
電子部品工場が多い都道府県はどこか、と聞かれてすぐに答えられる人は多くありません。
自動車や家電のニュースでは県名がよく挙がるのに、電子部品となると意外と知られていないのです。
実は経済産業省の統計を見ると、答えは一貫してはっきりしています。
三重県が長年にわたり出荷額で全国1位を守り続けているのです。
しかもその差はわずかではありません。
本記事では、なぜ三重県が突出しているのか、2位の常連である長野県にはどんな歴史があるのか、そして九州や東北、北海道で今何が起きているのかを、公的統計と最新の産業動向をもとに整理します。
読み終える頃には、電子部品工場の分布から日本の国内サプライチェーンの現在地までが見えてくるはずです。
結論、電子部品工場が集中する都道府県は三重県と長野県
結論から述べます。
電子部品・デバイス・電子回路製造業の出荷額で見ると、全国で最も工場が集積しているのは三重県です。
経済産業省の経済構造実態調査によれば、三重県の同産業の製造品出荷額等は令和3年(2021年)時点で1兆8751億円にのぼり、全国シェアは11.4パーセントに達します。
これは2位以下を大きく引き離す数字です。
そして、その三重県を長年にわたり追いかけてきたのが長野県です。
工業統計調査のデータを2002年から2014年まで追うと、長野県はほぼ一貫して2位の座を守り続けてきたことがわかります。
以下の表は、両県の出荷額の推移をまとめたものです。
| 年 | 三重県(順位) | 長野県(順位) |
|---|---|---|
| 2002年 | 7,111億円(3位) | 8,452億円(1位) |
| 2004年 | 1兆2,491億円(1位) | 1兆219億円(2位) |
| 2008年 | 2兆3,656億円(1位) | 9,803億円(2位) |
| 2014年 | 1兆9,434億円(1位) | 7,703億円(2位) |
| 2021年 | 1兆8,751億円(1位) | 統計未確認 |
出典:経済産業省 工業統計調査、経済構造実態調査、三重県公表資料をもとに作成
出荷額で見る全国1位は三重県、しかも大差
三重県が突出している最大の理由は、半導体を中心とする大規模工場が県内、とりわけ四日市市に集中していることです。
工業統計調査の推移を見ると、三重県は2004年前後に長野県を抜いて首位に立ち、それ以降ほぼ一貫してトップの座を守り続けています。
四日市市の公表資料でも、三重県の同産業出荷額は18年から20年連続で全国1位という数字が繰り返し示されており、単年の突発的な数字ではないことがわかります。
つまり三重県の強さは、特定の年だけの現象ではなく、20年近くにわたって積み上げられてきた産業集積の結果なのです。
歴史ある2位の常連、長野県
長野県は電子部品・デバイス・電子回路製造業において、三重県ほどの規模ではないものの、長年にわたり2位の常連となってきました。
興味深いのは、2002年時点では長野県が1位で、三重県は3位だったという事実です。
つまり両県の順位は2000年代半ばに逆転しており、その背景には半導体メモリー需要の拡大と、精密機械産業から電子部品産業への構造変化があると考えられます。
この逆転劇は、他の記事ではあまり触れられていない視点かもしれません。
しかし国内サプライチェーンの変化を理解するうえでは、重要な事実です。
上位県に共通する特徴
三重県と長野県以外にも、広島県、宮城県、兵庫県、大阪府、山形県、滋賀県、京都府など、多くの県が電子部品・デバイス・電子回路製造業の出荷額上位に名を連ねてきました。
2014年の工業統計調査を見ると、上位20県だけで全国出荷額の6割近くを占めています。
ここから見えてくるのは、電子部品工場が一部の地域だけに偏っているわけではなく、全国に分散しながらも、特定の県に大きな核ができているという構造です。
この点は、後述する立地条件の分析でさらに詳しく見ていきます。
三重県が18年以上トップを守り続ける理由

三重県がここまで長期間トップを守り続けている理由は、単純です。
半導体産業における国内有数の生産拠点が、県内に複数集積しているからです。
とりわけ四日市市には、フラッシュメモリーの主力工場をはじめとする大規模な半導体関連施設が林立しています。
以下、具体的に見ていきましょう。
四日市に集まる半導体大手の工場群
四日市市には、キオクシアの四日市工場をはじめ、かつてシャープが液晶テレビ生産の拠点とした亀山工場、富士通の三重工場など、電子デバイス関連の大規模工場が集積してきました。
三重県の公式資料によれば、市町村別で見ても四日市市は電子部品・デバイス・電子回路製造業の出荷額で全国1位となっています。
つまり三重県の強さは、県全体に広く薄く分布しているのではなく、四日市市という特定の都市に高度に集約された結果であると言えます。
これは工場立地を検討する企業にとっても示唆的です。
一つの都市に関連産業が集まることで、部材の調達や人材確保がしやすくなるという集積効果が働いているのです。
フラッシュメモリー世界シェア約2割の重み
四日市市に主力工場を置くキオクシアは、東芝の半導体部門を前身とし、1992年の設立以来、フラッシュメモリーの量産を続けてきました。
四日市市の資料によれば、同社が生産するフラッシュメモリーは世界市場で約20パーセントのシェアを占めているとされています。
一つの工場が世界シェアの2割を握っているという事実は、三重県の出荷額を押し上げているだけでなく、日本の国内サプライチェーン全体にとっても軽視できない意味を持ちます。
生成AIの普及によってデータセンター向けの記憶装置需要が拡大するなか、この工場の増産計画は国内外から注目を集め続けています。
コンビナートという地の利、実践上の注意点
四日市市はもともと石油化学コンビナートの街として知られてきました。
1960年代の重化学工業の集積が、港湾や高速道路といったインフラを整備する原動力となり、その後の半導体工場誘致の土台になったという経緯があります。
ここで一つ、実務上の注意点を挙げておきます。
電子部品・デバイス・電子回路製造業という統計上の分類は、半導体だけでなくコンデンサやコネクタなどの受動部品も含む幅広い括りです。
三重県の出荷額の大部分は半導体関連が占めていますが、電子部品工場が多い県イコール半導体工場が多い県、と単純に同一視すると、実態を見誤る可能性があります。
自治体の産業データを調べる際は、産業中分類の内訳まで確認することをおすすめします。
もう一つ触れておきたいのは、四日市市がかつて四大公害病のひとつ、四日市ぜんそくの発生地として知られていた過去です。
1960年代から70年代にかけて深刻化した大気汚染は、その後の環境対策の積み重ねによって克服され、現在ではアジア諸国の企業が公害対策の実績を視察に訪れるまでになりました。
重厚長大産業の街が、公害対策で培った技術と経験を土台にしながら先端の電子デバイス産業へと転換してきたという歴史は、三重県の強さを語るうえで見落とされがちな一面です。
長野県諏訪地域、東洋のスイスと呼ばれた電子産業の歴史
長野県が電子部品産業で存在感を持ち続けている理由は、三重県とはまったく異なる歴史的背景にあります。
それは諏訪地域を中心とした精密機械産業からの発展です。
なぜ内陸の盆地に精密産業が根づいたのか、その経緯を追うと、日本の産業立地の面白さが見えてきます。
製糸業から精密機械へ、産業転換の軌跡
諏訪地域は明治から大正期にかけて、岡谷市を中心に製糸業で全国的に知られた土地でした。
長野県の公式サイトによれば、諏訪地域は豊富な水と澄んだ空気を背景に、戦後は精密機械工業へと産業の軸足を移し、東洋のスイスと呼ばれるまでになりました。
製糸業で培われた繊細な手作業の技術や勤勉な労働力が、後の精密機械産業を支える土壌になったと考えられています。
戦時疎開が技術を呼び込んだ
諏訪地域の精密産業を語るうえで欠かせないのが、太平洋戦争中の工場疎開です。
空襲を避けるため、都市部の精密機械工場が地方へ疎開した際、諏訪地域にもその一部が移転してきました。
戦後、疎開してきた工場の多くは解散や引き上げを行いましたが、そこで培われた技術やノウハウは地域に残り、時計やカメラ、オルゴールといった精密機械工業として根づいていきました。
これは偶然の産物のように見えて、実は水と空気という地理的条件が、技術者たちを留まらせる土台になっていたとも言えるでしょう。
セイコーエプソンと企業城下町
諏訪地域を象徴する企業が、諏訪精工舎を前身とするセイコーエプソンです。
腕時計の生産拠点として世界的に知られるようになった同社を中心に、諏訪地域には関連する部品メーカーや協力企業が集積し、いわゆる企業城下町の形を作り上げてきました。
現在も長野県内には電気機械や精密機械の分野で先端技術を持つ企業が集積しており、これが電子部品・デバイス・電子回路製造業における長年の2位という実績につながっています。
九州シリコンアイランドの復活、TSMC進出が変えた地図
三重県と長野県という伝統的な上位県に対して、近年もっとも大きな変化が起きているのが九州です。
かつて九州はシリコンアイランドと呼ばれるほど半導体工場が集積した地域でしたが、2000年代以降は工場の海外移転などで存在感が薄れていました。
その流れを一変させたのが、台湾の半導体受託製造大手TSMCの熊本進出です。
なぜ熊本が選ばれたのか
TSMCの日本法人であるJASMは、熊本県菊陽町に工場を建設し、2024年12月には第1工場が稼働を開始しました。
続く第2工場も2027年の稼働を目指して建設が進められています。
熊本が選ばれた背景には、豊富な地下水資源、隣接するソニーグループの工場との連携のしやすさ、九州に蓄積された半導体人材、そして日本政府による大規模な補助金という複数の条件が重なったことがあります。
一つの条件だけで工場誘致が決まるわけではなく、複数の要因が同時に満たされて初めて大規模投資が実現するという点は、他の地域が誘致を検討するうえでも参考になるはずです。
熊本から九州全域へ広がる波及効果
TSMC進出の影響は熊本県内にとどまりません。
九州フィナンシャルグループの試算によれば、TSMCの進出による経済波及効果は2022年からの10年間で約11兆円にのぼるとされています。
また、経済産業省が公表した資料によれば、令和3年度から令和7年度にかけて国の補助金を活用した投資額は、熊本県が全国最大の3兆2000億円に達しています。
半導体関連企業の工場新設や増設の動きは熊本県だけでなく、九州全域に広がっており、新生シリコンアイランド九州という言葉が使われるようになっているのです。
東北シリコンロードと北海道ラピダス、次世代拠点の誕生
九州と並んで注目したいのが、東北地方と北海道の動きです。
こちらも国内サプライチェーンを語るうえで欠かせない地域になっています。
東北自動車道沿いに広がる半導体クラスター
東北地方はかつて、東北自動車道沿いに半導体工場が立ち並んだことから、シリコンロードと呼ばれてきました。
岩手県北上市に工場を置くキオクシア岩手はその代表格です。
週刊東洋経済の報道によれば、東北地方が全国の製造品出荷額に占める割合は約6パーセントにとどまる一方、半導体関連産業に限ると全国出荷額の約17パーセントを占めるとされています。
この数字は2022年時点の報道によるものですが、東北が製造業全体の規模以上に半導体分野で存在感を持っていることを示す興味深いデータです。
さらに近年は、SBIホールディングスと台湾のPSMCが共同出資するJSMCが、宮城県大衡村に新たな工場を建設中で、2027年の生産開始を目指しています。
千歳に集うラピダス、国策としての半導体復権
北海道千歳市では、次世代半導体の国産化を目指すラピダスの工場建設が進んでいます。
同社はトヨタ自動車やNTT、ソニーグループなど日本企業8社の出資により設立された企業で、2020年代後半の量産開始を目指しています。
政府は2022年12月、経済安全保障推進法に基づいて半導体を特定重要物資に指定し、国内生産能力の強化を政策の柱に据えました。
経済産業省北海道経済産業局の資料によれば、令和3年度から令和7年度にかけて北海道に投じられた国の補助金活用投資額は1兆9100億円に達し、熊本県に次ぐ全国2位の規模となっています。
2026年春には、半導体チップを基板に実装する後工程の試作ラインが稼働する見込みで、道内での関連産業集積が今後の焦点になっています。
なぜ京都に電子部品メーカーの本社が集中するのか
工場の立地だけでなく、電子部品メーカーの本社立地という観点で見逃せないのが京都です。
村田製作所、京セラ、ローム、ニデックといった、電子部品や半導体分野で世界的な存在感を持つ企業が、そろって京都に本社を構えています。
独自技術を武器にする京都企業の系譜
京都に本社を置くこれらの企業に共通するのは、大量生産の価格競争ではなく、他社が簡単には真似できない独自技術で世界市場を切り開いてきたという点です。
コンデンサやセラミック部品、集積回路、精密モーターといった分野で、それぞれが特定分野の高いシェアを持つに至った背景には、創業者の強い理念に基づく研究開発への継続的な投資があります。
これは短期的な流行を追うのではなく、時間をかけて技術を磨き上げるという、京都企業に共通する経営姿勢の表れだと言えるでしょう。
東京に本社を移さない気風
大阪や神戸を拠点としていた企業の一部が、成長に伴って東京へ本社機能を移してきたのに対し、京都の主要企業の多くは本社を京都に置き続けています。
これは単なる愛着の問題ではなく、地元の大学や研究機関との連携、長年培ってきた協力企業とのネットワークを維持するという、実利的な判断でもあります。
結果として京都には、電子部品分野における研究開発と経営の中枢機能が集積し続けているのです。
電子部品工場はなぜその都道府県に立地するのか、共通する条件
ここまで個別の県を見てきましたが、あらためて全体を俯瞰すると、電子部品工場の立地にはいくつかの共通条件が浮かび上がります。
きれいな水と空気という制約条件
半導体や精密部品の製造工程では、ごくわずかな不純物やホコリが不良品の原因になります。
そのため工場の立地には、きれいな水と空気が安定して確保できることが重要な条件になります。
長野県諏訪地域が東洋のスイスと呼ばれた背景にも、豊富な湧水と澄んだ空気があったことはすでに述べたとおりです。
熊本県がTSMC誘致に成功した理由の一つに、豊富な地下水資源が挙げられている点も、同じ文脈で理解できます。
高速道路・空港へのアクセスと地価
電子部品は小型軽量でありながら高付加価値な製品が多く、航空機での輸送に適しています。
そのため、空港や高速道路のインターチェンジに近く、なおかつ広い用地を比較的安価に確保できる地方部が、工場立地として選ばれやすい傾向があります。
三重県、長野県、熊本県、宮城県、北海道といった、この記事で取り上げた地域の多くが、大都市圏そのものではなく、その周辺に位置する点は象徴的です。
つまり電子部品工場が多い都道府県を理解するには、県単位の統計だけでなく、市町村レベルでのインフラ整備状況まで見る必要があるのです。
国内サプライチェーンの現在地、経済安全保障という視点
最後に、電子部品工場の地理的分布を、国内サプライチェーン全体の観点から整理しておきます。
台湾依存という弱点とレガシー半導体の重要性
日本は半導体材料や製造装置の分野では今も世界的な強みを持つ一方、最先端ロジック半導体の製造能力については台湾企業への依存度が高いという課題を抱えてきました。
この課題が広く意識されるきっかけとなったのが、2020年から2021年にかけて世界的に顕在化した半導体不足です。
自動車や家電の生産ラインが部材調達難で止まるという事態を各国が経験したことで、国内に一定の生産能力を確保しておくことの重要性が、経済安全保障という切り口で一気に注目されるようになりました。
経済産業省の資料によれば、日本国内で不足しているのは最先端分野だけでなく、レガシー半導体と呼ばれる従来型半導体や、そのサプライチェーンを構成する製造装置、部素材、原料の供給能力でもあるとされています。
TSMC熊本工場が生産するのも、最先端の回路線幅ではなく、社会に広く必要とされる実用的な世代の半導体が中心です。
この点は華やかな最先端技術のニュースの陰に隠れがちですが、国内サプライチェーンを支えるうえでは重要な事実です。
政府支援が動かす工場立地の地殻変動
2022年12月、政府は経済安全保障推進法に基づいて半導体を特定重要物資に指定しました。
これ以降、熊本県や北海道をはじめとする各地で、国の補助金を活用した大規模投資が相次いでいます。
こうした動きは、従来の三重県や長野県といった伝統的な上位県に加えて、新たな電子部品産業の集積地が生まれつつあることを意味しています。
数年後には、この記事で紹介した都道府県別のランキングそのものが、大きく塗り替わっている可能性も十分にあります。
電子部品工場が多い都道府県を継続的に調べる際は、電子情報技術産業協会(JEITA)や経済産業省が定期的に公表する経済構造実態調査の最新結果をあわせて確認することをおすすめします。
電子部品業界を目指す人、進出を検討する企業が押さえておきたい視点
ここまでの内容を、実際に地域選びをする立場から捉え直してみます。
統計上の順位を眺めるだけでは見えてこない、現場ならではの注意点がいくつかあります。
急成長地域には成長痛もある
TSMC熊本工場の例が象徴的ですが、急速な投資が集中する地域では、地価の上昇や人手不足、生活用水への影響といった課題が同時に生じています。
半導体関連の求人が急増する一方で、住宅や交通インフラの整備が追いつかず、地域住民の生活コストが上がるという副作用も報じられています。
工場が新設されるというニュースだけを見て楽観的に捉えるのではなく、地域社会全体にどのような負荷がかかっているのかまで確認する視点が欠かせません。
統計だけでなく一次情報にあたる重要性
この記事で紹介した数字の多くは、経済産業省の経済構造実態調査や各都道府県、市町村が公表する一次資料に基づいています。
電子部品業界への就職や進出を具体的に検討する場合は、こうした公的統計に加えて、各企業のIR資料や自治体の産業振興部局が公表する最新の投資動向まで確認することを強くおすすめします。
産業の集積地図は数年単位で変化するため、この記事の情報も定期的に最新版へアップデートしながら参照してください。
まとめ、電子部品工場の分布から見える日本のモノづくりの今
ここまで見てきたように、電子部品工場が多い都道府県はどこか、という問いに対する現時点での答えは、出荷額ベースで見る限り三重県です。
四日市市を中心とした半導体関連工場の集積が、20年近くにわたって同県を全国トップの座に押し上げてきました。
長野県は諏訪地域の精密機械産業の伝統を受け継ぎながら、長年にわたり2位の座を守り続けています。
そして今、九州や東北、北海道では、TSMCやラピダスの進出をきっかけに、新たな電子部品産業の地図が描かれつつあります。
電子部品工場の立地は、単なる地理の話ではなく、水と空気という自然条件、高速道路や空港というインフラ条件、そして経済安全保障という国家戦略が複雑に絡み合った結果です。
この記事で紹介した視点を手がかりに、ぜひ最新の統計データにもあたりながら、日本の国内サプライチェーンの行方を追いかけてみてください。
よくある質問
電子部品工場が一番多い都道府県はどこですか?
経済産業省の経済構造実態調査によれば、電子部品・デバイス・電子回路製造業の製造品出荷額等で見ると、三重県が全国1位です。
令和3年(2021年)時点で1兆8751億円、全国シェア11.4パーセントとなっており、18年から20年前後にわたって首位を守り続けています。
なぜ三重県に半導体工場が集まっているのですか?
三重県、とりわけ四日市市には、キオクシアの四日市工場をはじめとする大規模な半導体関連工場が集積しています。
もともと石油化学コンビナートとして整備されたインフラや港湾機能が、その後の電子デバイス関連工場の誘致にもつながったと考えられています。
電子部品と半導体は同じ意味ですか?
厳密には異なります。
電子部品・デバイス・電子回路製造業という統計上の分類には、半導体だけでなく、コンデンサやコネクタといった受動部品も含まれます。
三重県の場合は半導体関連の比重が大きいものの、都道府県ごとに内訳の傾向は異なるため、統計を見る際は産業中分類の内容まで確認することをおすすめします。
TSMC熊本工場は日本の電子部品産業にどのような影響がありますか?
TSMCの日本法人JASMは、熊本県菊陽町に工場を建設し、2024年12月に第1工場が稼働を開始しました。
九州フィナンシャルグループの試算では、進出による経済波及効果は2022年からの10年間で約11兆円にのぼるとされており、熊本県だけでなく九州全域の半導体関連産業の集積が進んでいます。
これにより、従来の三重県や長野県中心だった電子部品工場の分布地図が、今後変化していく可能性があります。
今後、電子部品工場が増える見込みの地域はどこですか?
現時点で特に投資が活発なのは、TSMCが進出した熊本県を中心とする九州、そして次世代半導体の量産を目指すラピダスが工場を建設している北海道千歳市です。
経済産業省北海道経済産業局の資料によれば、令和3年度から令和7年度にかけての国の補助金活用投資額は、熊本県が3兆2000億円、北海道が1兆9100億円と、それぞれ全国上位となっています。
宮城県大衡村でもSBIホールディングスと台湾PSMCの合弁工場が建設中であり、東北地方の存在感も再び高まりつつあります。
電子部品業界で働きたい場合、どの地域を検討すべきですか?
三重県や長野県といった伝統的な集積地に加えて、TSMCが進出した熊本県、ラピダスが工場を構える北海道千歳市、そしてキオクシア岩手や新工場建設が進む宮城県など、東北地方も選択肢として存在感を増しています。
地域ごとに扱う技術分野や企業規模が異なるため、統計上の出荷額だけでなく、自分が携わりたい製品分野(半導体か受動部品か、前工程か後工程かなど)を明確にしたうえで、各地域の求人動向や企業のIR情報を確認することをおすすめします。













