サプライチェーン事業継続調査票とは?中小企業が回答前に揃える書類・39問の見方・BCP対応を実務解説

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取引先から突然、

「サプライチェーン事業継続調査票への回答をお願いします」

というExcelが届いた。

開いてみると、BCP、BCM、緊急時体制、復旧、代替生産、原材料、輸送、教育訓練など、普段の営業活動ではあまり使わない言葉が並んでいる。

「これは総務が答えるのか」

「品質保証なのか」

「購買なのか」

「そもそもBCPを正式に作っていない」

このように困る中小企業は珍しくありません。

しかし、サプライチェーン事業継続調査票は、単なるアンケートではありません。

発注企業が確認したいのは、

「災害や事故が起きたとき、この会社から製品や部品を引き続き調達できるのか」

という供給継続能力です。

JEITA(一般社団法人 電子情報技術産業協会)は、2011年の東日本大震災やタイ大洪水によるサプライチェーン断絶などを背景として、2014年9月に「サプライチェーン事業継続調査票」を公表しました。

現在もJEITA公式サイトから日本語版が案内されています。

JEITA公式情報:サプライチェーン事業継続調査票(日本語版)

製造業の商社営業として、顧客から品質、環境、化学物質、供給体制などさまざまな調査票への回答を求められる現場を見ていると、重要なのは「Excelを埋めること」ではありません。

本当に重要なのは、

「その回答を社内資料や実際の運用で説明できるか」

です。

この記事では、サプライチェーン事業継続調査票を初めて受け取った企業でも分かるように、調査の目的、質問の考え方、回答前に揃えたい書類、社内での進め方まで実務目線で整理します。

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サプライチェーン事業継続調査票とは




サプライチェーン事業継続調査票とは、発注企業がサプライヤーの事業継続能力を確認するために使う調査票です。

特に製造業では、一つの部品や材料が入ってこないだけで最終製品を作れなくなることがあります。

そのため発注企業にとって、

「自社が被災しないこと」

だけでは十分ではありません。

仕入先が止まらないこと。

物流が止まらないこと。

原材料が確保できること。

代替生産ができること。

こうしたサプライチェーン全体の事業継続能力が重要になります。

JEITAが調査票を作成した理由

JEITAによると、この調査票が作られた背景には、東日本大震災やタイの洪水によって実際にサプライチェーンが寸断された経験があります。

災害後に企業が困ったのは、単に工場が壊れたことだけではありません。

二次、三次、その先のサプライヤーまで含めた供給網のどこが止まっているのか分からない。

いつ復旧するのか分からない。

代替調達できるのか分からない。

こうした問題です。

さらに発注企業ごとに別々のBCP調査票を作れば、回答するサプライヤー側の負担も大きくなります。

そこで調達部門の視点から評価項目をある程度標準化し、回答側の負担も減らす目的で作られたのがJEITAのサプライチェーン事業継続調査票です。

調査されるのは「BCPがあるか」だけではない

ここは誤解されやすいところです。

BCPとはBusiness Continuity Plan、つまり事業継続計画です。

一方、BCMとはBusiness Continuity Managementで、計画を作るだけでなく、教育、訓練、見直し、改善まで継続的に運用する考え方です。

調査票では、

「BCPという名前の文書を持っていますか」

だけを確認しているわけではありません。

経営者が承認しているか。

責任者が決まっているか。

発動基準があるか。

リスクを想定しているか。

復旧時間を考えているか。

訓練しているか。

代替手段を持っているか。

取引先との連絡方法が決まっているか。

こうした実効性を見ています。

つまり、

「BCP.pdfというファイルが共有フォルダに保存されている」

だけでは十分ではありません。

4大項目・13テーマ・39問で構成されている

JEITA公式情報では、サプライチェーン事業継続調査票は大きく4テーマ、中項目13テーマ、総設問39問で構成されています。

大きな分類は次の4つです。

  1. 事業継続マネジメントと事業継続計画の策定
  2. 現地復旧戦略と対策
  3. 代替戦略と対策
  4. 社外とのコミュニケーション

この構成を見ると、調査票の目的がよく分かります。

「計画書が存在するか」

ではなく、

「止まったときに復旧できるか」

「復旧できない場合に代替できるか」

「その情報を顧客へ伝えられるか」

まで確認しているのです。

なぜ取引先はサプライチェーン事業継続調査票を求めるのか

発注企業が知りたいのは、BCPという書類の有無ではありません。

最終的に知りたいのは、

「自社への納入は止まるのか」

です。

災害後に知りたいのは「いつ納品を再開できるか」

例えば自動車、電子機器、産業機械などでは、数百、数千、場合によってはそれ以上の部品から製品が作られています。

その中の一つが欠品しても完成品を出荷できません。

しかも問題になるのは、高価な部品だけではありません。

1個数十円の部品でも、

代替品がない。

専用仕様である。

特定の工場しか作れない。

認定変更に時間がかかる。

こうした条件が重なると、非常に大きな供給リスクになります。

中小企業庁のBCP策定運用指針でも、中核事業の目標復旧時間を決める際には、取引先やサプライチェーンから求められる停止許容時間を考慮する必要があるとしています。

Tier1だけを確認してもサプライチェーンは守れない

自社が直接購入している一次仕入先だけを確認しても十分ではありません。

その会社が購入している材料。

その材料メーカーが使用している原料。

特殊な表面処理をしている外注先。

金型メーカー。

物流会社。

場合によってはさらに上流へつながっています。

指定サイトでも既に「製造業のサプライチェーン可視化」について解説していますが、サプライチェーン事業継続調査票は、その可視化した情報を「有事にどう使うか」という段階に近いものです。

経済産業省も、近年の大規模災害やコロナ禍による供給寸断を踏まえ、安全在庫や供給先の分散などによるサプライチェーンのレジリエンス強化の重要性を指摘しています。

調査票は取引先評価の材料になり得る

ここは必要以上に不安になる必要はありません。

サプライチェーン事業継続調査票に完璧に回答できないからといって、直ちに取引が停止されるという制度ではありません。

一方で、

「発注企業が供給リスクを評価している」

という点は理解しておく必要があります。

実際、大手企業のサプライヤー向け調達ガイドラインには、BCP策定や安定供給対策を求める内容が含まれる例があります。

例えばPanasonicグループのサプライチェーンCSR推進ガイドラインでは、BCPの策定・実施、サプライチェーン上流の確認、複数購買や在庫確保などの安定供給対策がサプライヤーへの具体的な行動項目として示されています。

したがって、

「BCPがないと必ず取引停止になる」

という表現は適切ではありません。

ただし、

「供給継続性が調達先評価の一要素になり得る」

と考えて準備しておくことは重要です。

サプライチェーン事業継続調査票で確認される4つの大項目

調査票を理解するときは、39問を上から順番に読むより、4つの大項目から考える方が分かりやすくなります。

1.事業継続マネジメントと事業継続計画

最初に確認されるのは、

「会社としてBCPに取り組んでいるか」

です。

具体的には、

経営者の関与。

推進責任者。

緊急時の組織。

発動条件。

被害想定。

事業への影響。

復旧目標。

教育。

訓練。

などが対象になります。

ここで重要なのは、BCPを総務部だけの仕事にしないことです。

中小企業庁も、BCP策定と運用について、経営者のリーダーシップに加え、企業規模や役割に応じて総務、財務、労務、技術、営業などから担当者を参加させる考え方を示しています。

製造業なら、

製造。

品質。

設備。

購買。

営業。

情報システム。

総務。

これらが関係します。

2.現地復旧戦略と対策

次は、

「被災した工場をどう復旧するか」

です。

例えば、

停電したらどうするか。

断水したらどうするか。

通信が止まったらどうするか。

設備が転倒したらどうするか。

データが失われたらどうするか。

といった内容です。

重要なのは、

「地震対策をしています」

という抽象的な答えではありません。

どの設備に対策をしているのか。

非常用電源は何時間使えるのか。

バックアップはどこに保存しているのか。

復旧業者の連絡先は分かるのか。

という具体性です。

3.代替戦略と対策

ここは製造業では特に重要です。

現地復旧に時間がかかる場合、

「別の方法で供給を続けられるか」

が問われます。

別工場で作れるのか。

協力工場へ移管できるのか。

別メーカーの材料を使用できるのか。

別の物流会社を使えるのか。

こうした代替手段です。

指定サイトにある「BCPの観点から見た複数拠点発注」は、まさにこの部分に関係しています。

ただし調査票への回答では、

「代替できます」

だけでは弱い回答になります。

どこで。

何を。

どれだけ。

何日後から。

品質承認は済んでいるか。

治具は共通なのか。

材料は確保できるのか。

ここまで整理できて初めて、実効性のある代替戦略になります。

4.社外とのコミュニケーション

BCPで意外に見落とされるのが連絡です。

設備を復旧できても、

顧客へ状況を報告できない。

仕入先の状況が分からない。

物流会社へ連絡できない。

これではサプライチェーン全体では復旧できません。

そのため、

顧客。

サプライヤー。

行政。

業界団体。

専門家。

などとの連絡体制も対象になります。

有事のときに初めて担当者の携帯番号を探すのでは遅いのです。

回答前に準備しておきたい8つの資料

調査票を受け取ってから各部署を回るより、普段から次の8種類の情報を整理しておくと回答が非常に楽になります。

1.BCP基本方針

最初に必要なのは、

「会社として事業継続にどう取り組むか」

を示した文書です。

何十ページも必要とは限りません。

経営者が承認した基本方針として、

従業員の安全確保。

顧客への供給責任。

重要業務の早期復旧。

取引先との連携。

継続的な改善。

などの基本的な考え方を整理します。

2.緊急時組織図・連絡網

次に必要なのが緊急時の体制です。

誰が対策本部長なのか。

本部長が不在なら誰なのか。

製造担当。

設備担当。

調達担当。

顧客連絡担当。

従業員安否確認担当。

情報システム担当。

こうした役割を明確にします。

役職名だけではなく、代理者まで決めておくのがポイントです。

3.リスク一覧

自社で発生する可能性があるリスクを整理します。

地震。

水害。

豪雪。

停電。

火災。

感染症。

設備故障。

サイバー攻撃。

通信障害。

物流停止。

仕入先の供給停止。

地域によって優先順位は変わります。

大切なのは、世の中に存在するすべての災害を書くことではありません。

自社の工場や事業で、

「本当に止まる原因は何か」

を考えることです。

4.重要業務と目標復旧時間

BCPでは、すべてを同時に復旧させようとすると失敗します。

まず復旧しなければならない業務を決めます。

例えば、

受注。

主要製品Aの生産。

検査。

出荷。

基幹システム。

顧客への連絡。

などです。

そのうえで、

「何時間以内」

「何日以内」

という目標復旧時間を設定します。

中小企業庁も、復旧の遅れが長期化すれば主要顧客との取引に影響する可能性があるとして、取引先やサプライチェーンの要請を考慮した目標復旧時間の設定を求めています。

5.設備・インフラ対策一覧

製造業なら、

設備。

電力。

水。

圧縮空気。

ガス。

ネットワーク。

サーバー。

検査機。

金型。

治具。

などを整理します。

ここでおすすめなのは、

「設備一覧」

ではなく、

「止まったら生産が止まる設備一覧」

を作ることです。

設備価格と重要度は一致しません。

100万円の専用検査機が止まることで、数億円規模の製品を出荷できなくなることもあります。

6.代替生産・代替調達一覧

この資料は調査票回答だけでなく、実際の災害でも役に立ちます。

主要製品ごとに、

通常生産拠点。

代替可能拠点。

使用設備。

主要材料。

主要仕入先。

代替仕入先。

必要な金型・治具。

切り替えに必要な日数。

を整理します。

「代替先候補がある」

と、

「明日から代替生産できる」

はまったく違います。

品質認定や顧客承認が必要なら、その期間も含めて考えます。

7.顧客・仕入先緊急連絡一覧

顧客名だけでは不十分です。

会社名。

部署。

担当者。

電話。

メール。

緊急連絡方法。

主要納入品。

主要仕入品。

などを整理します。

特に重要なのは、

「誰が連絡するか」

です。

営業担当者個人のスマートフォンにしか連絡先が入っていない状態は、BCPとして非常に弱い状態です。

8.教育・訓練・見直し記録

BCPは作った日より、その後が重要です。

避難訓練。

安否確認訓練。

緊急連絡網テスト。

データ復旧テスト。

机上訓練。

代替生産テスト。

などを実施したら記録を残します。

中小企業庁は、事業や組織、取引先、システム、サプライチェーンからの要求などに変更があればBCPを見直す必要があり、大きな変更がない場合でも1年ごとの見直しが望ましいとしています。

実務で最も重要なのは「回答」と「証拠」を一致させること




サプライチェーン事業継続調査票への対応で、私が最も重要だと考えるのはここです。

回答を良く見せることではありません。

回答と実態を一致させることです。

「実施している」と「できると思う」は違う

例えば、

「代替生産が可能です」

という回答。

社内で聞くと、

「たぶん○○工場ならできる」

という答えが返ってくることがあります。

しかし確認すると、

金型が移動できない。

設備仕様が違う。

検査機がない。

材料認定が別。

顧客承認が必要。

ということがあります。

これは「代替生産可能」とは言い切れません。

BCP調査で重要なのは希望ではなく、現時点で実行できる能力です。

営業担当者だけで回答しない

調査票は顧客から営業担当者へ送られてくるケースがあります。

そのため営業が全部回答したくなります。

しかし、

設備の耐震対策は製造・設備。

バックアップは情報システム。

安否確認は総務。

代替材料は購買・技術。

BCP承認は経営者。

というように情報源が違います。

最も危険なのは、

「たぶんやっているだろう」

で回答することです。

後日、顧客監査や別の調査票で回答が食い違えば、BCP以前に情報管理体制そのものへの不信につながります。

昨年回答のコピーも危険

毎年同じような調査が来ると、

「去年の回答をそのまま使おう」

となりがちです。

しかし1年間で、

担当者。

仕入先。

設備。

工場。

物流会社。

システム。

生産品。

などは変わります。

BCPは情報の鮮度が非常に重要です。

前年回答は参考資料として使い、必ず現在の状態を確認します。

BCPをまだ作っていない会社はどう回答するか

「BCPを作っていません」

という会社もあるでしょう。

そこで回答を止める必要はありません。

未策定を隠さない

最も避けたいのは、存在しない仕組みを「ある」と回答することです。

BCPが完成していないのであれば、現在の状況に合わせて回答します。

そのうえで、

策定中。

担当者決定済み。

○月までに基本方針作成予定。

緊急連絡網は作成済み。

など、実際に進めている内容を整理しておく方が合理的です。

最初から100点を目指さない

中小企業が大企業と同じBCPを一気に作る必要はありません。

重要なのは、

「事故が起きたとき、会社として何をするか」

を少しずつ決めていくことです。

中小企業庁は「中小企業BCP策定運用指針」を公開しており、BCP策定のための様式も提供しています。

中小企業庁公式:中小企業BCP策定運用指針

また、中小企業向けには「事業継続力強化計画」という制度もあります。

これは防災・減災の事前対策をまとめ、経済産業大臣の認定を受ける制度です。

中小企業庁は、取り組みやすいBCPとして位置づけています。

公式情報:中小企業庁 事業継続力強化計画

最初に整理するならこの順番

BCP未策定企業なら、最初に次の順番で整理すると進めやすくなります。

  1. 絶対に止めたくない製品・業務を決める
  2. それが止まる原因を洗い出す
  3. 緊急時の責任者を決める
  4. 顧客・従業員・仕入先の連絡方法を決める
  5. 目標復旧時間を決める
  6. 代替設備・代替仕入先・代替生産先を確認する
  7. 文書化する
  8. 一度訓練して修正する

これだけでも、何も決まっていない状態から大きく前進します。

製造業では「設備」より先にボトルネックを探す

サプライチェーン事業継続調査票を単なる書類対応で終わらせるのはもったいありません。

この調査をきっかけに、

「自社は何がなくなったら止まるのか」

を調べると、自社の弱点が見えてきます。

中小企業庁もBCP策定において、人、施設、設備、原材料、IT、通信、電力、水道、輸送、帳票など、事業継続に不可欠な「ボトルネック資源」を把握することを重視しています。

1個止まれば製品全体が止まる部材

購入金額が大きい材料だけを見てはいけません。

月間購入額3万円の部材でも、

その部材がなければ3億円分の製品を出荷できないのであれば、BCP上は非常に重要です。

購買金額ではなく、

「止まったときの影響額」

から考える必要があります。

特殊工程と専用設備

メッキ。

熱処理。

レーザー加工。

専用検査。

特殊接着。

成形。

特殊表面処理。

こうした工程を1社だけに依存していないか確認します。

設備がある工場は複数あっても、

その製品を加工できる認定工場は1社だけ、

ということもあります。

人しか持っていないノウハウ

製造業のBCPでは設備に目が向きがちですが、人も重要です。

「あの人しか条件を設定できない」

「あの人しか検査判定できない」

「あの人しか顧客との仕様を知らない」

という状態は、大きな事業継続リスクです。

作業標準。

条件表。

検査基準。

顧客仕様。

引き継ぎ資料。

を整備して、属人化を減らします。

輸送もボトルネックになる

製品が完成していても、運べなければ納品できません。

主要物流会社が使用できない場合。

高速道路が通行止めの場合。

港が使えない場合。

航空便が止まった場合。

海外からの輸入が止まった場合。

別ルートを考えているか確認します。

BCPを「工場を復旧させる計画」とだけ考えると、この物流部分が抜け落ちます。

サプライチェーン事業継続調査票の回答後にやるべきこと

提出したら終わりではありません。

むしろ、ここからBCMが始まります。

回答台帳を残す

最低限、

顧客名。

依頼日。

回答日。

使用した調査票の版。

回答担当者。

社内確認者。

回答ファイル保存場所。

変更した項目。

を残しておくことをおすすめします。

翌年、同じ顧客から調査依頼が来たときの工数が大きく変わります。

質問ごとの「根拠資料」を紐付ける

さらにおすすめなのが、

回答項目と証拠資料の対応表です。

例えば、

BCP基本方針についての質問
→「BCP基本方針.pdf」

緊急時組織についての質問
→「緊急時組織図.xlsx」

代替仕入先についての質問
→「主要材料代替調達先一覧.xlsx」

訓練についての質問
→「2026年度安否確認訓練記録.pdf」

というように紐付けます。

次回から回答速度が大きく上がります。

年1回を目安に見直す

BCPは作成日より更新日が重要です。

中小企業庁も、大きな事業変更がなくても1年ごとの見直しが望ましいとしています。

私は、

「毎年○月にBCPを見直す」

と日付を固定してしまう方法が分かりやすいと思います。

さらに、

主要仕入先変更。

工場移転。

設備更新。

組織変更。

システム更新。

大規模災害。

重大事故。

などが発生したときは、その都度見直します。

2026年以降、BCPは「作ったか」から「本当に機能するか」へ




BCPを取り巻く考え方も変化しています。

内閣府では2026年7月から「事業継続ガイドライン改定等に関する検討会」が開催されており、経営中枢機能の維持、代替戦略、サプライチェーン対策の強化などを踏まえた見直しが進められています。

内閣府公式:事業継続ガイドライン改定等に関する検討会

つまり今後は、

「BCPという文書があります」

だけではなく、

「実際に事業を継続できる仕組みがあります」

という説明力が、さらに重要になると考えられます。

これは大企業だけの問題ではありません。

むしろサプライチェーンの一部を担う中小企業ほど、

「この部品は当社しか作っていない」

というケースがあります。

小さな会社の小さな工程が、大企業の巨大な工場を止めることもある。

ここが製造業BCPの難しさであり、サプライチェーン事業継続調査票が存在する理由でもあります。

サプライチェーン事業継続調査票を「面倒なExcel」で終わらせない

取引先から調査票が届くと、

「また書類が増えた」

と思うかもしれません。

しかし見方を変えると、この調査票は自社の弱点を無料で洗い出してくれるチェックリストでもあります。

経営者が関与しているか。

責任者がいるか。

工場が止まったらどうするか。

材料が来なくなったらどうするか。

物流が止まったらどうするか。

顧客へ誰が連絡するか。

こうした質問に即答できない部分こそ、自社の事業継続上の弱点です。

中小企業BCPで最初から立派な冊子を作る必要はありません。

まず、

「誰が」

「何を」

「いつまでに」

「どうやって復旧するか」

を決める。

そして、その内容を文書として残す。

調査票への回答をきっかけに、ここまで進められれば意味があります。

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サプライチェーン事業継続調査票に関するFAQ

Q1.サプライチェーン事業継続調査票とは何ですか?

発注企業がサプライヤーの事業継続能力を確認するための調査票です。

JEITA版では、経営者の関与、BCP、緊急時体制、復旧、代替生産、調達、輸送、顧客や仕入先とのコミュニケーションなどを確認します。

Q2.JEITA版は何問ありますか?

JEITA公式情報では、大項目4テーマ、中項目13テーマ、総設問数39問で構成されています。

Q3.BCPを作っていない場合はどうすればよいですか?

実態と異なる回答は避け、現在の状態に合わせて回答します。

そのうえで、緊急時体制、重要業務、連絡網、復旧目標、代替手段など、最低限必要な項目から順番に整備する方法が現実的です。

Q4.BCPがないと取引停止になりますか?

BCP未策定だけを理由に自動的に取引停止になるという一般的な制度ではありません。

ただし発注企業がサプライヤーの供給継続能力を調達リスクとして評価することはあり、BCPや安定供給への取り組みをサプライヤーへ求めている企業もあります。

そのため、取引継続や新規採用の判断材料の一つになる可能性は考えておくべきです。

Q5.誰が回答すればよいですか?

一人だけで回答するより、複数部署で確認する方が安全です。

経営者。

総務。

製造。

設備。

品質。

購買。

営業。

情報システム。

など、質問内容に応じて担当部署から情報を集めます。

Q6.前年と同じ内容なら、そのまま提出してもよいですか?

おすすめできません。

組織、担当者、設備、仕入先、物流、システムなどに変更がないか確認してから提出します。

前年回答は「コピー元」ではなく「確認用資料」として使用する方が安全です。

Q7.回答のために最初に作る書類は何ですか?

BCP基本方針、緊急時体制図、緊急連絡網、主要業務一覧、目標復旧時間、主要設備一覧、代替調達先一覧などから始めると整理しやすくなります。

Q8.BCPは毎年更新する必要がありますか?

企業の状況によりますが、中小企業庁は、大きな事業変化がない場合でも1年ごとの見直しが望ましいとしています。

Q9.JEITAの調査票を自社テンプレートとして配布してよいですか?

利用条件はJEITA公式情報を確認する必要があります。

JEITAは調査票の利用にあたり解説書の「使用上の注意」を確認するよう案内しており、資料の商用利用などについてはJEITAへの相談を求めています。

自社で独自のBCP準備資料を作る場合も、JEITA調査票そのものを転載・再配布するのではなく、自社独自の様式として作成する方が安全です。

Q10.調査票に回答する最大のポイントは何ですか?

回答を良く見せることではありません。

「回答内容」と「実際の運用」と「証拠となる資料」を一致させることです。

ここが揃っていれば、別の顧客から同様のBCP調査が来ても対応しやすくなります。

まとめ




サプライチェーン事業継続調査票は、単なるアンケートではありません。

発注企業が、

「この会社から有事にも供給を受け続けられるか」

を確認するための調査です。

特に重要なのは、

BCPの有無だけを見るものではない、

という点です。

経営者の関与。

緊急時体制。

リスク分析。

目標復旧時間。

設備・インフラ対策。

代替生産。

代替調達。

物流。

教育・訓練。

顧客・サプライヤーとの連絡。

これらを総合的に見ています。

そして中小企業にとって重要なのは、いきなり完璧なBCPを作ることではありません。

まず、

「自社の何が止まったら、顧客への供給が止まるのか」

を洗い出すことです。

そこから緊急時体制、復旧目標、代替手段、連絡方法を一つずつ決めていけば、BCPは現実的なものになります。

取引先からサプライチェーン事業継続調査票が届いたときは、

「面倒な書類が来た」

だけで終わらせないことです。

自社の弱点を見つける機会として利用する。

そして一度作った回答を、次回以降にも使える「事業継続情報」として社内に蓄積する。

これが、調査票対応を単なる事務作業から、実際のサプライチェーン強靱化につなげる方法です。

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