2026年6月3日版|基板材料・実装プロセス最新動向:AI半導体向け高多層PCB、ABF基板需給逼迫、先端パッケージ材料の変化が実装現場へ与える影響

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エグゼクティブサマリー

2026年の基板材料・実装プロセス分野では、生成AI向け半導体需要の急拡大を背景に、PCB・パッケージ基板・封止材料・実装技術の高度化が急速に進んでいます。

特に注目すべきは、AI半導体検査装置向けに180層・15mm厚の超高多層PCB技術が国内で実用化段階に入ったこと、AIパッケージ向けABF(Ajinomoto Build-up Film)の需給逼迫が継続していること、そして大型チップレットパッケージ向けの低反り材料開発が加速していることです。

これらは先端パッケージメーカーだけの話ではありません。

基板実装会社、EMS企業、産業機器メーカーにとっても、

  • PCB価格上昇
  • 材料納期長期化
  • 実装条件変更
  • 信頼性評価追加
  • 部品実装歩留まりへの影響

といった形で直接的な影響が発生し始めています。

本記事では、2026年6月時点の最新動向を基に、基板材料・実装プロセスの変化と調達・実装現場への影響を整理します。


AI需要が基板業界を変え始めている

従来のPCB市場とは異なる需要構造

これまでPCB市場は、

  • 自動車
  • FA機器
  • 通信機器
  • 民生機器

が主要需要先でした。

しかし2025年後半以降、生成AI向けGPU、HBM、AIサーバー需要の急増により、半導体パッケージ基板や高多層PCBへの投資が急速に拡大しています。

特に以下の材料が注目されています。

材料用途
ABFAIパッケージ基板
高性能樹脂ビルドアップ層
セラミックコア高剛性パッケージ
低反り封止材チップレット実装
高密度銅箔微細配線

従来の産業機器向けPCBとは異なり、AI向けでは極端な高密度化が求められるため、材料供給にも変化が発生しています。


180層PCBが量産段階へ

OKIが180層・15mm厚PCB技術を開発

OKIサーキットテクノロジーは2026年4月、HBM向けウエハ検査装置用として180層・15mm厚PCBの設計・製造技術開発に成功したと発表しました。

2026年10月の量産開始を目指しています。

従来技術との比較は以下の通りです。

項目従来新技術
層数124層180層
厚み7.6mm15mm
用途検査装置AI半導体検査装置
対象一般半導体HBM搭載AI半導体

実装業界への影響

直接180層基板を使用しない企業でも、

  • 高多層基板向け設備投資増加
  • 材料需給変化
  • 高性能銅箔需要増加
  • 高TG材料需要増加

といった波及効果が発生します。


ABF基板需給が再び逼迫

AIサーバー需要が主因

ABF(Ajinomoto Build-up Film)は、AI GPUや高性能CPU向けパッケージ基板の中核材料です。

業界報道によると、ABFフィルム価格は2026年第3四半期から約30%引き上げられる見込みとされており、需給逼迫は2027年まで継続するとの見方が示されています。

なお価格改定については業界報道ベースであり、個別契約条件はメーカー・顧客により異なります。

実装企業が受ける影響

ABFは直接購入しない企業でも影響を受けます。

影響項目内容
CPUモジュールコスト上昇
GPUカード調達難化
AIアクセラレータ納期延長
通信モジュール原価増加
サーバーボード価格上昇

一部市場分析では、先端ABF基板のリードタイムは12~16週間と報告されています。


セラミックコア基板の採用拡大

京セラがAI向け新基板を開発

京セラは2026年4月、AIデータセンター向け先端半導体パッケージ用として、多層セラミックコア基板を開発したと発表しました。

この技術の特徴は、

  • 高剛性
  • 高密度配線
  • 低反り
  • 高信頼性

です。

なぜ反りが問題になるのか

近年のAIチップは大型化しています。

大型パッケージでは、

  • リフロー時の反り
  • 実装応力
  • はんだ接続不良

が発生しやすくなります。

そのため、基板材料そのものの剛性向上が重要課題になっています。


封止材料の変化

住友ベークライトが低反り液状封止材を供試開始

住友ベークライトは2026年5月、先端パッケージ向け液状封止材EME-Lシリーズの供試開始を発表しました。

背景には、

  • チップレット化
  • 2.5D実装
  • 3D実装
  • HBM搭載パッケージ大型化

があります。

実装現場への影響

封止材変更に伴い、

評価項目確認内容
熱サイクル再評価
反り量再測定
X線検査判定基準見直し
リワーク性確認
長期信頼性再試験

が必要になる場合があります。


パネルレベルパッケージング技術が進展

SCHMIDがAny Layer ET技術を発表

SCHMIDは2026年4月、次世代パネルレベルパッケージ向けAny Layer ET技術を発表しました。

技術的には、

  • 微細配線化
  • 高密度実装
  • 高電流対応
  • 量産性向上

が狙いです。

今後は従来の基板製造技術と半導体パッケージ技術の境界がさらに曖昧になると考えられます。


実装不良対策として再注目されるMSL管理

高性能パッケージほど重要性が高まる

AI向け高性能ICでは、

  • BGA大型化
  • パッケージ薄型化
  • 多層化

が進んでいます。

そのためMSL(Moisture Sensitivity Level)管理の重要性が高まっています。

MSL逸脱は、

  • ポップコーン現象
  • 内部クラック
  • デラミネーション
  • 潜在故障

につながる可能性があります。

これは業界標準であるJEDEC管理項目でもあり、多くの実装工場で再強化が進められています。

現場で確認したいポイント

管理項目推奨対応
開封日時管理必須
湿度管理必須
ベーキング記録保存
MSLラベル確認入庫時
ドライキャビネット活用

調達担当者が監視すべき材料リスク

2026年後半に注意したい材料

材料リスク
ABF供給逼迫
高性能樹脂納期変動
銅箔価格上昇圧力
封止材需要増
セラミック材料AI需要増加

特にAI関連設備投資が継続した場合、先端材料への供給集中が発生する可能性があります。


実装現場向けチェックリスト

購買部門

  • ABF関連部材の納期確認
  • PCBメーカーとの定期情報交換
  • 長納期材料の安全在庫見直し
  • サプライヤー集中度確認

生産技術部門

  • 材料変更PCNの監視
  • リフロープロファイル見直し
  • 高多層基板実装条件確認
  • MSL管理強化

品質保証部門

  • 材料変更時の再認定基準確認
  • 熱サイクル試験見直し
  • 信頼性評価計画更新

基板実装.comとしての見解

2026年の基板業界は「部品不足」ではなく「材料不足」が徐々にリスクとして浮上しています。

AI向けGPUやHBMに注目が集まりがちですが、その裏側ではABF、封止材、銅箔、高性能樹脂といった材料群が供給ボトルネックになりつつあります。

特にEMSや産業機器メーカーでは、「電子部品の納期」だけでなく「基板材料の納期」も調達管理対象に含める必要があります。

今後は部品サプライチェーンと材料サプライチェーンを一体管理できる企業ほど、量産リスクを低減できる可能性があります。

参考情報・出典

免責事項

本記事は2026年6月3日時点で公開されているメーカー公式発表、企業ニュースリリース、および業界報道を基に作成しています。価格改定、納期、量産開始時期、材料供給状況は今後変更される可能性があります。

ABF価格改定に関する情報の一部は業界報道に基づいており、メーカーの正式価格表ではありません。

実際の調達・設計変更・量産判断に際しては、必ずメーカーおよび正規代理店の最新情報をご確認ください。

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