて、可能な限り詳細かつ網羅的な分析を行うものである。

スマートフォンから人工知能(AI)サーバー、電気自動車(EV)に至るまで、MLCCの需要は爆発的に拡大しており、その性能向上は、誘電体、電極、およびプロセス材料の革新に完全に依存している。

本稿では、チタン酸バリウム(BaTiO3)を中心とする誘電体材料、ニッケル(Ni)および銅(Cu)を用いた内部電極材料、そして製造プロセスを支えるバインダー、分散剤、離型フィルムといった有機材料の各セグメントにおける技術動向と主要プレイヤーを徹底的に調査した。

特に、村田製作所やSamsung Electro-Mechanics(SEMCO)といった垂直統合型メーカーの内製化戦略と、堺化学工業、住友金属鉱山、東レ、信越化学工業などの専門材料サプライヤーによる技術革新の相互作用に焦点を当てる。

調査結果は、MLCCの高性能化(小型化・大容量化)が、ナノメートルオーダーの材料制御技術によってのみ達成可能であることを示している。

また、地政学的な供給リスクの観点から、日本企業が依然としてハイエンド材料市場で圧倒的なシェアを保持している一方で、中国メーカーの台頭が汎用品市場において顕著である現状を明らかにする。


2. 序論:MLCCの戦略的景観と材料技術の重要性

2.1 エレクトロニクス産業における「ダム」としての機能

積層セラミックコンデンサ(MLCC: Multi-Layer Ceramic Capacitor)は、電子回路において電荷を一時的に蓄え、必要なタイミングで放出することで電圧を安定させ、ノイズを除去する役割を果たす受動部品である。

その機能はしばしば「ダム」に例えられ、現代のあらゆる電子機器の安定動作に不可欠である。

最新のハイエンドスマートフォンには約1,000個、電気自動車(EV)には10,000個以上、さらにNvidiaのBlackwellプラットフォームのような最先端AIサーバーには、前世代の10倍にあたる膨大な数のMLCCが搭載されると推定されている。

2.2 容量決定のメカニズムと材料への要求

MLCCの静電容量 Cは、以下の式で表される。

ここで、εは誘電率S は電極の対向面積、d は誘電体の厚み、nは積層数を指す。

市場の要求である「小型化かつ大容量化」を実現するためには、誘電体材料の誘電率(ε)を高めつつ、誘電体層の厚み(d)を極限まで薄くし、かつ数百〜千層以上の積層数(n)を実現する必要がある。

この物理的制約が、材料メーカーに対して、サブミクロンからナノメートルオーダーの均一な粒子制御、欠陥のない薄膜形成技術、そして異種材料(セラミックと金属)の同時焼成技術を要求しているのである。


3. 誘電体材料:セラミック粉末の技術とサプライチェーン

MLCCの性能を決定づける核心的な材料が、誘電体セラミックスである。

主原料としては、高い比誘電率を持つチタン酸バリウム(BaTiO3)が広く採用されている。

3.1 チタン酸バリウム(BaTiO3)の合成技術と特性制御

チタン酸バリウムの製造には、主に「固相法」と「水熱合成法」の2つのアプローチが存在し、それぞれが異なる特性とコスト構造を持つ。

3.1.1 固相法とその技術的課題

固相法は、炭酸バリウム(BaCO3)と酸化チタン(TiO2)を混合し、1100℃以上の高温で仮焼(焼成)して反応させる伝統的な手法である

  • プロセス概観: 原料混合 $\rightarrow$ 仮焼 $\rightarrow$ 粉砕 $\rightarrow$ 乾燥。
  • メリット: 製造コストが比較的低く、量産に適しているため、汎用グレードのMLCC向けに広く利用される。
  • デメリット: 高温反応により粒子同士が焼結(Agglomeration)しやすく、微細な一次粒子を得るためには強力な粉砕工程が必要となる。しかし、粉砕は粒子表面に欠陥を生じさせ、結晶性を低下させる要因となる。また、出発原料であるTiO2の粒子径に最終製品のサイズが依存するため、ナノレベルの微細化には限界がある。

3.1.2 水熱合成法と堺化学工業の技術的優位性

水熱合成法(Hydrothermal Synthesis)は、高温高圧の水溶液中でイオン反応により直接チタン酸バリウムを合成する手法である。

  • プロセス概観: バリウム塩とチタン化合物を水溶液中で反応(60〜300℃程度) $\rightarrow$ 洗浄 $\rightarrow$ 乾燥。
  • 技術的特長:
    1. 低温合成: 固相法に比べて低温で反応が進むため、粒子間の凝集が極めて少なく、分散性に優れた球状粒子が得られる。
    2. 原子レベルの均一性: 液相反応であるため、原子レベルでのストイキオメトリー(Ba/Ti比)の制御が容易であり、高純度かつ高結晶性の粉末が得られる。
    3. 微細化への対応: 数十ナノメートルからサブミクロンオーダーまで、粒子径を精密に制御可能である。
  • 堺化学工業の地位: 堺化学工業は、この水熱合成法を用いた誘電体粉末製造の世界的リーダーである。同社の「BTシリーズ」は、MLCCの誘電体層に使用されるだけでなく、電極材料への添加剤(共材)としても使用されている。特に、同社の技術は100nm以下の領域でも高い正方晶性(Tetragonality、c軸/a軸比)を維持することを可能にしており、これが高誘電率の発現に寄与している。正方晶性は強誘電性の指標であり、微粒子化すると立方晶(常誘電体)に転移しやすい「サイズ効果」を克服するために極めて重要なパラメータである。

3.2 誘電体材料の主要サプライヤーと市場構造

誘電体材料市場は、MLCCメーカーによる内製化と、専業化学メーカーによる外販が共存する複雑な構造を持っている。

メーカー名本社主要製品・技術市場における役割
堺化学工業日本水熱合成BaTiO3、BTZ、チタン酸ストロンチウム外販市場のトッププレイヤー。ハイエンドMLCC向けに強み
千葉セラミック工業日本BaTiO3系(ε=1300-7000)、CaTiO3系顧客の要望に応じたカスタム材料開発、受託加工に強み
日本化学工業日本固相法、シュウ酸法によるBaTiO3汎用から中高級グレード向けの安定供給。
富士チタン工業日本各種チタン酸塩石原産業の子会社として高純度材料を展開。
Chaozhou Three-Circle (三環集団)中国各種セラミック粉末中国国内需要を背景にシェア拡大。コスト競争力に優れる
Sinoceramic中国MLCC用誘電体粉末中国市場での主要サプライヤーの一角

3.3 大手MLCCメーカーの内製化戦略(Vertical Integration)

ハイエンドMLCC、特にスマートフォンや車載向けの超小型・大容量製品においては、材料技術が競争力の源泉となるため、大手メーカーは材料の内製化(ブラックボックス化)を進めている。

  • 村田製作所 (Murata): 世界シェアトップの同社は、材料から製造装置に至るまで徹底した内製化を行っていることで知られる。具体的な内製比率は非公開だが、業界ではコアとなる誘電体粉末の大部分を自社技術(または緊密なパートナーシップ)で賄っていると見られている。
  • Samsung Electro-Mechanics (SEMCO): 世界第2位のSEMCOは、材料の内製化を公然と戦略の柱に据えている。特に釜山事業所に車載用MLCC専用の原料工場を新設し、ナノレベルの微粉化技術を自社で保有することに注力している。同社は、セラミックとニッケルの交互積層技術において、ワイングラス1杯分で数億円の価値を持つ高付加価値製品を製造しており、その性能は添加剤の配合ノウハウに依存していると明言している。内製化により、開発スピードの向上と外部依存リスクの低減を実現している。

4. 内部電極材料:BME化とナノメタル技術

MLCCの内部電極は、誘電体層と交互に配置され、電気を導通させる役割を担う。

かつてはパラジウム(Pd)や銀(Ag)などの貴金属が使用されていたが、コスト削減のためにニッケル(Ni)などの卑金属(Base Metal)を使用する技術(BME: Base Metal Electrode)が確立され、現在はこれが主流となっている。

4.1 ニッケル(Ni)粉末およびペーストの技術革新

電極層の厚みも誘電体同様に薄層化が進んでおり、1μm以下の電極層を形成するためには、数百ナノメートル〜数十ナノメートルの超微細ニッケル粉末が必要となる。

  • 微細化と分散性: 電極ペースト中のニッケル粒子が大きすぎると、薄い誘電体層を突き破りショート(短絡)の原因となる。また、表面が平滑でなければ電界集中を引き起こす。
  • 焼結挙動の制御: ニッケルはセラミックス(BaTiO3)よりも低い温度で焼結が始まるため、同時焼成時に電極が先に収縮してしまい、デラミネーション(層間剥離)やクラックが発生しやすい。これを防ぐため、ニッケル粉末の表面改質や、焼結遅延剤としての「共材(ともざい)」(誘電体と同じ組成の微粉末)の添加が重要技術となっている。

4.2 主要サプライヤーと製品動向

住友金属鉱山 (Sumitomo Metal Mining)

住友金属鉱山は、MLCC用ニッケル粉末および銅粉末のトップサプライヤーの一つである。

  • 銅粉末技術: 同社の「UCPシリーズ」などの微粒銅粉は、サブミクロンオーダーのシャープな粒度分布を持ち、低温焼結性に優れる。これは、主に外部電極(ターミネーション)や特定の用途で使用される。耐酸化性を高める表面処理技術により、プロセス中の酸化を防いでいる。

昭栄化学工業 (Shoei Chemical)

昭栄化学工業は、MLCC用金属ペーストの世界的なリーディングカンパニーである。同社は金属粉末の製造からペースト化までを一貫して行っており、特にハイエンドMLCC向けの薄層電極用ニッケルペーストにおいて圧倒的なシェアを持つと推定される。ペースト化技術においては、粉末の分散だけでなく、バインダーや溶剤とのレオロジー(流動性)制御が重要であり、高速・高精度の印刷適性を持たせることが求められる。

Nano One

Nano One社は、独自の化学プロセスにより製造された200nmグレードのニッケルナノ粉末を提供している

  • 特徴: 均一な粒子形状、高純度、高結晶性、高分散性。これらは、電極の連続性を保ちつつ薄層化するために不可欠な特性である。

市場規模と競争

MLCC用ニッケル内部電極ペーストの市場規模は、2024年時点で約4.94億ドル〜14.2億人民元(約2億ドル)と資料により幅があるが、年率6〜8%程度の成長が見込まれている。中国市場においては、Zhaorong、Sinoceramic、Fenghua Advanced Technologyなどがシェアを伸ばしており、上位5社で73%のシェアを占めるなど、ローカル企業の寡占化が進んでいる。しかし、最先端の小サイズ・大容量品向けでは、依然として日本メーカー(昭栄化学、住友金属鉱山)の粉末・ペースト技術が優位にあると考えられる。


5. 機能性添加剤:希土類元素(レアアース)の役割

純粋なチタン酸バリウムは、キュリー点(約120℃)付近で誘電率が急激に変化する性質を持つため、そのままでは温度変化の激しい環境(自動車など)で使用できない。

そこで、温度特性を平坦化し、信頼性を向上させるために、希土類元素などの添加剤が使用される。

5.1 添加剤の種類と機能

  • 温度特性改善: ディスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、イットリウム(Y)などは、チタン酸バリウムの結晶粒界や粒子表面に固溶し、「コアシェル構造」を形成することで、誘電率の温度変化を抑制する(X7R、X5R特性の実現)。
  • 寿命向上・還元防止: マグネシウム(Mg)やマンガン(Mn)は、還元雰囲気(酸素分圧の低い状態)での焼成時に、チタン酸バリウムが半導体化するのを防ぎ、絶縁抵抗(IR)を維持する役割を持つ。

5.2 主要サプライヤー

  • 信越化学工業 (Shin-Etsu Chemical): レアアースの分離・精製において世界最高水準の技術を持つ。MLCC向けの高純度希土類酸化物や複合酸化物を安定供給しており、焼結助剤や特性改善剤として不可欠な存在である。
  • 三井金属鉱業 (Mitsui Kinzoku): レアメタル事業部が、溶媒抽出法やイオン交換法を用いて高純度レアアース(塩化物、硝酸塩、酢酸塩など)を製造している。イットリウムオキシフッ化物など、半導体や電子材料向けの特殊化合物の開発にも注力している。

6. プロセス材料:有機化学品の技術貢献

MLCCの製造プロセスにおいて、セラミック粉末をシート状に成形し、積層するためには、様々な有機材料(バインダー、分散剤、可塑剤、溶剤)やフィルムが使用される。

これらは焼成工程で消失するが、製造歩留まりや最終製品の欠陥(ボイド、デラミネーション)に決定的な影響を与える。

6.1 分散剤(Dispersants):ナノ粒子の孤立分散

ナノサイズのセラミック粉末は、表面エネルギーが高く、自然状態では強く凝集している。これを溶剤中で一次粒子まで解きほぐし、再凝集を防ぐのが分散剤の役割である。

  • 楠本化成 (Kusumoto Chemicals): 同社の「ディスパロン(DISPARON)」シリーズは、業界標準の一つである。
    • 技術: 脂肪族多価カルボン酸やポリエステル系、アミン系などの高分子鎖を持つ分散剤が、粒子表面に吸着し、立体障害効果(Steric Hindrance)によって粒子同士の接近を防ぐ。
    • 製品例: 「ディスパロン2200」や「KS-260」は、チタン酸バリウムなどの無機顔料の分散に優れ、焼成時の色分かれや密度ムラを防止する。
    • 環境対応: 近年は環境規制に対応した水系分散剤「AQシリーズ」や、バイオマス由来の「BALシリーズ」を展開し、脱炭素ニーズに応えている。

6.2 バインダー(Binders):グリーンシートの骨格

バインダーは、セラミック粉末をつなぎ止め、柔軟で強靭なグリーンシート(焼成前の生シート)を形成するための接着剤である。

  • 積水化学工業 (Sekisui Chemical): MLCC用バインダーとしてポリビニルブチラール(PVB)樹脂「エスレック(S-LEC)」を展開しており、世界的に高いシェアを持つ。PVBは機械的強度と接着性に優れ、極薄シートの成形に適している。
  • 中京油脂 (Chukyo Yushi): アクリル系バインダーやPVA(ポリビニルアルコール)系バインダーを提供している。アクリル系は熱分解性が良く、焼成後の残留カーボン(残炭)が少ないため、電気特性への悪影響を最小限に抑えられる特長がある。
  • 第一工業製薬 (Dai-ichi Kogyo Seiyaku): リチウムイオン電池負極用バインダーで培った技術を応用し、「エレクセルCRシリーズ」などの複合バインダーを展開している。これらは接着性と電気化学的安定性に優れ、プロセスの安定化に寄与する。

6.3 離型フィルム(Release Films):平滑性の転写

スラリー(セラミック塗料)は、PETフィルムなどの支持体上に塗布・乾燥され、グリーンシートとなる。この際、フィルムからシートを剥がすために使用されるのが離型フィルムである。

  • 重要性: 誘電体層が1μm以下になると、フィルム表面のわずかな凹凸がシートに転写され、ピンホールや厚みムラの原因となる。したがって、極めて高い平滑性と、適度な剥離力(軽すぎず重すぎない)が求められる。
  • 東レ (Toray): 「セラピール(Cerapeel)」シリーズを展開。ナノレベルの表面制御技術により、超平滑かつ欠点の少ないフィルムを提供している。同社は水系離型剤を用いた環境配慮型製品の需要増を見込んでいる。
  • その他の主要プレイヤー: リンテック(Lintec)、三井化学(Mitsui Chemicals)、藤森工業(Fujimori Kogyo)、帝人(Teijin)などが競合しており、市場規模は2024年で数億ドル、年率4.8%〜6.8%で成長している。

7. 市場ダイナミクスと将来展望

7.1 市場シェアとプレイヤーの勢力図

MLCC市場全体では、村田製作所(日本)、Samsung Electro-Mechanics(韓国)、Yageo(台湾)、TDK(日本)、太陽誘電(日本)が主要プレイヤーである

  • 日本勢: 村田製作所を中心に、材料から製品までの一貫した技術力を持ち、特に車載や産業機器向けのハイエンド市場で圧倒的である。
  • 韓国勢: Samsungはグループ力を活かした内製化と大量生産能力で、スマートフォンやAIサーバー向けに強みを持つ。
  • 中国勢: 政府の支援を受け、汎用品市場でのシェアを急拡大させている。材料分野でもChaozhou Three-Circleなどが台頭し、サプライチェーンの現地化(ローカライゼーション)が進んでいる。

7.2 アプリケーション別の成長ドライバー

7.2.1 AIサーバー(Nvidia Blackwell等)

生成AIの普及に伴い、データセンター向けMLCCの需要が急増している。NvidiaのBlackwellプラットフォーム搭載サーバーでは、MLCCの使用量がHopper世代の10倍(約30万個)に達すると予測されている。

これらは高温・高負荷環境での安定性が求められるため、高信頼性材料へのニーズがかつてなく高まっている。

7.2.2 自動車(EV・ADAS)

電気自動車(EV)と先進運転支援システム(ADAS)の普及は、MLCC市場の最大の牽引役である。

  • 高電圧対応: バッテリーシステム(400V/800V)周辺では、高耐圧MLCCが必要となり、誘電体材料には高い絶縁破壊強度が求められる。
  • 高温対応: エンジンルームやインバータ周辺では150℃以上の環境に耐える「X8R」などの特性が必要となり、特殊な添加剤や高キュリー点材料の開発が進んでいる。
  • 市場規模: 車載用MLCC市場は、2023年の4兆ウォン(約4400億円)から2028年には9.5兆ウォン(約1兆円)へと倍増すると予測されている。

7.3 技術的課題と展望:微細化の限界へ

MLCCの誘電体層厚みは、理論的な限界に近づきつつある。層厚が数百ナノメートルになると、トンネル効果による漏れ電流の増大や、粒界数の減少による絶縁信頼性の低下が顕在化する。

今後の材料開発の焦点は以下の点に集約される:

  1. 粒径50nm以下の均一なBaTiO3合成: 水熱合成法のさらなる高度化。
  2. コアシェル構造の精密制御: 添加剤の分布を原子層レベルで制御し、薄層でも高い信頼性を確保する技術。
  3. 新規誘電体材料の探索: BaTiO3の限界を超える、新しい強誘電体材料やガラスセラミックスの研究。

8. 結論

MLCC材料産業は、無機化学、有機化学、金属学、プロセス工学が高度に融合した技術集約的な分野である。

日本企業は、堺化学工業の誘電体、住友金属鉱山・昭栄化学の電極材料、東レ・積水化学のプロセス材料といった各重要レイヤーにおいて、依然として世界をリードする技術力を保持している。

しかし、Samsung Electro-Mechanicsの強力な内製化推進や、中国企業の急速なキャッチアップは、従来のサプライチェーン構造に変化を迫っている。

今後の競争優位性は、単に「高純度な材料」を供給することだけでなく、MLCCメーカーの次世代ロードマップ(例えば全固体電池技術との融合や、6G通信対応)に深く関与し、プロセス条件まで含めたトータルソリューションを提供できるかどうかにかかっている。

AIとEVという二つの巨大な波に乗り、MLCC材料市場は今後10年間で質・量ともに新たな次元へと成長することが確実視される。

引用ソース

  1. ‘The Salt of the Electronics World’ Samsung Electro-Mechanics Bets Big on MLCC for AI Servers and Automotive Electronics — Reshaping its Business Around High-Growth Sectors | News | Newsroom, https://www.samsungsem.com/global/newsroom/news/view.do?id=9462
  2. ‘MLCC, the staple of the electronics industry’, is now driven by automobiles | News | Newsroom | SAMSUNG ELECTRO-MECHANICS, https://m.samsungsem.com/global/newsroom/news/view.do?id=3362
  3. Samsung Electro-Mechanics boosts MLCC production tenfold due to Nvidia Blackwell demand – CHOSUNBIZ, https://biz.chosun.com/en/en-it/2025/08/31/OVNONRR2OZF7DHYL3D7HS2WYKQ/
  4. Synthesis and colloidal properties of anisotropic hydrothermal barium titanate – SciSpace, https://scispace.com/pdf/synthesis-and-colloidal-properties-of-anisotropic-4dg1fa8b47.pdf
  5. A Facile and Eco-Friendly Hydrothermal Synthesis of High Tetragonal Barium Titanate with Uniform and Controllable Particle Size – MDPI, https://www.mdpi.com/1996-1944/16/11/4191
  6. Solid-State Synthesis for High-Tetragonality, Small-Particle Barium Titanate – PMC – NIH, https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC11595672/
  7. electronic materials – SAKAI CHEMICAL INDUSTRY CO., LTD., https://www.sakai-chem.co.jp/en/products_services_electronic_materials.php
  8. セラミックコンデンサ – メーカー・企業24社の製品一覧と …,https://mono.ipros.com/cg2/%E3%82%BB%E3%83%A9%E3%83%9F%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%83%87%E3%83%B3%E3%82%B5/
  9. China MLCC Market Share, Size & Growth Outlook to 2031 – Mordor Intelligence,https://www.mordorintelligence.com/industry-reports/china-mlcc-market
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  11. Global MLCC Nickel Inner Electrode Paste Market Research Report 2025https://reports.valuates.com/market-reports/QYRE-Auto-30T12178/global-mlcc-nickel-inner-electrode-paste
  12. https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00001/06815/
  13. Samsung Electro-Mechanics MLCC targets AI and automotive markets with world-leading technology | News | Newsroom, https://m.samsungsem.com/global/newsroom/news/view.do?id=8101
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  15. MLCC用電極用ニッケルナノ粉末(200nmグレード) – 株式会社ナノワン https://www.nanoone-tech.com/products/product-1/
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  19. About Us|Rare Material Division – Mitsui Kinzoku, https://www.mitsui-kinzoku.co.jp/group/rare-material/en/company/
  20. Mitsui Kinzoku Rare Material Division(Formerly Nippon Yttrium Co.,Ltd.), https://www.mitsui-kinzoku.co.jp/group/rare-material/en/
  21. Engineered Materials | MITSUI KINZOKU COMPANY, LIMITED, https://www.mitsui-kinzoku.com/en/seihin/engineered_materials/
  22. ディスパロン 2200の詳細ページ | 楠本化成株式会社,https://www.kusumoto.co.jp/products/564/
  23. ディスパロン KS-260の詳細ページ | 楠本化成株式会社, https://www.kusumoto.co.jp/products/575/
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  28. アクリル系バインダー | 乳化・分散技術、離型剤、添加剤の中京油脂, https://www.chukyo-yushi.co.jp/products/p531/
  29. 高容量リチウムイオン電池の負極用複合バインダー開発 | 文献情報 – J-Globalhttps://jglobal.jst.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=202402265522309721
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  31. フィルム製品 | 東レ株式会社, https://www.films.toray/
  32. 東レ尖端素材、世界初の環境親和の水系MLCC用離型フィルムを開発,https://www.torayamk.com/jp/pr/news_view.asp?id=10195
  33. MLCC Release Film Market Size, Share & Growth [2025-2033] – Business Research Insights, https://www.businessresearchinsights.com/market-reports/mlcc-release-film-market-105673

MLCC Release Film Market Report | Global Forecast From 2025 To 2033 – Dataintelo, https://dataintelo.com/report/global-mlcc-release-film-market

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