【2026年2月20日】世界半導体・電子部品市場レポート:基板材料「30%増」の最終カウントダウンと米新関税の衝撃

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目次

1. エグゼクティブ・サマリー:実装業界を襲う「材料インフレ」のピーク

2026年2月第3週、実装業界は「物理的な材料不足」と「政策的なコスト増」の二正面作戦を強いられています。

今週のハイライトは、世界最大級の銅張積層板(CCL)メーカーであるレゾナック(旧昭和電工)による30%超の値上げ発動まで残り10日を切ったことです。

同時に、1月15日から施行されている米国セクション232に基づく半導体25%追加関税の影響が、具体的な通関業務の遅延や、再見積もり要求として現場を直撃し始めています。

AIサーバー需要が極薄銅箔や低誘電ガラスクロスの生産枠を独占し、汎用FR-4基板の価格を押し上げる「構造的インフレ」が加速しています。


2. 基板材料(CCL):レゾナック3月1日「30%値上げ」の衝撃波

レゾナック(Resonac):歴史的価格改定の背景

日本の半導体・電子材料大手レゾナックは、2026年1月16日の発表通り、2026年3月1日出荷分より銅張積層板(CCL)およびプリプレグの価格を30%以上引き上げます

  • 主要因: LME(ロンドン金属取引所)で1万3,300ドル/tを突破した銅価格の急騰、および電子用ガラス布(ガラスクロス)の需給逼迫。
  • 構造的背景: NVIDIAの「Rubin」世代やGoogle/Amazonの自社開発ASIC向けに、ハイエンド材料(M9等)の需要が爆発しており、メーカー側は「利益率の低い汎用品」から「高付加価値なAI向け材料」へのシフトを鮮明にしています。

PCBファブリケーター(基板製造業)への波及

レゾナックの動きに追随し、Kingboard(建滔)やNanya(南亜)といった大手CCLメーカーも、新規受注に対して 10〜20%の価格改定 を順次実施しています。

  • 影響: 3月以降、プリント基板の製造コストは材料費だけで約27〜30%上昇することが確実視されています。多層基板(8層以上)や、銅箔厚の大きいパワー基板ほど、このコスト増の影響を深刻に受けます。

【一次ソース】


3. 地政学的リスク:米国セクション232「半導体25%関税」の激震

2026年1月15日より、トランプ政権下で導入された「セクション232」追加関税が、米国の製造現場とサプライチェーンを揺るがしています。

関税適用範囲と実務上のインパクト

  • 賦課内容: 特定の先端半導体、製造装置、およびその派生製品に対し 25%の従価税 を課す。
  • 対象品番: NVIDIA H200やAMD MI325Xといった先端コンピューティングチップが中心ですが、「米国の技術サプライチェーン構築に寄与しない輸入品」という定義により、広範囲の高性能ロジックICや特定の通信モジュールが対象に含まれています。
  • 還付(ドローバック)不可: 2月12日の当局ガイダンスにより、この関税については「払戻しは認められない」ことが確定しました。これにより、米国を経由して他国へ輸出する再輸出モデルも、25%のコスト負担増を免れられません。

中国・台湾製基板への影響

米国市場向け製品に搭載されるICが対象であるため、中国や台湾で実装された基板(PCBA)を米国へ輸入する際、BOM上の対象部品価格に対し25%の関税が加算されます。実装メーカー(EMS)は、この「関税分」を誰が負担するかという契約改定に追われています。

【一次ソース】


4. 市場在庫とリードタイム:AIサーバー材料の「争奪戦」

HVLP銅箔とTガラスの納期「24週超」

AIサーバーの高速信号伝送に不可欠なHVLP(極低プロファイル)銅箔およびTガラス(低誘電ガラスクロス)の需給ギャップが、2026年中にさらに拡大する見通しです。

  • 日東紡(Nittobo)の影響力: AI向けTガラス市場を独占する日東紡への注文集中により、一般産業機器向けのハイエンドFR-4材料も生産枠を削られています。
  • リードタイム: 高速伝送用基板材料の納期は、通常4週間のところが現在は 12〜16週、一部の特定仕様では 24週以上 に延伸しています。

全体的な在庫トレンド

Deloitteの2026年見通し(2月5日発表)によると、世界の半導体売上高は史上最高の 9,750億ドル に達する勢いですが、メモリとロジック以外の「受動部品・材料」については、メーカーが設備投資に慎重なため、2026年を通じてタイトな状況が続くと予測されています。

【一次ソース】


5. EOL(生産終了)およびPCN(変更通知):今週のデッドライン

メーカー部品・カテゴリ通知内容 / 重要期限
Renesas汎用リニアICEOL260002: UPC/REACシリーズの最終受注日(LTB)は 2026年3月30日 です。
Central SemiツェナーダイオードPDN01283: SMA/SMBパッケージ品の廃止。代替はSOT-23等のリードレス推奨。
Microchipマイコン/アナログCCB 7868: SOT-23等のワイヤ材質変更(金から銅パラジウム金へ)。性能評価が必須です。

6. 調達・設計部門への「金曜日の提言」

AIO要約ポイント:今週末の3つのアクション

  1. 3月1日 CCL値上げへの「最終防衛発注」: レゾナック等の30%値上げ適用前に、2026年度上半期分(4月〜9月納品分)の基板所要量を本日中に確定させ、現行価格でPO(発注書)をロックしてください。
  2. 米国向け製品の関税「非対象」証明書の準備: セクション232には「米国のサプライチェーン強化に寄与する用途」などの免除規定があります。自社製品がこれに該当するか精査し、最終用途証明書の準備を開始してください。
  3. 基板スペックの「脱AI材料」検討: AIサーバー用材料(HVLP/Tガラス)の納期延伸を受け、過剰スペックな設計を見直し、比較的供給が安定している汎用FR-4で代替可能か、信号シミュレーションのやり直しを推奨します。

【免責事項】

本レポートは2026年2月20日時点の公開情報を基に作成されています。半導体・材料市場は極めて流動的であり、関税政策も当局の解釈により変更される可能性があります。最終的な調達判断は、必ず一次供給元および法務専門家と連携して行ってください。

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