
基板実装会社やEMS企業を調べていると、「設計から実装、組立、検査まで対応」「部品調達を含めたワンストップ対応」といった説明をよく目にします。そのため外部から見ると、EMSは一社ですべての工程を完結しているように見えるかもしれません。
しかし、実際の電子機器製造では事情がもう少し複雑です。
設計は外部の設計会社、基板は基板メーカー、SMT実装は自社、X線検査は専門会社、ハーネスや板金は協力工場、特殊な電子部品は商社から調達するというように、複数企業をつなぎながら顧客には一つのサービスとして提供する形があります。
公開情報を確認しても、千代田電子機器はグループ企業や製造パートナーを活用した実装体制を紹介しており、デンソも電子部品商社との調達ネットワークとEMS事業の協業によって部品調達から実装、検査までを提供しています。キヤノン電子も、事業連携を活用して実装ユニット組立へ対応していると説明しています。 デンソ
つまり、「ワンストップで受注できる」と「全工程を自社設備・自社人員で内製している」は同じ意味ではありません。
僕がここを重要だと考える理由は、基板実装.comで日本全国のEMS企業を調べてきたからです。基板実装.comでは過去12年間にわたり47都道府県のEMS会社データベースを構築し、2026年4月時点で612社を確認しています。 マネー
会社数を並べるだけでは、次の取引は見えてきません。今後さらに知りたいのは、「この会社は何ができるか」だけではなく、「この会社は何を他社と組むことで増やしたいのか」です。
そこで今回は、小規模EMSの協業ニーズを調べるとき、何を聞けば本当の不足機能が見えるのかを整理します。
なお、本稿作成時点では、企業への聞き取り件数、調査期間、回答割合といった実測データは提示されていません。そのため、「最も多かったニーズはX線検査だった」といった架空の調査結果は掲載しません。2026年10月時点の公開情報から調査仮説を作り、今後企業へ聞き取りを行う際にも使える形に落とし込みます。
小規模EMSの協業ニーズは「設備一覧」だけでは分からない
EMSの協業ニーズを調べるとき、最初に思いつきやすいのは設備一覧です。
「X線検査装置を持っていますか」
「AOIはありますか」
「大型基板を実装できますか」
「鉛フリーと共晶の両方に対応できますか」
こうした質問は必要です。ただし、これだけでは協業ニーズを正確につかめません。
例えば、X線検査装置を持っていないEMSがあったとしても、年に数回しかBGA案件が来ないのであれば、高額な設備を購入するより必要なときだけ外部へ依頼した方が合理的でしょう。この場合、会社に不足しているのは「X線設備」ですが、経営上の問題とは限りません。
逆に、自社にAOIがあったとしても、顧客から高度な解析報告まで求められ、その判定や原因解析を担当できる人材がいなければ、設備はあっても品質保証機能の一部が不足しています。
この違いは非常に大きいと考えています。
EMSの不足を調べるなら、「機械を持っているか」だけではなく、「その案件を自社だけで受け切れるか」を見なければなりません。
設備保有状況はあくまで一要素です。本当に聞くべきなのは、受注した案件のどこで他社の力が必要になるのかです。
2026年版ものづくり白書では、2025年の製造業就業者数は1,033万人で、中小企業の製造業における従業員過不足DIはマイナス17.9とされています。設備だけでなく、人材そのものが制約になる環境が続いていることが分かります。 経済産業省
そのため今後のEMS協業では、「設備を借りる」という考え方だけではなく、「技術者」「調達ルート」「検査ノウハウ」「品質保証」「海外対応」といった機能を補い合う視点が必要になってくるでしょう。
公開情報を見ると「ワンストップ=全工程内製」とは限らない
EMS関連の競合記事や企業サイトを調べると、多くの会社がワンストップ対応を強みとして打ち出しています。
東京レーダーは、部品調達からSMT・DIP実装、組立、検査、梱包・出荷までをサービスとして示しています。千代田電子機器では、国内外の仕入れソースと協業パートナーのEMS会社を活用し、調達から実装、加工・組立まで対応しています。大日光・エンジニアリングでは、設計・評価、部材調達、実装、組立、検査、物流を国内外の拠点で分担しています。 東京レーダー
ここから分かるのは、顧客から見た「一つの窓口」と、製造側の「一社内ですべて完結」は分けて考えた方がよいということです。
むしろ小規模EMSでは、すべてを内製しようとすると設備投資も人材配置も重くなります。受注頻度の低い特殊工程まで自社で持てば、設備稼働率が上がらず固定費だけが増える可能性があります。
2026年版小規模企業白書も、業種をEMSに限定した調査ではありませんが、小規模事業者にとって他社との連携によって不足する経営資源を補完することは有効な選択肢になり得ると整理しています。調査では企業間連携に「取り組んでいる」と回答した小規模事業者は18.4%でした。さらに、3期前と比較して売上高が増加した割合は、連携に取り組む事業者で53.2%、取り組んでいない事業者で43.8%でした。これは因果関係を証明する数字ではありませんが、「小規模だからすべて自社で持つべき」とは限らないことを考える材料にはなります。 中小企業庁
EMS-JPも、ハードウェア設計、基板設計、機構設計、実装、部品・部材など、異なる工程を持つ企業をつなぐ形で活動しています。会員間の受発注事例が公開されていることからも、電子機器製造で企業間連携が実際に成立していることを確認できます。 EMS-JP
したがって、今回の調査で知りたいのは「一貫生産できないEMSはどこか」ではありません。
「自社で持つ工程」と「外部と組んだ方が合理的な工程」をどう分けているかです。
小規模EMSの協業ニーズを7つに分けて考える
聞き取りを行う際には、「何か協業したいことはありますか」と漠然と質問しても、具体的な答えは得にくいでしょう。
そこで僕なら、EMSの機能を7領域に分けて質問します。
1.設計・製造技術
最初は、実装ラインに入る前の領域です。
回路設計、基板設計、アートワーク、DFM、DFT、治具設計、検査プログラム作成などが該当します。
ここは「実装はできるが設計は受けられない」というEMSと、「顧客から図面が完成した状態で支給されるので設計機能は必要ない」というEMSを分けなければなりません。
単純に設計部門がないから不足しているとは判断できません。
聞き取りでは、
「設計から相談された案件を断ることがありますか」
「実装しにくい基板だった場合、誰が顧客へ設計変更を提案しますか」
「検査治具やFCTについて相談されたとき、自社で対応できますか」
という聞き方の方が、実際のビジネス上の不足が見えます。
EMS-JPでも、ハードウェア設計、基板設計、機構設計を独立した工程として参加企業を分類しています。実装の前工程自体が一つの協業領域になっていることが分かります。 EMS-JP
2.特殊工程・設備
次に分かりやすいのが、設備能力の補完です。
例えば、X線、3D-AOI、ICT、選択はんだ、コーティング、ポッティング、プレスフィット、大型基板、極小部品、高密度BGA、リワークなどです。
ただし、ここでも「設備の有無」だけを聞いてはいけません。
重要なのは、その設備がないことで実際に案件を断っているかです。
年1回しか相談されない特殊工程と、毎月問い合わせがあるのに設備がなく取り逃している工程では、協業相手を探す優先順位が違います。
僕なら、
「直近で設備理由により断った案件はどの工程だったか」
「設備がなくても現在の協力会社で対応できているか」
「既存協力会社で困っているのは納期、価格、品質、対応数量のどれか」
まで聞きます。
この質問によって「設備不足」と「協業先不足」を分離できます。
3.検査・品質保証
小規模EMSの協業を考えるうえで、検査は独立して聞いた方がよい領域です。
実装が終わった基板をAOIに通せることと、「この製品は要求仕様を満たしています」と品質保証できることは同じではありません。
電気検査、ICT、FCT、X線、環境試験、信頼性試験、不具合解析、断面解析、測定データの報告など、顧客が要求する内容によって必要機能は変わります。
さらに医療、車載、産業機器などでは、単純な合否判定だけではなく、工程管理やトレーサビリティを含めた説明責任が重くなる場合があります。
ここで聞くべきなのは、
「検査設備を持っているか」
だけではありません。
「顧客から検査仕様を指定されたとき、社内で検査方法まで設計できるか」
「不具合発生時、原因解析をどこまで自社で行うか」
「外部検査会社の結果を誰が判定し、顧客へ説明するか」
です。
設備を外部利用すること自体は問題ではありません。むしろ重要なのは品質責任の境界です。
4.電子部品・基板・機構部品の調達
僕が特に分けて調べたいのが調達です。
EMSの「部品調達対応」は、会社によって中身が大きく違います。
顧客指定先から購入するだけなのか。
BOM全点を手配できるのか。
長納期部品を探せるのか。
EOL品の代替候補を提案できるのか。
海外から調達できるのか。
基板、板金、ハーネス、樹脂成形までまとめて手配できるのか。
これらを「部品調達できますか」という一問でまとめてしまうと、本当の違いが見えません。
実際、マランツエレクトロニクスは緊急調達、ディスコン品、代替品提案、受入検査などを調達機能として掲げています。千代田電子機器も国内外の仕入れネットワークを前面に出しています。 マランツエレクトロニクス
つまり調達は単なる購買事務ではなく、EMSの競争力そのものになり得ます。
小規模EMSへ聞くなら、
「材料込み案件を増やしたいか」
「現在は部品支給と自社調達のどちらが多いか」
「EOL・長納期部品が出たとき誰に相談しているか」
「調達を理由に受注できなかった案件があるか」
を見るべきでしょう。
ここでニーズが見えれば、電子部品商社にとっても具体的な協業機会になります。
5.組立・ハーネス・筐体など後工程
SMTラインを持っていても、基板を実装したところで仕事が終わるとは限りません。
顧客は、ハーネス接続、筐体組立、板金、樹脂部品、表示器、電源、最終機能検査、梱包まで一括で依頼したいことがあります。
この「SMTの後ろ側」は、協業ニーズを調べるうえで見落としやすい領域です。
EMS-JPの実例でも、基板実装だけでなく、ハーネス加工、基板製作、部品調達、筐体製作、組立を組み合わせた案件が紹介されています。 EMS-JP
したがって、
「実装後の完成品組立まで依頼された場合どこまで受けられるか」
「ハーネス、板金、成形、塗装などで固定の協力会社があるか」
「顧客から一括発注を求められたために受注範囲を広げた経験があるか」
を聞けば、SMT以外の協業可能性が見えてきます。
僕は、小規模EMSの協業を考えるとき、実装機そのものより、この前後工程に商機が隠れている可能性があると見ています。
これは現時点では仮説です。だからこそ、企業への聞き取りで確かめる価値があります。
6.海外調達・海外生産
「海外対応できますか」という質問も、そのままでは広すぎます。
海外部品を買えること。
海外工場へ生産を移管できること。
中国・ASEANの協力工場を管理できること。
英語や中国語の仕様書に対応できること。
輸出入を処理できること。
海外現地で不具合対応できること。
これらは別々の能力です。
大日光・エンジニアリングのように日本、中国、タイ、ベトナムの拠点を役割分担している企業もあれば、国内企業が海外協力工場を利用する形もあります。 大日光エンジニアリング
小規模EMSへの調査では、
「海外生産をしたいですか」
ではなく、
「海外案件のどの部分で困っていますか」
と聞いた方がよいでしょう。
海外部材の購入だけ困っている会社に海外工場を紹介してもニーズは一致しません。
7.生産能力・BCP
最後は、設備不足とは違う「能力不足」です。
普段は自社で生産できるものの、繁忙期だけラインが埋まる。急な増産案件だけ処理できない。設備故障が起きると代替ラインがない。災害時の第二生産拠点がない。
こうした会社では、協業相手に求めるものは技術ではなく生産余力です。
これは「できない工程」ではないため、通常の設備調査では見逃されます。
しかし、協業ビジネスとして考えると非常に重要です。
「通常時には内製できるが、ピーク時には外へ出したい工程はあるか」
「設備故障時に代替生産できる会社が決まっているか」
「顧客からBCP目的の第二生産拠点を求められているか」
と聞くことで、単なる外注ではなくBCP協業まで見えてきます。
聞き取りで重要なのは「できる・できない」ではなく4つの条件
ここまで整理すると、聞き取り調査で最も避けたいのは、
「○○できますか。はい・いいえ」
だけで終わることです。
僕なら、すべての協業候補について4つの軸を加えます。
1つ目は頻度です。
年に1度しか出ない案件なのか、毎月相談されるのか。同じ不足機能でも頻度によって価値は変わります。
2つ目は緊急性です。
なくても困らない機能なのか、それがないために案件を断っているのかを分けます。
3つ目は顧客要求です。
EMS自身がやりたいのか、それとも顧客から要求されるようになったのか。この違いによって、協業の継続性を判断できます。
4つ目は責任境界です。
誰が見積を出すのか。誰が顧客窓口になるのか。不良が出たとき誰が解析し、誰が再製作費を負担するのか。
僕は、この4つ目が最も見落とされやすいと考えています。
協業では「設備が使える」だけでは足りません。
その工程を既存の仕事の中へ安全につなげられるかが重要です。
EMS-JPの日立ターミナルメカトロニクスの事例でも、協業を進める際には自社と異なる生産ドキュメント、文化、標準規格への対応が必要になり、治工具や工程管理の改善を行ったことが紹介されています。 EMS-JP
つまり、技術的に作れる企業同士だからすぐにつながるわけではありません。
「接続するための条件」まで確認して初めて、本当に使える協業先になります。
実際の聞き取り調査では何を質問すればよいのか
今回の調査を実施するなら、次のような形で回答を集めるのが現実的だと考えます。
| 調査項目 | 確認内容 |
|---|---|
| 現在の主力工程 | SMT、DIP、手はんだ、組立など |
| 設計 | 回路・基板・機構・DFM・DFTへの対応 |
| 特殊設備 | X線、ICT、FCT、コーティング等 |
| 検査 | 外観、電気、機能、信頼性、不具合解析 |
| 調達 | 基板・電子部品・ハーネス・板金等 |
| 海外 | 海外調達、生産、輸出入、現地対応 |
| 後工程 | ハーネス、筐体、完成品組立、梱包 |
| 生産能力 | 繁忙期、急増産、BCP代替生産 |
| 現在の協力先 | 有無、満足度、課題 |
| 欲しい協業機能 | 今後補いたい工程 |
| 発生頻度 | 常時、毎月、年数回など |
| 案件への影響 | 受注できる/断っている/納期が延びる |
| 主な課題 | 価格、品質、納期、ロット、距離、機密性 |
| 顧客窓口 | 自社または協業先 |
| 品質責任 | 不具合発生時の責任分界 |
さらに重要なのは、「欲しい機能は何ですか」と聞いた後です。
「なぜ欲しいのですか」
「その機能があれば、今まで断っていたどんな案件を受けられますか」
「年間どの程度発生しますか」
「現在の協力会社では何が足りませんか」
まで掘り下げます。
ここまで聞けば、単なる希望ではなく、実際の取引につながりやすい協業ニーズが見えてきます。
協業先選定では設備スペックより「接続条件」を確認する
協業相手を探すとき、多くの会社が最初に設備一覧を確認します。
もちろん必要です。
しかし、僕ならその次に「接続条件」を確認します。
例えばX線検査会社を探す場合でも、
何日で返却できるのか。
1枚から受けるのか。
画像データだけなのか判定レポートまで出すのか。
BGAだけなのかボイド率測定までできるのか。
不具合が見つかった場合に解析相談までできるのか。
こうした条件が合わなければ、優れた設備を持っていても自社の工程にはつながりません。
部品調達も同じです。
単に部品を買える商社ではなく、小ロット、EOL、海外調達、代替提案、品質証明、環境資料など、自社が顧客から要求されている部分まで対応できるかを見る必要があります。
つまり、小規模EMSの協業先選定は「相手の強み」を見るだけでは不十分です。
「自社の弱い部分に、相手の強みをどう接続できるか」を見るべきです。
これは設備比較とは少し違う考え方です。
調査結果を公開するときに注意したいこと

今回のような聞き取り調査を実際に行う場合、もう一つ注意したいのが公開方法です。
EMS会社にとって、「この設備がない」「この工程ができない」「この部品を調達できない」といった情報は営業上の弱みとして受け取られる可能性があります。
そのため、回答をそのまま会社名付きで公開するのは適切ではありません。
調査時には、
「社名公開可」
「匿名なら公開可」
「集計のみ可」
「非公開」
を分けて許諾を取った方がよいでしょう。
また、「当社にはX線設備がありません」という回答と、「X線検査案件は協力会社へ依頼しているため問題ありません」という回答も同じ「設備なし」に集計してはいけません。
ここが今回の調査で最も大事な部分です。
協業ニーズを可視化する目的は、小規模EMSの弱点を並べることではありません。
「各社が自社で持つ必要がない機能まで含めて、どのような企業ネットワークを作れば受注範囲を広げられるのか」を知ることです。
2026年版小規模企業白書でも、企業間連携は単独では不足するノウハウや経営資源を補完し、新しい価値の創出につながり得る一方、「人手や時間に余裕がない」「連携先が見つからない、探し方が分からない」といった理由で取り組めていない事業者がいると整理されています。 中小企業庁
これはEMSにも参考になる視点でしょう。
協業したくないのではなく、「誰と何をどう組めばよいか分からない」という会社が含まれている可能性があります。
だからこそ、EMS会社リストの次に必要なのは、会社名をさらに増やすことだけではないと僕は考えています。
「A社はSMTが強い」
「B社は設計が強い」
「C社はX線・解析が強い」
「D社は電子部品調達が強い」
「E社はハーネスと完成品組立が強い」
という情報と、
「何を補いたい会社なのか」
をつなぐことです。
そこまで分かれば、単なる会社データベースから、実際に仕事が動く協業ネットワークへ一段進める可能性があります。
8.FAQ
小規模EMS同士では、どのような協業が考えられますか?
設計、特殊実装、X線・ICT・FCTなどの検査、電子部品調達、ハーネス、筐体、完成品組立、海外対応、繁忙期の生産委託などが考えられます。
ポイントは、自社にない設備を探すだけではなく、案件を受注するときに不足する機能を特定することです。
EMSのワンストップ対応は、すべて自社設備で行うという意味ですか?
必ずしもそうではありません。公開情報を見ると、グループ企業や協業企業を活用して、一つの窓口から複数工程を提供しているEMSもあります。 デンソ
顧客から見た一括対応と、全工程の内製化は分けて確認した方がよいでしょう。
X線検査装置を持っていないEMSは競争力が低いのでしょうか?
一概には言えません。X線を必要とする案件の頻度が低ければ、外部の専門会社へ依頼する方が設備稼働率や投資負担の面で合理的な場合があります。
重要なのは、必要になったときに品質・納期・価格条件を満たせる協業先を確保できているかです。
小規模EMSが協業先を探すとき最初に確認すべきことは何ですか?
自社が案件を断る理由を確認するのが先です。
設備、人材、調達、品質保証、生産能力、海外対応など、どの機能が原因になって受注できていないのかを整理してから相手を探した方が、協業目的が明確になります。
部品調達も協業対象になりますか?
なります。特にBOM一括調達、少量調達、長納期部品、EOL品、代替部品、海外調達などは独立した機能として考えた方がよいでしょう。
部品調達力をEMSサービスの一部として強く訴求している企業もあります。 マランツエレクトロニクス
EMSの協業で最も注意すべきことは何ですか?
品質責任と顧客窓口の境界です。
不具合発生時に誰が解析するのか、再製作費用を誰が負担するのか、顧客への報告を誰が行うのかを案件開始前に決めておく必要があります。
協業先は近隣企業から探した方がよいですか?
近距離であることには輸送や打ち合わせ上の利点がありますが、距離だけで決めるべきではありません。
短納期案件や試作では近距離が有利になる一方、専門検査や特殊加工、海外調達などでは、地域より対応能力を優先した方がよい場合があります。
9.まとめ
小規模EMSの協業ニーズを調べるとき、「持っていない設備は何ですか」と聞くだけでは十分ではありません。
見るべきなのは、
「どのような案件で」
「どの工程が足りず」
「どの程度の頻度で発生し」
「そのために受注や納期へどんな影響が出ていて」
「誰が顧客・品質責任を持つのか」
です。
設計、特殊工程、検査、部材調達、後工程、海外対応、生産能力という7領域に分け、そのうえで頻度、緊急性、顧客要求、責任境界を確認すれば、「単に設備を持っていない会社」と「協業先を必要としている会社」を分けられます。
基板実装.comでは、2026年4月時点で全国612社のEMS事業者を確認しています。次に価値が出てくるのは、会社数をさらに増やすことだけではなく、それぞれの得意分野と「補いたい分野」を結びつけることではないかと僕は考えています。
今回の記事では、実際の聞き取り回答数がないため、架空のランキングや割合は作りませんでした。
今後実際に企業へ聞き取りを行うなら、「不足設備ランキング」ではなく、「協業によって受注できるようになる機能」を調べる。その方が、EMS企業にも、協業したい企業にも使える調査になるはずです。


















