
ある日、取引先からExcelが送られてきます。
中を見ると、
「人権方針はありますか」
「外国人労働者について確認していますか」
「仕入先に強制労働はありませんか」
「相談窓口はありますか」
「人権リスク評価を実施していますか」
といった質問が並んでいます。
人権やサステナビリティを専門に担当している会社なら、それほど驚かないかもしれません。
しかし、中小・中堅の製造業や商社では事情が違います。
総務、人事、品質保証、調達、営業などの担当者に、
「これ、来週までに回答しておいて」
と突然回ってくることがあります。
そこで困るのが、
何を確認すれば「はい」と回答できるのか。
どこまで仕入先を調べるのか。
何を証拠として残すのか。
まだ調べていないことはどう回答すればよいのか。
という実務です。
今回紹介する「はじめての人権DD対応セット」は、この最初の混乱を整理するために作ったExcel・Word・PDFの実務書式セットです。
単に人権方針の文章を用意するものではありません。
方針、確認範囲、リスク評価、仕入先調査、相談、是正、教育、経営レビュー、顧客回答までを一つの流れとして管理することを目的にしています。

はじめての人権DD対応セット【Excel・Word・PDF 21ファイル】
取引先から突然「人権について回答してください」と言われる時代になった
人権デューデリジェンスは、一部の大企業だけの話と考えない方がよくなっています。
日本政府は2022年に「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドライン」を策定しました。
さらに経済産業省は2023年、これまで本格的に人権尊重へ取り組んだ経験が少ない企業も想定した実務参照資料を公表しています。経済産業省
経済産業省
「日本の取組」
また、2025年12月に改定された日本政府の「ビジネスと人権」に関する行動計画でも、企業活動による負の人権影響を特定・評価し、予防、軽減、対処していく人権デュー・ディリジェンスの導入促進への期待が示されています。外務省
外務省
「ビジネスと人権」に関する行動計画
重要なのは、こうした流れが大企業の社内だけで完結しないことです。
大企業が自社のサプライチェーンを確認しようとすれば、その質問は仕入先へ下りていきます。
一次仕入先から二次仕入先へ。
メーカーから商社へ。
セットメーカーから部品会社へ。
完成品メーカーからEMSや基板実装会社へ。
その結果、中小企業にも人権調査票が届くようになります。
人権DDを専門業務として始めたつもりがなくても、顧客のサプライチェーンに参加していれば、取引上の確認事項として関係してくる可能性があります。
人権DDは人権方針を作れば終わりではない
最初につまずきやすいのが、
「とりあえず人権方針を作ればよいのではないか」
という考え方です。
人権方針は重要です。
しかし、人権方針を作ったことと、人権DDを実施していることは同じではありません。
人権DDは継続的なプロセス
国連「ビジネスと人権に関する指導原則」では、企業が人権への負の影響を把握し、防止・軽減し、対応を追跡し、その対応方法を説明していく考え方が示されています。国連人権高等弁務官事務所
OHCHR
Guiding Principles on Business and Human Rights
OHCHR Business and Human Rights Knowledge Hub
JETROの「ビジネスと人権」早わかりガイドでも、人権DDについて、
人権侵害リスクの特定・評価。
防止・軽減。
取組の実効性評価。
説明・情報開示。
という一連の流れを継続的に行う考え方が紹介されています。ジェトロ
つまり、
「方針を作成した」
だけでは途中です。
会社として何を確認したのか。
どの工程を確認したのか。
誰に影響する可能性があるのか。
何がまだ未確認なのか。
問題が見つかった場合に何をしたのか。
対応後に改善したことを確認したのか。
という記録が必要になります。
大切なのは「問題なし」ではなく確認範囲
人権DDの実務で特に重要だと考えているのが、
「何も問題ありません」
という結論を急がないことです。
例えば、直接取引している仕入先に質問票を送り、
「強制労働はありません」
という回答を受け取ったとします。
ここで、
「サプライチェーンに強制労働なし」
と判断するのは早すぎます。
確認できているのは、
「直接仕入先から、その回答を受け取った」
という事実です。
二次仕入先。
原材料の採掘。
人材仲介会社。
海外工場。
再委託先。
そこまで確認していなければ、その部分は未確認です。
この「確認済」と「未確認」を分けて管理することが実務では非常に重要です。
人権調査票で担当者が最も困る5つのポイント
実際の取引先調査では、質問の文章自体はそれほど難しくありません。
難しいのは、
「何を根拠に回答するか」
です。
人権方針はありますか
単純にWordファイルが存在すればよいわけではありません。
少なくとも、
どこまでを対象とするのか。
経営責任者が承認しているのか。
担当部署はどこなのか。
従業員や取引先へどのように伝えるのか。
相談窓口は実際に利用できるのか。
といった運用とのつながりを確認する必要があります。
今回のセットでは、人権方針のWordひな形とは別に承認・周知の記録欄を設けています。
これは、
「文章が完成した」
ことと、
「会社の方針として承認され運用に入った」
ことを区別するためです。
外国人労働者を確認していますか
ここでも注意したいことがあります。
外国人労働者がいること自体を人権リスクとして判定するものではありません。
確認したいのは実際の労働条件です。
例えば、
雇用条件を本人が理解できる言語で説明しているか。
募集時に高額な手数料を負担していないか。
保証金がないか。
旅券を自由に管理できるか。
退職の自由があるか。
住居や安全衛生に問題がないか。
相談窓口を利用できるか。
などです。
国籍だけでリスクの高低を決めないことが重要です。
仕入先に強制労働はありませんか
これは中小企業にとって特に回答が難しい質問です。
自社工場については確認できても、その先の仕入先やさらに上流の工程まで把握できていないことがあります。
その場合に重要なのは、
無理に「ありません」と断定しないことです。
例えば、
直接取引先への確認書は受領済み。
募集費用について追加確認中。
二次以降の原料工程は未確認。
5月20日までに調達部門が追加確認予定。
というように、
現在地を説明できます。
実務では、この方が後から説明しやすくなります。
相談窓口はありますか
相談窓口についても、
メールアドレスを作った。
社内掲示をした。
だけでは実効性が分かりません。
匿名で利用できるのか。
報復を防止できるのか。
相談対象者が上司だった場合に別ルートがあるのか。
利用できる言語に問題がないか。
利益相反を回避できるのか。
相談後に救済や改善へつながるのか。
まで考える必要があります。
今回のセットでは「相談窓口と救済手順」を独立したWord書式にしています。
人権リスク評価をしていますか
ここでは単純なチェックリストだけでは足りない場合があります。
例えば、
発生可能性は低い。
しかし発生すれば生命や身体に重大な影響がある。
というリスクです。
発生確率だけで低リスクにすると、重大な影響を見落としかねません。
そのため今回のExcelでは、
規模と重さ。
影響範囲。
救済の困難度。
蓋然性。
緊急保護の必要性。
を分けて記録する設計にしています。
単純な掛け算の総合点だけで人権リスクを決める仕組みにはしていません。
ここは、このセットで特に重視した部分です。

はじめての人権DD対応セット【Excel・Word・PDF 21ファイル】
人権DD対応で危険なのは「未確認」を消してしまうこと
人権調査票へ回答するとき、
空欄を残すのが怖くなることがあります。
そのため、
「たぶん大丈夫だろう」
「聞いたことがないから問題ないだろう」
としてしまいがちです。
しかし、実務では「未確認」を正しく残す方が重要な場合があります。
未確認と対象外は違う
例えば、
二次仕入先の労働環境をまだ調査していない。
これは「対象外」とは限りません。
単に調べていないのであれば、
「未確認」
です。
一方で、事実関係を確認したうえで、その質問が自社の対象に該当しない場合は「対象外」とし、その理由を記録できます。
今回のExcelでは、
確認済。
要改善。
未確認。
対象外。
を区別しています。
対象外を選択した場合も、理由を残す設計です。
仕入先から回答が来たことと実態確認は違う
もう一つ重要なのがここです。
仕入先へ調査票を送付する。
回答が返ってくる。
これで調査終了。
とは限りません。
回答書は、
「仕入先がそう回答した」
ことの根拠にはなります。
しかし、
「実態も完全に確認できた」
ことまで自動的に意味するわけではありません。
必要に応じて、
資料。
現場確認。
安全な聞き取り。
追加質問。
などを組み合わせる必要があります。
このセットでは、
回答状況。
確認範囲。
根拠ID。
追加確認事項。
次の確認日。
調査結論。
を別々に記録できるようにしています。
是正実施と是正完了は違う
問題が見つかり、対策を実施したとしても、
「対策しました」
だけで終わりではありません。
例えば安全上の問題なら、
設備を修理した。
手順書を変更した。
教育を実施した。
その後、
本当に危険が減ったのか。
影響を受けた人の状況は改善したのか。
別の問題が残っていないか。
を確認する必要があります。
今回の管理台帳では、是正処置について、
効果確認。
被影響者への確認。
根拠。
終了承認。
などを記録する考え方にしています。
これは、
「やった」
と、
「効いた」
を分けるためです。
そこで作った「はじめての人権DD対応セット」
今回用意したのが、
「取引先から人権調査票が届いた会社へ はじめての人権DD対応セット」
です。
人権DDの専門部署がない会社でも、最初に何を確認し、どの記録を残せばよいのか整理しやすい構成にしました。
21ファイルを収録
セットには合計21ファイルが入っています。
内訳は、
Excel 2冊。
Word 12本。
PDF 5本。
テキスト2本。
です。
自社で使用する空欄版だけでなく、架空企業を使った記入例も用意しています。
記入例には実在企業や実在人物の情報を使用していません。
また、架空の証拠IDや承認記録を、そのまま実際の実績として転記しないことも明記しています。
Excel管理台帳は16シート構成
中心になるのが、
「人権DD管理台帳.xlsx」
です。
16シートで構成されています。
主なシートは、
対応サマリー。
基本設定。
初動計画。
事業範囲。
自社チェック。
人権リスク評価。
仕入先調査。
是正処置。
相談受付。
対話記録。
教育記録。
経営レビュー。
証拠一覧。
顧客回答管理。
提出前確認。
判定基準。
です。
人権調査票だけを管理するExcelではありません。
顧客から質問が届いてから、回答の根拠をそろえて提出するまでを一つにつなげる管理台帳です。
48項目の自社チェック
自社チェックには48項目を設定しています。
項目ごとに、
状況。
根拠または対象外理由。
担当部署。
確認日。
対応メモ。
入力確認。
を記録できます。
例えば、
人権方針。
児童労働。
本人の意思に反する就労。
旅券管理。
募集手数料や保証金。
賃金。
労働時間。
安全衛生。
差別・ハラスメント。
相談窓口。
などを確認する入口として使用します。
この48項目だけで全人権リスクを網羅するという意味ではありません。
自社固有のリスクがあれば、人権リスク評価へ追加する設計です。
Wordは6種類の実務書式と記入例
Wordは、自社記入用6本と、その記入例6本です。
用意しているのは、
人権方針。
仕入先確認書。
相談窓口と救済手順。
是正処置と経営レビュー。
教育実施記録。
顧客回答書と提出前確認。
です。
特に顧客回答書では、
確認できている範囲。
未確認事項。
追加確認予定。
提出できる資料。
提出できない資料。
承認。
送付記録。
を分けることを意識しています。
PDFガイドで初心者でも順番が分かる
PDFは5本です。
「最初に読む」
「初心者ガイド」
「業種別記入例」
「練習ガイド」
「出典と書式対応」
を収録しています。
業種別記入例では、
製造業。
商社・卸売業。
サービス業。
運輸・倉庫・建設等。
の例を掲載しています。
練習ガイドには8つの入力練習を用意しています。
例えば、
未確認工程を対象外にしない。
重い影響を低い発生可能性だけで後回しにしない。
国籍だけで判断しない。
是正の完了欄だけで終了させない。
承認済と送付済を区別する。
といった、実務で迷いやすいところを確認できます。
このセットで重視した7つの実務設計

このセットは、見た目の書式を増やすことより、
「誤った断定をしにくい構造」
を重視しています。
1つ目は、
未確認を未確認のまま残せること。
2つ目は、
対象外には理由を残すこと。
3つ目は、
仕入先回答と実態確認を区別すること。
4つ目は、
重い人権影響を発生確率だけで低く評価しないこと。
5つ目は、
是正を実施したことと、効果を確認したことを区別すること。
6つ目は、
回答を承認したことと、実際に顧客へ送付したことを区別すること。
7つ目は、
相談者などの個人を特定する情報を管理台帳へ安易に入れないこと。
です。
私は、この7点が人権DDを書式だけの活動にしないために重要だと考えています。
製造業・商社で特に確認したい人権リスク
基板実装、電子部品、製造業、商社のサプライチェーンでは、自社工場だけ確認しても終わらないケースがあります。
例えば製造業なら、
長時間労働。
安全衛生。
派遣労働者。
外国人労働者。
募集費用。
危険作業。
委託工程。
原材料。
などがあります。
商社の場合はさらに、
「自社では製造していない」
ことが確認不要の理由にはなりません。
扱っている製品について、
どこの工程まで把握しているのか。
原料はどこから来るのか。
直接仕入先より上流を把握しているのか。
発注条件が過度な労働を助長していないか。
という視点が出てきます。
ここは製造業と商社で人権DDを考える際の重要な違いです。
労働分野だけでも確認項目は広い
ILOが定める「労働における基本的原則及び権利」には、
結社の自由及び団体交渉権。
強制労働の撤廃。
児童労働の廃止。
雇用・職業における差別の撤廃。
安全で健康的な労働環境。
という5つの分野があります。International Labour Organization
International Labour Organization
Fundamental Principles and Rights at Work
ILO Fundamental Principles and Rights at Work
人権DDというと、強制労働だけを思い浮かべることがあります。
しかし実際には、安全衛生、差別、労働時間、賃金、相談へのアクセスなど、企業活動に関係する確認項目は広くなります。
そのため、一枚の質問票だけで完結させようとすると管理が難しくなります。
実際の使い方
最初に「00_最初に読む.pdf」を確認します。
次に顧客から受け取った調査票を保存します。
ここで最初に決めたいのは、
誰が担当するか。
回答期限はいつか。
どの拠点が対象か。
どの製品が対象か。
どの仕入工程が対象か。
どの期間が対象か。
です。
その後、
基本設定。
初動計画。
事業範囲。
自社チェック。
人権リスク評価。
仕入先調査。
の順に確認していきます。
ただし、安全上の切迫した危険や重大な人権影響を把握した場合は別です。
Excelへの入力順番を待つのではなく、安全確保や影響の停止を優先します。
これもセットのガイド内で明示しています。
最初から100点を作ろうとしない
人権DDを初めて担当すると、
「全部確認してからでないと顧客へ回答できない」
と考えてしまうことがあります。
しかし、実際にはサプライチェーンの上流まで短期間で完全に確認できないことがあります。
そこで重要なのは、
分かっている範囲。
まだ分からない範囲。
追加確認する内容。
担当部署。
予定日。
を整理することです。
例えば、
「直接取引先の対象工程について確認書を受領しています。募集費用について追加確認中であり、二次以降の原料工程は未確認です。調達部門が追加確認を進めます」
という説明ができます。
根拠のない「問題ありません」より、確認範囲を限定して説明する方が実務上の記録を残しやすくなります。
個人情報を集めすぎない
人権調査という言葉から、
外国人労働者の氏名。
国籍。
旅券。
在留資格。
相談内容。
健康情報。
などをExcelへ集めればよいと考えるのは危険です。
このセットでは、管理台帳に氏名や連絡先を入力しない考え方を採っています。
相談記録についても、個人を特定しないコードや匿名化した概要を基本にしています。
必要な情報を扱う場合は、権限を定めた別の管理領域で扱うことを想定しています。
人権を確認する目的で、別のプライバシーリスクを増やさないためです。
このセットでできないこと
このセットは万能な認証ツールではありません。
ここは非常に重要です。
この書式へ記入したから、
法律に適合した。
人権侵害が存在しない。
顧客監査に合格する。
第三者認証を取得できる。
海外の人権DD法に適合する。
というものではありません。
また、国や業界によって法律、契約条件、調査基準は異なります。
顧客が独自の質問票や証拠提出方法を指定している場合は、その条件を確認する必要があります。
今回のセットは、
「最初に何を整理すればよいのか分からない」
企業の初動と記録管理を支援するものです。
経済産業省の実務参照資料自体も、記載どおりに行えば十分という性質のものではなく、企業による取組方法の例として位置づけられています。経済産業省
個別法令、紛争、第三者保証など専門判断が必要な場合は、弁護士、社会保険労務士その他の専門家への確認も必要になります。
このセットが向いている会社
特に向いているのは、
顧客から初めて人権調査票が届いた。
人権DDの専任担当者がいない。
人権方針をこれから作る。
仕入先にも確認を始めたい。
自社の確認状況をExcelで整理したい。
顧客へ何を根拠として回答したか残したい。
未確認事項を管理したい。
という会社です。
逆に、
すでにグローバル全社で専用の人権DDシステムを運用している。
専門コンサルタントによる詳細な人権影響評価を行っている。
特定国の法律への適合判定だけが目的。
という場合には、既存の社内システムや専門的対応を優先した方がよい場合があります。
人権DD対応で最初に作るべきものは「立派な方針」より現在地
取引先から人権調査票が来ると、どうしても、
「正しい回答をしなければ」
と考えます。
しかし、初めて取り組む会社にとって一番重要なのは、
現在地を把握することです。
できている。
できていない。
確認中。
対象外。
この4つを分けるだけでも、かなり状況が整理されます。
そして、
できていないものには担当者と期限を決める。
未確認のものには確認方法を決める。
問題があれば停止、予防、軽減、救済を検討する。
その結果を記録する。
この積み重ねが人権DDの実務になります。
書類を一度完成させて終わる仕事ではありません。
だからこそ、このセットも「きれいな回答書」を作ることより、
次に何を確認するのかが見えること。
を重視しています。
よくある質問 FAQ
人権DDは中小企業にも必要ですか?
企業規模だけで「関係ない」と判断するのは適切ではありません。
日本政府のガイドラインは国際スタンダードを踏まえて企業の人権尊重を促しており、大企業だけではなく、そのサプライチェーンに参加する中小企業にも取引先から確認が来る可能性があります。経済産業省
法的義務の有無については、所在地、事業内容、取引関係、適用される法令ごとに別途確認してください。
人権方針だけ作れば顧客へ回答できますか?
方針の有無を尋ねる項目には回答できますが、人権DD全体の実施を意味するものではありません。
方針に加え、リスクの特定・評価、予防・軽減、効果確認、説明などの取組を継続する考え方が基本です。
仕入先から回答が来ない場合はどうすればいいですか?
未回答であることを記録し、追加確認を続けます。
回答がないことを「問題なし」や「対象外」に変更しないことが重要です。
顧客へは、確認済範囲、未確認範囲、追加確認予定を説明できます。
「未確認」と書くと顧客から悪く評価されませんか?
評価方法は顧客によって異なります。
ただし、確認していないことを確認済として回答することには別のリスクがあります。
事実として確認できた範囲と、追加確認が必要な範囲を区別し、今後の対応予定まで説明できる状態にすることが重要です。
外国人労働者がいるだけで高リスクですか?
国籍だけでリスクを判断するものではありません。
募集費用、保証金、旅券管理、退職の自由、本人が理解できる言語での説明、安全衛生、相談経路など、実際の状況を確認します。
パスポートのコピーを顧客へ提出する必要がありますか?
通常の人権DD管理として、個人の旅券コピーを安易に顧客へ提出することを前提にはしません。
何を確認したかという手順や匿名化した概要で説明できる場合があります。
顧客から個人情報を含む資料の提出を求められた場合は、必要性、法令、契約、本人への影響、開示権限などを個別に確認してください。
Excelにはマクロがありますか?
今回のセットのExcelはマクロを使用していません。
外部ブック参照や外部データ接続も使用していません。
自動計算を有効にして使用する前提です。
記入例をそのまま提出できますか?
できません。
記入例は架空企業、架空コード、架空期間を使った練習用です。
証拠ID、相談、承認、教育実績などを実際に行った取組として転記しないでください。
自社で確認した事実に置き換える必要があります。
このテンプレートで法令適合を証明できますか?
できません。
本セットは人権DDの初動と記録を支援する独自の実務書式です。
公的認証、第三者保証、監査合格、個別法令への適合を証明するものではありません。

はじめての人権DD対応セット【Excel・Word・PDF 21ファイル】
まとめ
人権デューデリジェンスで重要なのは、
すべての質問へ「はい」と答えることではありません。
自社がどこまで確認しているのか。
何がまだ分からないのか。
どんなリスクがあるのか。
問題があれば何をするのか。
誰が、いつまでに確認するのか。
その結果をどの根拠で説明できるのか。
ここまで整理することです。
今回の「はじめての人権DD対応セット」は、その作業をExcel、Word、PDFでつなげるために作りました。
人権DD専門部署がない会社でも、
「まず何をすればいいのか」
を順番に整理できる構成です。
取引先から人権調査票が届いてから慌てて回答書だけを作るのではなく、
確認。
記録。
改善。
説明。
を会社の中に残す。
その最初の一歩として使える実務セットです。











