
「鳥取県内で基板実装やEMSを依頼できる工場を探しているが、どこにあるかまったくわからない。」
そう感じている調達担当者や設計エンジニアの方は、決して少なくないと思います。
鳥取県は人口規模こそ全国最小クラスですが、電子製造業の分野では驚くほど専門性の高い企業が集積しています。
創業55年を超え、車載電装部品のEMSで国内外に6拠点を持つ企業。
旧鳥取三洋電機のDNAを受け継ぎ、タブレット国内シェア日本メーカー第1位を誇るODM/OEM/EMS企業。
放熱基板・特殊基板の設計から実装まで一貫対応できる、業界屈指のメタルベース基板メーカー。
鳥取には、こうした「尖った専門性」を持つ基板実装企業が確かに存在しています。
このページでは、鳥取県内に本社・工場を持つ基板実装・EMS企業を5社、各社の住所・電話番号・公式URL・事業概要・強みを網羅して解説します。
各社の「どんな案件に向いているか」という発注判断の軸まで踏み込んでお伝えするので、問い合わせ先の選定に役立ててください。
このページを最後まで読んでいただければ、鳥取県の実装パートナー探しで「選択肢がわからない」という状態を一気に脱することができます。
鳥取県の電子製造業が持つ独自の強みとは
鳥取県の電子製造業を語るうえで、まず理解しておきたい背景があります。
かつて鳥取三洋電機は、鳥取県の製造品出荷額の約2割、雇用の約1割を担った県内最大の製造業拠点でした。
この巨大工場の存在が、鳥取県内に電子製造業の厚い技術層と人材層を育てました。
その後、パナソニックグループへの統合・再編という変化を経ながらも、技術と人材は県内に残り、複数の独立系企業が生まれました。
現在の鳥取県の電子製造業は、「大企業の傘下」ではなく「専門技術を持つ中堅・中小企業群」として独自の進化を遂げています。
車載電装という高信頼性が求められる分野での量産体制、放熱という難易度の高い技術課題への特化、ODM/OEMという製品企画段階からの関与——これらはどれも、単純な「下請け実装工場」の域を超えた高度なものづくりです。
発注先を探す側にとって、この地域特性を理解した上でアプローチすることが、最適なパートナーに出会う近道になります。
鳥取県の基板実装・EMS工場5社【完全ガイド】
以下では、鳥取県内に本社・工場を持つ基板実装・EMS企業を5社、詳しく解説します。
各社の住所・電話・URL・強み・発注に向いている案件を網羅しています。
鳥取市エリア(3社)
アイエム電子株式会社
鳥取市山城町に本社・技術開発センターを構える、1970年創業の車載電装部品EMS専業企業です。
創業55年以上の歴史と「モノづくり集団」としての揺るぎないDNAが、この企業を支える最大の強みです。
先進運転支援システム(ADAS)やカーエレクトロニクスに使用される車載電装部品の受託生産に特化しており、IATF16949(自動車業界の国際品質マネジメント規格)とISO14001を取得しています。
車載部品の実装は、民生機器と比較して格段に厳しい品質要件が求められます。
IATF16949の取得は、その水準を第三者機関によって認証されている証であり、特に自動車関連の部品調達において不可欠な条件となります。
国内3拠点(本社・技術開発センター、岩美工場、若葉台工場)に加え、中国・珠海工場、タイ工場(2024年12月に新工場増設)という国際的な生産拠点を持っており、グローバルな供給体制が強みです。
設備面では、クリーンルーム(クラス10,000)を保有し、リジット基板・フレキシブル基板(FPC)・0402サイズ・0.3〜0.35mmピッチに対応。
N₂リフロー対応と高速CT型X線自動検査装置の導入により、はんだ付け内部品質を非破壊で3D検査できる体制が整っています。
自社設計の製造設備と最先端技術の融合による「不良を防ぐ工程設計」が、長年にわたって大手自動車メーカーサプライヤーから高い評価を受け続けている理由です。
2024年9月に本社新社屋が完成し、技術開発センターとして新たにスタートした同社は、今後の技術力向上とグローバル展開をさらに加速させる段階にあります。
自動車関連の基板実装・EMS案件において、鳥取県内で最初に問い合わせるべき企業です。
住所(本社・技術開発センター):〒680-0008 鳥取県鳥取市山城町6-40
岩美工場:鳥取県岩美郡岩美町浦富1014-5
若葉台工場:鳥取県鳥取市若葉台南7-1-25
電話:0857-22-1511(代表)
公式サイト:https://www.imenet.co.jp/
株式会社LIMNO(リムノ)
鳥取市立川町に本社を置く、1966年設立の旧鳥取三洋電機のDNAを受け継ぐ電機メーカー・ODM/OEM/EMS企業です。
2023年1月、設立10周年を機に三洋テクノソリューションズ鳥取から「株式会社LIMNO(リムノ)」へ社名変更しました。
「限界を打ち破る(NO LIMIT)」という意味を込めたこの社名変更は、旧ブランドへの依存を脱し、独立した製造企業として新たな挑戦を宣言するものでした。
LIMNOの最大の特徴は、企画・開発・製造の国内一拠点による垂直統合型のビジネスモデルにあります。
製品の企画提案から仕様立案、カスタマイズ・トータルシステム設計、プリント基板の製造・実装、梱包・発送、品質解析・管理まで、すべてを鳥取市内の自社工場で完結させる体制は、日本の電子製造業において非常に稀有な存在です。
タブレット端末の製造実績では、2023年度の国内出荷台数で日本メーカー第1位(全体第4位)を獲得しており、教育向けタブレットの市場シェアにおいて圧倒的な実績を持っています。
EMS事業については、2025年3月にODM/OEM/EMSの専用ページを新設し、完成品・モジュール・基板等のEMS受託を本格展開しています。
携帯電話・医療機器・自動車分野での大手ブランドのOEM/ODMパートナーとして蓄積してきた技術力と品質管理体制が、EMS受託においても強力な競争力になります。
通信機器・車載機器・家電用基板・医療機器・ICT/IoT分野での基板実装からシステム全体の製造まで、幅広い案件に対応できます。
「設計段階からパートナーとして関与してほしい」「量産体制が整ったODMパートナーを探している」という企業にとって、LIMNOは非常に有力な選択肢です。
住所:〒680-8634 鳥取県鳥取市立川町7丁目101番地
電話:0857-21-2047
公式サイト:https://www.limno.co.jp/
アロー産業株式会社
鳥取市久末に本社を置く、1979年設立の放熱基板・特殊基板の設計・製造・実装に特化したプリント基板メーカーです。
「基板の問題解決」をミッションに掲げ、他社では対応が難しい高難度の案件に正面から向き合う提案解決型企業です。
最大の強みは、メタルベース放熱基板(アルミ・銅ベース・銅バンプ等)の設計・製造・実装を一貫して担える技術力にあります。
熱問題・高電流・UV環境など、要求の厳しい用途に最適な基板構造を企画段階から提案できる体制は、他の実装工場との差別化ポイントとして際立っています。
LED・パワーデバイス・UV-LED搭載基板など、熱発生の大きい電子部品を使う製品での放熱基板ニーズは、製品の小型化・高性能化とともに年々増加しています。
アロー産業は、こうした放熱の課題に20年以上向き合い続けてきた実績と研究開発力を持ちます。
企画・設計段階からの相談対応、基板設計・基板製造・部品調達・部品実装・品質保証・物流まで一気通貫の対応体制が整っており、試作から多品種小ロット量産まで柔軟に対応できます。
ISO9001・UL規格取得済み。大阪にも営業所を持ち、関西からの発注にも対応しています。
「放熱で困っている」「特殊基板の実装先が見つからない」「UV-LED搭載の基板を依頼したい」という案件に、最も向いている企業です。
住所:〒689-1123 鳥取県鳥取市久末86-1
電話:0857-51-7123
公式サイト:https://arrow-sg.co.jp/
八頭郡エリア
株式会社トミサワ
鳥取県東部の八頭郡智頭町に本社を置く、1970年(昭和45年)創業の電子部品メーカー・基板実装企業です。
「Made in Japan」へのこだわりを持ち、「アメーバ体質」と呼ぶ時代の変化への柔軟な対応力を武器に、創業50年以上のものづくりを続けています。
事業は大きく2本柱で構成されています。
本社工場では可変抵抗器(ボリューム)・エンコーダースイッチという電子部品の製造、実装工場ではプリント基板の組立・検査を担っています。
特に注目すべきは、電子部品の製造で培ってきた長年の実装ノウハウです。
電子部品の製造と基板実装の両方を自社で行っている企業は珍しく、部品の性質を深く理解した上での実装品質は、専業実装工場とは異なる付加価値があります。
約10年前からはLED照明の開発・製造にも着手し、基板の実装〜組立・検査まですべて社内一貫生産で対応。
体育館・病院などの公共施設や店舗へのLED照明設備工事も行っており、製品設計から施工まで手掛ける総合的なものづくり企業に進化しています。
アロー産業のパートナー企業としてアルミ・銅ベース等の金属ベース基板の実装実績も持っており、特殊基板への対応力も備えています。
住所(本社):〒689-1403 鳥取県八頭郡智頭町大字南方1186番地
実装工場:鳥取県八頭郡智頭町埴師61
電話:0858-75-0347
公式サイト:https://www.fa-tomisawa.com/
岩美郡エリア
株式会社フジ電機
鳥取県岩美郡岩美町浦富に本社と実装工場を構える、1976年5月設立の電子制御回路基板組立・電子機器組立・LED照明機器の製造企業です。
従業員80名(男子24名・女子56名)、資本金2,000万円。
パナソニック・FDK・株式会社LIMNOなど、名立たる大手企業との継続的な取引実績が、この企業の品質水準を証明しています。
設備面では、クリーンルーム(クラス1,000・200㎡)を保有しており、清潔度の高い環境での実装が必要な案件にも対応できます。
鉛フリー対応自動半田槽の導入と、N₂リフロー炉の自社開発・導入(2010年)という積極的な設備投資が、品質と環境対応の両立を実現しています。
ISO9001・ISO14001・UL規格の3つの認証を取得しており、品質・環境・安全の三方向から管理体制が裏付けられています。
特筆すべき主要取引先として、株式会社LIMNOの名前が挙がっていることは重要なシグナルです。
鳥取県内の大規模EMS企業であるLIMNOが認めた実装協力会社という位置づけは、フジ電機の実装品質の高さを間接的に証明しています。
さらに、2021年からは電池二次加工事業にも進出しており、電子製造の周辺領域への技術展開にも積極的です。
鳥取営業所(鳥取市東今在家136-2)も設置しており、鳥取市からのアクセスも確保されています。
住所(本社):〒681-0003 鳥取県岩美郡岩美町浦富2972
電話(本社):0857-73-1711
実装工場:〒681-0003 鳥取県岩美郡岩美町浦富608
電話(実装工場):0857-73-1834
公式サイト:https://www.6sfjg.co.jp/
鳥取県5社の強みを「案件タイプ別」で整理する
5社のどれを選ぶべきかは、自社案件のタイプによって変わります。
以下の整理を参考に、最適な問い合わせ先を選定してください。
車載電装・ADAS関連の高信頼性実装案件
アイエム電子が最も向いています。
IATF16949取得、フレキシブル基板(FPC)・0402対応、クリーンルーム保有、X線CT検査、国内外6拠点の量産体制は、自動車業界の厳格な品質要件を満たす実装企業として最高水準にあります。
ODM/OEMを含む製品企画段階からの一貫受託
LIMNOが最も向いています。
企画提案・設計・製造・出荷まで国内一拠点で完結する垂直統合型モデルは、開発スピードと品質の両立が求められる製品開発において強力なパートナーになります。
通信・車載・医療・ICT/IoT分野での大手ブランド対応実績が信頼の裏付けです。
放熱基板・特殊基板・UV-LED基板の設計から実装まで
アロー産業が最も向いています。
20年以上のメタルベース放熱基板研究開発の蓄積と、企画段階からの一気通貫対応は、「放熱で困っている」「特殊基板の実装先が見つからない」という案件における最適解です。
電子部品の実装ノウハウを活かした小〜中ロット実装
トミサワが向いています。
電子部品の製造と基板実装の両事業を持つ特性が、部品の性質を理解した上での高品質実装を可能にしています。
LED照明製品への展開経験も持つため、照明関連基板の実装案件にも強みがあります。
大手企業水準の品質管理で基板実装・電子機器組立を依頼したい
フジ電機が向いています。
ISO9001・ISO14001・UL規格の3認証取得、クリーンルーム保有、LIMNO(旧鳥取三洋電機)との取引実績という三点が、確かな品質管理体制の証明となっています。
鳥取県で基板実装・EMSを発注する前に確認すべきチェックリスト
問い合わせ前に以下の5点を整理しておくことで、最初のやり取りから的確な提案が得られます。
チェック①:車載品質規格の要否
車載電装部品・ADAS関連部品の実装では、IATF16949取得の有無が前提条件になる場合があります。
鳥取県内ではアイエム電子がIATF16949を取得しており、車載案件の最有力候補になります。
自動車関連の品質規格については、下記で確認できます。
チェック②:放熱・熱対策の要否
発熱部品(パワートランジスタ・LED・パワーIC等)を搭載する場合、通常のFR-4基板ではなくメタルベース放熱基板が必要なケースがあります。
放熱設計を基板選定の段階から考慮することが、製品の長寿命化と信頼性向上の鍵になります。
アロー産業への相談は放熱問題を抱える案件において最初の選択肢です。
チェック③:ロット数・フェーズ(試作/量産)
試作1台からの対応が必要な場合と、月産数百〜数千台以上の安定量産では、依頼先に求める体制がまったく異なります。
各社の対応ロット規模を事前に確認し、自社フェーズに合う企業を選ぶことが重要です。
チェック④:RoHS対応・はんだ仕様
EU市場向け製品や医療機器向け製品では、RoHS指令への適合が必要条件になります。
フジ電機・アロー産業ともに鉛フリー対応設備を保有しており、RoHS準拠実装が可能です。
欧州委員会のRoHS指令については下記で確認できます。
チェック⑤:品質認証・検査体制の確認
IPC-A-610(はんだ付け品質基準)・ISO9001・IATF16949・ISO14001など、案件に必要な認証の取得有無を事前に確認します。
プリント基板の実装品質基準については、日本電子回路工業会(JPCA)の情報が参考になります。
鳥取県の基板実装・EMS企業に問い合わせる際の実践的アドバイス
鳥取県の5社に共通しているのは、「長年の地域製造業の積み重ねに裏打ちされた実力」という点です。
大都市圏の企業と比較して情報発信が少ない分、知名度は低いかもしれません。
しかし、大手自動車メーカーサプライヤーとの継続取引、日本最大のタブレット国内製造、放熱基板の専門研究開発といった実績は、都市規模とはまったく無関係の技術力の証明です。
工場見学を必ず申し込む
Webサイトや電話での問い合わせだけでは伝わらない現場力があります。
特に今回紹介した5社は、それぞれ独自の設備・工程管理体制・クリーンルームを持っており、実際に工場を訪れることで「ここに任せたい」という確信を得やすい企業ばかりです。
工場見学を申し込むこと自体が、「本気で発注を検討している」というシグナルとなり、より踏み込んだ提案を引き出すきっかけにもなります。
技術的な課題を正直に伝える
「放熱で困っている」「車載品質が求められる」「FPCの実装実績を確認したい」——こうした技術的な課題を最初の問い合わせで正直に伝えることが、最適な提案を引き出す最短経路です。
実装工場への問い合わせで「仕様と枚数を送ればいい」と思っている方は多いですが、実際には技術課題を共有してこそ、工場の本当の実力が発揮されます。
「難しいから断られるかもしれない」という遠慮は不要です。
鳥取の企業はむしろ、難しい案件への挑戦を歓迎する文化を持っているところが多い印象があります。
複数社への見積もり比較を行う
鳥取県内の5社に加えて、必要に応じて隣接する島根・岡山・兵庫の企業と合わせて複数社に見積もりを依頼することで、技術提案力・価格競争力・レスポンス速度を比較できます。
見積もりの精度だけでなく、「技術的な質問に対してどれだけ具体的で正確な回答が返ってきたか」という質の評価が、長期パートナー選定において最も重要な指標になります。
鳥取県の産業特性と電子製造業の未来
鳥取県は、製造業の集積地として全国的な知名度こそ高くありませんが、電子製造の歴史と技術の蓄積という点では、決して軽視できない地域です。
旧鳥取三洋電機の大規模工場が育てた技術者・設備・品質管理ノウハウは、現在のアイエム電子・LIMNO・フジ電機などに形を変えて継承されています。
また、アロー産業のような独立系の基板専門メーカーが放熱という特定の技術課題に深く特化してきた歴史は、鳥取県の製造業が「量による競争」ではなく「技術の深さによる差別化」を選択してきたことを示しています。
2024年に本社新社屋が完成したアイエム電子、2025年にEMSページを新設したLIMNO、着実に設備投資を続けるフジ電機——この3社の動きは、鳥取の電子製造業が現在も成長フェーズにあることを示しています。
「地方だから」という先入観で鳥取県の実装企業を選択肢から外すことは、製品の競争力向上の機会を逃すことにつながります。
まとめ:鳥取県の基板実装・EMSは「専門技術の深さ」で選ぶ
鳥取県には、それぞれ明確な専門領域と実績を持つ基板実装・EMS企業が5社確認できています。
アイエム電子は、創業55年超の実績とIATF16949取得、国内外6拠点体制を持つ車載電装EMS専業の実力企業です。
LIMNOは、旧鳥取三洋電機のDNAを継承し、企画から量産まで国内一拠点で完結するODM/OEM/EMS企業として独自のポジションを持っています。
アロー産業は、放熱基板・特殊基板の設計から実装まで20年以上特化してきた、業界随一のメタルベース基板メーカーです。
トミサワは、電子部品製造と基板実装の両事業を持つ、部品の性質を熟知した実装企業として地域のものづくりを支えています。
フジ電機は、ISO9001・ISO14001・UL規格の3認証とクリーンルームを持ち、LIMNO(旧鳥取三洋電機)との取引実績が品質を裏付ける実装企業です。
「鳥取には選択肢がない」という先入観は、一度完全に手放してください。
専門技術の深さで選ぶなら、鳥取県は日本有数の実装パートナーが揃う地域のひとつです。
まずは各社の公式サイトにアクセスし、自社の案件内容を整理した上で問い合わせてみてください。
信頼できる国内パートナーとの長期的な協力関係が、製品の競争力と事業の成長を確かに支えます。


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